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いち

4 頼りがいのある男の子

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「おはよー!怜、葵!」

っ……!
びっくりした……

「よ、陽太……君。」


八代陽太。
褐色肌で眉上の前髪。
大きな赤い目の、男の子。

「2人とも仲良くなってくれて安心した!心配してたんだよー?クラスにぼっちが2人もいるから!」

この子は、明るくて活発で、そんな性格だから皆から人気のあるクラスのムードメーカー、って感じの子。

けどたまに無意識に毒舌になるんだよね……

陽太君とは葵君と友達になる前から話しかけてもらってたけど、特に友達とも呼べる仲ではなかったと思う。
だってこの子、広く浅くって感じだしね。



「陽太ー!これ運ぶの手伝ってくれない?」
「うん!いいよー!」


重そうなプリントの山を持った女子生徒が助けを求めていたから、陽太君はすぐにその子の元へ走った。


本当に……したわれる意味が分かる、あんなに優しくて仲間思いな子、クラスで浮くって方が難しい。


「……いいなぁ、僕もあんな風になりたい。」
「俺は無理かな…」



陽太君は本当に笑顔が可愛くて純粋で、あれが本当の小学3年生なのかなって、兄によって不純粋に染められた僕は思う。


「あ、そろそろ先生来ちゃう、早く鞄片付けよ!」

隣にいる葵君にそう言って、僕は黒のランドセルをロッカーにしまった。







ーーー

「陽太君、これ、お願い出来るかしら。」
「はいっ!まかせてください!」

「陽太、これ教室に持ってってくれ。」
「は、はい!」

「陽太さん、隣の席の沙絵ちゃんにこのノート渡しておいてくれるかしら?」
「はい……」




はぁ………疲れた。

(先生、皆おれに頼ってくれてる……嬉しい、嬉しい、けど。)

沙絵ちゃんのノートを持ちながら廊下をとぼとぼと歩いていた。

おれは八代陽太、皆から頼られるのが好き、好き……だけど。




「おれにも、げんど とゆーものが……」

さすがに疲れる。

おまけに広く浅くな人間関係だから、頼れる人もいない。


おれも、友達ほしいなー……



「無理、かな……」




青紫と怜君みたいな、友達がほしい。




「……おれじゃだめなのかなぁ………」




みんなに頼られてばっかりで、肝心の自分は頼めない。


……本当に、めんどくさい奴だよ、おれは。




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