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神の宿り木~再生 2~
チハヤ
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炎の竜の小屋に、キラとキリト、リーンとルークにカズキが、テーブルの上に置いた炎の魔法石を囲んで頭を付き合わせていた。
キリトはいつものように慣れたキッチンで飲み物を準備し、リーンの側に立っていた。
「…キースがいなくなった後、しばらくはアヤメの所やチハヤの所にいたけれど、それだと炎の竜を独占しているみたいに見えるから…って言われて、この小屋に戻ってきた…」
キラはポツポツと話し始めた。
「でも寂しくて…不安な感情の起伏に火山が同調して…火山が…噴火した」
それがルークが手にした、少し色の違う炎の結晶石…。
…泣きなから結晶化したと言っていた…。
キースとの約束で町を守ると言いながら、自分で噴火させてしまい、悲しみを押さえながら、結晶化させたのだろう。
キラが不安定になれば、火山も同調して不安定になる…。
それが、噴火が起こってしまう原因の一つならば、町の者達がキラに甘くなってしまうのも分からないではない。
そうでなくとも活火山なのだから、急に熱風が吹き荒れることも有るだろう…。
「…一ヶ所にとどまるのがダメならと、各町を転々として今度は命の短さに…悲しくなった…」
誰かが亡くなったのか…?
寂しさを紛らわせるために、顔見知りの所に出入りして、誰かの死を見て、いつかはその命が、活動が停止してしまうことを知ったのかもしれない。
「…人の姿に変化出きるようになって、町の生活になれてきた頃…チハヤが、キースを探しに行くと言って、町を出ていった」
「…。」
仲良くしていたチハヤが居なくなって、甘えさせてくれる者がいなくなってしまったと、言うことか…。
生まれたとき、近くにいた者達が次々と自分の回りから居なくなって、…親族がキラを見守っていただろうが、思いれが違うのもあるだろう。
「…必ず…見つけてくるから…そう言っていた…」
キラはじっとカズキを見る。
長い時間、キースだけでなく、チハヤの帰りも待っていたと言うことか…。
連れてくることを信じて…。
だけど人族の寿命は短い。
それをキラも分かっているはず…。
「時間はかかったが、約束は守ってくれたんじゃないか?」
キリトがそう言うと、キラは黙って頷いた。
そう言えば、有翼族のシバが言っていた「…貴方も、約束を…守ったんですね」と、言っていたのはこの事か?
「…炎の竜が生まれたときの関係者の子孫…ですか…」
黙って話を聞いていたカズキは、複雑そうな顔をしてルークを見る。
「…ワイトデ自治区の出身だと知ってました?」
「知らないな…。カズキの家系は旅をしていて、あの地に住み着いた、と、言うことしか聞いてないからな…」
ルークの側にいる者達の家系の事は、調べて知っているからだろう。
「その旅の途中で、チハヤと言う人に出会ったのかも知れませんね」
…何処までも前向きだ。
すんなりと全てを受け入れて、過去の事までも前向きに判断する…。
「と、言うことは、カズキの親族がワイトデ自治区に住んでいるかもしれないんだな…」
ルークは楽しそうにそんなことを言い出した。
「…今さらですから、もう分からないですよ」
「…いるよ。さっきのテオ」
キラが何事も無かったかのようにそう言って、こちらを驚かせる。
「…領主のご子息がですか?」
「チハヤの妹チサトがイオと結婚したから…」
…イオとチハヤの妹…。
そう言えば妹がいるとは言っていたが、会ってはいない…。
「…子供が生まれて、その子が学校に通うようになった頃…チハヤが出ていったから…覚えてる…」
「…遠い…遠い…親戚ですね…」
カズキは苦笑いする。
「…折角出会えたんだし、カザンナ王国との交流に協力してもらおう」
「ええ。カザンナ王国のルーク様の従者として交流させていただきますよ」
カズキとルークは微笑んだ。
…血筋どうこうより、カザンナ王国の者としての立場をカズキは選んだ。
まあ、本当に遠い親戚だからな…。
そんなやり取りをキラはじっと見ていて、諦めに似た表情で、ため息を付いて呟いた。
「…僕の待っていた時間は何だったの…」
「…リーンに炎の魔法石を作るためだ」
キリトがそう言って、キラは驚いた表情でキリトを見る。
「…これからは、別の何か新しいことを見つけると良い…」
「…。」
…そう。
待つだけ出なく、新しいことを…興味を持てるものを見つける、と、言うこと。
…炎の竜であるキラには、たっぷりと時間はあるのだから…。
キリトはいつものように慣れたキッチンで飲み物を準備し、リーンの側に立っていた。
「…キースがいなくなった後、しばらくはアヤメの所やチハヤの所にいたけれど、それだと炎の竜を独占しているみたいに見えるから…って言われて、この小屋に戻ってきた…」
キラはポツポツと話し始めた。
「でも寂しくて…不安な感情の起伏に火山が同調して…火山が…噴火した」
それがルークが手にした、少し色の違う炎の結晶石…。
…泣きなから結晶化したと言っていた…。
キースとの約束で町を守ると言いながら、自分で噴火させてしまい、悲しみを押さえながら、結晶化させたのだろう。
キラが不安定になれば、火山も同調して不安定になる…。
それが、噴火が起こってしまう原因の一つならば、町の者達がキラに甘くなってしまうのも分からないではない。
そうでなくとも活火山なのだから、急に熱風が吹き荒れることも有るだろう…。
「…一ヶ所にとどまるのがダメならと、各町を転々として今度は命の短さに…悲しくなった…」
誰かが亡くなったのか…?
