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勇者とバトル(後編)
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砲塔を見立てて突き出した俺の両手のひらに、キュゥゥとエネルギーが収束した後、強烈な閃光が一気に噴き出す。二本の巨大な光の柱が天を貫き、耳をつんざく爆音が周囲に響き渡る。あまりのまぶしさに目も開けていられないほどだ。
それらが収まった時、ガイオルッシュの姿は跡形も無かった。……気配も消えている。やべ、勇者を殺しちゃったかな? と俺が内心ドキドキしていると、キラキラ光る欠片が宙を舞っているのに気が付いた。
しばらくそれらを眺めていると、無数の光の粒子が一か所に集まって球体になった。そして、それがポンと弾けるとガイオルッシュの姿が現れた。どうやら神の加護とやらは無事に発動したようだ。鎧ごと復活したので、俺はこいつの裸を見ずに済んだ。
ガイオルッシュは、地面に両手をついて浅く呼吸をしている。勇者といえども、あんなものが直撃したのだからメンタルやられたかな?
俺はガイオルッシュに歩いて近づいた。
「この勝負、私の勝ちですね?」
「いっ、今のは無しだ! ちょっと油断した!」
「さっきの魔法、まだ何発も撃てるのですが、もう一度試してみますか?」
俺はガイオルッシュに手のひらを向けて軽く脅すと、ガイオルッシュは顔を青くしてうろたえる。
「待て! 待ってくれ! 分かった、君の勝ちでいい! 昨日のことも水に流そう! だから、手を下ろしてくれ!!」
ガイオルッシュが涙目で懇願するので、俺は手を下ろした。
周囲の人々の様子を見回すと、腰を抜かしたのか座り込んでいる人や、大口を開けて呆けている人がいる。ツインバスターライフルの威力にビビったんだろうな。俺自身も結構ビビったし。
しばらく周囲はざわついていたが、偉そうなおじさん騎士が仕切ってその場は解散となった。その場にいた者は皆、訓練場から逃げるように去って行く。
ガイオルッシュも取り巻きの女の子に支えられて、訓練場から出て行った。俺はレミリナにとある部屋に通され少し待つように言われた。
しばらく待っていると、レミリナが部屋に入ってきた。俺は無罪放免だと告げられたが、解放する手続きがどうとか言って、今日は騎士団の詰め所からは出られないようだ。
「またあの留置場に泊まるの?」
「いえ、あなたは罪もない善良な冒険者です。今夜は私の部屋に泊まってください」
「え、いいの!? やったー!」
「ふふ、喜んでもらえたのなら私も嬉しいです。そろそろいい時間なので、昼食にしましょう」
* * *
レミリナと一緒に騎士団詰め所の食堂に来た。大勢の騎士たちがいるな。レミリナと俺も他の人と同様に並んで、トレイに乗せられた料理を受け取り、空いているテーブルに着いた。
俺は食事をしながら、思っていた疑問を口にしてみた。
「エロくてセクハラ野郎でも、勇者ってやっぱり特別な存在なの?」
「キングの名を冠するモンスターと戦えるのは、異世界から召喚された勇者のみですからね」
異世界から召喚された勇者、だと? 非常に興味が惹かれる話だ。
「でもあの勇者、大して強くなかったよ?」
「そんなことをサラッと言えてしまう、バランセが強すぎるんですよ」
そう言ってレミリナはクスリと笑う。そしてすぐに真面目な顔に戻って続けた。
「確かに純粋な強さだけなら、騎士団長やバランセの方が強いでしょうね。でも、この世界の人間では、キング種の持っているスキル『魔王覇気』にあてられると能力が大幅に低下し、まともに戦うことすらできなくなります。異世界の勇者には『魔王覇気』が効きませんから、勇者ガイオルッシュ殿はキング種と戦える貴重な戦力なのです」
「だから、あんなセクハラ勇者でも、ぶん殴ったらだめなんだね」
「そうです。勇者への無礼は王族への無礼とほぼ同等に扱われます。今後は気を付けてくださいね」
「はーい」
多分、揉まれたらまたブッ飛ばすけどね。それにしても異世界の勇者と魔王覇気か……。俺は異世界人枠なのだろうか、それともこの世界の人間枠なんだろうか? いつか試してみたいところだな。
* * *
食事を終えて、レミリナについて歩いている。
「そうそう、言い忘れていましたが、今から騎士団長と会ってもらいます」
「えー、偉い人と会うの嫌だなぁー」
俺が渋ると、レミリナは「そう言わずにお願いします」と、俺の手をギュっと握るので仕方なくついて行くことにする。
しばらく歩くと、とある部屋の前でレミリナは立ち止まる。騎士団長の執務室だろうか?
