神の宿り木~旅の途中~ルーク~ …旅の終わりの始まり…⦅完結⦆

ゆう

文字の大きさ
58 / 462
水中都市~フールシアの溺愛~ *リーンの過去編です*

竜人族のフールシア 2

しおりを挟む
 人魚が連れてきた、献上品はたまらなく魅力的だった。
 彼の元へ、通う為に仕事もはかどった。
 回復魔法が掛けてあるのか、無茶な抱き方をしても、壊れることはなく、翌日には平然としていた。
 淡々と今の現状を受け入れ、陸地に帰せとは言わなくなり、とても不思議な存在だった。
 部屋には、彼が作った蝶々がふわふわと飛び回っていた。
 淡く光るはかなげな蝶々は、自由に飛び回り、時折、部屋の外でも見かけた。
 彼の意思ではなく、勝手に飛び回っているのだと、気にも止めていなかった。


 慌ただしく、彼の部屋係の魚人ぎょじんが執務室に駆け込んで来た。
「かの君が、お部屋に、いらっしゃいません!」
「!!」
 思わず立ち上がり、椅子を倒した。
 さっきまで、この腕の中にいたのだ!
 部屋を出たのか!
「探せ!遠くには行ってないはず!」
 城の中を『探索』の魔法で探すが、見つからない。
 黒髪の目立つ姿だ。
 部屋の外に出て、見かけないのがおかしい!
「…。」
 フールシアが彼のいた部屋に行くと、いつも部屋の中を飛び回っていた、蝶々がいないことに気づいた。
「ココから、逃げたのか…?」
 どこだ。どこにいる!
 急にチリリと、何かが反応した。
 なんだ、今のは…結界…?…誰かが通り抜けしてのか?
「!!」
 まさか…!
 彼が通気孔を抜けたのか!
 この短時間で、どうやって!
 フールシアは服を脱ぎだし、床に放り投げた。
「フールシア様!!」
 慌てる魚人達の声が背後でしたが、本体の竜の姿に戻り、海底が見渡せる窓に竜の手を触れさせ、通り抜けた。
 すんなりと海中に出ると、通気孔の出口である、無人島を目指した。
 逃がしてはやらない!
 
 フールシアが海面に出ると、ザバーンと、勢いよく水飛沫が上がり、身体中から海水が滴り落ちた。
 目を凝らせば、目の前に彼がいた。
 やはり、通気孔の結界を抜けたのは、彼なのだ!
 竜本体の姿で、水を滴らせながら、海からゆっくりと歩いて彼に向かって行くと、ふわふわ浮いた『風使い』が怯えてリーンにしがみついていた。
 フールシアは身体を震わせ水気を震い落とし、じろりと金色の瞳で彼を睨み付け、近付いた。
 ココから逃げる算段さんだんでもしていたのか!
 なんとも言えない怒りと、嫉妬がフールシアの中で渦巻いていた。
「…。」
 海から上がり、波打ち際まで来ると、人の姿に戻った。
「!?」
 彼は驚いた表情で、こちらを凝視していた。
「なぜ部屋を出た!」
 自分でも驚くほど、怒りに満ちた声だった。
「…『風使い』…行って…」
 彼が震える『風使い』を外へ逃がすと、フールシアは彼の腕を掴んだ。
「つっ…」
 強く握りすぎたのか、彼が苦痛に顔を歪め、強い緑色の瞳で、俺を見上げてきた。
「…私は森の中でしか息が出来ない!ココでは動けなくなる!」
 彼は何度もそう言って、ため息を付いていた。
 逃げることに諦めたのか、抱き抱えても抵抗はしなかったので、木々のある無人島の出口の穴の方に向かった。
 そこには、執務に嫌気がさしたとき、逃避する小さな小屋があり、その中に入ると、彼を床に下ろし、のし掛かった。
「逃げる気が無くなるくらい、抱いてやる!」
「つっ…!」
 …いつもみたいに、もてあそぶ余裕などなかった。
 逃げようとする彼を、繋ぎ止めるための行為が、どれほど彼に無理させるかなど、考える事もできなかった。

 
 彼は意識を失い、目が覚めると、再び翻弄し、意識を飛ばす。
 間に水や食事を口移しで食べさせ、また、無理に抱いて、意識を飛ばす…。
 …その繰り返しだった。
 どれだけ身体を繋げても、彼の意志は落ちて来なかった。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!

タッター
BL
 ボスは悲しく一人閉じ込められていた俺を助け、たくさんの仲間達に出会わせてくれた俺の大切な人だ。 自分だけでなく、他者にまでその不幸を撒き散らすような体質を持つ厄病神な俺を、みんな側に置いてくれて仲間だと笑顔を向けてくれる。とても毎日が楽しい。ずっとずっとみんなと一緒にいたい。 ――だから俺はそれ以上を求めない。不幸は幸せが好きだから。この幸せが崩れてしまわないためにも。  そうやって俺は今日も仲間達――家族達の、そして大好きなボスの役に立てるように―― 「頑張るっす!! ……から置いてかないで下さいっす!! 寂しいっすよ!!」 「無理。邪魔」 「ガーン!」  とした日常の中で俺達は美少年君を助けた。 「……その子、生きてるっすか?」 「……ああ」 ◆◆◆ 溺愛攻め  × 明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

僕に双子の義兄が出来まして

サク
BL
この度、この僕に双子の義兄が出来ました。もう、嬉し過ぎて自慢しちゃうよ。でも、自慢しちゃうと、僕の日常が壊れてしまう気がするほど、その二人は人気者なんだよ。だから黙って置くのが、吉と見た。 そんなある日、僕は二人の秘密を知ってしまった。ん?知っているのを知られてしまった?が正しいかも。 ごめんよ。あの時、僕は焦っていたんだ。でもね。僕の秘密もね、共有して、だんだん仲良くなったんだよ。 …仲良くなったと、そう信じている。それから、僕の日常は楽しく、幸せな日々へと変わったんだ。そんな僕の話だよ。 え?内容紹介が内容紹介になってないって?気にしない、気にしない。

【8話完結】強制力に負けて死に戻ったら、幼馴染の様子がおかしいのですが、バグですか?

キノア9g
BL
目が覚めたら、大好きだったRPGの世界に転生していた。 知識チートでなんとか死亡フラグを回避した……はずだったのに、あっさり死んで、気づけば一年前に逆戻り。 今度こそ生き残ってみせる。そう思っていたんだけど—— 「お前、ちょっと俺に執着しすぎじゃない……?」 幼馴染が、なんかおかしい。妙に優しいし、距離が近いし、俺の行動にやたら詳しい。 しかも、その笑顔の奥に見える“何か”が、最近ちょっと怖い。 これは、運命を変えようと足掻く俺と、俺だけを見つめ続ける幼馴染の、ちょっと(だいぶ?)危険な異世界BL。 全8話。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

処理中です...