ゆうみお

あまみや。旧

文字の大きさ
155 / 260
4章 二学期(2)。

148.眠れない…!

しおりを挟む



「澪……?」



なんで澪が、精神病院から………



澪が顔を上げたので、咄嗟に物陰に隠れた。

確かに見えたのは………澪が薬が入った袋を持っている。




(薬……睡眠薬かな………)




………なんで……………






ーーー


(澪side)


「それじゃあ薬出しておくからね、また困ったことがあったらいつでも来てね」
「はい、ありがとうございます」



いつもの男性の先生にカウンセリングを受けてもらって、それから待合室で薬をもらって出てきた。



「………ん?」



今……優馬っぽい人がいたような。
撒いたはずなんだけど………




(……気の所為か)




ーーー



「ただいま………」



帰りにパン屋でメロンパンを買ってから帰宅した。


「おかえり!澪!」
「うん……ただいま」  



ついてきていたことは割と察してはいたので驚かなかったし、特に触れることでもないかなって触れなかった。




「お風呂にする?ご飯にする?それとも俺?」
「昼寝する」




ーーー



部屋に入って、机の引き出しを開けた。


(今は優馬がいるし………とりあえず後にして、置いておこう)


薬は1回全部出して小瓶の中に入れることにしてる。
沢山飲むから、いちいち外すのも面倒で……………



「メロンパンはここ」


メロンパンが入った紙袋は机の上に置いておいた。寝起きで食べる用。



すると、優馬が部屋に入ってきた。



「俺が子守唄でも歌ってあげますよ」
「結構です……、優馬も寝る?」


そう言うと、何故か少し優馬の顔が赤くなった。


「ま……まだ早いって、そういうのは……」
「寝るなら布団敷くよ、床だけど」



そういうのって、何………




「あ、そっち……ね、うん、寝る」
「了解……」




ーーー



布団を床に敷いた。


「布団からも香る澪の匂い」
「気持ち悪………」



優馬が布団にぽすん、と寝る。



「ベッドでもいいよ?」
「澪が寝てるところで寝たりしたら理性抑えらんないってー、こっちでいいよ」
「そう……?分かった」




というわけで、僕はベッドに入る。



「おやすみ!澪!」
「………おやすみ。」



そう言ってから、布団に潜った。





「………」




隠していた3粒の薬を口に移す。



優馬に気付かれないように、水なしで音を立てずに飲み込んだ。





「……………」







そこからゆっくりと、意識が薄れていく。







ーーー


(優馬side)


「………ーー」



ちょっと寝息が聞こえる。



(……寝たか)



とりあえず体を起こして、ベッドの方を見た。



(薬……見たところ飲んでなかったし、大丈夫かな)



俺が見てた限りだから分からないけど。




「………」




布団に潜っているから寝顔が見れないのが残念………





(………でも、)




いつか俺が澪を養えるくらい稼いだら………その時は、



「俺が養ってやるからなっ!!」ニコッ!
「………すぅ……」





ーーー





別に眠くはなかったから、退屈で部屋を出た。



「……部屋数3つ………」


暇すぎて澪の家を探索しようかなって思って、部屋の外を見渡した。


2階にはトイレと部屋が3つある。



(確か……隣の向かいの部屋は美優さん)


澪の部屋の前はトイレと階段。
そして澪の隣の部屋と、その向かいに美優さんの部屋がある。




(ここの……隣の部屋って)



少し大きめな部屋。




(………まあ、親の部屋か)




今はどうなっているのか気になるけど、とりあえず下に向かった。







階段を降りると、廊下がある。
階段のすぐ前にリビングのドアがあって、中に入った。




「人の家を勝手に歩く優越感………それも澪の………」



考えるだけで嬉しすぎて逝ける。

変態………?残念俺には褒め言葉だ!!





ーーー


対面式キッチン、ソファ、テレビ。

一通り見て普段澪が家でどんな感じなのか、妄想を堪能したあと……ソファの後ろのリビングボードが目に入った。




「……!」


ボードの上にある写真立て。



「これ……小さい時の澪だ……」


その中の写真には、まだ10才にもなっていないくらいの澪(と美優さん)が映っていた。



「やだ可愛い………超可愛い……………」



つい語彙力が無くなるほど眺めていると、その隣の写真立てに目が移る。



………そっちに映っていたのは、






澪と、美優さんと、あと

澪に似ていると言えばちょっと大人らしすぎるけど、澪によく似た大人の男性、そして綺麗な黒髪を腰まで伸ばした女性が映っていた。




(両親……だよな)




