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魔女の宴
ソフィアの思惑 1
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ソフィアは驚いていた。
リーンが『満月の宴』だと言うのに、人を連れて訪ねてきたのだ。
たまたまとは言え、満月がどう言うものか分かっていて、連れてきたのだから、とても珍しい事だ。
どんな人を連れてきたのかと、入口近くの部屋で様子を見ていたが、警戒してフードを取らず、リーンと親しげに話をしている。
いつまでも待たせるわけにはいかず、城に来るよう伝言を伝え、城へたどり着くための迷路へ、使い魔の黒い蝶々を送り、リーンの案内をさせた。
リーンとその人は離れないよう手を繋いで、歩いてくる。
…あまり人と関わらないように、してきたリーンを知っているだけに不思議な光景だった。
城の中に入って来たリーン達を、謁見の広場で待ち構え、椅子に座ってまっていた。
相変わらず、出会った頃のままの、可愛い青年の姿のリーン。
「久しぶりね。満月に訪ねて来るとは、私のベッドに入りに来たのか?」
ソフィアは久しぶりに嬉しくて、そんな軽口を言うと、リーンは苦笑いして答えた。
「そんなわけ無いだろ。彼に掛けられている魔法がどんなもので、解読する方法が無いか聞きに来ただけだ」
そんな事を聞きに来るなんて、有り得ない…。
それは、人の未来を変え、関わり合うこと…。
ソフィアはリーンの横の、手を繋いだままの男を見る。
リーンより背が高く、マントの上からでも体格が申し分ないくらい好みだ。
「フードを取れ」
男はリーンを見て、リーンが頷くと、手を離し、魔力を隠すマントのフードを取った。
若い金髪の好青年ではないか!
外の魔女達が気付けば、きっと逃がしはしないだろう。
でも、どこかで見た顔立ち…。
…カザンナ王国…薬師の魔女を連れていった、あの王子にそっくり出はないか!?
ソフィアはじっと男を観察し笑う。
「国には関わらなかったんじゃないのか?」
「色々と成り行きで…」
リーンが苦笑いしていると、言うことは、そうなのだろう。
確か、第二王子は黒髪だったから…第三王子の方か…。
『解読』の魔法を使えば、すぐに分かることだが。
ソフィアは手を王子に向けてかざすと、王子の身体をふわりと浮き上がらせ、壁に磔にした。
「くっ…」
王子が顔を歪め、回りに解読の魔法陣を浮かび上がらせ、いくつもの文字が浮き出て来ると、ソフィアはそれをじっと見つめる。
「小さい頃から…封じられている。魔力が強いから、その身体が壊れないように、母親が魔法を掛けているわね…」
と、言うことは、魔法を掛けたのは王妃か…。
王子は目を見開いて、驚いている。
だけど、これだけの魔法を使えるのは…魔女の可能性がある。
だがそれは、問われていない。
「溢れた魔力は、外へ、空へ溶け込んで、カザンナ王国を包んでいる」
「…。」
「解く方法は?」
…解き方…文字で書かれている?
これも珍しい事だ。
「そうだな。…ふふっ。なんだこれは?」
暗号のような言葉。
「…見えないものが見えるようになったら、少しずつ魔法が解除される…。解かれるではなく、解除だそうだ」
解除と言うことは、解けるように掛けられた魔法。
「段階的に?」
リーンが不思議そうに訪ねてくる。
「そうね。複雑な魔法よ」
王妃は、魔力が強すぎる王子の魔力を封じて、いつか解かれるように、施した。と、言うことだろうか…。
王子の回りの光る魔法陣が消え、するずると壁伝いに、ずり落ち、地上に足付ける。
「使えるように、なるんだな」
王子は、すっきりとした顔をして、ソフィアに問う。
真っ直ぐな心…。
もしかしてリーンは、あの時のように、気付かない内に心を奪われているのか?
だから、危険なのを分かっていて、ココまで連れてきた?
「見えないものが見えるようになったら、ね。ふふっ。これは記憶なのか、物なのか、人なのか、限定されていない。頑張って探すのね」
もしそれが、リーンとの繋がりが関係しているのならば、この王子に掛けられた魔法は段階的に解除されていく。
「ああ。見つけてやる」
力が溢れんばかりの王子であれば、外の上級魔女は気付いているはず。
それに、リーンは気付くことが出来るだろうか?
