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第三章
第二十六話 底知れぬ増悪の果て
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フィットネスの建物から爆音と共に白煙が一斉に吹き出し、ビル周辺に充満する。
「なんだ!?」
フェイクリーダーは反射的に身をかがめ、身構えながら爆音の方向に身体を向ける。視界はみるみるうちに白一色に埋め尽くされていく。
小さな影が飛び出してきたのは、フェイクリーダーの真横からだった。白煙の尾を纏いながら一直線に迫った影は、刀身が霞むほどの速さで剣を横薙ぎに叩きつけた!
不意の一撃を逆手で握った[ヴァイジクス]で防いだものの、突進の勢いは彼の体を宙に浮かせ、衝撃に通りの反対まで吹き飛ばされる。
フェイクリーダーは両足を踏ん張り制動をかけると、白煙から現われた彼女――アオイと通りを挟んで対峙する。
見るとアオイはは全身ボロボロの有り様。上半身のプレートアーマーは所々が欠け、亀裂が走っている。下半身のスカートアーマーも同様で、残っている箇所も少ない。唯一、両腕のガントレットだけはかろうじて原型を留めていた。
そしてその下の衣服すらも焦げ落ち、肩や背中、太腿といった露出した箇所からは爆発の影響によるものなのか、かなりの範囲に渡って火傷のような跡を晒して見るも痛々しい。髪を止めていたリボンも千切れたのか、後ろ髪がほつれ乱れてしまっており、正に満身創痍といった様相である。
「レンに触れるな」
ビッと切っ先を突きつけ、アオイは言い放つ。射殺さんばかりの眼光と全身から発せられるそのプレッシャーは、フェイクリーダーが思わず数歩後退った程だ。
「あ、あああ、アオイ?!どどどど、どうしたのその傷は?それにどうやってあの氷漬けから?」
「レンの声が聞こえて、無我夢中だった。何が起こったのか、私もよくわからん」
慌てふためく僕とは対照的に、アオイは落ち着いてフェイクリーダーを見据えたまま至極簡潔に答える。
アオイの手元に目を向けると、[ベルカ]の刀身が軋むような音を上げて仄かな光を発し、柄のドライブからは明らかな異音を響かせながら時折火花を弾けさせていた。
思い出すのは、ブライン戦終盤で見せた[ベルカ]の異常。あの時とまさに同じだ。
ここにきて[ベルカ]が本格的に異常をきたしたのか。その証拠に、間近にいるアオイからは白い煙がまるでオーラのように立ち上り、触れれば火傷しそうなほどの熱気が立ち上っている。
一体何が起きたのか。
これは推測だが、[ベルカ]の粒子変換が限界に達し、何かをきっかけ――例えばアオイの意志に反応し、意図しない形で〈L粒子〉が放出されたのだと思われる。剥き出しのエネルギー体がプールの氷を一瞬にして蒸発させ、水蒸気爆発を起こしたのだ。
僕の計算が正しければ〈L粒子〉が内包するエネルギーは理論上、あのプールの水程度なら一瞬で蒸発させて余りあるはずだ。その異常がアオイの窮地を救ったのは皮肉な話だ。
気がかりなのは、この現象が異常の結果なのか、あくまで予兆に過ぎないのかだが……
「だ、大丈夫なの!?意識はちゃんとある?痛みは?どこが痛む?」
「心配しすぎだ!私はいい。それよりレンこそ大丈夫なのか?」
アオイに指摘されて思い出すとともに、今更になって傷が脳に痛みを伝え、ともすればその場で倒れて悶絶しそうになる。
「……アオイに比べれば全然大丈夫だよ。こういうのは慣れてないから、ちょっとびっくりしただけ」
心配させないよう僕は微笑みかけながら気丈に振舞う。でも、額には油汗が滲み、笑みもひきつってしまいうまくいかない。
アオイは血に濡れた僕の脇腹を横目で見つめ、一瞬だけ悲痛な表情をする。僕の痩せ我慢を察し、しかしそれ以上は言及せずに視線を前方に戻した。
「奴に、レンに手を出したことを、死ぬほど後悔させてやる」
