お願いもうやめて

あまみや。旧

文字の大きさ
16 / 18
第3章 わかってる。

第10話【杏葉】放課後

しおりを挟む
キーンコーンカーンコーン。

……………放課後だ。

(さて、図書室に行くか………)
「杏葉、今日一緒に帰らない?」
「えっ?」
後ろを振り向くと、雪香が少しニコッと笑った。
「ああ……ごめん、今日は用事があって………」
「……そっか、残念。じゃあ、またな。」

………………本当は、一緒に帰りたいけど…………


「杏葉が用事なんて珍しい……。」
「まあ、ちょっとね……」
澪が不思議そうに頭にはてなを浮かべた。
「ねね、ついていって、いい?」
……!
「え、えー……それは、ちょっと、ナー。」

「ちぇー、残念、じゃあ、帰ろう、奈緒。」
「いいけど、今日部活ないの?」
「うん、ノー部。」
「わかった、じゃあ帰ろ………」
「ばいばい、奈緒。」
「………!ば、ばいばい………秀我。」

…………秀我?
奈緒に笑いかけてきたのは、秀我という爽やか系のイケメン。
(へー、仲良さそうには見えなかったけど……仲良かったんだな。)←全くクラスメイトに興味ない系男子。
でも、奈緒の様子、変だ………
なんか、すごくビクビクしてる、いつも以上に……
「奈緒、帰ろー」
「あっ、うん!じゃあ、またな、杏葉!」
「うん、またな!」

(……行く、か。)
1人になると作り笑顔で手を振った自分が、悲しく感じた。







「失礼します……」
「ああ、今日はちゃんと来たんだ。」
「痛いのは、嫌なので………」
「そっか、でもまあ、どっちにしろ痛い目にあうんだけどねぇ。」

…………帰りたい。

「じゃあ、こっち。」
「………………」

………………やっぱり、怖い。

怖い、怖いよ……
(誰か、助けて………)


「……………うぐっ!」
下を向いて暗い顔をしていると、次の瞬間頬に強い衝撃を感じた。
「そんな暗い顔しないでよ、襲いたくなっちゃうじゃん………」
え?襲う……って………?
訳が分からないままズキズキ痛む頬を抑えていると、
「……もしかして、知らないの?」
えっ………
「し、知らない、です………」

「ま、まじで……?今時レアすぎんだろ………」
え?襲うって、何……?
「……まあ、今日はいいや、玩具続行、で。」
「えっ……あ、やだ、やだぁっ……!!」
そういうと先輩は僕を押し倒して、馬乗りになった。
「いッ……!や、やだ、どいて下さい………っ!」
「だーめ、玩具なんだから……」
「ひっ……!誰か、助けて………」
「何言ってんの、今までだって、誰も来なかったでしょ、今日は抵抗するね、なんで?」
やっぱり、わかってていても、嫌だ……怖いものは、怖いから………
「も……許して………お願いします、許してください………朝日とは別れます、だから……消して、ください………」
「…………………………」

…………あれ?先輩、なんか怒って………
「お前ってほんとつまんない。」
えっ?
そう言うと先輩は、再び僕の頬を殴った。
「ひぅっ………!」
い、痛い……なんで、なんで………こんな目に。


「………ヴッ、がはッ……………ッア……!!」

痛い、痛い、痛い………

それから、僕は散々身体中を殴られた。
殴られる度に、吐き気が喉まで襲ってきて、涙が溢れた。
「ハァハァ……も、やめ………」
「何言ってんだよ……まだまだこれからだろ?」
「………や、だ……………」
とうとう、涙が流れてきた。
「……うぅ、あぐ………」
「………………杏葉……」
……先、、輩?
もしかしたら、許してくれるの、かな……?

なんて期待は、むなしかった。


「………可愛い……………」




…………は?

そう言うと先輩は、頬を流れる涙を指で拭って、舐めた。
「………っ!」
それを見た瞬間、かなりゾッとした。
「や……あ、え………な、なん、で……………」
怖い、怖い、怖い…………!

