神の宿り木~旅の途中~ルーク~ …旅の終わりの始まり…⦅完結⦆

ゆう

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水中都市~フールシアの溺愛~ *リーンの過去編です*

脱出

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 水中都市のあるじ、フールシアに抱かれ初めて、たぶん三日間が過ぎている。
 時間の感覚がわからないが、フールシアが一日に一度は来ているのだろうと、思う計算。
 窓の外の海底の明暗を数えて考えても、それくらいだ。
 食事はその間に二回。
 『光の蝶』は、だいぶん部屋の外へ出た。
 まだ、出口は見つからない…。
 どこかに、巨大な通気孔が有るはず。
 これだけの大きな建物の空気を維持しようとすれば、どこかに穴が開いていないと供給出来ない。
 それだけの、魚人達が住んでいるのだ。
 魔法で、水から空気を作るだけでは、きっと追い付かない。
 どこだ…どこにある…。
 焦ってはいけないが、…時間がない…。
 魔力の供給が出来ていないから、身体が動かなくなってしまう。
 それまでに、せめて地上には出たい。
 チャンスは一度きり。
 
 海底が薄暗くなり始めた頃、魚人がいつものように食事を運んできた。
 その隙間から、『光の蝶』が、一匹、戻ってくる。
 …出口を見つけたみたいだ。
 食事を終え、『光の蝶』を、手のひらに乗せると、溶け込むように手の中に沈んでいった。
 目を閉じ、部屋の外に出ていった『光の蝶』を、繋げる。
 この部屋から、かなり離れた場所に有るみたいだ。
 最後まで、道を繋げれない。
 部屋さえ出れば、『光の蝶』が、道案内をしてくれる…。
 …タイミングを間違うな。
 リーンは、自分にそう言い聞かせた。

 
 たぶん4日目。
 海底が明るくなり始めるまでむさぼられ、気だるい身体をベットに横たえていた。
 今日は、まだ、意識があった。
 フールシアが部屋を出ていき、扉のカギが開いていた。
 この後、部屋係がシーツを変えに来る。
 …この一瞬の時間だけが、無防備になるのだ。
 リーンは重たい身体をそっと起こし、身体に付いたドロリとしたモノをシーツで拭うと、ローブを羽織、部屋を出た。
 『光の蝶』の『光の調しらべ』を使い、蝶々の道しるべを繋げて、案内を頼りに外へと向かう。
 時折、幅の広い廊下の柱の影に身を潜め、警備の魚人達をやり過ごし、建物の外へ出た。
 振り返って見上げると、ココは巨大な城のような場所。
 見つからないよう、『瞬脚移動しゅんきゃくいどう』短い距離を連続して飛ぶ『移動』を使い、建物を離れた。
 『瞬脚移動しゅんきゃくいどう』は、泳ぐ魚人にとって、風が吹いたようにしか感じないだろう。
 『光の調』は、街とは逆側の岩壁の方に向かい、繋がっていた。
 『光の蝶』を追い、岩壁に向かって『瞬脚移動しゅんきゃくいどう』していくと、横穴のような洞窟を見つけた。
 その中を『光の蝶』を頼りに、奥へと進んでいくと、開けた空間があり、頭上に小さな光を見つけた。
 まるで火山の噴火口のような巨大な縦穴で、よくみると、壁に階段のように、鈍く光る平たいモノが、上に向かって打ち付けられている。
 手すりなど無い。
 迷っている暇は無かった。
 息を整え、隠していた魔力を解放する。
「『瞬脚移動しゅんきゃくいどう』」
 階段のようにぐるぐると回らず、真っ直ぐに、打ち付けられた階段に飛び乗り、上へ上へと登っていく。
 最後まで登りきるには、魔力をおさえてなどいられない。
 近くに見えて、かなり遠い…。
 だが、風を感じる…。
 …出口がある…。
 小さかった頭上の光が、徐々に大きく見えてきて、壁につたが垂れ下がり、日の光を感じた。
 一番上まで登りきり、穴から出ると、どっと疲れが出てきて、その場に座り込んだ。
「ふぅ…」
 流石に体力を使う…。
 だが、…暖かな風を感じる。
 …塩の匂いと、波の音。
 地上には出れたみたいだ。
 リーンは久しぶりに日の光りと、風を目一杯吸込み、身体に取り込んだ。

 
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