神の宿り木~旅の途中~ルーク~ …旅の終わりの始まり…⦅完結⦆

ゆう

文字の大きさ
338 / 462
森の聖域 2

リーンの家 1

しおりを挟む
 ヒナキに耳飾りの入った箱をもらい、四人で『森の聖域』へと向かった。
 クルーラのヒナキの家の横に、隠し通路が有る。
 馬車がギリギリ通れるくらいの道幅しかないが、普段は魔法で隠されている『森の聖域』直通の道だ。
 『森の聖域』で、果実や薬草などを収穫して、この通路から運んで来るのが安全だからだ。
 運ぶのも、浮遊魔法を使って木箱を浮かせて運ぶから、通路さえ有れば簡単にクルーラへ運ぶことが出来る。
 四人は歩いて数分の場所に有る『森の聖域』へと足を踏み入れた。


 『森の聖域』に入ると、空気が一変する。
 今まで以上の濃い魔素が充満し、辺りを風霊達がフワフワと飛び回るのが見える。
 普段は見ることが出来ない風霊達の姿が見えるだ。
「ココは凄い所だな…」
 ルークがボソリと呟く。
 そうだな…。
 ルークがいる人族の国では考えられないような光景だろう。
 入り口付近は、いろんな果実が木になり、木霊達が葉っぱの間から顔を覗かせ、熟した果実を収穫している獣人達がいる。
 果樹園を抜けると木々で囲まれた草原が広がり、木造の家と巨大な木があり、川が流れている。
 川には水霊が泳いでいて、時折跳び跳ねて水しぶきをあげ姿を見せる。
 四人は木造の家に向かって歩き、ルークは近づくにつれ大きく見える世界樹を見上げていた。
 
 木造の家の中は何年も帰っていないのに、綺麗に掃除されていて、いつでも使えるようになっている。
 クルーラの住人が時々掃除をしてくれているのだ。
「僕達は帰るよ。明日の朝、見届けに来る」
 ヒナキがそう言って微笑む。
 ヒナキは、ルークが『森の聖域』に順応するか、確認しに来たのだ。
 帰ると言うことは、大丈夫なのだろう。
「ありがとう」
「くれぐれも、無茶をするなよ」
 ヒイロは笑いながらルークに言う。
 何故、ルークに…?
「わかってる」
 ルークが苦笑いすると、二人はもと来た道を戻っていった。
 時間はまだあるし、リーンは部屋の中を案内した。
 この家はクルーラとよく似ていて、最初の部屋にテーブルやソファー、リビングが有り、のんびり過ごす場所だ。
 奥の扉を開けると、廊下が有り、寝室、浴室などが続き、その奥の扉を開くと書斎だ。
 ココからは別の空間になるので、歴代の『私』が集めた書籍も貯蔵されている。
 入り口付近に机と椅子とテーブルと大きなソファーが置かれ、よくソファーに寝転んで本を読んでいた。
「凄い量だな…」
 ルークが辺りを見回しながら言う。
「私が集めた本は、手前の方の本棚に入っているよ。…気が付くと本棚が増えてたり、ジャンル別に並べられたりしているんだ」
「…出入り自由なのか?」
「…ヒナキと、ヒイロと、あと何人か…。登録されている者だけが入れるようになっている。…クルーラの村の家も同じだよ。二つ目の部屋に入れるのは、登録者だけ」
「…便利なような不便なような…」
 ルークは苦笑いする。
「使いこなせれば、便利だよ」
 リーンは微笑んだ。
 各家によって、追加で付け足した魔法の仕様が違う。
 この部屋は『記憶の図書館』のように、探している本を呼ぶと、自ら机に移動してきてくれる。
 片付けなくても、自ら、もと置いて有った場所に戻ってくれるから、どこに置けば良いか悩まなくてすむ。
 呼んでも、たまに大量に移動してきたり、一冊も来なかったりもするが…。
「ぶらりと散歩しながら、本を見ていくのも良いけど、迷子になるから気を付けて」
 時々、木霊達が風通しを良くするため、本棚を移動させ、迷宮のようになることが有るのだ。
「視界に、この場所が見える所までしか、行かない方が良いよ」
 そう言ってリーンは微笑んだ。
 ルークは本棚を見ながら少し奥に進むが、直ぐにリーンの元に戻ってきた。
「…しばらく会えなくなるんだぞ。ココは後でゆっくりと見て回る」
 そう言ってリーンを抱き上げる。
「…ルーク…?」
「時間が無い。寝室に行くぞ!」
「…えっ!?」
 ルークに抱き上げられたまま、さっき案内した寝室に入り、ベッドの上に下ろされ、ルークが口付けしてくる。
「…無茶はしないから…」
 そう言って微笑まれ、さっきヒイロが『無茶をするなよ』と、言っていた意味がわかった!
 リーンは頬を染め、ルークを引き寄せる。
「私にルークの魔力を注いで…」

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!

タッター
BL
 ボスは悲しく一人閉じ込められていた俺を助け、たくさんの仲間達に出会わせてくれた俺の大切な人だ。 自分だけでなく、他者にまでその不幸を撒き散らすような体質を持つ厄病神な俺を、みんな側に置いてくれて仲間だと笑顔を向けてくれる。とても毎日が楽しい。ずっとずっとみんなと一緒にいたい。 ――だから俺はそれ以上を求めない。不幸は幸せが好きだから。この幸せが崩れてしまわないためにも。  そうやって俺は今日も仲間達――家族達の、そして大好きなボスの役に立てるように―― 「頑張るっす!! ……から置いてかないで下さいっす!! 寂しいっすよ!!」 「無理。邪魔」 「ガーン!」  とした日常の中で俺達は美少年君を助けた。 「……その子、生きてるっすか?」 「……ああ」 ◆◆◆ 溺愛攻め  × 明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

僕に双子の義兄が出来まして

サク
BL
この度、この僕に双子の義兄が出来ました。もう、嬉し過ぎて自慢しちゃうよ。でも、自慢しちゃうと、僕の日常が壊れてしまう気がするほど、その二人は人気者なんだよ。だから黙って置くのが、吉と見た。 そんなある日、僕は二人の秘密を知ってしまった。ん?知っているのを知られてしまった?が正しいかも。 ごめんよ。あの時、僕は焦っていたんだ。でもね。僕の秘密もね、共有して、だんだん仲良くなったんだよ。 …仲良くなったと、そう信じている。それから、僕の日常は楽しく、幸せな日々へと変わったんだ。そんな僕の話だよ。 え?内容紹介が内容紹介になってないって?気にしない、気にしない。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

ソング・バッファー・オンライン〜新人アイドルの日常〜

古森きり
BL
東雲学院芸能科に入学したミュージカル俳優志望の音無淳は、憧れの人がいた。 かつて東雲学院芸能科、星光騎士団第一騎士団というアイドルグループにいた神野栄治。 その人のようになりたいと高校も同じ場所を選び、今度歌の練習のために『ソング・バッファー・オンライン』を始めることにした。 ただし、どうせなら可愛い女の子のアバターがいいよね! と――。 BLoveさんに先行書き溜め。 なろう、アルファポリス、カクヨムにも掲載。

処理中です...