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第四章
戦域1――もののふ
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全員をサポートするに当たり、戦術支援用の観測ヘリの一機を充てがってくれた。観測ヘリとデータリンクを行い、送られてくる映像と情報、そして無線からの音声で僕は戦況把握に務める。
上空から戦場を俯瞰すると、広い荒野を緑の濁流が津波のごとく迫りくるのがわかった。
その濁流を構成する無数の魔属。その大半を占めているのは、『ヘッドレス』と呼ばれる、こちらもまた人類領ではあまり見ない種の下級魔属だ。背を丸めた二足歩行で立つその姿は猿の類にも似ているが、ひょろりと細長い痩躯の割りに足は短く、代わりに手は異様に長い。何より、名前の示すとおり頭部と思しきものは存在せず、首にあたる部分にコブのような盛り上がりがあるだけだ。ちなみに、そのコブに空いたいくつかの小さな孔は、その奥に視覚器官があると言われている。そして、ぬらりと油の膜を張ったような体表と真緑色の肉体が不気味な嫌悪感を催し、やはり奴らが魔属であることを否応なく認識させられる。
短い足を忙しなく動かし、異常なまでのスピードで逃げる人間を確実に追い詰める。そしてその長い腕の先に備えた爪で、人間を切り裂き、または貫く。しかも必ず数体以上で連携を組む狡猾さも有しており、中級以上に統率されたヘッドレスは、時に戦い慣れた勇者すら仕留めるという。
そのヘッドレスが群れをなして迫り来る光景は、まるで悪夢のようなおぞましい光景であった。
そんな群れの只中にあって、一切怖じけた様子もなく、果敢に挑み打ち倒していく銀髪の青年。
ギン・イザナギ、その人である。
彼はその健脚を最大限に発揮して大胆にもヘッドレスの群れに飛び込んでいくと、四方八方から伸びる腕を水の如きなめらかな動きで掻い潜り、懐に潜り込んでは木刀を叩き込んでいく。ヘッドレスは果敢に爪を突き出すも躱されるばかりか、勢い余って同族を貫いてしまう始末だ。
本来、ヘッドレスの身体全体を覆う粘膜のせいで刃も銃弾も通りにくい。だが、衝撃を貫通させるギンの剣にはわずかも影響はない。
ギンの一撃を受けたヘッドレスは、いずれもその場に崩れ落ち、倒れ伏す。中には目立った外傷は見受けられないのに、口や視覚孔から紫色の血を噴き出すものまでいた。
まさにギンの剣、イザナギ流の面目躍如だ。
「さすがギの剣客。この程度の相手、物の数ではない無いご様子ですな」
戦いの中にあって、まるで縁側に座っているかのように穏やかに語りかけるのはトキワさんに、ギンは渋面を作る。ギンは迫り来る幾百もののヘッドレスよりも、場違いに穏やかな好々爺の方が苦手なようだ。
まさかこの状況で立ち止まって返事をするわけにも行かず、対応に困っているギンに構わず、トキワさんは尚語りかける。
「しかし、木刀でここまでダメージを与えられるのは不思議ですな。その木刀に何か秘密がおありで?」
「特に秘密というわけではないんだけどな。特殊なのは木刀じゃなく技の方だ」
面倒くさそうに応えるギンとは対照的に、トキワさんは「ほほぅ?」と興味深そうにメガネを押し上げる。仕方なくギンは手と足は止めること無く説明をする。
「俺の剣――イザナギ流剣法の真髄は、自身の太刀筋を完全に把握し、コントロールすることにある。技を持って刃となし、刃を用いずして敵を討つ――うちの流派はこれを木刀で完全にコントロールできないうちは、真剣を握ることすら許されないんだ」
「おお!ギン様はイザナギの剣士でしたか!確かにその太刀筋……言われるまで思い出せないとは、いやはや、歳は取りたくないものですな」
「イザナギ流を知っているのか?」
ギンは驚きを顕にするが、それにより動きを鈍らせるような愚を犯しはしない。