寂しさを紛らわせるために、顔見知りの所に出入りして、誰かの死を見て、いつかはその命が、活動が停止してしまうことを知ったのかもしれない。
「…人の姿に変化出きるようになって、町の生活になれてきた頃…チハヤが、キースを探しに行くと言って、町を出ていった」
「…。」
仲良くしていたチハヤが居なくなって、甘えさせてくれる者がいなくなってしまったと、言うことか…。
生まれたとき、近くにいた者達が次々と自分の回りから居なくなって、…親族がキラを見守っていただろうが、思いれが違うのもあるだろう。
「…必ず…見つけてくるから…そう言っていた…」
キラはじっとカズキを見る。
長い時間、キースだけでなく、チハヤの帰りも待っていたと言うことか…。
連れてくることを信じて…。
だけど人族の寿命は短い。
それをキラも分かっているはず…。
「時間はかかったが、約束は守ってくれたんじゃないか?」
キリトがそう言うと、キラは黙って頷いた。
そう言えば、有翼族のシバが言っていた「…貴方も、約束を…守ったんですね」と、言っていたのはこの事か?
「…炎の竜が生まれたときの関係者の子孫…ですか…」
黙って話を聞いていたカズキは、複雑そうな顔をしてルークを見る。
「…ワイトデ自治区の出身だと知ってました?」
「知らないな…。カズキの家系は旅をしていて、あの地に住み着いた、と、言うことしか聞いてないからな…」
ルークの側にいる者達の家系の事は、調べて知っているからだろう。
「その旅の途中で、チハヤと言う人に出会ったのかも知れませんね」
…何処までも前向きだ。
すんなりと全てを受け入れて、過去の事までも前向きに判断する…。
「と、言うことは、カズキの親族がワイトデ自治区に住んでいるかもしれないんだな…」
ルークは楽しそうにそんなことを言い出した。
「…今さらですから、もう分からないですよ」
「…いるよ。さっきのテオ」
キラが何事も無かったかのようにそう言って、こちらを驚かせる。
「…領主のご子息がですか?」
「チハヤの妹チサトがイオと結婚したから…」
…イオとチハヤの妹…。
そう言えば妹がいるとは言っていたが、会ってはいない…。
「…子供が生まれて、その子が学校に通うようになった頃…チハヤが出ていったから…覚えてる…」
「…遠い…遠い…親戚ですね…」
カズキは苦笑いする。
「…折角出会えたんだし、カザンナ王国との交流に協力してもらおう」
「ええ。カザンナ王国のルーク様の従者として交流させていただきますよ」
カズキとルークは微笑んだ。
…血筋どうこうより、カザンナ王国の者としての立場をカズキは選んだ。
まあ、本当に遠い親戚だからな…。
そんなやり取りをキラはじっと見ていて、諦めに似た表情で、ため息を付いて呟いた。
「…僕の待っていた時間は何だったの…」
「…リーンに炎の魔法石を作るためだ」
キリトがそう言って、キラは驚いた表情でキリトを見る。
「…これからは、別の何か新しいことを見つけると良い…」
「…。」
…そう。
待つだけ出なく、新しいことを…興味を持てるものを見つける、と、言うこと。
…炎の竜であるキラには、たっぷりと時間はあるのだから…。
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