レミリナがノックをして「レミリナです。バランセ殿をお連れしました」と言うと、中から「どうぞ」と聞こえたのでレミリナと俺は室内に入った。
部屋の中で立っている大人な雰囲気の美人さんが、ニコリと俺に微笑む。こんな綺麗な人が騎士団長だったんだ……
「モルジアスの守護を任されている、緋竜騎士団団長のルディアナです」
「はじめてお目にかかります。冒険者のバランセと申します。よろしくお願いいたします」
偉い人を前にすると緊張するよなぁ、つい前世のビジネススタイルな挨拶が出てしまった。するとルディアナさんは優しく微笑んでくれた。
「そんなにかしこまらなくてもいいんですよ。大きな声では言えませんが、私もあの勇者の態度には辟易していました。あなたが勇者をのしてくれてスカッとしたのですから」
頭ごなしに怒られるわけでは無さそうだ。では何の用で呼ばれたんだ?
「バランセ。あなたは騎士になる気はありませんか?」
いきなり名前を呼び捨てられてドキッとするが、別に悪い気はしない。それよりも……。
「騎士……ですか?」
「友人のリンゼさんも一緒にどうでしょう。騎士団の一員になれば毎日レミリナとも一緒に過ごすことができますよ」
「私は規律とか嫌なんですけど……」
「騎士団長の権限で、極力自由に行動できるように計らいましょう。給料は月額三千万コル。もちろん福利厚生も充実ですよ! あっ、住むところもバランセが気に入るような屋敷を騎士団が手配します」
俺にとって好条件すぎるな。ルディアナさんは、なぜそうまでして俺を騎士団に入れたいのだろうか? なんか必死な感じがするのも胡散臭いなぁ……。俺は自由気ままな冒険者暮らしが気に入っているし断るか。
俺が「お断りします」と頭を下げると、ルディアナさんは涙目になって「お断りしないで下さいよー!」と俺に縋る。
「なんで私を騎士団に入れたいんですか?」
「なんでって、そんなの決まっているでしょ? バランセがでたらめに強いからです。あなたほどの強者を放っておけません。あなたの異常な威力の魔法は多くの人が見ていたし、それを国王にも報告しないといけないんです!」
「は、はぁ……」
「勇者は国王にバランセのことを報告をするはずです。そうすれば国王は騎士団にバランセのことを確認するでしょう。その時に、騎士団が超絶戦力を有する人物に何も対処せずに放置したなんて、国王に報告できるはずありません! 私の苦しい立場を少しは理解してくださいよー」
「そんなこと言われたって……」
「そんなこと言われたって何ですか!? 勇者を秒殺するような力を、大勢の前で披露するあなたがいけないんですよ!? バランセにその気が無かったとしても、その強さは国にとって脅威なんです!」
まるで駄々をこねるように、まくしたてるルディアナさん。言いたいことは分からなくもないが、それでも俺は騎士団に入る気はない。
「でもお断りします」と俺は再び頭を下げる。それでも、ルディアナさんは「どうしても嫌ですか?」と食い下がるので、俺は「どうしても」と返した。
すると、ルディアナさんの雰囲気が変わる。俺は即座に後ろに跳んで、防御態勢を取った。