数体のヘッドレスがギンを取り囲み、四方より一斉に爪が突き下ろされる。ギンは最初に迫った爪を跳躍してかわすと、そのヘッドレスの背後に着地。瞬時に反転して、木刀の切っ先をそいつの背中にめり込ませた。背中を突き破るには至らないものの、その衝撃はヘッドレスをピンボールがごとく軽々と突き飛ばし、数体の仲間を巻き込みながら群れの中へと消えて行く。哀れ、地面を転がったそのヘッドレスらは後から押し寄せる無数の同族に踏み潰され絶命した。
それにはもはや一瞥もくれず、すでに別のヘッドレスを相手にしていた。大群の中にあって、彼の周囲には動かなくなったヘッドレスの骸だけが転がり、積み上がっていく。
「どうやらイザナギの剣は良い後継者に恵まれたようですね。ゲンジも冥土でさぞ鼻が高いでしょう」
イザナギの家と縁があるような口ぶりにギンは軽く眉を吊り上げて驚く。もっとも、それを問いただすような状況ではない。
「そんなことより、御老体。お喋りに夢中になってると足元をすくわれるぞ。せめて俺の側から離――おい!」
振り返ったギンは叫ぶ。見れば、トキワさんの背後から五体ものヘッドレスが一斉に爪を構え、今まさに襲いかかろうとしていた。ギンはトキワさんを救うべく踏み出す。
「心配ご無用」
それは、一瞬だった。甲高い耳鳴りがしたかと思うと、飛び掛ってきた全てのヘッドレスが一瞬にして縦横四等分に刻まれていた。
一体何が起きたのか、少なくとも僕には全くわからなかった。軌跡も、そもそも抜刀の瞬間すら認識できない。ただトキワさんの手にした細剣に付着する血が、それを成したのが彼であることを証明していた。
普段はあまり動じないギンが、大きく目を見開いて驚愕していた。
そしてそこで初めて気付く。確かにトキワさんはその場からほとんど動いてはいなかったけど、その足元には細切れになったヘッドレスの肉片が大量に積まれていたことに。どうやらトキワさんは、会話をしながら多くのヘッドレスを葬っていたのだ。
息一つ乱さず、ギンが気付くこともないほど速く、静かに、しかし確実に。
思い返してみれば、橋の上での時もブライン戦の時も、僕が魔属に襲われなかったのはトキワさんが近くにいてくれたおかげだと今更ながら気付かされる。
「私は執事にして、勇者ガーネット様に従う戦士の端くれにございます。この程度の畜生風情に遅れなど取りませぬ」
剣に付着した血糊を振り払い、トキワさんは静かにそう告げた。
口調も物腰も丁寧であったが、その眼の奥に宿る光は衰えを知らず、古強者だけが持つ底深さを覗かせていた。
呆気に取られていたギンは、目の前で起こった出来事をようやく理解できたのだろう。はっと我に返ると、慌てて佇まいを直し、戦いの最中でありながらトキワさんに向かって深々と頭を下げた。
「先程の言葉は取消します。これほどの腕を持つお方とは知らず、若輩者の無礼をお許し頂きたい」
「何をおっしゃいます。私なんぞ、ただ長く生きただけの老骨。修行を積んだギン様の剣に比べればこんなもの、剣と呼ぶのもおこがましい児戯にございます」
一貫して丁寧な口調で謙遜するが、ギンはまるで師匠であるかのように尊敬の眼差しをトキワさんに注いでいた。
「でも確かに、お喋りが過ぎましたな。お嬢様にお叱りを受けてしまいます。今は互いに果たすべきことを果たしましょうぞ」
「はい。その剣、しかと学ばせていただきます」
二人は背中合わせに、再びヘッドレスの大群へと立ち向かっていった。心無しか、ギンの表情が生き生きとしている。長い付き合いだけど、こんな顔のギンを僕は見たことがない。
思えば、色々な強者には出逢えど、純粋な剣の技術でギンの上を行く人間にはなかなかお目にかからない。だからトキワさんのような尊敬するに価するほどの武人と出会え、しかも共に戦えることがギンにはたまらなく嬉しいのだろう。
もはや周囲一帯は彼らの独壇場であった。並み居るヘッドレスの大群も、二人の強者の領域を侵すことはできなかった。
そうしてできた空間に、低空から降り立つ小さな影が一つ。ヘッドレスの大群を粒子跳躍で飛び越えてきたアオイだ。
着地したアオイとギンは一瞬だけ目を合わせ、頷きあう。言葉はないが、意思の疎通はそれだけで十分であった。
アオイは粒子を足元に展開すると、再び跳躍。凄まじい勢いでヘッドレスの群れを飛び越えていく。彼女を追随しようとするヘッドレスたちであったが、その全てはギンの腕が翻ると当時に地に沈んだ。
