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世界樹の実
魔素の解放
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熊族のリョウタさんが、拾った者達を集めて村を作り、その管理をヒナキが最終的に受け継ぐのだと言われた。
「何で?」
ヒナキがそう聞くと、リョウタさんは苦笑いして答えてくれた。
「…俺達より長生きしそうだからな」
「…。」
…そうだった。
『長寿の実』を食べたのだ。
あまり実感が無いが…。
「ピット様と共に居るのには、都合が良い…。いずれ俺達は熊族の村に戻る」
そう言われてハッとた。
そう言えば、この周囲にある村や集落が持ち回りで、『森の聖域』を見回り、恩恵を受けているのだと…。
いずれリョウタさん達は村へ戻っていく…。
「『森の守り人』の周りを騒がしくしたくはない。この村だけのルールを決めて、彼らを見守るのも、俺達の役割だ。今すぐとは言わない。…本当はいろんな町や村を見て回って、経験を積んだ方が良いのだが…。長期間、ピット様の側を離れるわけにはいかない…」
「…。」
…僕がショウタさんに拾われて、『森の聖域』に順応するのは、長い時間、ピットの側に居るため…?
『長寿の実』を与えられたのも、必然的なものなのかも知れないし、実際のところ、『長寿の実』を食べたらどうなるのか、誰も知らない…。
自分を観察して、どれだけ長生きするのか、記録するのも良いのかも…。
仕事の一つとして…。
「…僕も呼ばれたのかも…」
ヒナキは笑った。
長寿なのは一人ではない。
ピットも一緒に食べたのだ。
ココで『森の聖域』の木霊に会いに行きながら、二人でのんびり暮らすのも、悪くない…。
そう思っていた。
その後、『森の聖域』周辺の村長達が集められ、『長寿の実』を食べた、ヒナキを拠点に、村長達の協力を得て、クルーラの村が出来上がっていった。
急にピットの体調が悪化し、クルーラでも、ベッドから起きられなくなってしまった。
熊族のリョウタさんが言うには、何年かに一度『魔素の解放』と呼ばれる現象が起こり、『森の聖域』周辺一帯に、強い魔素が吹き出るのだと言う。
『森の聖域』周辺の村には結界があるが、クルーラは、まだ無防備な状態だ。
一旦、避難するため、ピットと一緒に熊族のリョウタさんの村へ向かい、行き場の無い住民も、各獣人族の村に引き取られていった。
そしてヒナキは熊族の村で、魔法を習い、次々と習得していって、クルーラの結界をヒナキが作るだけの知識を得ていった。
魔法の知識が無かっただけで、潜在能力は有ったみたいだ。
けれどピットは、体調をくずしてから回復する兆しはなかった。
『森の聖域』の『魔素の解放』が終わり、ヒナキはクルーラに戻り、獣人族に協力を得て、クルーラに結界を張った。
ピットはクルーラに戻ってこれなかった。
ヒナキはクルーラと『森の聖域』を行き来し、熊族のピットの元に、ヒナキ専用の転移魔法を張り付け、毎日のように会いにいった。
…今、思えば、小さな恋心が目覚めようとしていたのかも知れない…。
それから数年が経ち、ヒナキは正式にクルーラの村長になった。
とは言っても、分からない大人の世界のやり取りは、熊族のリョウタさんや、マキノさん、次にピットの世話をする予定だった豹族の村長達などから教えてもらいながら、多忙な生活をしていた。
ヒナキの身体はやはり成長しなかった。
正式にクルーラの村長となった頃には、『長寿の実』を食べた、『森の聖域』の『森の守り人』の友達だと言う認識が出来上がっていた。
何か分からない、モヤモヤとしたものがあったが、何か分からないまま、時間だけが過ぎていった。
ピットの容態が悪化したと熊族のリョウタさんから連絡が入り、ヒナキはピットの元に転移魔法で移動した。
ピットは衰弱し、あまり食事も取れなくなって、一緒に遊んだ頃より、一回り小さくなっていた。
「…ヒナキ…また…会える…から…」
ピットはそう言って弱々しく微笑んだ。
「…目が…覚めたら…一緒に…お昼寝…しようね…」
ピットはそう言って目を閉じ、深い眠りについた。
ヒナキにそれを伝えるために、眠りそうになるのを必死に耐えていたみたいだ…。
そして、それが起こった。
部屋の入り口の扉が勝手に開き、たくさんの蔦が部屋に入ってきた。
そしてベッドに眠るピットの身体を包み込み、姿が見えなくなると、そのまま外に出ていって、地面の中に消えていった。
あまりにも一瞬の事で、ヒナキは茫然としていた。
そして我に返り、慌てた。
「…ピットが!!」
ヒナキがそう叫んだが、回りにいたリョウタさんは分かっていたのか、落ち着いた様子だった。
「…ピット様は世界樹の元に戻られた」
言っている意味がわからない。
「ヒナキ。君はクルーラにいて、世界樹で眠る『森の守り人』を見守るんだ」
…『森の守り人』…ピットの事か?!
