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アリミネ火山~追憶のキース~
炎の結晶石
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キラが多かった魔力を放出して、赤い結晶を作り出し、キースやチハヤが触れるようになった頃、ポツリポツリと雨が降りだした。
キースは慌てて湖から上がり服を着替え、チハヤも靴を履いてキラを両腕に抱えた。
一緒に歩いていると、本降りになりそうだったから、触れれるようになったキラを抱えて足早に山小屋に向かった。
けれど結局降りだしてしまい、駆け足で急いでいると、急に雨に濡れなくなって、歩みを緩めた。
雨は降り続いている。
キースとチハヤ、キラの回りだけが、降っていない…。
よく見ると、赤い結晶が空に有って、屋根のように幕が伸びていて、三人が移動するのに付いてきていた。
「もしかして、キラ?」
チハヤも気が付いたらしく、上を見上げる。
「すごいね。上手な使い方だよ」
キースが微笑んでキラを褒めると、嬉しそうにキュゥーと鳴いた。
「一晩様子を見て、魔力が安定しているようだったら、町に降りよう」
「報告は僕の方からしておくね。明日の朝には、皆、嬉しくて駆けつけるかも」
チハヤは楽しそうに笑う。
「今日は山小屋で一緒に眠れるね」
キースはチハヤが抱いているキラの頭を撫でた。
キラの魔力が安定していないため、山小屋を燃やしてしまう可能性が有ったから、外に寝床を作り、そこでキラは丸まって眠っていた。
頭上に浮かび上がる赤い結晶を見てキースは思った。
多すぎる魔力を炎の結晶にして蓄積させ、必要なときに使えるのは、魔法の掛かりやすい石とよく似ているが、また別のモノ…。
「魔法の結晶石」
キースはそう呟いていた。
これならキラの魔力を安定したまま、再びアリミネ火山が熱量を放ったとき、結晶化しておける。
「キラ。また、この山が噴火したり熱風を出したら、この結晶を作ってね」
キースは何気なくキラに言うと、キラは首を傾げた。
「…まだ、ちょっと分からないか…」
キースは苦笑いした。
「大丈夫ですよ。きっと、分かってる」
チハヤがそう言って微笑むと、山小屋が見えてきた。
山小屋の軒下に入り、キラの作り出した屋根が無くなり、赤い結晶が空から落ちてきて、キースがそれを受け止める。
「熱くない?」
「もう、大丈夫みたいだ」
キースは山小屋の扉を開き中に入り、チハヤとキラも山小屋の中に入っていった。
翌日。
チハヤの予想通り、主だった町の代表…と、言っても、ワイトデ自治区のイオと有翼族のシバ、熊族のジュンタ、狼族の白狼シロがやって来た。
急に人が増えて驚いたのか、キラはキースの後ろに隠れてしまった。
「大丈夫だから…」
そう言って、キースはキラを膝の上に抱えて椅子に座った。
「ずいぶんと懐きましたね」
そう言ってシバが微笑む。
「有翼族の町に来たら、翼の使い方の練習をしましょう。覚えるのが早いから直ぐに飛べるようになりますよ」
「そうだね。風も扱えるようだから、コツが分かれば飛べるかも」
キラは熱風を集めて凝縮して結晶にしていたから、風を扱える。
私では翼の使い方を教えられないので、シバに使い方を教えれば飛べるようになるだろう。
「…まずは、ワイトデ自治区の方から町を回るか?」
「そうだね。一番近いし、領主に挨拶しないと…」
皆、キラの事を受け入れてくれるか、少し心配も有るが…。
「明日の午前中に迎えに来る。出迎えの準備をしないとな」
イオはそう言って椅子から立ち上がり、キラの頭にそっと触れた。
「キラ様は守護神です。町を上げてお迎えします」
イオはそう言って『移動』で、ワイトデ自治区へと戻っていった。
「その後は熊族の方が近いから、熊族の町に来てください。…キラ様は果物とかも食べますかね…」
「まだ、食べさせてみてないけど…」
「ぜひ、我らのお供え物の果実を食べていただきたい」
ジュンタもそう言って、山小屋を出ていった。
「…ここから一番離れているから、狼族はその後ですね」
白狼のシロはそう言って微笑んだ。
「それで、チハヤ君が言っていた、赤い結晶を見せてもらえないだろうか」
キラが作り出した炎の結晶石。
キースはキラを抱えたまま椅子から立ち上がり、棚に置いてあった結晶石を持ってテーブルに置いた。
「…綺麗ですね。急な話ですが…これを頂けないでしょうか」
シロは真剣な顔でキースに言う。
「町を守る結界石が、降ってきた岩石で粉々になってしまって…無防備な状態なんです。新たな結界を作るにしても、基礎となる魔法石がなかなか見つからなくて…」
キースはシバを見た。
どう判断すれば良いのかわからない。
「…良いんじゃないのか?」
シバは気楽にそう言った。
「ただ、一つの町だけだと不公平になるから、各町に納めると言うのはどうだ?…キラ様にまた、作ってもらわないといけないが…」
「そうだね。町に御披露目するときに、持っていこう」
「ありがとうございます。それでは私も、お越しいただけるまでに、結界石を納めるだけの準備をしておきます」