目を細め、前方のフェイクリーダーを睨んだアオイ。彼女の後ろ髪が、溢れ出る怒気を受けてぶわりとなびく。
と、アオイの姿が突如霞と消える。かつて無いほどの速度で一気にフェイクリーダーへと迫っていた。
その前方をコンクリートの路面を粉砕して現われた無数の水流がアオイの行く手を遮る。間欠泉のように路面から無数に吹出す水流のうねりは一斉にアオイに殺到するも、その凄まじい速度に追従できず、すべて空振りに終わる。
距離を縮めてくるアオイにフェイクリーダーは間合いの外から剣を振るった。刀身から放たれるは、氷の弾丸。
輝きを放ちながら迫り来る無数の氷の弾丸を、アオイは凄まじい剣捌きでその全てを叩き落としてみせた。正確に一つ一つを切る度に氷の砕ける軽やかな音色が響き、アオイの通った後には削氷で白い道ができていた。
そのアオイの周囲に突如吹き荒れる白銀の嵐。細かな氷がダイアモンドダストとなってアオイを包み込んだ。これを可能としているのは[ヴァイジクス]を生み出したゼークト・インダストリー社の技術なのか、フェイクリーダーの能力の技巧なのかはわからないが、その繊細な芸当には舌を巻く。
渦巻く氷霧に視界を一瞬奪われるアオイ。その隙を突き、細氷を弾きながら迫り来るのは、氷の槍。先程の氷の弾丸よりも径は倍以上に太く、一メートルほどの長さを持つ氷槍が、唸りを上げて飛来する。
空気を圧し潰す音だけでこれに反応したのはさすがだが、わずかに間に合わなかった。かろうじて剣で軌道を逸らすも、氷槍は肩を半ばまで貫いた。
衝撃に大きく仰け反るも、「ぬアァ!」と獣めいた雄叫びと共に突き刺さった氷柱を乱暴に引き抜き、尚も力強く踏み出す。
アオイの覇気は萎えるどころか、怒気をも滲ませてなお溢れ出る。もはや彼女の足を止めるものは無いと思わせる迫力があった。
一足でトップスピードに乗ると、今度は建物の屋根や壁を足場にした立体的な機動を織り交ぜる。
速い。
今のアオイは、かつてないまでの速度に達していた。姿すら霞んで見えるアオイの後ろで氷槍が路面に突き刺さり、圧縮された水流が街灯や電柱を真っ二つにへし折る。彼女の速度に、攻撃が追いついていない。
――しかしやはり、それを見て両手で喜ぶ気にはなれない。むしろ、言いしれぬ不安が胸の内を過る。
雑居ビルの壁面を強く蹴ったアオイ。柄尻に掌を添え、切っ先を突き出した構えでフェイクリーダーの頭上から襲いかかる。
瞬く間に迫るアオイの身は、しかし、轟音を立ててせり出した氷壁に激突して阻まれる。
地面を突き破り現れた氷壁を睨みながら飛び越えるか、回り込むかを逡巡するアオイ。
その一瞬の合間に、氷壁は内側から爆ぜ砕けた。
動きの止まったアオイを狙いすましたかのように、氷壁を突き破って氷の杭が打ち込まれた。
幸い、直前に飛び退いて間一髪回避したものの、フェイクリーダーとの間合いは再び大きく開かれてしまった。
決死の突撃も虚しく、再び振り出しに戻されアオイは悔しげに歯噛みする。フェイクリーダーは徹底してアオイとの接近戦を避け、能力によるアドバンテージでアオイをじわじわと弱らせていく作戦のようだ。
悔しいが、合理的な判断だ。
粒子の加護を取り戻しても、基本的にアオイには剣による斬撃以外に攻撃の手段は持ち合わせていない。奴からすれば、無理に相手の間合いに合わせる必要はないのだ。
(このままじゃまずい……!)
激しい闘志を見せてはいるが、僕の見立てではもう数分と戦ってはいられないはずだ。今この状況で長期戦となればアオイの命に関わってくる。
[ベルカ]の変調が粒子変換効率にも影響を及ぼしているなら、今のアオイの身体には常時以上に負荷がかかっているのは間違いない。
一方で、傷の回復が遅々として進んでいない。先程の爆発による火傷も貫かれた傷も、持ち前の自然回復のみでなんとか行われており、粒子治癒力が目に見えて落ちていた。
(一刻も早く決着をつけなくちゃ、取り返しの付かないことになる……!)
