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いち

6 嘘

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「…………ん…」
「おーい、大丈夫かー、涼。」


嫌いな奴の声がして、反射的に目が開いた。



目の前には……水野和樹。
俺は横になっていて、頭の下には水野和樹の膝。

「……大丈夫、か?」
「………」



どうやら、膝枕してもらってたらしい。




………よしっ








「自害する…」
「涼!?」













「……ッ、待てって…!」
手首を掴まれ、生気のない目をした俺は振り向いた。


「弟さんには教えておいたから!!!」




………





……













「……お前を殺して俺も死ぬ。」
「なんでっ…!!?」



なんでそんな嫌がらせばっかするの??




「いや……だってお前倒れた時結構目立ってたから小学生めっちゃお前のこと見てたぞ……怯えてる子もいたし、そんで弟さんらしき人に声かけられたから、素直に答えた!それだけだってば!」

………へ?



「……白髪で可愛くて美人で、青い目の138.4cmの天使みたいな子?」
「え、あ、うん、白髪だったよ。」

「……なるほど。」




死にたい……








ーーー


「兄さん……」
「はい、なんでございましょうか、怜さん。」
「さっきは何してたんですか?」
「………えっ、と」

めちゃくちゃ怒ってらっしゃる☆


まぁ、正直に言った方が身のため…だよな。
「つけてたことは正直に謝る……あ、あの、お詫びと言っちゃなんだけど……怜の好きな物なんでも作ってやるから……」

一応、ある程度料理は出来るつもりだ。

「……ココア揚げパン。」


……あ、無理☆



「……パン屋行ってきます。」
「作るんじゃないの?」
「…っ!」


絶体絶命のピンチなんだけど………



「……あ、ていうか今日…陽太と葵と遊びに行くから、まぁいいや。」
「え?」

呼び捨て?
え?え?


「…?じゃあ、公園で待ち合わせしてるから行ってくるね。」


………あーーーこれは。








(尾行するしかないようだな……っ)








ーーー

「……はぁ」
陽太と葵とわかれて、1人で家まで歩く。
(帰りたくないな……)

今日は怜と陽太と公園で遊ぶ約束をしたから、家に帰ったら「あの人」に顔を合わせないように玄関に鞄を置いて、早く家を出よう。

(顔合わすと面倒なんだよな……)


だって、「あの人」は………








「……」
静かに玄関のドアを開けて、玄関にランドセルを音を立てないように静かに置いた。
(よし、早く行こう………)

また、静かにドアを開ける。
そうしようとした、その時………




「あれ、帰ってたの?葵。」


「………ッ!!」




「あの人」に、見つかってしまった……


「う、うん……ただいま。」
目を見ずに挨拶をした。
というか、目が見れない。
元々人見知りなのもあるけど、でもこんな性格にしたのは………


「おかえり、怜。」


全部、兄のせいだ―――――




「葵、どこか行くの?」
「う、うん……」
「どこ?友達のところ?」
「ち、違うよ、図書館だよ!」

ここは、嘘をつかないといけない。


「そっか、葵に友達なんていないもんね……?」








ーーー。




「うん、いないよ……『お兄ちゃん』」






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