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シグマス編 ~出会い~
サンドイッチ
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翌朝、イサはカイトのベットで目を覚ました。
持ってきた布団は部屋のすみに置かれ、夕食後、なだれ込むようにベットを共にした。
ダルタルには任務で行くため、イチャイチャとくっついたり、触れあうことは難しくなる。
馴れなくて恥ずかしいから、触れあいは、たまにで良いのだけれど…。
隣がハズキさんの部屋なので声を気にしたけれど、アヤトの部屋に行っているから大丈夫だと、いつの間にか確認したらしい。
なので声を我慢すること無く、カイトに翻弄され、無意識に声を上げていた。
イサは思い出して頬を染め、カイトを起こさないようにベットから抜け出し、シャワールームへと向かった。
カイトが目を覚まし、一緒に食堂に行くと、アヤトは食器を洗っていた。
朝早い人達が仕事に出掛けて行った後みたいだ。
朝食をもらい、二人で食べていると、調理場の横のドアから、眠たそうなハズキがもそっと出てきた。
もしかして、アヤトの部屋はここなのだろうか?
「そうだ、アヤト」
カイトは思い出したように言う。
「車で食べられる簡単な昼飯、作ってくれないか」
「そう言うことは、前の日に言ってよね」
アヤトは食器を片付けながら、カウンターから食堂にいるカイト睨み付ける。
「昼には、向こうに着きたいから、ソレまでに頼むよ」
「仕方ないな…」
アヤトはそう言って食器を片付け終えると、野菜を取り出し調理し始めた。
本当に中の良い兄弟みたい…。
「…ああ…三人分頼む」
「…ハズキも…行くのか?」
アヤトが手を止めこちらを見る。
「ええっ…行きたくない…」
ハズキは駄々を捏ねるようにテーブルに伏せて言う。
「俺が言うことではないが、定期連絡、出勤数、報告書」
「…。」
カイトがそう言うとハズキは沈黙した。
もしかして、定期連絡をしていないのか?
部署が違うから、詳しくはわからないが…。
「一度、顔を出してこい」
ハズキは大きなタメ息を付いて、諦めたように言う。
「…分かった。見送りに行くよ」
アヤトに作ってもらった弁当と荷物を持って、三人は魔動車に乗り、連合軍へと向かった。
カイトが魔動車を運転し、隣にの座席にイサが座り、後ろにハズキが座る。
「一ヶ月くらいの予定だが、しばらく戻れない」
「いつもの事だろ?」
カイトは『先読み』の話をするのだろうか?
いつかは帰れるが、いつになるか分からない帰国の話し…。
「…気掛かりはアヤトだ。サクラも様子を見に来ると言っていたが…」
イサは少しホッとしたのと同時に、カイトがアヤトの事を気にしすぎて、ちょっとモヤモヤする。
弟の様に思っているのは分かっているが…。
…これって…嫉妬…?
イサは今までに無い感情に戸惑った。
チラリとカイトを見るが、アヤトを心配することは、当たり前の事なのだろう…。
「大丈夫。花壇にハーブやパセリを植えたり、家庭菜園をすることを進めたから。やる気出してたし…」
ハズキは思い出して楽しそうに言う。
「それに、僕、手を出しちゃったから、大事にするよ」
「?!」
エッ…?
大事にするよって…?
えっ?まだ、そう言う仲ではないのか?
「カイトのせいだからね。隣であんな声出させてさ…。いくら僕でも我慢出来なくなるよ。で、気が付いたら、アヤトのベットに潜り込んでた」
「…。」
そっ、ソレって…あの時の事を言っているんだよね…。
ソレまでは、アヤトとそう言う関係じゃ無かったと言うこと…なのか…?
…僕達のせい?
イサは真っ赤になってうつむく。
「アヤトの事、可愛いって思ってたけれど、まさかマサトの弟に手を出してしまうなんて思わなかったし…」
「…アヤトを泣かすような事するなよ」
カイトとハズキは平然と会話しているが、僕はどうしたら良いか分からないです。
「でも、泣き顔スッゴく可愛いよ。もっと泣かしたくなる」
…その話、止めてもらって良いですか?