戦場に異変が生じたのはその時だった。
なんとか接近を試みるアオイを牽制していた長大な水の鞭。大蛇の如き長大なそれが、みるみるうちにか細くなっていった。
フェイクリーダーに、ほんの僅かだが動揺を見て取れた。
「よぉ!待たせたな!」
「クロウ!」
僕の背後から意気揚々と現れたのは、クロウだ。
「言われたとおり、全部の水門を開けてきた。動かないのもいくつかあったが、そこはオレ様の拳でぶち壊してやったぜ」
へへっと自慢気に力こぶを作ってみせる。今だけはそんな無茶も心強い。
「レン。どういうことだ」
「別になんてことはないよ。この辺一帯の水を流しきっただけさ」
異変を感じ取ったアオイがレシーバー越しに問いかけてくる。
僕が大本の水路の門を閉鎖し、この区域に流れ込む水を断つ。そしてクロウは水路の下流にある水門を残らず開放して回ったのだ。結果、水量は時間毎に減っていった。無論、普通ならこんな短時間に全て流し切ることはできないのだが、フェイクリーダーの能力による消費水量を計算すれば、けっして不可能ではなかった。
潜在力を消費・変換して能力を行使するアオイやケイン君とは違い、フェイクリーダーの能力は操作対象である水、ないし液体がその場になければ発動させられない。
これはこの類の能力の、最大の弱点である。
見たところ再び氷を水に戻す術も、飛沫になった細かな水や地面に吸収された水を集める技術も無いと推測される。そうでなければわざわざ水源までアオイを誘き出さずとも、極論、空気中の水分を集めて能力を行使することも可能なはずだからだ。
そしてここは打ち捨てられた廃都だ。他に水源も無い。もはや戦闘で有効な水量はこの周辺には皆無だ。
「アイツが使えるのは、もうそこにある僅かな水だけだ!」
「……だそうだ。もうお前の水芸は見飽きたとさ」
切っ先とともに言葉を突き付けるアオイ。
マスクに覆われたフェイクリーダーがどんな表情をしているのか分からない。だが、わずかに残る水を集結させ周囲に展開してるところを察するに、少なくとも降参して投降するつもりはなさそうだ。
二人は同時に地面を蹴り、正面から激突。刃と刃をぶつけ、噛み合う鋼の音が廃都に木霊する。互いを至近距離で睨んだのも一瞬、体躯で勝るフェイクリーダーはアオイを腕力だけで強引に押し飛ばす。抗いきれず軽い身体を持っていかれたアオイは、そのまま建物の塀に背中をぶつけ、息をつまらせる。そのアオイ目掛け突き出された長剣はしかし、背後のコンクリート塀だけを粉々に砕いた。
粒子の残滓だけを残し、アオイは超高速でフェイクリーダーの脇に回りこんでいた!
引き絞るように体を捻り、鋭い斬撃が放たれる。
気配を察知したフェイクリーダーは体を旋回させ、コンクリートを砕きながら剣を力強く振り払った。
夕陽を反射し、交錯して煌めく二つの刃。
一瞬の間を置いてアオイは肩から、フェイクリーダーは脇腹から。同時に鮮血を吹き出させる。
互いの血を浴びながら弾かれるように離れたのもほんの一刹那。二人の間でうねる闘気の渦は、すぐに両者を引き寄せる。
高速で横に払ったフェイクリーダーの刃を、アオイはぐんっと身を沈ませて回避。さらに低く伏せたその姿勢から伸び上がるように、鋭角の弧を描く素早い斬撃を送り込む。特殊繊維で編み込まれたベストごとフェイクリーダーの胸元を真一文字に切り裂く。
飛び散る血の飛沫を顔に浴びながらアオイはさらに踏み込み、真下から切っ先を送り込む。最短で顎を貫くコースの刺突だったが、この時すでにフェイクリーダーの体は滑るように後方に流れていた。
剣を引き戻し、即座に追撃を――と思われたが、以外にもアオイは慌てたように飛び退って距離を取る。
路上にはアオイの軌道を示す朱の線が引かれる。見ればアオイの引き締まった太ももに裂傷が走り、色白の足を噴き出た鮮血が彩っていた。
目を凝らせば、細い氷の針が地面から突き出し、アオイの血で濡れていた。
もしあのまま深追いすれば、体を貫かれていたかもしれない。
追い詰められてなお、油断ならない相手だ。
フェイクリーダーは片手で素早く腰後ろのサブマシンガンを抜き、アオイに向けて掃射。
無論、今更こんな物が通用するアオイではない。
夕闇の中で銃火を明滅させ、フルオートでばら撒かれる弾丸。それらを見切り、掻い潜りながら弾丸よりも速い速度で間合いを一気に詰める。
掬い上げる一撃でサブマシンガンの銃身を一刀両断に切り飛ばすも、手応えが軽い。この時既に射手はグリップを手放し後方に大きく跳躍した後だった。
一連の行動の全ては、このためであったと理解する。
完全に間合いの外から、フェイクリーダーは[ヴァイジクス]を突き出す。
その瞬間、剣に纏わせた水が刀身の数倍にもなって高速に伸びていく。その先端は回転しながら、無数の氷の刃を形成。
さながら掘削機のごとき姿で、アオイのみをすり潰さんと迫り――そして左右に分かれて勢いを失った。
「もう見飽きたって、言っただろ」
その声はフェイクリーダの眼前から。
水流を切り裂きながら、瞬きの間にその距離を渡った。
もはや高速という言葉すら当てはまらない。もはや瞬間移動に等しい。