…慌てる姿も見ていて楽しいが。
「さて、対価はどうするリーン」
ソフィアはリーンに向き直って、微笑む。
「『天水球』が必要だろ」
そう言って、腰に下げた袋から取り出した、『天水球』を見せて来た。
「よく分かっているわね」
今、一番欲しいもの…。
この魔女の森を維持していくための、水なのだ。
ソフィアはにっこり微笑んで、手を差し出した。
リーンはそれを持って、近づき手渡たして来たので、リーンの手首を引っ張り、顔を近付けさせ、囁いた。
「リーン。何があっても、森の管理者で有ることを忘れるな」
リーンはじっとソフィアを見つめる。
「何が見えた」
「そうだな、リーンにとって、予想外の事が起こるかも知れない。それが、リーンにとって、幸せな事なのか、私には分からない」
王子の中にリーンとの繋がりが見えた。
これが意味するもの…。
「…。曖昧だな」
ソフィアは楽しそうに笑う。
教えては、あげない。
「ふふっ。私はリーンがどんな顔をするか、楽しみだ」
「…。」
はっきりと何が起こるのかは、私にも分からない。
ただ、これが、ココが、リーンが変化するキッカケになるのだ。
リーンが『満月の宴』だと言うのに、人を連れて訪ねてきたのだ。
たまたまとは言え、満月がどう言うものか分かっていて、連れてきたのだから、とても珍しい事だ。
どんな人を連れてきたのかと、入口近くの部屋で様子を見ていたが、警戒してフードを取らず、リーンと親しげに話をしている。
いつまでも待たせるわけにはいかず、城に来るよう伝言を伝え、城へたどり着くための迷路へ、使い魔の黒い蝶々を送り、リーンの案内をさせた。
リーンとその人は離れないよう手を繋いで、歩いてくる。
…あまり人と関わらないように、してきたリーンを知っているだけに不思議な光景だった。
城の中に入って来たリーン達を、謁見の広場で待ち構え、椅子に座ってまっていた。
相変わらず、出会った頃のままの、可愛い青年の姿のリーン。
「久しぶりね。満月に訪ねて来るとは、私のベッドに入りに来たのか?」
ソフィアは久しぶりに嬉しくて、そんな軽口を言うと、リーンは苦笑いして答えた。
「そんなわけ無いだろ。彼に掛けられている魔法がどんなもので、解読する方法が無いか聞きに来ただけだ」
そんな事を聞きに来るなんて、有り得ない…。
それは、人の未来を変え、関わり合うこと…。
ソフィアはリーンの横の、手を繋いだままの男を見る。
リーンより背が高く、マントの上からでも体格が申し分ないくらい好みだ。
「フードを取れ」
男はリーンを見て、リーンが頷くと、手を離し、魔力を隠すマントのフードを取った。
若い金髪の好青年ではないか!
外の魔女達が気付けば、きっと逃がしはしないだろう。
でも、どこかで見た顔立ち…。
…カザンナ王国…薬師の魔女を連れていった、あの王子にそっくり出はないか!?
ソフィアはじっと男を観察し笑う。
「国には関わらなかったんじゃないのか?」
「色々と成り行きで…」
リーンが苦笑いしていると、言うことは、そうなのだろう。
確か、第二王子は黒髪だったから…第三王子の方か…。
『解読』の魔法を使えば、すぐに分かることだが。
ソフィアは手を王子に向けてかざすと、王子の身体をふわりと浮き上がらせ、壁に磔にした。
「くっ…」
王子が顔を歪め、回りに解読の魔法陣を浮かび上がらせ、いくつもの文字が浮き出て来ると、ソフィアはそれをじっと見つめる。
「小さい頃から…封じられている。魔力が強いから、その身体が壊れないように、母親が魔法を掛けているわね…」
と、言うことは、魔法を掛けたのは王妃か…。
王子は目を見開いて、驚いている。
だけど、これだけの魔法を使えるのは…魔女の可能性がある。
だがそれは、問われていない。
「溢れた魔力は、外へ、空へ溶け込んで、カザンナ王国を包んでいる」
「…。」
「解く方法は?」
…解き方…文字で書かれている?
これも珍しい事だ。
「そうだな。…ふふっ。なんだこれは?」
暗号のような言葉。
「…見えないものが見えるようになったら、少しずつ魔法が解除される…。解かれるではなく、解除だそうだ」
解除と言うことは、解けるように掛けられた魔法。
「段階的に?」
リーンが不思議そうに訪ねてくる。
「そうね。複雑な魔法よ」
王妃は、魔力が強すぎる王子の魔力を封じて、いつか解かれるように、施した。と、言うことだろうか…。
王子の回りの光る魔法陣が消え、するずると壁伝いに、ずり落ち、地上に足付ける。
「使えるように、なるんだな」
王子は、すっきりとした顔をして、ソフィアに問う。
真っ直ぐな心…。
もしかしてリーンは、あの時のように、気付かない内に心を奪われているのか?
だから、危険なのを分かっていて、ココまで連れてきた?
「見えないものが見えるようになったら、ね。ふふっ。これは記憶なのか、物なのか、人なのか、限定されていない。頑張って探すのね」
もしそれが、リーンとの繋がりが関係しているのならば、この王子に掛けられた魔法は段階的に解除されていく。
「ああ。見つけてやる」
力が溢れんばかりの王子であれば、外の上級魔女は気付いているはず。
それに、リーンは気付くことが出来るだろうか?
…慌てる姿も見ていて楽しいが。
「さて、対価はどうするリーン」
ソフィアはリーンに向き直って、微笑む。
「『天水球』が必要だろ」
そう言って、腰に下げた袋から取り出した、『天水球』を見せて来た。
「よく分かっているわね」
今、一番欲しいもの…。
この魔女の森を維持していくための、水なのだ。
ソフィアはにっこり微笑んで、手を差し出した。
リーンはそれを持って、近づき手渡たして来たので、リーンの手首を引っ張り、顔を近付けさせ、囁いた。
「リーン。何があっても、森の管理者で有ることを忘れるな」
リーンはじっとソフィアを見つめる。
「何が見えた」
「そうだな、リーンにとって、予想外の事が起こるかも知れない。それが、リーンにとって、幸せな事なのか、私には分からない」
王子の中にリーンとの繋がりが見えた。
これが意味するもの…。
「…。曖昧だな」
ソフィアは楽しそうに笑う。
教えては、あげない。
「ふふっ。私はリーンがどんな顔をするか、楽しみだ」
「…。」
はっきりと何が起こるのかは、私にも分からない。
ただ、これが、ココが、リーンが変化するキッカケになるのだ。
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