神の宿り木~旅の途中~ルーク~ …旅の終わりの始まり…⦅完結⦆

ゆう

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神の宿り木~再生 3~

イサキ 1

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 イサキは、カザンナ王国の王都の下町の片隅で、装飾加工をしていた父が病気で亡くなり、通っていた学校を辞め、父に教えてもらって作った装飾品…ブローチやペンダントトップを売り、母と二人で暮らしていた。
 父が残してくれた材料が有るので、しばらくは作り続けることが出きていたが、そろそろ限界に来ていた。
 そんな時、気分転換に行った近くの川で、綺麗な石を拾った。
 川原の浅瀬にいくつも転がっていて、光に当てるとキラキラと輝いて綺麗だった。
 イサキは装飾品に、この綺麗な石を入れると華やかになるな…と思い、拾い始めた。
 小指の先ほどの小さなガラス玉は、いろんな色があり、拾い終わる頃には、昼に食べたパンが入っていた、小さな袋にいっぱいになっていた。
 帰ったから綺麗に洗って、装飾品に付けてみよう。
 何気ないそんな思いから、作った細かい細工の装飾品にガラス玉を付けるようになった。

 それが魔法石の欠片だと知ったのは、何年も後だった。

 素人の名もない子供が作る作品は、出来が良くても店で普通には販売してもらえることはまれだ。
 商店街と魔法道具街の間で、素人の作る作品を販売している市場が有ると聞いて、イサキは元締めから敷物一枚分で販売する契約をした。
 契約をしたのは母だが…。
 それからイサキは不定期に商品を持って市場に出ていた。
 そんなに簡単に売れるものではないし、売れても材料費と場所代、食費に消えていく…。
 それでも自分には父から教えてもらった、装飾品を作る技術が有るし、母も仕事をしているので何とか食べてはいける。
 ただ、作って販売しているのが子供だからと、安くみられる事が多かったが…。
 
 ある日、ガラス玉を付けた装飾品を買ってくれた、亡くなった父親くらいの年齢のお客さんが、血相を変えてやって来た。
 何事かと思ったら、買ってくれたお客さんの孫が、ブローチを付けて魔法を使ったら、いつもより出力が大きかったので、その時初めて魔法石だと気がついたのだと言った。
 『だから、こんな安くて良いのか』と、教えに来てくれたのだ。
 イサキも魔法石だとは思わなく、驚いて、『川で拾った石だから、ガラス玉だと思っていた』と、素直に答えた。
 そのお客さんは、ため息をついて、親密に教えてくれた。
 魔法石の付いた装飾品は、信用できそうな人にしか見せないようにする事。
 魔法石は、小さくても魔力が強い物が有るから、感じ取れる人には、魔法石だと一目で気がつく。
 後付け出きるなら『色の付いたガラス玉を付けれますよ』と、言って石を選んでもらって付けること。
 そうすれば別料金でもらえるし、ペンダントトップもチェーンは別売りにする事。
 などなど、教えてくれた。
 イサキが、お客さんの孫ぐらいの年齢だから、心配になって来てくれたらしい。
 とても有りがたかった。
 見よう見まねで販売していたのも有るから、不安もあったからだ。
 そしてそのお客さんは、孫の誕生日だの娘のパーティー用だのと言って、時々買いに来てくれ、『いつか、君の作品が評価されるのを楽しみにしているよ』と、心付けで多めに支払ってくれた。
 たまには辛いことも有ったけれど、イサキはそうやって作品を作りながら生活していた。


 その日はいつもより遅く、市場に店を広げた。
 前日、作りかけの装飾品を磨いていて、遅くなってしまったからだ。
 『シンプルな男の子でも付けれるような、装飾品を作ってくれないか?』と、常連のお客さんに言われたからだ。
 孫娘ばかりにプレゼントをしていて、孫息子にもプレゼントしたいからイサキくらいの男の子でも付けれるようなモノをとの依頼だ。
 …もし、自分なら…シンプルなブローチかペンダント。
 ペンダントトップを作ることにした。
 シンプルに丸、雫、剣、稲妻…思い付く限り形にしてみた。
 …やっぱりこの石を入れないと…。
 魔法石をアクセントに一粒入れて、形を整え、磨いて…夢中になってしまって、寝坊したのだ。
 
 今日は人通りも少なく、足を止めてくれても見ていくだけの人ばかりで、売上にはなっていなかった。
 …こんな日もあるさ…。
 そんな事を思いながら、次に作るデザインを考えて、小さなノートにメモをしていた。
 また、足を止めたお客さんが、並べられたペンダントや髪飾り、リング、ブレスレットなどを見ている。
「…これは君が作ったの?」
 イサキは急に声をかけられて驚いた。
「…そうだよ…」
 返事をして、そのお客さんを見上げてさらに驚いた。
 黒髪の不思議な雰囲気を持った綺麗な人だったからだ。


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