「今日は気分がいい。悪いがもう少し俺に付き合ってもらうぞ」
取り囲む魔属たちを睥睨し、口の端をわずかに吊り上げながらそう告げた。
上空から戦場を俯瞰すると、広い荒野を緑の濁流が津波のごとく迫りくるのがわかった。
その濁流を構成する無数の魔属。その大半を占めているのは、『ヘッドレス』と呼ばれる、こちらもまた人類領ではあまり見ない種の下級魔属だ。背を丸めた二足歩行で立つその姿は猿の類にも似ているが、ひょろりと細長い痩躯の割りに足は短く、代わりに手は異様に長い。何より、名前の示すとおり頭部と思しきものは存在せず、首にあたる部分にコブのような盛り上がりがあるだけだ。ちなみに、そのコブに空いたいくつかの小さな孔は、その奥に視覚器官があると言われている。そして、ぬらりと油の膜を張ったような体表と真緑色の肉体が不気味な嫌悪感を催し、やはり奴らが魔属であることを否応なく認識させられる。
短い足を忙しなく動かし、異常なまでのスピードで逃げる人間を確実に追い詰める。そしてその長い腕の先に備えた爪で、人間を切り裂き、または貫く。しかも必ず数体以上で連携を組む狡猾さも有しており、中級以上に統率されたヘッドレスは、時に戦い慣れた勇者すら仕留めるという。
そのヘッドレスが群れをなして迫り来る光景は、まるで悪夢のようなおぞましい光景であった。
そんな群れの只中にあって、一切怖じけた様子もなく、果敢に挑み打ち倒していく銀髪の青年。
ギン・イザナギ、その人である。
彼はその健脚を最大限に発揮して大胆にもヘッドレスの群れに飛び込んでいくと、四方八方から伸びる腕を水の如きなめらかな動きで掻い潜り、懐に潜り込んでは木刀を叩き込んでいく。ヘッドレスは果敢に爪を突き出すも躱されるばかりか、勢い余って同族を貫いてしまう始末だ。
本来、ヘッドレスの身体全体を覆う粘膜のせいで刃も銃弾も通りにくい。だが、衝撃を貫通させるギンの剣にはわずかも影響はない。
ギンの一撃を受けたヘッドレスは、いずれもその場に崩れ落ち、倒れ伏す。中には目立った外傷は見受けられないのに、口や視覚孔から紫色の血を噴き出すものまでいた。
まさにギンの剣、イザナギ流の面目躍如だ。
「さすがギの剣客。この程度の相手、物の数ではない無いご様子ですな」
戦いの中にあって、まるで縁側に座っているかのように穏やかに語りかけるのはトキワさんに、ギンは渋面を作る。ギンは迫り来る幾百もののヘッドレスよりも、場違いに穏やかな好々爺の方が苦手なようだ。
まさかこの状況で立ち止まって返事をするわけにも行かず、対応に困っているギンに構わず、トキワさんは尚語りかける。
「しかし、木刀でここまでダメージを与えられるのは不思議ですな。その木刀に何か秘密がおありで?」
「特に秘密というわけではないんだけどな。特殊なのは木刀じゃなく技の方だ」
面倒くさそうに応えるギンとは対照的に、トキワさんは「ほほぅ?」と興味深そうにメガネを押し上げる。仕方なくギンは手と足は止めること無く説明をする。
「俺の剣――イザナギ流剣法の真髄は、自身の太刀筋を完全に把握し、コントロールすることにある。技を持って刃となし、刃を用いずして敵を討つ――うちの流派はこれを木刀で完全にコントロールできないうちは、真剣を握ることすら許されないんだ」
「おお!ギン様はイザナギの剣士でしたか!確かにその太刀筋……言われるまで思い出せないとは、いやはや、歳は取りたくないものですな」
「イザナギ流を知っているのか?」
ギンは驚きを顕にするが、それにより動きを鈍らせるような愚を犯しはしない。
数体のヘッドレスがギンを取り囲み、四方より一斉に爪が突き下ろされる。ギンは最初に迫った爪を跳躍してかわすと、そのヘッドレスの背後に着地。瞬時に反転して、木刀の切っ先をそいつの背中にめり込ませた。背中を突き破るには至らないものの、その衝撃はヘッドレスをピンボールがごとく軽々と突き飛ばし、数体の仲間を巻き込みながら群れの中へと消えて行く。哀れ、地面を転がったそのヘッドレスらは後から押し寄せる無数の同族に踏み潰され絶命した。