間合いの内に飛び込んできたアオイに、フェイクリーダーは初めて明確な驚嘆を見せた。驚愕に見開かれた眼は、不屈の闘志を抱いた碧の双眸とぶつかった。
我に返り、[ヴァイジクス]を振りかぶるも、遅い。
すでに繰り出された[ベルカ]の刃は、袈裟斬りで肩口から入り防刃仕様のベストをやすやすと突き抜けてフェイクリーダーの上半身を切り裂き、反対側へと抜けていった。
よろめき後ろに下がったフェイクリーダー。吹き出す鮮血は盛大に宙を舞い、辺り一面を夕日と同じ色に染め上げた。
「ごふっ!」
吐血したと思われるくぐもったうめき声をマスク越しに漏らす。
肩で息をしそれを見据えるアオイの周囲には〈L粒子〉の残滓が踊る。
粒子加速をも上回る、超加速――[ベルカ]に生じだアクシデントが、この難敵に勝利できた決め手になるとは。
「アオイ、大丈――!」
駆け寄ろうとする僕を片手で制し、待ったをかける。アオイの視線はまだフェイクリーダーへと向けられていた。見れば、フェイクリーダは倒れることも崩れ落ちることもなく、震える両足を叱咤して尚もそこにいた。まるでまだ戦いは続いていると言わんばかりに。
「もうやめとけ。死ぬぞ」
短く警告するアオイの言葉は正しい。壊れた蛇口のように血は今も流れ出、足元の血だまりはどんどん広がっていく。傷は内臓にまで至っているはずだ。仮に彼が勇者だとしても、戦闘の継続が不可能なのは誰の目からも明らかである。
しかし、フェイクリーダーの目は闘志を失っておらず、憎悪すら籠った視線でアオイを射抜いていた。
一体何が、彼をそこまでさせるのか。
「もうやめてください!命を奪うつもりはありません!だから降伏――」
「忌々しい勇者どもめ」
初めて聞く彼の肉声は、背筋が凍るほどの悪意と増悪に満ちていた。
「俺はお前たちをけっして許さない……!」
マスク越しに見せる、狂気にも似た眼差しはアオイだけに向けられていた。
そして、彼はおもむろに、握っていた剣で己を貫いた。
苦痛のうめきを漏らし、ついに血溜まりに膝を屈する。それでも倒れることは許さず、視線はただアオイだけを睨み続けていた。
そこではたと気付く。
血が出ていない。
貫いた剣に一滴も血が付いていない。ばかりか、先程まで傷口から溢れ出ていた血すらも、静止画かのようにピタリととまっている。
傷が塞がったわけではない。
よくよく見れば血が傷口に留まっていた。理に逆らい、まるで何かの意志に従うかのように――
「……地獄に落ちろ、勇者」
彼がかすれた声でそう呟くのと、とっさにアオイが僕の手を取り半ば投げるように後ろに引いたのは同時だった。
次の瞬間、フェイクリーダーの身は、内側から爆ぜた。
一瞬にして衣服や装備を突き破り、大小無数の赤黒い氷柱が突き出る。
放たれた無数の氷の槍は、その全てがアオイに向けられていた。
「アオイ!」
尻餅をついていた僕は、這いつくばってアオイのもとに駆け寄る。
氷柱は二の腕、腹部、腿などに深々と突き刺さっていたものの、胸部、腰部は鎧の装甲を貫いただけに留まる。頭部も腕で庇っており、致命傷だけは免れていた。
「今日だけで何回私の名前を叫ぶんだお前は」
「……それだけアオイが僕を心配させてるんだよ」
「レンは心配症すぎるんだ。ハゲるぞ?」
「そうなる前に寿命が縮んで死んじゃうよ」
ひとまず安心した僕は改めてそれに目を向ける。
人の形を失い、赤い棘の塊となったフェイクリーダー。亡骸と呼ぶには、元が人間であったことを示す要素が何もない。
クロウは警戒しながら、その氷塊をまじまじと見つめていた。
「おいレン。こいつは……」
「ああ。自分の血液を最後の武器にしたようだね」
血液が能力の対象ということは僕も思い至らなかった。仮に知っていたとしても、自身の命を引き換えにしてまで行使するなど、誰が想像できただろう。
「くそったれが。そんなにテメェの負けが認められなかったのかよ」
クロウが吐き捨てるように言うが、真意のほどはわからない。ただ単に自分の正体につながる痕跡を消すためだったのかもしれない。
そして今際の際に残した彼の鬼気迫る言葉を思い出すと、物言わぬ血の氷塊から怨念めいたものすら感じ、戦慄に背筋が冷たくなる。
何はともあれ、戦いは終わった。
と、僕の目の前でアオイは糸が切れたようにその場で脱力する。
「わっ!ととと。だ、大丈夫?」
地面に突っ伏しそうになるアオイを間一髪で慌てて抱き抱える。
「ちょい疲れた」
「お疲れ様、アオイ。後のことは僕にまかせて、少し休んで」
僕の腕の中でコクっと頷くアオイはその場に座り込むと、気を失うように眠りについた。
――今回もまた、アオイの身に多大な負荷がかかった。
そのおかげで勝つことはできたけれど、これが及ぼす影響は計り知れない。
これが致命的なことにならなければいいけれど……
「なんだ!?」
フェイクリーダーは反射的に身をかがめ、身構えながら爆音の方向に身体を向ける。視界はみるみるうちに白一色に埋め尽くされていく。
小さな影が飛び出してきたのは、フェイクリーダーの真横からだった。白煙の尾を纏いながら一直線に迫った影は、刀身が霞むほどの速さで剣を横薙ぎに叩きつけた!