「…世界樹にピットは居るんだね」
ヒナキは急いで戻ろうとするとリョウタさんに止められた。
「ヒナキ。君に話していないことがある」
そう言ってリョウタさんは『森の聖域』の事、『森の守り人』の事、世界樹の事を話してくてた。
…そうか…僕がココに来たのは、『森の守り人』を見守り、記憶を無くして代わる、彼に寄り添い続ける為…。
そのための『長寿の実』だったのだと…。
嬉しいのか、悲しいのか、苦しいのか…分からなくて、ヒナキは泣いてしまった。
落ち着きを取りもどした、ヒナキはリョウタさんに約束する。
「僕の寿命が有る限り、クルーラで彼を見守るよ。…それに、『魔素の解放』の原因を解明したいし、世界樹に会いに行くと約束したから…」
ヒナキはいろんな事を吹っ切って、リョウタさんに微笑んだ。
ヒナキが『森の聖域』の世界樹の元に来ると、幹に触れながら木霊に声をかけた。
「…ピットは本当にココに居るの?」
返答はなく、ヒナキが世界樹から離れようとすると、いつもの子供ではない、普通の木霊が姿を現し手招きする。
ヒナキはその木霊の後をついていくと、世界樹の後ろ側の、木の根と幹の隙間を指差した。
ヒナキがそこから中を覗くと、緑の液体に浮かぶピットを見つけた。
待っているから…。
長寿になってしまった僕には、時間があるから…。
また、一緒に昼寝をしような…。
ヒナキは時々世界樹を訪れて、彼が眠りから覚めるのを見守っていた。
「何で?」
ヒナキがそう聞くと、リョウタさんは苦笑いして答えてくれた。
「…俺達より長生きしそうだからな」
「…。」
…そうだった。
『長寿の実』を食べたのだ。
あまり実感が無いが…。
「ピット様と共に居るのには、都合が良い…。いずれ俺達は熊族の村に戻る」
そう言われてハッとた。
そう言えば、この周囲にある村や集落が持ち回りで、『森の聖域』を見回り、恩恵を受けているのだと…。
いずれリョウタさん達は村へ戻っていく…。
「『森の守り人』の周りを騒がしくしたくはない。この村だけのルールを決めて、彼らを見守るのも、俺達の役割だ。今すぐとは言わない。…本当はいろんな町や村を見て回って、経験を積んだ方が良いのだが…。長期間、ピット様の側を離れるわけにはいかない…」
「…。」
…僕がショウタさんに拾われて、『森の聖域』に順応するのは、長い時間、ピットの側に居るため…?