「ならばあなたには死んでもらいます。国にとっての脅威の種は摘んでおかねばなりません」
ルディアナさん剣を抜いて、俺に攻撃的な気迫を叩きつける。さっきまでの緩い雰囲気が嘘のようだ。この部屋の空気がズッシリと重くなったように感じる。
へー、これが騎士団長の剣気か。さすがにすさまじいな……、ゴブリンジェネラルなど足元にも及ばない。
でも、なんか、勝てそうじゃね? よし、やってみるか。ゼロ、PS装甲、Iフィールド起動! 武器は……、まずはビームサーベルでやってみるか。シールドは……なくてもいいか。
ブゥゥン。俺はビームサーベルを右手に出して、半身で構える。もし俺のイメージ通りの騎士団長なら、人間サイドの最高戦力のはずだ。これはかなり楽しめそうだ。
数秒見合った後、ルディアナさんは俺に向けていた切っ先を床に向けて「はぁー」と深くため息をついた。同時に、部屋に満ちていた重いプレッシャーも消えて無くなった。
「なんでバランセは、殺気全開の私を前にして、そんな風に笑っていられるんですか……レミリナ、あなたもバランセに何とか言ってくださいよ!」
「騎士団長……。申し上げたではありませんか。バランセは騎士団に入れることも、力で押さえつけることも出来ないと」
「……そうでしたね。ならば、仕方ありません。バランセを騎士団の監視下に置きます。レミリナにバランセの監視を命じます」
はい? どゆこと? 俺は意味が分からずレミリナの顔を見た。
「バランセは今まで通りでいいんですよ。ただし、今後は私が定期的にあなたに会いに行くということです」
「うん? それならむしろ嬉しいけど」
「ではこれを持っていてください」
レミリナが、スマホサイズの魔映鏡を俺に手渡すので受け取る。
「ふふっ。これでいつでもバランセと連絡を付けられますね」
レミリナは嬉しそうに微笑んだあと、クルリとルディアナさんに向く。
「それでは騎士団長。失礼いたします」
「はい、お疲れ様ー。私はバランセの件をどうやって報告するかで、今日もきっと残業ですけどねー」
ルディアナさんは恨めしそうに俺を見たので、俺は苦笑いしつつ目を逸らして、騎士団長の執務室から出てきた。
「レミリナ、なんかごめんね……」
「気にしないでください。バランセならきっと断ると思っていましたから。そんなことよりも、私の部屋に案内するので、付いてきてください」
「あっ、行く行くー!」
俺は弾むような気持で、レミリナについて行くのだった。
それらが収まった時、ガイオルッシュの姿は跡形も無かった。……気配も消えている。やべ、勇者を殺しちゃったかな? と俺が内心ドキドキしていると、キラキラ光る欠片が宙を舞っているのに気が付いた。
しばらくそれらを眺めていると、無数の光の粒子が一か所に集まって球体になった。そして、それがポンと弾けるとガイオルッシュの姿が現れた。どうやら神の加護とやらは無事に発動したようだ。鎧ごと復活したので、俺はこいつの裸を見ずに済んだ。
ガイオルッシュは、地面に両手をついて浅く呼吸をしている。勇者といえども、あんなものが直撃したのだからメンタルやられたかな?
