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蜜月
小屋の魔方陣
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「で、リーンは、どのくらい帰れないと思っているんだ?」
子供達が眠る部屋に戻ってきたルークがリーンに訪ねる。
「…わからない」
ルークはため息をつく。
「…本当に、わからないんだ。獣人族も行ったことの無い場所だから、どれくらい時間がかかるのか、未知なんだ」
グオルクの記録にも、残っていない場所なのだ。
…本当は怖い。
まだ、誰も足を踏み入れたことの無い領域に入るのは…。
「俺達も一緒に同行できないのか?」
リーンはルークを見上げる。
本当は一緒に行って欲しい気持ちは有る。
だけど…。
「…二回目だったら大丈夫だと思う」
「…。」
今回は、偵察も兼ねての調査だ。
最小の人数の移動になる。
ルークが近づき、リーンを抱き締めてくる。
「何でお前なんだろうな…」
「ルーク?」
リーンはルークの腕の中で、ルークを見上げる。
「リーンが皆の生活を守るために、動いているのは、わかっている。だけど、なんか切なくて…」
「…。」
「…俺は寂しいんだよ」
ルークは照れたように、リーンの髪を撫でる。
リーンは思わずルークをギュッと抱き締める。
「…私も…こんな風に…思うことが、出来るなんて…思いもしなかった…」
今までは、一つの場所に長い時間、留まることは無かった。
だけど、ルークと出会って、少しづつ変わった。
時間の流れが違うから、直ぐに皆、年を重ねて、過ぎ去って行く。
それが寂しくて、いつからか、かかわり合いを持たないようにしていた。
だけど、子供が産まれて、成長するのが楽しみになって、これだけ短い時間に、何度も帰って来ることに、なるとは思いもしなかった。
いつのまにか、大切な存在に…離れるのが寂しいなんて、思うことになるとは、思いもしなかったのだ。
しばらくルークの温もりを感じ、少し落ち着いて、リーンは話し出した。
「ルークには伝えておかないと、いけない事がある」
立ったままでは、落ち着かないので、二人はソファーに横並びに座り、リーンは足をソファーの上に上げて座った。
「ミーネの奥の小屋に、獣人族の町グオルクの、私の部屋につながる魔方陣を張り付けて有る。何かあったら、それを使って、グオルクに来て良いから…」
ルークは驚いて、リーンを見てくる。
「いつの間に…」
リーンは肩をすくめる。
「…最初に、ルークの前から姿を消した時、あそこから、移動したでしょ。…そのまま、封印して、残してあった…」
「…。」
「今は繋がっているから、通り方さえ分かれば、簡単に通れる。それで…」
リーンは躊躇していた。
ルークをヒイロ達に会わせることを…。
でも、いざと言うときに、互いの姿を知らないと、行き違いになってしまう可能性もある。
ただ、ヒイロ達に会ってもらう話をするだけなのに、何でこんなにドキドキするのだろう。
「獣人の町グオルク…。そこに、リーンの家族がいるんだな」
「うん。血の繋がりはないけど、家族だよ」
仲間であり、兄であり、親友でもある。
「だったら、会わせてくれ」
ルークがそう言ったので、リーンはルークを見上げた。
「…ほら。まだ、リーンの家族に挨拶してないだろ。俺の家族に会ったみたいに、紹介してもらってない…」
「…。」
リーンは、頬が赤くなるのを感じた。
私が躊躇していることをすんなりと、言葉にしてくれる。
「うん。会ってもらいたい…」
リーンがそう言うと、ルークが口付けてきた。
「何時が良い。早めの方が良いだろう?」
「…いつでも。ルークの時間がとれるときで良いよ」
なぜか、恥ずかしいけれど、会いたいと言ってくれるのは嬉しい。
「明日は無理だから、明後日だな。時間を作る」
「わかった。でも、子供達は置いていくよ。あそこは魔素が強い。まだ、耐えれないかもしれない…」
森の聖域に近い獣人の町グオルクでは、魔力のコントロールが出来ないと、魔力酔いを起こす可能性がある。
ココで産まれた者達は、母親の体内にいるときから、徐々に慣れていくので、影響はない。
子供達にはまだ、早すぎる。
でも、いつか、グオルクに連れていって、獣人族の町を見てもらいたい。
「わかった。昼寝をしている内に、出かけよう」
ルークがそう言うと、リーンをソファーに押し倒してきた。
「…ルーク」
戸惑うリーンにルークが口付けてくる。
「わかっているのか?俺は…」
ルークが何か言いかけた時、子供達の眠っている寝室の扉が開いた。
「…父…さま…」
寝ぼけたジーンが目を擦りながら、部屋から出てくる。
ルークは慌てて、リーンの上から降りるとジーンに近いた。
「どうした?」
「おしっこ…」
ルークは微笑んで、ジーンを手洗い場に連れていく。
「今日はいっぱい食べなからな…」
「うん。お腹いっぱい」
リーンがソファーから起き上がると、ルークがこちらを向いた。
「先に風呂に入ってろ!」
そう言って、ジーンを連れて部屋を出ていく。
一瞬呆然として、次第に頬が赤くなるのを感じた。
それって、一緒にお風呂に入るって事…だよな…。
…別に…嫌じゃないけど…。
そんな事を言われると、意識してしまうじゃないか!
