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いち
2 新しい友達
しおりを挟む朝ということもあって静かな住宅街。
学生達がちらほら歩いている。
そんな中、俺は……尾行していた。
「お待たせ葵君。待った?」
「い、いえ、待ってません……!」
可愛い可愛い、弟を…………
漫画みたいに電柱の後ろに隠れて、犬の散歩をしているおばさんにドン引きされながらもそれをやめない俺。
「はぁ、はぁ……それにしても、パーカーに青のランドセル、体操着袋すら愛おしい……ッ」
完全に変態である。
ーー
(……なんか、視線を感じる。)
振り向いてみたけど、誰もいない。
気の所為かな。
「葵君って難しい本読んでるよね……何読んでるの?」
彼が手に持っていた本の表紙を見てみたけど、難しい。
「これですか?これは……って、わっ…!」
「!葵君危ない……ッ!!」
こっちを見ていて小石に気付かず、転びそうになった葵君を助けようと、咄嗟に体が動いていた。
「……っ!」
「大丈夫…?葵君。」
転びそうになる葵君の腕を咄嗟にこっちまで引いて、僕を下敷きにして葵君がこっちに倒れてきた。
「す、すいません!」
「大丈夫!葵君僕より背高いのに、軽いね。」
「あんまり変わりませんよ……ううぅ……」
ーーー
(ときめいてしまった……)
俺は香月葵、昨日彼……怜君と仲良くなった。
怜君は友達のいない俺なんかに話しかけてきてくれて、天使かと思った。
ていうかときめいたっていうよりはもう、好き、好きすぎてこ〇しそう。
でそんなこと言ったら引かれるだろうから、絶対言えない秘密。
「っ……!よくもうちの可愛い弟に……!!」
……?
空耳かな…何か聞こえる。
気にせず、また歩き出した。
「……それにしても、聞いてよ~、うちの兄さん、ブラコンすぎてきつい………」
怜君にはお兄さんがいる、メモメモっと。
「そうなんですね……俺にも兄さんがいるんですけど、束縛って言うのかな……厳しくて。」
「そうなんだ……お互い大変だね。」
まあ、俺の場合は……
あの人はブラコンとかって言うよりは、異常者だ。
何度でも俺を壊しに来る、悪魔。
そんな兄が怖くて俺はろくに友達も作れず、1人で隅で本を読んでいた。
けど……怜君が話しかけてきてくれて、本当に嬉しかった。
これからもずっと仲良くしていけたら、いいな。
「……あ、そういえばさ、昨日のドラマ見た?」
「!見た、見ました……!」
昨日やっていた子供向けのドラマ。
子供からすごく人気で、見ていない人の方が珍しいくらいだ。
「あれに出演してた子役の子、いるじゃん?」
「はい、確か……日向紫乃?」
「そう!あの子僕達と同い年なんだって!すごいよね~!」
それは初耳だった。
ドラマではその子は確かメインキャラの弟役で、圧倒的な演技力を持っている。
才能ってやつなんだろうな、すごい……
「僕達もいつかあんな風になれたらいいよね!」
「それは、どうでしょうか……」
「なれるよー!なんて言うの?うな重……」
「リア充の事ですか?」
「そう、それ!」
...
「そん簡単なものじゃないですよ、あれは。」
「そうかな……」
「はい。」
リア充なんて……滅びえしまえ。
なんて思っている俺には、リア充になりたいなんて笑える話だ。
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