無意識に逃げ出そうとした、次の瞬間……
「何逃げようとしてんの。」
「ひっ」
腕をひかれ、また押し倒された。
「ねえ、杏葉のこと、傷付けてもいい……?」
「えっ…………?」
そして先輩がポケットから取り出したのは、





カッターだった……



…………!!
「や、先輩……冗談、ですよね………?」
「冗談じゃないよ、本気。」
「あ、はは………う、嘘だ……嘘!」
こんなの、夢、きっと、悪夢かなにかだ………!!
先輩がカッターをもって近付いてくる。
「や、や……嫌だ、こっちに、来ないでくださ……」

………あっ……

次の瞬間、切れた僕の制服の袖から、血が滲んだ。
「え……」
え、、あ、い、痛い……………
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!」
「アハハハハ!!!」
痛い、痛い、痛い……!なんで、なんで先輩は笑ってるの………?
「せ、先輩……やめて………お願い」
こんな先輩………嫌いだ。


―――――コツ。


「!」
誰か、来た……?
「……来たか。」
…………?
「せん、ぱ………?」
次の瞬間………





え………?


僕は、先輩にキスされていた。



え、え、え………?なんで…………?

「ん、んん~、、んーーっ!!⸝⸝⸝」

苦しくて離れようとする、でも叶わず、しばらくして先輩の方から唇を離した。
「っあぅ………!」

「ふぅ………ねぇ、どう?目の前で大切なものが傷つけられているのを見るのは。」

………………?

誰か、いるの………?




「………………ね、雪香君と、妹ちゃん?」





………………え。



先輩の視線の先を見るとそこには、





冷たい顔で僕を見る雪香と、





今にも人を殺してしまいそうなオーラを放つ、日菜子がいた……………








✄--------------✄
どうも、瑠樺です!
いつもよりちょっと長くなってしまった汗
今回で第3章は終わりになります!
今日はとりあえずまとめだけだして終わりますね!
あと一息だー!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

【完結】弟を幸せにする唯一のルートを探すため、兄は何度も『やり直す』

バナナ男さん
BL
優秀な騎士の家系である伯爵家の【クレパス家】に生まれた<グレイ>は、容姿、実力、共に恵まれず、常に平均以上が取れない事から両親に冷たく扱われて育った。  そんなある日、父が気まぐれに手を出した娼婦が生んだ子供、腹違いの弟<ルーカス>が家にやってくる。 その生まれから弟は自分以上に両親にも使用人達にも冷たく扱われ、グレイは初めて『褒められる』という行為を知る。 それに恐怖を感じつつ、グレイはルーカスに接触を試みるも「金に困った事がないお坊ちゃんが!」と手酷く拒絶されてしまい……。   最初ツンツン、のちヤンデレ執着に変化する美形の弟✕平凡な兄です。兄弟、ヤンデレなので、地雷の方はご注意下さいm(__)m

人生はままならない

野埜乃のの
BL
「おまえとは番にならない」 結婚して迎えた初夜。彼はそう僕にそう告げた。 異世界オメガバース ツイノベです

お兄ちゃんができた!!

くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。 お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。 「悠くんはえらい子だね。」 「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」 「ふふ、かわいいね。」 律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡ 「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」 ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。

【本編完結】死に戻りに疲れた美貌の傾国王子、生存ルートを模索する

とうこ
BL
その美しさで知られた母に似て美貌の第三王子ツェーレンは、王弟に嫁いだ隣国で不貞を疑われ哀れ極刑に……と思ったら逆行!? しかもまだ夫選びの前。訳が分からないが、同じ道は絶対に御免だ。 「隣国以外でお願いします!」 死を回避する為に選んだ先々でもバラエティ豊かにkillされ続け、巻き戻り続けるツェーレン。これが最後と十二回目の夫となったのは、有名特殊な一族の三男、天才魔術師アレスター。 彼は婚姻を拒絶するが、ツェーレンが呪いを受けていると言い解呪を約束する。 いじられ体質の情けない末っ子天才魔術師×素直前向きな呪われ美形王子。 転移日本人を祖に持つグレイシア三兄弟、三男アレスターの物語。 小説家になろう様にも掲載しております。  ※本編完結。ぼちぼち番外編を投稿していきます。

なぜ処刑予定の悪役子息の俺が溺愛されている?

詩河とんぼ
BL
 前世では過労死し、バース性があるBLゲームに転生した俺は、なる方が珍しいバットエンド以外は全て処刑されるというの世界の悪役子息・カイラントになっていた。処刑されるのはもちろん嫌だし、知識を付けてそれなりのところで働くか婿入りできたらいいな……と思っていたのだが、攻略対象者で王太子のアルスタから猛アプローチを受ける。……どうしてこうなった?

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。

処理中です...