不意の一撃を逆手で握った[ヴァイジクス]で防いだものの、突進の勢いは彼の体を宙に浮かせ、衝撃に通りの反対まで吹き飛ばされる。
フェイクリーダーは両足を踏ん張り制動をかけると、白煙から現われた彼女――アオイと通りを挟んで対峙する。
見るとアオイはは全身ボロボロの有り様。上半身のプレートアーマーは所々が欠け、亀裂が走っている。下半身のスカートアーマーも同様で、残っている箇所も少ない。唯一、両腕のガントレットだけはかろうじて原型を留めていた。
そしてその下の衣服すらも焦げ落ち、肩や背中、太腿といった露出した箇所からは爆発の影響によるものなのか、かなりの範囲に渡って火傷のような跡を晒して見るも痛々しい。髪を止めていたリボンも千切れたのか、後ろ髪がほつれ乱れてしまっており、正に満身創痍といった様相である。
「レンに触れるな」
ビッと切っ先を突きつけ、アオイは言い放つ。射殺さんばかりの眼光と全身から発せられるそのプレッシャーは、フェイクリーダーが思わず数歩後退った程だ。
「あ、あああ、アオイ?!どどどど、どうしたのその傷は?それにどうやってあの氷漬けから?」
「レンの声が聞こえて、無我夢中だった。何が起こったのか、私もよくわからん」
慌てふためく僕とは対照的に、アオイは落ち着いてフェイクリーダーを見据えたまま至極簡潔に答える。
アオイの手元に目を向けると、[ベルカ]の刀身が軋むような音を上げて仄かな光を発し、柄のドライブからは明らかな異音を響かせながら時折火花を弾けさせていた。
思い出すのは、ブライン戦終盤で見せた[ベルカ]の異常。あの時とまさに同じだ。
ここにきて[ベルカ]が本格的に異常をきたしたのか。その証拠に、間近にいるアオイからは白い煙がまるでオーラのように立ち上り、触れれば火傷しそうなほどの熱気が立ち上っている。
一体何が起きたのか。
これは推測だが、[ベルカ]の粒子変換が限界に達し、何かをきっかけ――例えばアオイの意志に反応し、意図しない形で〈L粒子〉が放出されたのだと思われる。剥き出しのエネルギー体がプールの氷を一瞬にして蒸発させ、水蒸気爆発を起こしたのだ。
僕の計算が正しければ〈L粒子〉が内包するエネルギーは理論上、あのプールの水程度なら一瞬で蒸発させて余りあるはずだ。その異常がアオイの窮地を救ったのは皮肉な話だ。
気がかりなのは、この現象が異常の結果なのか、あくまで予兆に過ぎないのかだが……
「だ、大丈夫なの!?意識はちゃんとある?痛みは?どこが痛む?」
「心配しすぎだ!私はいい。それよりレンこそ大丈夫なのか?」
アオイに指摘されて思い出すとともに、今更になって傷が脳に痛みを伝え、ともすればその場で倒れて悶絶しそうになる。
「……アオイに比べれば全然大丈夫だよ。こういうのは慣れてないから、ちょっとびっくりしただけ」
心配させないよう僕は微笑みかけながら気丈に振舞う。でも、額には油汗が滲み、笑みもひきつってしまいうまくいかない。
アオイは血に濡れた僕の脇腹を横目で見つめ、一瞬だけ悲痛な表情をする。僕の痩せ我慢を察し、しかしそれ以上は言及せずに視線を前方に戻した。
「奴に、レンに手を出したことを、死ぬほど後悔させてやる」
目を細め、前方のフェイクリーダーを睨んだアオイ。彼女の後ろ髪が、溢れ出る怒気を受けてぶわりとなびく。
と、アオイの姿が突如霞と消える。かつて無いほどの速度で一気にフェイクリーダーへと迫っていた。
その前方をコンクリートの路面を粉砕して現われた無数の水流がアオイの行く手を遮る。間欠泉のように路面から無数に吹出す水流のうねりは一斉にアオイに殺到するも、その凄まじい速度に追従できず、すべて空振りに終わる。