俺はガイオルッシュに歩いて近づいた。
「この勝負、私の勝ちですね?」
「いっ、今のは無しだ! ちょっと油断した!」
「さっきの魔法、まだ何発も撃てるのですが、もう一度試してみますか?」
俺はガイオルッシュに手のひらを向けて軽く脅すと、ガイオルッシュは顔を青くしてうろたえる。
「待て! 待ってくれ! 分かった、君の勝ちでいい! 昨日のことも水に流そう! だから、手を下ろしてくれ!!」
ガイオルッシュが涙目で懇願するので、俺は手を下ろした。
周囲の人々の様子を見回すと、腰を抜かしたのか座り込んでいる人や、大口を開けて呆けている人がいる。ツインバスターライフルの威力にビビったんだろうな。俺自身も結構ビビったし。
しばらく周囲はざわついていたが、偉そうなおじさん騎士が仕切ってその場は解散となった。その場にいた者は皆、訓練場から逃げるように去って行く。
ガイオルッシュも取り巻きの女の子に支えられて、訓練場から出て行った。俺はレミリナにとある部屋に通され少し待つように言われた。
しばらく待っていると、レミリナが部屋に入ってきた。俺は無罪放免だと告げられたが、解放する手続きがどうとか言って、今日は騎士団の詰め所からは出られないようだ。
「またあの留置場に泊まるの?」
「いえ、あなたは罪もない善良な冒険者です。今夜は私の部屋に泊まってください」
「え、いいの!? やったー!」
「ふふ、喜んでもらえたのなら私も嬉しいです。そろそろいい時間なので、昼食にしましょう」
* * *
レミリナと一緒に騎士団詰め所の食堂に来た。大勢の騎士たちがいるな。レミリナと俺も他の人と同様に並んで、トレイに乗せられた料理を受け取り、空いているテーブルに着いた。
俺は食事をしながら、思っていた疑問を口にしてみた。
「エロくてセクハラ野郎でも、勇者ってやっぱり特別な存在なの?」
「キングの名を冠するモンスターと戦えるのは、異世界から召喚された勇者のみですからね」
異世界から召喚された勇者、だと? 非常に興味が惹かれる話だ。
「でもあの勇者、大して強くなかったよ?」
「そんなことをサラッと言えてしまう、バランセが強すぎるんですよ」
そう言ってレミリナはクスリと笑う。そしてすぐに真面目な顔に戻って続けた。
「確かに純粋な強さだけなら、騎士団長やバランセの方が強いでしょうね。でも、この世界の人間では、キング種の持っているスキル『魔王覇気』にあてられると能力が大幅に低下し、まともに戦うことすらできなくなります。異世界の勇者には『魔王覇気』が効きませんから、勇者ガイオルッシュ殿はキング種と戦える貴重な戦力なのです」
「だから、あんなセクハラ勇者でも、ぶん殴ったらだめなんだね」
「そうです。勇者への無礼は王族への無礼とほぼ同等に扱われます。今後は気を付けてくださいね」
「はーい」
多分、揉まれたらまたブッ飛ばすけどね。それにしても異世界の勇者と魔王覇気か……。俺は異世界人枠なのだろうか、それともこの世界の人間枠なんだろうか? いつか試してみたいところだな。
* * *
食事を終えて、レミリナについて歩いている。
「そうそう、言い忘れていましたが、今から騎士団長と会ってもらいます」
「えー、偉い人と会うの嫌だなぁー」
俺が渋ると、レミリナは「そう言わずにお願いします」と、俺の手をギュっと握るので仕方なくついて行くことにする。
しばらく歩くと、とある部屋の前でレミリナは立ち止まる。騎士団長の執務室だろうか?
レミリナがノックをして「レミリナです。バランセ殿をお連れしました」と言うと、中から「どうぞ」と聞こえたのでレミリナと俺は室内に入った。
部屋の中で立っている大人な雰囲気の美人さんが、ニコリと俺に微笑む。こんな綺麗な人が騎士団長だったんだ……
「モルジアスの守護を任されている、緋竜騎士団団長のルディアナです」
「はじめてお目にかかります。冒険者のバランセと申します。よろしくお願いいたします」
偉い人を前にすると緊張するよなぁ、つい前世のビジネススタイルな挨拶が出てしまった。するとルディアナさんは優しく微笑んでくれた。
「そんなにかしこまらなくてもいいんですよ。大きな声では言えませんが、私もあの勇者の態度には辟易していました。あなたが勇者をのしてくれてスカッとしたのですから」
頭ごなしに怒られるわけでは無さそうだ。では何の用で呼ばれたんだ?
