上 下
189 / 462
神の宿り木~再生~

目覚めの朝 *

しおりを挟む
 リーンは目覚めると、ルークに抱えあげられて、ソファーにいた。
 …そうだ。
 昨日、目が覚めて、ルークと一緒にここで眠ったんだ…。
 リーンは温もりから離れがたくて、ルークの上で微睡んでいた。
 ルークも目を覚ましたのか、リーンの髪に触れ撫で始めた。
 互いに起きるのが、もったいなくて、微睡んでいると、寝室の扉が勢いよく開いた。 
「お父様!」 
「…リーンが居ない!!」 
 ジーンのユーリが執務室に駆け込んできた。
「…。」
 二人の時間はここまでみたいだ。
 駆け寄ってくるジーンとユーリがソファーに近付き、リーンに気が付いて、しがみついてきた。
「「リーン!!」」
 リーンは身体を起こし、二人の頭を撫でて微笑んだ。
「おはよう。ジーン、ユーリ」
 顔を上げた二人は、涙で顔をぐちゃぐちゃに濡らして返事してきた。
「…おっ…はよっ…」
「ううっ…お…はっ…よっ…」
 そんな二人が可愛くて、リーンは二人を抱き寄せた。
 ジーンとユーリは、今まで我慢してきたのか、泣き出してしまった。
 …どうしよう…。
 そんな事を思っていると、ルークも身体を起こして、背後からリーンと二人の子供達を抱き締めてくる。
「二人とも、そろそろ朝食の時間だぞ。食堂にリーンの分もたのんで来てくれ」
 二人はハッとして、自分達の仕事を思い出したようだ。
「行ってくる!」
「待ってよジーン!」
 涙を拭いながら、ジーンとユーリは執務室を出ていった。
「…あれは?」
 リーンが不思議そうに聞くと、ルークが答えてくれた。
「学校が休みの間、ここに来て手伝いをすると言って、朝は朝食を隣の宿舎の食堂から執務室に持ってくる、なんだ。後は、役所の部屋案内や話し相手をしてくれている」
 …お手伝い…。
 ジーンもユーリも、そんな歳になっているんだな…。
「明日から学校だから、夕方には王都に戻る。しばらくは、離れないだろうから、たくさん抱き締めてあげてくれ…」
「うん。わかった」
 休みのたびにここに来て、側にいてくれたんだ。
 …寂しい思いも、たくさんさせた分、抱き締めて触れてあげよう。
「戻ってくるまでの間、俺も補充させてくれ」
 そう言ってルークは背後からリーンを抱き締め、首筋に口付ける。
「んっ…」
 どうしよう…ゾクゾクしてくる…。
 ルークの匂いと…体温と…。
 ルークの手が、服の上からリーンの胸の突起に触れてくる。
「…んっ…あっ…ダメ…だって…」
 そんな触り方をされると、久し振りだからっちゃうって…。
「…んっ…ルーク…」
 子供達が…戻ってきてしまう…。
 …でも、触られて…ゾクゾクするのが…気持ちよくて…。
 廊下をバタバタと歩く音が聞こえてきて、リーンは頬を染め、慌ててルークの手を胸から離した。
 ジーンが魔法で浮かせたワゴン台に、三人分の朝食を乗せて戻ってきた。
「リーンの分は消化の良い、朝食にするって言ってた」
 ユーリが一緒に戻ってこなかったから、きっとユーリが持ってくるのだろう。
 ジーンはなれた手付きで、テーブルの上の書類をサイドテーブルに重ねて置いて、朝食の入ったトレイをテーブルに置いた。
 トーストにサラダ、ベーコンと卵焼き、スープ。
 そしてもう一つ、飲み物の入ったボトルとコップを置いた。
 こんな風に朝食を取るのも楽しいかもしれない。
 ルークの屋敷では、食堂に集まって食事をしていた。
 子供達と少しでも一緒にいられる時間を作るため、ルークが、きっとこうして朝食の時間と手伝いを作ったのかもしれない。
 リーンは微笑ましかった。
 そこへ、ユーリが魔法で浮かせたワゴンをもう一つ持ってきて、リーンの前に置いた。
 とろみの有る野菜スープとドロッとしたお粥。
 病人食だね…。
 …まあしばらく眠っていて、食べていないから仕方ないけど…。
 ルークがリーンの後ろから離れると、ジーンとユーリがリーンの両サイドに座り、自分の分のトレイを引き寄せた。
 何をするのかと見ていると、ジーンがリーンの分のお粥をスプーンで救い取り、リーンの目の前に持ってきた。
「はい」
 リーンは、ルークをチラリとみると、頷いたのでそのまま付き合うことにした。
 リーンが口を開けると、ジーンは震えながらリーンの口にスプーンを入れ、リーンはそれを食した。
 ジーンはスプーンを引出し、じっとリーンを見ている。
「美味しいよ」
 食べ終わりリーンがそう答えると、ジーンはニッコリと微笑んだ。
 …うちの子可愛い…。
 親バカかもしれないが、そう思ってしまった。
「次は私の番!」
 そう言って今度は、ユーリが野菜スープをスプーンに乗せて運んでくる。
 リーンは再び口を開け、食べさせてもらう。
 その間に、ジーンは自分の朝食を食べていた。
 …なるほど、交互にすれば自分達も食事が出きる。
 リーンは子供達に世話をされると言う事を楽しんだ。
 




しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

仲良しな天然双子は、王族に転生しても仲良しで最強です♪

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:887pt お気に入り:306

異世界なう―No freedom,not a human―

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:370pt お気に入り:120

魔王さんのガチペット

BL / 連載中 24h.ポイント:681pt お気に入り:3,368

【完結】ぎゅって抱っこして

BL / 完結 24h.ポイント:589pt お気に入り:1,487

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:191pt お気に入り:540

婚約破棄されたけど前世が伝説の魔法使いだったので楽勝です

sai
ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:2,430pt お気に入り:4,186

処理中です...