それにはもはや一瞥もくれず、すでに別のヘッドレスを相手にしていた。大群の中にあって、彼の周囲には動かなくなったヘッドレスの骸だけが転がり、積み上がっていく。
「どうやらイザナギの剣は良い後継者に恵まれたようですね。ゲンジも冥土でさぞ鼻が高いでしょう」
イザナギの家と縁があるような口ぶりにギンは軽く眉を吊り上げて驚く。もっとも、それを問いただすような状況ではない。
「そんなことより、御老体。お喋りに夢中になってると足元をすくわれるぞ。せめて俺の側から離――おい!」
振り返ったギンは叫ぶ。見れば、トキワさんの背後から五体ものヘッドレスが一斉に爪を構え、今まさに襲いかかろうとしていた。ギンはトキワさんを救うべく踏み出す。
「心配ご無用」
それは、一瞬だった。甲高い耳鳴りがしたかと思うと、飛び掛ってきた全てのヘッドレスが一瞬にして縦横四等分に刻まれていた。
一体何が起きたのか、少なくとも僕には全くわからなかった。軌跡も、そもそも抜刀の瞬間すら認識できない。ただトキワさんの手にした細剣に付着する血が、それを成したのが彼であることを証明していた。
普段はあまり動じないギンが、大きく目を見開いて驚愕していた。
そしてそこで初めて気付く。確かにトキワさんはその場からほとんど動いてはいなかったけど、その足元には細切れになったヘッドレスの肉片が大量に積まれていたことに。どうやらトキワさんは、会話をしながら多くのヘッドレスを葬っていたのだ。
息一つ乱さず、ギンが気付くこともないほど速く、静かに、しかし確実に。
思い返してみれば、橋の上での時もブライン戦の時も、僕が魔属に襲われなかったのはトキワさんが近くにいてくれたおかげだと今更ながら気付かされる。
「私は執事にして、勇者ガーネット様に従う戦士の端くれにございます。この程度の畜生風情に遅れなど取りませぬ」
剣に付着した血糊を振り払い、トキワさんは静かにそう告げた。
口調も物腰も丁寧であったが、その眼の奥に宿る光は衰えを知らず、古強者だけが持つ底深さを覗かせていた。
呆気に取られていたギンは、目の前で起こった出来事をようやく理解できたのだろう。はっと我に返ると、慌てて佇まいを直し、戦いの最中でありながらトキワさんに向かって深々と頭を下げた。
「先程の言葉は取消します。これほどの腕を持つお方とは知らず、若輩者の無礼をお許し頂きたい」
「何をおっしゃいます。私なんぞ、ただ長く生きただけの老骨。修行を積んだギン様の剣に比べればこんなもの、剣と呼ぶのもおこがましい児戯にございます」
一貫して丁寧な口調で謙遜するが、ギンはまるで師匠であるかのように尊敬の眼差しをトキワさんに注いでいた。
「でも確かに、お喋りが過ぎましたな。お嬢様にお叱りを受けてしまいます。今は互いに果たすべきことを果たしましょうぞ」
「はい。その剣、しかと学ばせていただきます」
二人は背中合わせに、再びヘッドレスの大群へと立ち向かっていった。心無しか、ギンの表情が生き生きとしている。長い付き合いだけど、こんな顔のギンを僕は見たことがない。
思えば、色々な強者には出逢えど、純粋な剣の技術でギンの上を行く人間にはなかなかお目にかからない。だからトキワさんのような尊敬するに価するほどの武人と出会え、しかも共に戦えることがギンにはたまらなく嬉しいのだろう。
もはや周囲一帯は彼らの独壇場であった。並み居るヘッドレスの大群も、二人の強者の領域を侵すことはできなかった。
そうしてできた空間に、低空から降り立つ小さな影が一つ。ヘッドレスの大群を粒子跳躍で飛び越えてきたアオイだ。
着地したアオイとギンは一瞬だけ目を合わせ、頷きあう。言葉はないが、意思の疎通はそれだけで十分であった。
アオイは粒子を足元に展開すると、再び跳躍。凄まじい勢いでヘッドレスの群れを飛び越えていく。彼女を追随しようとするヘッドレスたちであったが、その全てはギンの腕が翻ると当時に地に沈んだ。
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