「バランセ。あなたは騎士になる気はありませんか?」
いきなり名前を呼び捨てられてドキッとするが、別に悪い気はしない。それよりも……。
「騎士……ですか?」
「友人のリンゼさんも一緒にどうでしょう。騎士団の一員になれば毎日レミリナとも一緒に過ごすことができますよ」
「私は規律とか嫌なんですけど……」
「騎士団長の権限で、極力自由に行動できるように計らいましょう。給料は月額三千万コル。もちろん福利厚生も充実ですよ! あっ、住むところもバランセが気に入るような屋敷を騎士団が手配します」
俺にとって好条件すぎるな。ルディアナさんは、なぜそうまでして俺を騎士団に入れたいのだろうか? なんか必死な感じがするのも胡散臭いなぁ……。俺は自由気ままな冒険者暮らしが気に入っているし断るか。
俺が「お断りします」と頭を下げると、ルディアナさんは涙目になって「お断りしないで下さいよー!」と俺に縋る。
「なんで私を騎士団に入れたいんですか?」
「なんでって、そんなの決まっているでしょ? バランセがでたらめに強いからです。あなたほどの強者を放っておけません。あなたの異常な威力の魔法は多くの人が見ていたし、それを国王にも報告しないといけないんです!」
「は、はぁ……」
「勇者は国王にバランセのことを報告をするはずです。そうすれば国王は騎士団にバランセのことを確認するでしょう。その時に、騎士団が超絶戦力を有する人物に何も対処せずに放置したなんて、国王に報告できるはずありません! 私の苦しい立場を少しは理解してくださいよー」
「そんなこと言われたって……」
「そんなこと言われたって何ですか!? 勇者を秒殺するような力を、大勢の前で披露するあなたがいけないんですよ!? バランセにその気が無かったとしても、その強さは国にとって脅威なんです!」
まるで駄々をこねるように、まくしたてるルディアナさん。言いたいことは分からなくもないが、それでも俺は騎士団に入る気はない。
「でもお断りします」と俺は再び頭を下げる。それでも、ルディアナさんは「どうしても嫌ですか?」と食い下がるので、俺は「どうしても」と返した。
すると、ルディアナさんの雰囲気が変わる。俺は即座に後ろに跳んで、防御態勢を取った。
「ならばあなたには死んでもらいます。国にとっての脅威の種は摘んでおかねばなりません」
ルディアナさん剣を抜いて、俺に攻撃的な気迫を叩きつける。さっきまでの緩い雰囲気が嘘のようだ。この部屋の空気がズッシリと重くなったように感じる。
へー、これが騎士団長の剣気か。さすがにすさまじいな……、ゴブリンジェネラルなど足元にも及ばない。
でも、なんか、勝てそうじゃね? よし、やってみるか。ゼロ、PS装甲、Iフィールド起動! 武器は……、まずはビームサーベルでやってみるか。シールドは……なくてもいいか。
ブゥゥン。俺はビームサーベルを右手に出して、半身で構える。もし俺のイメージ通りの騎士団長なら、人間サイドの最高戦力のはずだ。これはかなり楽しめそうだ。
数秒見合った後、ルディアナさんは俺に向けていた切っ先を床に向けて「はぁー」と深くため息をついた。同時に、部屋に満ちていた重いプレッシャーも消えて無くなった。
「なんでバランセは、殺気全開の私を前にして、そんな風に笑っていられるんですか……レミリナ、あなたもバランセに何とか言ってくださいよ!」
「騎士団長……。申し上げたではありませんか。バランセは騎士団に入れることも、力で押さえつけることも出来ないと」
「……そうでしたね。ならば、仕方ありません。バランセを騎士団の監視下に置きます。レミリナにバランセの監視を命じます」
はい? どゆこと? 俺は意味が分からずレミリナの顔を見た。
「バランセは今まで通りでいいんですよ。ただし、今後は私が定期的にあなたに会いに行くということです」
「うん? それならむしろ嬉しいけど」
「ではこれを持っていてください」
レミリナが、スマホサイズの魔映鏡を俺に手渡すので受け取る。
「ふふっ。これでいつでもバランセと連絡を付けられますね」
レミリナは嬉しそうに微笑んだあと、クルリとルディアナさんに向く。
「それでは騎士団長。失礼いたします」
「はい、お疲れ様ー。私はバランセの件をどうやって報告するかで、今日もきっと残業ですけどねー」
ルディアナさんは恨めしそうに俺を見たので、俺は苦笑いしつつ目を逸らして、騎士団長の執務室から出てきた。
「レミリナ、なんかごめんね……」
「気にしないでください。バランセならきっと断ると思っていましたから。そんなことよりも、私の部屋に案内するので、付いてきてください」
「あっ、行く行くー!」
俺は弾むような気持で、レミリナについて行くのだった。
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アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
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