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学生時代
ロールケーキ
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それから、石塚和也は何かと俺に…俺と紅緒に、絡んで来るようになった。
休日に、紅緒と二人で買い物をしていると、何処からともなく現れてから、一緒に食堂に入り、昼ごはんを食べることになったり、ゲームセンターで対戦相手になったり…。
こちらとしては、あんな事があった後、どんな顔をして良いか分からず、ムッと石塚を睨み付けるしか出来なかった。
紅緒も、何かとちょっかいを掛けてくる石塚を睨み付けなから、俺には言わないような、きつい言葉を浴びさせていた。
今日は特に、イラついているな…。
修司はため息を付いた。
今日は、二つ離れた弟の好きな甘いお菓子と本を選んで、昼から持っていく予定なのだ。
邪魔をされて、紅緒が怒っている…そんな姿を見るのは、何故か新鮮だった。
紅緒は、滅多な事で、怒る感情を露にしたりしない。
いつも冷静に、一歩外から見ている。
…珍しい事だった。
「ちょっと修司も何か言ってよ!!…横から茶々を入れられて、何を選んだら良いか、分からなくなったじゃないの!?」
「俺が言っただけで、迷うのは、判断力が無いからじゃないか?」
石塚は、楽しそうに紅緒に言う。
「修司…」
紅緒は困った顔をして、こちらに振ってくる。
「…紅緒が、好きなの選べば良い。聖は、どれも好きそうだが…」
「だから、迷っているんじゃないの!!」
そう言って、紅緒はケーキの並んだガラスケースを眺める。
「…レアチーズケーキにブルーベリーでしょ、このチョコレートケーキも甘すぎないから食べやすいし、フルーツタルトも、好きだって言ってたし、イチゴたっぷりのショートケーキも捨てがたいし、思いきってイチゴのロールケーキを一本買って、皆で分けても良いし…どうしよう…」
「…俺、イチゴのロールケーキ食べてみたい」
石塚がそう言ってくると、紅緒はキッと石塚を睨み返す。
「…あんたの分は無いわよ」
「何で?」
石塚は不思議そうに訪ねてくる。
「修司!こいつどうにかならないの!?」
修司は苦笑いするしかなかった。
石塚が何を考えて、俺達に近づき、ケーキ屋まで付いて来るのかだった。
こんな所で揉めたくはないし、かといって、いつまでも、ココにはいるわけにはいかなかった。
修司は仕方なく、紅緒が言ったケーキを一個づつと、別口にイチゴのロールケーキを注文した。
これを持って、帰ってくれるだろうか…。
…帰ってくれなかった。
石塚は嬉しそうに、ロールケーキを持って付いてくる。
しかし、そろそろ時間だ。
父親の友人が経営する、老舗の旅館、小納谷に俺達は向かった。
週に数回、弟のもとに、食料や日用品を届けてくれているので、その車に一緒に乗せてもらって、弟のもとに行くためだ。
紅緒はスタスタと歩いて行ってしまう。
はぁ…来ないでもらいたいのだが…。
「…何が目的だ」
修司が直接石塚にそう問うと、ニコニコ笑って答える。
「面白そうだから…」
「…。」
…そんな事を聞いているのではない。
修司は頭を抱えた。
「帰ってくれないか。今から行くところは、お前を連れていけない」
「…帰っても良いぜ」
石塚がそう言ったので、ホッとため息を付くと、予想外の事を言い出した。
「…また、お前を抱かせてもらえるなら…」
「…ソレが目的か!?」
修司は石塚を睨み付けた。
よりにもよって、俺を抱かせろだと!?
「だってよ…アノ後、男も行けるのだと思ったが、無理だし、女じゃ物足りなくなった…」
「…。」
そんな話をしているのてはない!