初めて見たけど、優しそうな人達。

まだ小さい澪と髪を2つに結んだ美優さんが、その2人と一緒に笑ってる。




(澪が……こんな風に無邪気に笑ってたこと、あったかな)



俺の前で………こんな風に、







もう高校生だからこんな無邪気には笑わないか、そう思ったけど………






「………よし」



 



ーーー


(澪side)



目が覚めた時には、5時になっていた。



「ん………」



ふと、優馬がいた事を思い出して寝かせていたベッドの隣を見下ろす。



「………あれ」



いない………

起きたのがついさっきならあるはずの毛布の温もりもなかった。



「………」




ーーー



「あ、起きた?おはよ」
「ご飯作ってたんだ………」


優馬は、先に下に降りてご飯を作ってくれていた。 


「いつ起きたの?」
「……えっと、30分くらい前?」
「ふーん……」




「もうすぐ出来るから」と言われて何やら赤い色のスープをおたまでかき混ぜた。


「何それ……」
「ミネストローネ、食べた事ないの?」



この色のスープは給食でよく飲んだ記憶があるけど、名前までは覚えていなかった。

ていうか………あったのかな、これ……家に。




(実は澪が起きるまで暇だったから買い物まで行ってきたんだよなー……、澪ってほんとによく寝る………)



「皿出してくれる?」って言われたから、棚から皿を出して運んで、他にもやれる事をやった。




段々………部屋中にミネストローネの匂いがしてきた。


(お腹すいた………)




ーーー


数分後。



「「いただきます…!」」


お向かい同士で席に座って、両手を合わせた。


「すごい……プロみたい」
「そう?照れる……っ☆」



ミネストローネに、黒胡椒が入ったポテトサラダ、主食はエビピラフ………



「こんな一品一品豪華な夜ご飯初めてかも………」
「まあ、少し頑張りすぎたかもな」


僕が一番尊敬してる美優の料理と並ぶくらいすごい。


なんか………小中学生の時の給食で美味しかった品が集まった感じ。

エビピラフを一口食べて、あまりに美味しくて驚いた。



「美味しい……!」
「良かった!俺と結婚すれば毎日食えるからなー!」


美味しくて、優馬の声が届かないくらい夢中で食べていた。



ーーー

(優馬side)



とりあえず子供受けがいいものを作ってみたけど、澪が気に入ってくれて良かった。


夢中で食べてる澪の姿が、本当にハムスターに見えて可愛い。


しばらく自分のを食べずに、頬杖してその様子を見ていた。



「澪……俺、やっぱり」
「……うん?」


呟くと、たまたまそれが聞こえた澪が手を止めて俺を見た。






「………澪には、笑ってて欲しいなって」




ふにゃ……と顔が緩んだ気がした。




「俺……本当に好きなんだよ、澪の事。」





今だったら、確信して言える。








、嘘じゃない。








「………僕が疑ってるの、気付いてた?」
「修学旅行の最終日の時から、なんかよそよそしいなとは思ってた」
「……バレてたか」



やっぱ好意を抱いてるのが演技だと思われてたらしい。




「俺、絶対澪の事幸せに出来る自信ある!でっかいタワーマンションに住んで、澪に働かせない!」
「僕完全にヒモじゃん………ちょっとは働くよ」





ーーー


(澪side)


ご飯を食べ終わって、先に優馬にお風呂に入ってもらって……それから僕も入って、部屋に戻った。



「そういえば優馬……泊まってくにしろ、妹達は大丈夫なの?」



まだ小学生と中学生だし、心配。



「んー……ていうか追い出されたんだよね」
「え、そうなの?」



聞くとどうやら………中学のテストが近いらしく、その勉強の為に美優と、あと未来斗の妹が優馬の家に行ってるらしい。

優馬の家は優馬の従兄弟の中学生がいるし、小学生の妹達も懐いてるらしいから。



「一応何かあった時は連絡してって言ってあるから、多分………大丈夫」



………それならいいけど。



ていうか……美優、泊まりに行くってことしか教えてくれなかったな。






「ってわけでこれから何します!?」
「え……寝るだけだよね」




勉強でもするのかな。




ーーー


電気を消して、布団についた。




「優馬……大丈夫?暗いけど」
「澪がいるから大丈夫」



確か優馬って暗いの苦手だったような。


すると何かずる賢い事が浮かんだのか、



「でもやっぱ怖いから、手繋いでてよ?」




...




「やだ」
「えー……」





………でも、




「暗いの苦手って言ってたけど……お泊まり会の時とか、普通に寝てなかった?」


よくお泊まり会はするけど、優馬は普通に寝てた気がする。




「あー……俺、暗いっていうか……暗くて狭いとこにずっといるのが苦手なんだよ」
「なるほど」




確かにそれは、僕も怖いかもしれない。

そういう空間にずっといると、精神的におかしくなるって聞いた事あるし。



「ってわけで手、繋いで!」
「意味わかんない……」





……………




「手を繋ぎたい!!!」
「嫌だ!!!」




下心しか見えない……!!