そう言って、シロも町に戻っていった。
残されたシバは、苦笑いしてキースを見る。
「…大事になってしまったな」
「まあね。…覚悟はしていたけれど…」
キラは何を言われているのか分からずに、首を傾げていた。
キースは慌てて湖から上がり服を着替え、チハヤも靴を履いてキラを両腕に抱えた。
一緒に歩いていると、本降りになりそうだったから、触れれるようになったキラを抱えて足早に山小屋に向かった。
けれど結局降りだしてしまい、駆け足で急いでいると、急に雨に濡れなくなって、歩みを緩めた。
雨は降り続いている。
キースとチハヤ、キラの回りだけが、降っていない…。
よく見ると、赤い結晶が空に有って、屋根のように幕が伸びていて、三人が移動するのに付いてきていた。
「もしかして、キラ?」
チハヤも気が付いたらしく、上を見上げる。
「すごいね。上手な使い方だよ」
キースが微笑んでキラを褒めると、嬉しそうにキュゥーと鳴いた。
「一晩様子を見て、魔力が安定しているようだったら、町に降りよう」
「報告は僕の方からしておくね。明日の朝には、皆、嬉しくて駆けつけるかも」
チハヤは楽しそうに笑う。
「今日は山小屋で一緒に眠れるね」
キースはチハヤが抱いているキラの頭を撫でた。
キラの魔力が安定していないため、山小屋を燃やしてしまう可能性が有ったから、外に寝床を作り、そこでキラは丸まって眠っていた。
頭上に浮かび上がる赤い結晶を見てキースは思った。
多すぎる魔力を炎の結晶にして蓄積させ、必要なときに使えるのは、魔法の掛かりやすい石とよく似ているが、また別のモノ…。
「魔法の結晶石」
キースはそう呟いていた。
これならキラの魔力を安定したまま、再びアリミネ火山が熱量を放ったとき、結晶化しておける。
「キラ。また、この山が噴火したり熱風を出したら、この結晶を作ってね」
キースは何気なくキラに言うと、キラは首を傾げた。
「…まだ、ちょっと分からないか…」
キースは苦笑いした。
「大丈夫ですよ。きっと、分かってる」
チハヤがそう言って微笑むと、山小屋が見えてきた。
山小屋の軒下に入り、キラの作り出した屋根が無くなり、赤い結晶が空から落ちてきて、キースがそれを受け止める。
「熱くない?」
「もう、大丈夫みたいだ」
キースは山小屋の扉を開き中に入り、チハヤとキラも山小屋の中に入っていった。
翌日。
チハヤの予想通り、主だった町の代表…と、言っても、ワイトデ自治区のイオと有翼族のシバ、熊族のジュンタ、狼族の白狼シロがやって来た。
急に人が増えて驚いたのか、キラはキースの後ろに隠れてしまった。
「大丈夫だから…」
そう言って、キースはキラを膝の上に抱えて椅子に座った。
「ずいぶんと懐きましたね」
そう言ってシバが微笑む。
「有翼族の町に来たら、翼の使い方の練習をしましょう。覚えるのが早いから直ぐに飛べるようになりますよ」
「そうだね。風も扱えるようだから、コツが分かれば飛べるかも」
キラは熱風を集めて凝縮して結晶にしていたから、風を扱える。
私では翼の使い方を教えられないので、シバに使い方を教えれば飛べるようになるだろう。
「…まずは、ワイトデ自治区の方から町を回るか?」
「そうだね。一番近いし、領主に挨拶しないと…」
皆、キラの事を受け入れてくれるか、少し心配も有るが…。
「明日の午前中に迎えに来る。出迎えの準備をしないとな」
イオはそう言って椅子から立ち上がり、キラの頭にそっと触れた。
「キラ様は守護神です。町を上げてお迎えします」
イオはそう言って『移動』で、ワイトデ自治区へと戻っていった。
「その後は熊族の方が近いから、熊族の町に来てください。…キラ様は果物とかも食べますかね…」
「まだ、食べさせてみてないけど…」
「ぜひ、我らのお供え物の果実を食べていただきたい」
ジュンタもそう言って、山小屋を出ていった。
「…ここから一番離れているから、狼族はその後ですね」
白狼のシロはそう言って微笑んだ。
「それで、チハヤ君が言っていた、赤い結晶を見せてもらえないだろうか」
キラが作り出した炎の結晶石。
キースはキラを抱えたまま椅子から立ち上がり、棚に置いてあった結晶石を持ってテーブルに置いた。
「…綺麗ですね。急な話ですが…これを頂けないでしょうか」
シロは真剣な顔でキースに言う。
「町を守る結界石が、降ってきた岩石で粉々になってしまって…無防備な状態なんです。新たな結界を作るにしても、基礎となる魔法石がなかなか見つからなくて…」
キースはシバを見た。
どう判断すれば良いのかわからない。
「…良いんじゃないのか?」
シバは気楽にそう言った。
「ただ、一つの町だけだと不公平になるから、各町に納めると言うのはどうだ?…キラ様にまた、作ってもらわないといけないが…」
「そうだね。町に御披露目するときに、持っていこう」
「ありがとうございます。それでは私も、お越しいただけるまでに、結界石を納めるだけの準備をしておきます」
そう言って、シロも町に戻っていった。
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