距離を縮めてくるアオイにフェイクリーダーは間合いの外から剣を振るった。刀身から放たれるは、氷の弾丸。
輝きを放ちながら迫り来る無数の氷の弾丸を、アオイは凄まじい剣捌きでその全てを叩き落としてみせた。正確に一つ一つを切る度に氷の砕ける軽やかな音色が響き、アオイの通った後には削氷で白い道ができていた。
そのアオイの周囲に突如吹き荒れる白銀の嵐。細かな氷がダイアモンドダストとなってアオイを包み込んだ。これを可能としているのは[ヴァイジクス]を生み出したゼークト・インダストリー社の技術なのか、フェイクリーダーの能力の技巧なのかはわからないが、その繊細な芸当には舌を巻く。
渦巻く氷霧に視界を一瞬奪われるアオイ。その隙を突き、細氷を弾きながら迫り来るのは、氷の槍。先程の氷の弾丸よりも径は倍以上に太く、一メートルほどの長さを持つ氷槍が、唸りを上げて飛来する。
空気を圧し潰す音だけでこれに反応したのはさすがだが、わずかに間に合わなかった。かろうじて剣で軌道を逸らすも、氷槍は肩を半ばまで貫いた。
衝撃に大きく仰け反るも、「ぬアァ!」と獣めいた雄叫びと共に突き刺さった氷柱を乱暴に引き抜き、尚も力強く踏み出す。
アオイの覇気は萎えるどころか、怒気をも滲ませてなお溢れ出る。もはや彼女の足を止めるものは無いと思わせる迫力があった。
一足でトップスピードに乗ると、今度は建物の屋根や壁を足場にした立体的な機動を織り交ぜる。
速い。
今のアオイは、かつてないまでの速度に達していた。姿すら霞んで見えるアオイの後ろで氷槍が路面に突き刺さり、圧縮された水流が街灯や電柱を真っ二つにへし折る。彼女の速度に、攻撃が追いついていない。
――しかしやはり、それを見て両手で喜ぶ気にはなれない。むしろ、言いしれぬ不安が胸の内を過る。
雑居ビルの壁面を強く蹴ったアオイ。柄尻に掌を添え、切っ先を突き出した構えでフェイクリーダーの頭上から襲いかかる。
瞬く間に迫るアオイの身は、しかし、轟音を立ててせり出した氷壁に激突して阻まれる。
地面を突き破り現れた氷壁を睨みながら飛び越えるか、回り込むかを逡巡するアオイ。
その一瞬の合間に、氷壁は内側から爆ぜ砕けた。
動きの止まったアオイを狙いすましたかのように、氷壁を突き破って氷の杭が打ち込まれた。
幸い、直前に飛び退いて間一髪回避したものの、フェイクリーダーとの間合いは再び大きく開かれてしまった。
決死の突撃も虚しく、再び振り出しに戻されアオイは悔しげに歯噛みする。フェイクリーダーは徹底してアオイとの接近戦を避け、能力によるアドバンテージでアオイをじわじわと弱らせていく作戦のようだ。
悔しいが、合理的な判断だ。
粒子の加護を取り戻しても、基本的にアオイには剣による斬撃以外に攻撃の手段は持ち合わせていない。奴からすれば、無理に相手の間合いに合わせる必要はないのだ。
(このままじゃまずい……!)
激しい闘志を見せてはいるが、僕の見立てではもう数分と戦ってはいられないはずだ。今この状況で長期戦となればアオイの命に関わってくる。
[ベルカ]の変調が粒子変換効率にも影響を及ぼしているなら、今のアオイの身体には常時以上に負荷がかかっているのは間違いない。
一方で、傷の回復が遅々として進んでいない。先程の爆発による火傷も貫かれた傷も、持ち前の自然回復のみでなんとか行われており、粒子治癒力が目に見えて落ちていた。
(一刻も早く決着をつけなくちゃ、取り返しの付かないことになる……!)