『長寿の実』を与えられたのも、必然的なものなのかも知れないし、実際のところ、『長寿の実』を食べたらどうなるのか、誰も知らない…。
自分を観察して、どれだけ長生きするのか、記録するのも良いのかも…。
仕事の一つとして…。
「…僕も呼ばれたのかも…」
ヒナキは笑った。
長寿なのは一人ではない。
ピットも一緒に食べたのだ。
ココで『森の聖域』の木霊に会いに行きながら、二人でのんびり暮らすのも、悪くない…。
そう思っていた。
その後、『森の聖域』周辺の村長達が集められ、『長寿の実』を食べた、ヒナキを拠点に、村長達の協力を得て、クルーラの村が出来上がっていった。
急にピットの体調が悪化し、クルーラでも、ベッドから起きられなくなってしまった。
熊族のリョウタさんが言うには、何年かに一度『魔素の解放』と呼ばれる現象が起こり、『森の聖域』周辺一帯に、強い魔素が吹き出るのだと言う。
『森の聖域』周辺の村には結界があるが、クルーラは、まだ無防備な状態だ。
一旦、避難するため、ピットと一緒に熊族のリョウタさんの村へ向かい、行き場の無い住民も、各獣人族の村に引き取られていった。
そしてヒナキは熊族の村で、魔法を習い、次々と習得していって、クルーラの結界をヒナキが作るだけの知識を得ていった。
魔法の知識が無かっただけで、潜在能力は有ったみたいだ。
けれどピットは、体調をくずしてから回復する兆しはなかった。
『森の聖域』の『魔素の解放』が終わり、ヒナキはクルーラに戻り、獣人族に協力を得て、クルーラに結界を張った。
ピットはクルーラに戻ってこれなかった。
ヒナキはクルーラと『森の聖域』を行き来し、熊族のピットの元に、ヒナキ専用の転移魔法を張り付け、毎日のように会いにいった。
…今、思えば、小さな恋心が目覚めようとしていたのかも知れない…。
それから数年が経ち、ヒナキは正式にクルーラの村長になった。
とは言っても、分からない大人の世界のやり取りは、熊族のリョウタさんや、マキノさん、次にピットの世話をする予定だった豹族の村長達などから教えてもらいながら、多忙な生活をしていた。
ヒナキの身体はやはり成長しなかった。
正式にクルーラの村長となった頃には、『長寿の実』を食べた、『森の聖域』の『森の守り人』の友達だと言う認識が出来上がっていた。
何か分からない、モヤモヤとしたものがあったが、何か分からないまま、時間だけが過ぎていった。
ピットの容態が悪化したと熊族のリョウタさんから連絡が入り、ヒナキはピットの元に転移魔法で移動した。
ピットは衰弱し、あまり食事も取れなくなって、一緒に遊んだ頃より、一回り小さくなっていた。
「…ヒナキ…また…会える…から…」
ピットはそう言って弱々しく微笑んだ。
「…目が…覚めたら…一緒に…お昼寝…しようね…」
ピットはそう言って目を閉じ、深い眠りについた。
ヒナキにそれを伝えるために、眠りそうになるのを必死に耐えていたみたいだ…。
そして、それが起こった。
部屋の入り口の扉が勝手に開き、たくさんの蔦が部屋に入ってきた。
そしてベッドに眠るピットの身体を包み込み、姿が見えなくなると、そのまま外に出ていって、地面の中に消えていった。
あまりにも一瞬の事で、ヒナキは茫然としていた。
そして我に返り、慌てた。
「…ピットが!!」
ヒナキがそう叫んだが、回りにいたリョウタさんは分かっていたのか、落ち着いた様子だった。
「…ピット様は世界樹の元に戻られた」
言っている意味がわからない。
「ヒナキ。君はクルーラにいて、世界樹で眠る『森の守り人』を見守るんだ」
…『森の守り人』…ピットの事か?!
「…世界樹にピットは居るんだね」
ヒナキは急いで戻ろうとするとリョウタさんに止められた。
「ヒナキ。君に話していないことがある」
そう言ってリョウタさんは『森の聖域』の事、『森の守り人』の事、世界樹の事を話してくてた。
…そうか…僕がココに来たのは、『森の守り人』を見守り、記憶を無くして代わる、彼に寄り添い続ける為…。
そのための『長寿の実』だったのだと…。
嬉しいのか、悲しいのか、苦しいのか…分からなくて、ヒナキは泣いてしまった。
落ち着きを取りもどした、ヒナキはリョウタさんに約束する。
「僕の寿命が有る限り、クルーラで彼を見守るよ。…それに、『魔素の解放』の原因を解明したいし、世界樹に会いに行くと約束したから…」
ヒナキはいろんな事を吹っ切って、リョウタさんに微笑んだ。
ヒナキが『森の聖域』の世界樹の元に来ると、幹に触れながら木霊に声をかけた。
「…ピットは本当にココに居るの?」
返答はなく、ヒナキが世界樹から離れようとすると、いつもの子供ではない、普通の木霊が姿を現し手招きする。
ヒナキはその木霊の後をついていくと、世界樹の後ろ側の、木の根と幹の隙間を指差した。
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