「…その話はもういい…」
カイトは呆れて、イサは頬を染めてうつ向いたまま、魔動車は走る。
「…お、お弁当、食べませんか」
イサは思いきってそう言った。
魔動車の中で食べるつもりだったので、イサの膝の上にお弁当が入ったカバンが置いてある。
ハズキが話す、アヤトの惚気話しを何とかして止めたかった。
その…具体的な話は、要らないです…。
想像してしまって、火照りが治まりません…。
「…そうだな」
カイトがそう言ったので、イサはカバンを開けて中からサンドイッチの入った箱を取り出す。
そして後ろの座席にいるハズキに渡し、もう一つ取り出して、蓋を開けた。
カイトは運転中だし、どうすれば…と、イサが戸惑っていると、カイトはニヤリと笑って言う。
「食べさせて」
「エッ?!」
イサは戸惑いながらサンドイッチを手に取り、緊張しながらカイトの口の前まで持ってくると、カイトはちらとサンドイッチを見てパクりと一口噛った。
そしてモグモグと食べ、再びパクりと噛りつく。
…なんか餌付けしてるみたい…。
かわいい…。
「飲み物、もらえるか」
カイトがそう言ったので、イサは慌て食べさしのサンドイッチを箱の上に置いて、ボトルにストローをさして口許に持ってくい。
カイトがストローを咥え、飲み終わると、再び口を開けた。
イサは再びサンドイッチをカイトの口許に持っていく。
「良いな…」
後ろの座席から、サンドイッチを噛りながら、ハズキが羨ましそうにこちらを見ている。
「…アヤト、僕に食べさせてくれるかな…」
…そうだった。
ハズキさんが見てたんだ。
イサが頬を染めると、食べ終わったカイトが、イサの指をペロリと舐めて嬉しそうに言う。
「羨ましいだろ」
「ずるいな…。イサ、僕にも食べさせて」
「イサに食べさせてもらえるのは、俺だけだ!」
…えっと…僕も食べさせるのはカイトさんだけで良いです…。
恥ずかしい…。
イサは頬を染めながら、自分もサンドイッチに噛りついた。
持ってきた布団は部屋のすみに置かれ、夕食後、なだれ込むようにベットを共にした。
ダルタルには任務で行くため、イチャイチャとくっついたり、触れあうことは難しくなる。
馴れなくて恥ずかしいから、触れあいは、たまにで良いのだけれど…。
隣がハズキさんの部屋なので声を気にしたけれど、アヤトの部屋に行っているから大丈夫だと、いつの間にか確認したらしい。
なので声を我慢すること無く、カイトに翻弄され、無意識に声を上げていた。
イサは思い出して頬を染め、カイトを起こさないようにベットから抜け出し、シャワールームへと向かった。
カイトが目を覚まし、一緒に食堂に行くと、アヤトは食器を洗っていた。
朝早い人達が仕事に出掛けて行った後みたいだ。
朝食をもらい、二人で食べていると、調理場の横のドアから、眠たそうなハズキがもそっと出てきた。
もしかして、アヤトの部屋はここなのだろうか?
「そうだ、アヤト」
カイトは思い出したように言う。
「車で食べられる簡単な昼飯、作ってくれないか」
「そう言うことは、前の日に言ってよね」
アヤトは食器を片付けながら、カウンターから食堂にいるカイト睨み付ける。
「昼には、向こうに着きたいから、ソレまでに頼むよ」
「仕方ないな…」
アヤトはそう言って食器を片付け終えると、野菜を取り出し調理し始めた。
本当に中の良い兄弟みたい…。
「…ああ…三人分頼む」
「…ハズキも…行くのか?」
アヤトが手を止めこちらを見る。
「ええっ…行きたくない…」
ハズキは駄々を捏ねるようにテーブルに伏せて言う。
「俺が言うことではないが、定期連絡、出勤数、報告書」
「…。」
カイトがそう言うとハズキは沈黙した。
もしかして、定期連絡をしていないのか?