戦場に異変が生じたのはその時だった。
なんとか接近を試みるアオイを牽制していた長大な水の鞭。大蛇の如き長大なそれが、みるみるうちにか細くなっていった。
フェイクリーダーに、ほんの僅かだが動揺を見て取れた。
「よぉ!待たせたな!」
「クロウ!」
僕の背後から意気揚々と現れたのは、クロウだ。
「言われたとおり、全部の水門を開けてきた。動かないのもいくつかあったが、そこはオレ様の拳でぶち壊してやったぜ」
へへっと自慢気に力こぶを作ってみせる。今だけはそんな無茶も心強い。
「レン。どういうことだ」
「別になんてことはないよ。この辺一帯の水を流しきっただけさ」
異変を感じ取ったアオイがレシーバー越しに問いかけてくる。
僕が大本の水路の門を閉鎖し、この区域に流れ込む水を断つ。そしてクロウは水路の下流にある水門を残らず開放して回ったのだ。結果、水量は時間毎に減っていった。無論、普通ならこんな短時間に全て流し切ることはできないのだが、フェイクリーダーの能力による消費水量を計算すれば、けっして不可能ではなかった。
潜在力を消費・変換して能力を行使するアオイやケイン君とは違い、フェイクリーダーの能力は操作対象である水、ないし液体がその場になければ発動させられない。
これはこの類の能力の、最大の弱点である。
見たところ再び氷を水に戻す術も、飛沫になった細かな水や地面に吸収された水を集める技術も無いと推測される。そうでなければわざわざ水源までアオイを誘き出さずとも、極論、空気中の水分を集めて能力を行使することも可能なはずだからだ。
そしてここは打ち捨てられた廃都だ。他に水源も無い。もはや戦闘で有効な水量はこの周辺には皆無だ。
「アイツが使えるのは、もうそこにある僅かな水だけだ!」
「……だそうだ。もうお前の水芸は見飽きたとさ」
切っ先とともに言葉を突き付けるアオイ。
マスクに覆われたフェイクリーダーがどんな表情をしているのか分からない。だが、わずかに残る水を集結させ周囲に展開してるところを察するに、少なくとも降参して投降するつもりはなさそうだ。
二人は同時に地面を蹴り、正面から激突。刃と刃をぶつけ、噛み合う鋼の音が廃都に木霊する。互いを至近距離で睨んだのも一瞬、体躯で勝るフェイクリーダーはアオイを腕力だけで強引に押し飛ばす。抗いきれず軽い身体を持っていかれたアオイは、そのまま建物の塀に背中をぶつけ、息をつまらせる。そのアオイ目掛け突き出された長剣はしかし、背後のコンクリート塀だけを粉々に砕いた。
粒子の残滓だけを残し、アオイは超高速でフェイクリーダーの脇に回りこんでいた!
引き絞るように体を捻り、鋭い斬撃が放たれる。
気配を察知したフェイクリーダーは体を旋回させ、コンクリートを砕きながら剣を力強く振り払った。
夕陽を反射し、交錯して煌めく二つの刃。
一瞬の間を置いてアオイは肩から、フェイクリーダーは脇腹から。同時に鮮血を吹き出させる。
互いの血を浴びながら弾かれるように離れたのもほんの一刹那。二人の間でうねる闘気の渦は、すぐに両者を引き寄せる。
高速で横に払ったフェイクリーダーの刃を、アオイはぐんっと身を沈ませて回避。さらに低く伏せたその姿勢から伸び上がるように、鋭角の弧を描く素早い斬撃を送り込む。特殊繊維で編み込まれたベストごとフェイクリーダーの胸元を真一文字に切り裂く。
飛び散る血の飛沫を顔に浴びながらアオイはさらに踏み込み、真下から切っ先を送り込む。最短で顎を貫くコースの刺突だったが、この時すでにフェイクリーダーの体は滑るように後方に流れていた。
剣を引き戻し、即座に追撃を――と思われたが、以外にもアオイは慌てたように飛び退って距離を取る。
路上にはアオイの軌道を示す朱の線が引かれる。見ればアオイの引き締まった太ももに裂傷が走り、色白の足を噴き出た鮮血が彩っていた。
目を凝らせば、細い氷の針が地面から突き出し、アオイの血で濡れていた。
もしあのまま深追いすれば、体を貫かれていたかもしれない。
追い詰められてなお、油断ならない相手だ。
フェイクリーダーは片手で素早く腰後ろのサブマシンガンを抜き、アオイに向けて掃射。
無論、今更こんな物が通用するアオイではない。
夕闇の中で銃火を明滅させ、フルオートでばら撒かれる弾丸。それらを見切り、掻い潜りながら弾丸よりも速い速度で間合いを一気に詰める。
掬い上げる一撃でサブマシンガンの銃身を一刀両断に切り飛ばすも、手応えが軽い。この時既に射手はグリップを手放し後方に大きく跳躍した後だった。
一連の行動の全ては、このためであったと理解する。
完全に間合いの外から、フェイクリーダーは[ヴァイジクス]を突き出す。
その瞬間、剣に纏わせた水が刀身の数倍にもなって高速に伸びていく。その先端は回転しながら、無数の氷の刃を形成。
さながら掘削機のごとき姿で、アオイのみをすり潰さんと迫り――そして左右に分かれて勢いを失った。
「もう見飽きたって、言っただろ」
その声はフェイクリーダの眼前から。
水流を切り裂きながら、瞬きの間にその距離を渡った。