リーンはそう思いながら、 風呂場に向かった。
子供達が眠る部屋に戻ってきたルークがリーンに訪ねる。
「…わからない」
ルークはため息をつく。
「…本当に、わからないんだ。獣人族も行ったことの無い場所だから、どれくらい時間がかかるのか、未知なんだ」
グオルクの記録にも、残っていない場所なのだ。
…本当は怖い。
まだ、誰も足を踏み入れたことの無い領域に入るのは…。
「俺達も一緒に同行できないのか?」
リーンはルークを見上げる。
本当は一緒に行って欲しい気持ちは有る。
だけど…。
「…二回目だったら大丈夫だと思う」
「…。」
今回は、偵察も兼ねての調査だ。
最小の人数の移動になる。
ルークが近づき、リーンを抱き締めてくる。
「何でお前なんだろうな…」
「ルーク?」
リーンはルークの腕の中で、ルークを見上げる。
「リーンが皆の生活を守るために、動いているのは、わかっている。だけど、なんか切なくて…」
「…。」
「…俺は寂しいんだよ」
ルークは照れたように、リーンの髪を撫でる。
リーンは思わずルークをギュッと抱き締める。
「…私も…こんな風に…思うことが、出来るなんて…思いもしなかった…」
今までは、一つの場所に長い時間、留まることは無かった。
だけど、ルークと出会って、少しづつ変わった。
時間の流れが違うから、直ぐに皆、年を重ねて、過ぎ去って行く。
それが寂しくて、いつからか、かかわり合いを持たないようにしていた。
だけど、子供が産まれて、成長するのが楽しみになって、これだけ短い時間に、何度も帰って来ることに、なるとは思いもしなかった。
いつのまにか、大切な存在に…離れるのが寂しいなんて、思うことになるとは、思いもしなかったのだ。
しばらくルークの温もりを感じ、少し落ち着いて、リーンは話し出した。
「ルークには伝えておかないと、いけない事がある」
立ったままでは、落ち着かないので、二人はソファーに横並びに座り、リーンは足をソファーの上に上げて座った。
「ミーネの奥の小屋に、獣人族の町グオルクの、私の部屋につながる魔方陣を張り付けて有る。何かあったら、それを使って、グオルクに来て良いから…」
ルークは驚いて、リーンを見てくる。
「いつの間に…」
リーンは肩をすくめる。
「…最初に、ルークの前から姿を消した時、あそこから、移動したでしょ。…そのまま、封印して、残してあった…」
「…。」
「今は繋がっているから、通り方さえ分かれば、簡単に通れる。それで…」
リーンは躊躇していた。
ルークをヒイロ達に会わせることを…。
でも、いざと言うときに、互いの姿を知らないと、行き違いになってしまう可能性もある。
ただ、ヒイロ達に会ってもらう話をするだけなのに、何でこんなにドキドキするのだろう。
「獣人の町グオルク…。そこに、リーンの家族がいるんだな」
「うん。血の繋がりはないけど、家族だよ」
仲間であり、兄であり、親友でもある。
「だったら、会わせてくれ」
ルークがそう言ったので、リーンはルークを見上げた。
「…ほら。まだ、リーンの家族に挨拶してないだろ。俺の家族に会ったみたいに、紹介してもらってない…」
「…。」
リーンは、頬が赤くなるのを感じた。
私が躊躇していることをすんなりと、言葉にしてくれる。
「うん。会ってもらいたい…」
リーンがそう言うと、ルークが口付けてきた。
「何時が良い。早めの方が良いだろう?」
「…いつでも。ルークの時間がとれるときで良いよ」
なぜか、恥ずかしいけれど、会いたいと言ってくれるのは嬉しい。
「明日は無理だから、明後日だな。時間を作る」
「わかった。でも、子供達は置いていくよ。あそこは魔素が強い。まだ、耐えれないかもしれない…」
森の聖域に近い獣人の町グオルクでは、魔力のコントロールが出来ないと、魔力酔いを起こす可能性がある。
ココで産まれた者達は、母親の体内にいるときから、徐々に慣れていくので、影響はない。
子供達にはまだ、早すぎる。
でも、いつか、グオルクに連れていって、獣人族の町を見てもらいたい。
「わかった。昼寝をしている内に、出かけよう」
ルークがそう言うと、リーンをソファーに押し倒してきた。
「…ルーク」
戸惑うリーンにルークが口付けてくる。
「わかっているのか?俺は…」
ルークが何か言いかけた時、子供達の眠っている寝室の扉が開いた。
「…父…さま…」
寝ぼけたジーンが目を擦りながら、部屋から出てくる。
ルークは慌てて、リーンの上から降りるとジーンに近いた。
「どうした?」
「おしっこ…」
ルークは微笑んで、ジーンを手洗い場に連れていく。
「今日はいっぱい食べなからな…」
「うん。お腹いっぱい」
リーンがソファーから起き上がると、ルークがこちらを向いた。
「先に風呂に入ってろ!」
そう言って、ジーンを連れて部屋を出ていく。
一瞬呆然として、次第に頬が赤くなるのを感じた。
それって、一緒にお風呂に入るって事…だよな…。
…別に…嫌じゃないけど…。
そんな事を言われると、意識してしまうじゃないか!
リーンはそう思いながら、 風呂場に向かった。
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