「手を繋いでくださいッッ!!」
「やだ…ッ、嫌だ……!!」



襲いかかってくる変態に抵抗しているうちに、体制を崩した。

2人ともベッドの上で倒れて、目を開けたらお互い至近距離で目が合って咄嗟に離れた。



「……っ…………」




暴れた分、一気に恥ずかしくなった。




「………もう、寝る」
「うん…おやすみ、澪」




優馬が元の場所に戻って、僕も毛布を頭まで被った。





ーーー




その数分後。



「なあ、澪!」
「っ!」


寝たと思ったから、突然名前を呼ばれて毛布の中で驚いた。


「何……?」


壁側を向いたまま、毛布の中で返事をする。



「………言いたいことがあるから、顔見せて………」



………え




「……これでいいじゃん………」
「大事な事だから…!」



どうせ暗くて見えないのに、

さっき目が合った時の恥ずかしさがまだ残ってるから、出来るだけ見せたくない。



「………」


けどこれ以上言われるのも嫌だったので、仕方なく目元まで毛布から出た。



すると、





「……っ!」
「こっち向いて」



肩を掴んで優馬の方に振り向かせられた。



暗闇に目が慣れてきて、少しずつお互いがよく見えるくらいになった。




「な……んで向かなきゃいけないんだよ!!」
「ぅぐ…っ」


勝手に手が出てた。


清々しい程に腹パンがきまった………




「な……なんで殴るんだよ!!」
「う、うるさい!!うるさい見んな!!」




なんで………



前までこんな事、どうともなかったのに。









変に体が熱い………。










「も……もう寝る!!おやすみ!!!」
「え、は、ちょ………?!」








優馬の方は一切向かず、毛布に潜った。 




その後すぐに背中の後ろから、 







「今度絶対言うからな!!覚悟しとけよ!!?」











って……………








(覚悟って……なんだよ………!)






変に期待してしまう。

 

何か、何かがおかしい。



体が熱くて、心音がうるさくて………










(これ…じゃ、僕が、






僕が………優馬のこと、)










“好きみたいじゃん”











……………また、心音がうるさくなる。



 




(ああもう………








眠れない………!!)













しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

そんなの聞いていませんが

みけねこ
BL
お二人の門出を祝う気満々だったのに、婚約破棄とはどういうことですか?

何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。 ……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、 気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。 「僕は、あなたを守ると決めたのです」 いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。 けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――? 身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。 “王子”である俺は、彼に恋をした。 だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。 これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、 彼だけを見つめ続けた騎士の、 世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。

ある日、友達とキスをした

Kokonuca.
BL
ゲームで親友とキスをした…のはいいけれど、次の日から親友からの連絡は途切れ、会えた時にはいつも僕がいた場所には違う子がいた

薔薇摘む人

Kokonuca.
BL
おじさんに引き取られた男の子のお話。全部で短編三部作になります

彼は当て馬だから

藤木みを
BL
BLです。現代設定です。 主人公(受け):ユキ 攻め:ハルト

金の野獣と薔薇の番

むー
BL
結季には記憶と共に失った大切な約束があった。 ❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎ 止むを得ない事情で全寮制の学園の高等部に編入した結季。 彼は事故により7歳より以前の記憶がない。 高校進学時の検査でオメガ因子が見つかるまでベータとして養父母に育てられた。 オメガと判明したがフェロモンが出ることも発情期が来ることはなかった。 ある日、編入先の学園で金髪金眼の皇貴と出逢う。 彼の纒う薔薇の香りに発情し、結季の中のオメガが開花する。 その薔薇の香りのフェロモンを纏う皇貴は、全ての性を魅了し学園の頂点に立つアルファだ。 来るもの拒まずで性に奔放だが、番は持つつもりはないと公言していた。 皇貴との出会いが、少しずつ結季のオメガとしての運命が動き出す……? 4/20 本編開始。 『至高のオメガとガラスの靴』と同じ世界の話です。 (『至高の〜』完結から4ヶ月後の設定です。) ※シリーズものになっていますが、どの物語から読んでも大丈夫です。 【至高のオメガとガラスの靴】  ↓ 【金の野獣と薔薇の番】←今ココ  ↓ 【魔法使いと眠れるオメガ】

君に望むは僕の弔辞

爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。 全9話 匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意 表紙はあいえだ様!! 小説家になろうにも投稿

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

処理中です...