もはや高速という言葉すら当てはまらない。もはや瞬間移動に等しい。
間合いの内に飛び込んできたアオイに、フェイクリーダーは初めて明確な驚嘆を見せた。驚愕に見開かれた眼は、不屈の闘志を抱いた碧の双眸とぶつかった。
我に返り、[ヴァイジクス]を振りかぶるも、遅い。
すでに繰り出された[ベルカ]の刃は、袈裟斬りで肩口から入り防刃仕様のベストをやすやすと突き抜けてフェイクリーダーの上半身を切り裂き、反対側へと抜けていった。
よろめき後ろに下がったフェイクリーダー。吹き出す鮮血は盛大に宙を舞い、辺り一面を夕日と同じ色に染め上げた。
「ごふっ!」
吐血したと思われるくぐもったうめき声をマスク越しに漏らす。
肩で息をしそれを見据えるアオイの周囲には〈L粒子〉の残滓が踊る。
粒子加速をも上回る、超加速――[ベルカ]に生じだアクシデントが、この難敵に勝利できた決め手になるとは。
「アオイ、大丈――!」
駆け寄ろうとする僕を片手で制し、待ったをかける。アオイの視線はまだフェイクリーダーへと向けられていた。見れば、フェイクリーダは倒れることも崩れ落ちることもなく、震える両足を叱咤して尚もそこにいた。まるでまだ戦いは続いていると言わんばかりに。
「もうやめとけ。死ぬぞ」
短く警告するアオイの言葉は正しい。壊れた蛇口のように血は今も流れ出、足元の血だまりはどんどん広がっていく。傷は内臓にまで至っているはずだ。仮に彼が勇者だとしても、戦闘の継続が不可能なのは誰の目からも明らかである。
しかし、フェイクリーダーの目は闘志を失っておらず、憎悪すら籠った視線でアオイを射抜いていた。
一体何が、彼をそこまでさせるのか。
「もうやめてください!命を奪うつもりはありません!だから降伏――」
「忌々しい勇者どもめ」
初めて聞く彼の肉声は、背筋が凍るほどの悪意と増悪に満ちていた。
「俺はお前たちをけっして許さない……!」
マスク越しに見せる、狂気にも似た眼差しはアオイだけに向けられていた。
そして、彼はおもむろに、握っていた剣で己を貫いた。
苦痛のうめきを漏らし、ついに血溜まりに膝を屈する。それでも倒れることは許さず、視線はただアオイだけを睨み続けていた。
そこではたと気付く。
血が出ていない。
貫いた剣に一滴も血が付いていない。ばかりか、先程まで傷口から溢れ出ていた血すらも、静止画かのようにピタリととまっている。
傷が塞がったわけではない。
よくよく見れば血が傷口に留まっていた。理に逆らい、まるで何かの意志に従うかのように――
「……地獄に落ちろ、勇者」
彼がかすれた声でそう呟くのと、とっさにアオイが僕の手を取り半ば投げるように後ろに引いたのは同時だった。
次の瞬間、フェイクリーダーの身は、内側から爆ぜた。
一瞬にして衣服や装備を突き破り、大小無数の赤黒い氷柱が突き出る。
放たれた無数の氷の槍は、その全てがアオイに向けられていた。
「アオイ!」
尻餅をついていた僕は、這いつくばってアオイのもとに駆け寄る。
氷柱は二の腕、腹部、腿などに深々と突き刺さっていたものの、胸部、腰部は鎧の装甲を貫いただけに留まる。頭部も腕で庇っており、致命傷だけは免れていた。
「今日だけで何回私の名前を叫ぶんだお前は」
「……それだけアオイが僕を心配させてるんだよ」
「レンは心配症すぎるんだ。ハゲるぞ?」
「そうなる前に寿命が縮んで死んじゃうよ」
ひとまず安心した僕は改めてそれに目を向ける。
人の形を失い、赤い棘の塊となったフェイクリーダー。亡骸と呼ぶには、元が人間であったことを示す要素が何もない。
クロウは警戒しながら、その氷塊をまじまじと見つめていた。
「おいレン。こいつは……」
「ああ。自分の血液を最後の武器にしたようだね」
血液が能力の対象ということは僕も思い至らなかった。仮に知っていたとしても、自身の命を引き換えにしてまで行使するなど、誰が想像できただろう。
「くそったれが。そんなにテメェの負けが認められなかったのかよ」
クロウが吐き捨てるように言うが、真意のほどはわからない。ただ単に自分の正体につながる痕跡を消すためだったのかもしれない。
そして今際の際に残した彼の鬼気迫る言葉を思い出すと、物言わぬ血の氷塊から怨念めいたものすら感じ、戦慄に背筋が冷たくなる。
何はともあれ、戦いは終わった。
と、僕の目の前でアオイは糸が切れたようにその場で脱力する。
「わっ!ととと。だ、大丈夫?」
地面に突っ伏しそうになるアオイを間一髪で慌てて抱き抱える。
「ちょい疲れた」
「お疲れ様、アオイ。後のことは僕にまかせて、少し休んで」
僕の腕の中でコクっと頷くアオイはその場に座り込むと、気を失うように眠りについた。
――今回もまた、アオイの身に多大な負荷がかかった。
そのおかげで勝つことはできたけれど、これが及ぼす影響は計り知れない。
これが致命的なことにならなければいいけれど……
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