部署が違うから、詳しくはわからないが…。
「一度、顔を出してこい」
ハズキは大きなタメ息を付いて、諦めたように言う。
「…分かった。見送りに行くよ」
アヤトに作ってもらった弁当と荷物を持って、三人は魔動車に乗り、連合軍へと向かった。
カイトが魔動車を運転し、隣にの座席にイサが座り、後ろにハズキが座る。
「一ヶ月くらいの予定だが、しばらく戻れない」
「いつもの事だろ?」
カイトは『先読み』の話をするのだろうか?
いつかは帰れるが、いつになるか分からない帰国の話し…。
「…気掛かりはアヤトだ。サクラも様子を見に来ると言っていたが…」
イサは少しホッとしたのと同時に、カイトがアヤトの事を気にしすぎて、ちょっとモヤモヤする。
弟の様に思っているのは分かっているが…。
…これって…嫉妬…?
イサは今までに無い感情に戸惑った。
チラリとカイトを見るが、アヤトを心配することは、当たり前の事なのだろう…。
「大丈夫。花壇にハーブやパセリを植えたり、家庭菜園をすることを進めたから。やる気出してたし…」
ハズキは思い出して楽しそうに言う。
「それに、僕、手を出しちゃったから、大事にするよ」
「?!」
エッ…?
大事にするよって…?
えっ?まだ、そう言う仲ではないのか?
「カイトのせいだからね。隣であんな声出させてさ…。いくら僕でも我慢出来なくなるよ。で、気が付いたら、アヤトのベットに潜り込んでた」
「…。」
そっ、ソレって…あの時の事を言っているんだよね…。
ソレまでは、アヤトとそう言う関係じゃ無かったと言うこと…なのか…?
…僕達のせい?
イサは真っ赤になってうつむく。
「アヤトの事、可愛いって思ってたけれど、まさかマサトの弟に手を出してしまうなんて思わなかったし…」
「…アヤトを泣かすような事するなよ」
カイトとハズキは平然と会話しているが、僕はどうしたら良いか分からないです。
「でも、泣き顔スッゴく可愛いよ。もっと泣かしたくなる」
…その話、止めてもらって良いですか?
「…その話はもういい…」
カイトは呆れて、イサは頬を染めてうつ向いたまま、魔動車は走る。
「…お、お弁当、食べませんか」
イサは思いきってそう言った。
魔動車の中で食べるつもりだったので、イサの膝の上にお弁当が入ったカバンが置いてある。
ハズキが話す、アヤトの惚気話しを何とかして止めたかった。
その…具体的な話は、要らないです…。
想像してしまって、火照りが治まりません…。
「…そうだな」
カイトがそう言ったので、イサはカバンを開けて中からサンドイッチの入った箱を取り出す。
そして後ろの座席にいるハズキに渡し、もう一つ取り出して、蓋を開けた。
カイトは運転中だし、どうすれば…と、イサが戸惑っていると、カイトはニヤリと笑って言う。
「食べさせて」
「エッ?!」
イサは戸惑いながらサンドイッチを手に取り、緊張しながらカイトの口の前まで持ってくると、カイトはちらとサンドイッチを見てパクりと一口噛った。
そしてモグモグと食べ、再びパクりと噛りつく。
…なんか餌付けしてるみたい…。
かわいい…。
「飲み物、もらえるか」
カイトがそう言ったので、イサは慌て食べさしのサンドイッチを箱の上に置いて、ボトルにストローをさして口許に持ってくい。
カイトがストローを咥え、飲み終わると、再び口を開けた。
イサは再びサンドイッチをカイトの口許に持っていく。
「良いな…」
後ろの座席から、サンドイッチを噛りながら、ハズキが羨ましそうにこちらを見ている。
「…アヤト、僕に食べさせてくれるかな…」
…そうだった。
ハズキさんが見てたんだ。
イサが頬を染めると、食べ終わったカイトが、イサの指をペロリと舐めて嬉しそうに言う。
「羨ましいだろ」
「ずるいな…。イサ、僕にも食べさせて」
「イサに食べさせてもらえるのは、俺だけだ!」
…えっと…僕も食べさせるのはカイトさんだけで良いです…。
恥ずかしい…。
イサは頬を染めながら、自分もサンドイッチに噛りついた。
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