「良い顔、見せてくれよ」
思い出したくもない。
「無理だ!…アレは転んだと思って忘れることにした」
「何回でも転んでくれて良いぜ」
石塚はそう言って笑う。
「ソレがダメなら付いていく」
…はぁ。
修司は諦めて、石塚に向き直る。
「…人見知りの弟が拒絶したら、歩いて帰れ!」
「やった!」
石塚は嬉しそうに笑い、修司は再びため息を付いた。
紅緒に、なんて言って機嫌を取ろう…。
休日に、紅緒と二人で買い物をしていると、何処からともなく現れてから、一緒に食堂に入り、昼ごはんを食べることになったり、ゲームセンターで対戦相手になったり…。
こちらとしては、あんな事があった後、どんな顔をして良いか分からず、ムッと石塚を睨み付けるしか出来なかった。
紅緒も、何かとちょっかいを掛けてくる石塚を睨み付けなから、俺には言わないような、きつい言葉を浴びさせていた。
今日は特に、イラついているな…。
修司はため息を付いた。
今日は、二つ離れた弟の好きな甘いお菓子と本を選んで、昼から持っていく予定なのだ。
邪魔をされて、紅緒が怒っている…そんな姿を見るのは、何故か新鮮だった。
紅緒は、滅多な事で、怒る感情を露にしたりしない。
いつも冷静に、一歩外から見ている。
…珍しい事だった。
「ちょっと修司も何か言ってよ!!…横から茶々を入れられて、何を選んだら良いか、分からなくなったじゃないの!?」
「俺が言っただけで、迷うのは、判断力が無いからじゃないか?」
石塚は、楽しそうに紅緒に言う。
「修司…」
紅緒は困った顔をして、こちらに振ってくる。
「…紅緒が、好きなの選べば良い。聖は、どれも好きそうだが…」
「だから、迷っているんじゃないの!!」
そう言って、紅緒はケーキの並んだガラスケースを眺める。
「…レアチーズケーキにブルーベリーでしょ、このチョコレートケーキも甘すぎないから食べやすいし、フルーツタルトも、好きだって言ってたし、イチゴたっぷりのショートケーキも捨てがたいし、思いきってイチゴのロールケーキを一本買って、皆で分けても良いし…どうしよう…」
「…俺、イチゴのロールケーキ食べてみたい」
石塚がそう言ってくると、紅緒はキッと石塚を睨み返す。
「…あんたの分は無いわよ」
「何で?」
石塚は不思議そうに訪ねてくる。
「修司!こいつどうにかならないの!?」
修司は苦笑いするしかなかった。
石塚が何を考えて、俺達に近づき、ケーキ屋まで付いて来るのかだった。
こんな所で揉めたくはないし、かといって、いつまでも、ココにはいるわけにはいかなかった。
修司は仕方なく、紅緒が言ったケーキを一個づつと、別口にイチゴのロールケーキを注文した。
これを持って、帰ってくれるだろうか…。
…帰ってくれなかった。
石塚は嬉しそうに、ロールケーキを持って付いてくる。
しかし、そろそろ時間だ。
父親の友人が経営する、老舗の旅館、小納谷に俺達は向かった。
週に数回、弟のもとに、食料や日用品を届けてくれているので、その車に一緒に乗せてもらって、弟のもとに行くためだ。
紅緒はスタスタと歩いて行ってしまう。
はぁ…来ないでもらいたいのだが…。
「…何が目的だ」
修司が直接石塚にそう問うと、ニコニコ笑って答える。
「面白そうだから…」
「…。」
…そんな事を聞いているのではない。
修司は頭を抱えた。
「帰ってくれないか。今から行くところは、お前を連れていけない」
「…帰っても良いぜ」
石塚がそう言ったので、ホッとため息を付くと、予想外の事を言い出した。
「…また、お前を抱かせてもらえるなら…」
「…ソレが目的か!?」
修司は石塚を睨み付けた。
よりにもよって、俺を抱かせろだと!?
「だってよ…アノ後、男も行けるのだと思ったが、無理だし、女じゃ物足りなくなった…」
「…。」
そんな話をしているのてはない!
「良い顔、見せてくれよ」
思い出したくもない。
「無理だ!…アレは転んだと思って忘れることにした」
「何回でも転んでくれて良いぜ」
石塚はそう言って笑う。
「ソレがダメなら付いていく」
…はぁ。
修司は諦めて、石塚に向き直る。
「…人見知りの弟が拒絶したら、歩いて帰れ!」
「やった!」
石塚は嬉しそうに笑い、修司は再びため息を付いた。
紅緒に、なんて言って機嫌を取ろう…。
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