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第三話
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今さらだが、うちに両親はいない。
俺が高二の頃に事故に遭って亡くなった。七海はそのときは大泣きしたっけ。
その頃からあの手の不思議な夢を見るようになったんだよな。
俺が事故に遭わないようにするための忠告かと思うことが多々ある。
たまに晩飯ん時に両親がいたらな、と話すことがある。
「おにいちゃん、お母さんたちがいたらもう少し明るくご飯を食べれてたんだよね…」
まぁな…としか答えることができない。
俺自身も両親がいたら…と何度か悔やんだことがある。
今だってそうだ。
両親さえいればこんな重い空気の時、おそらくだが違う話を持ちかけてくれるだろう。
両親さえいれば話の話題さえも広がるだろう。
俺自身は今年、大学受験を控えている。両親さえいれば悩んでいることを簡単に打ち明けられ、すぐに解決する方向に持ちかけてくれるだろう。
しかし、いまはこんなネガティブなことを考えていてもしょうがない。
目の前には七海がいるのだ。
両親が事故死したとき、七海を支えると決めたんだ。
七海に悪い考えをさせないようにしなくてはならないんだ。
そう思い、
「たとえ両親がいなかったとしても俺が七海のことを支えてやるから。だから、大船に乗ったつもりで安心しろよ」
といった。
すると、
「おにいちゃんの場合はタイタニック号だけどね」
と七海に言われた。しかし、七海は笑っていた。
あらためて七海の笑っているところを見ると、かわいいと思う。シスコンかと言われようが、この思いは変わらない。
「少しは兄っぽくなってきたようね」
またあの夢だ。しかし、今回の夢はかなり緊張感のない夢だった。
「そりゃどうも。ところで、お前の名前ってなんなんだ?」
そう、俺は聞いた。以前からこのような夢を見ているが、目の前の少女の名前を聞いたことがない。
「私の名前?そうね、3通りの名前があるけど、一番最初の頃の名前でもいいかしら?」
なんか訳のわからないことをいってきた。3通りの名前?どういうことだ。
「最初の名前でもいいから教えてくれ。ずっとお前と言っているのもなんだかなぁと思ってさ」
そういうとおよそ2分ぐらいした頃に、彼女は口を開いた。
「私の名前は音無 優歌。これでいいかしら?」
「優歌…か……」
どこかで聞いたことのある名前だと思った。しかし、何も思い出せない。
「優歌はいつから俺のことを知っているんだ?」
そう聞いてみた。
相手はこちらのことを知っているみたいだが、こちらとしては相手のことを理解できていない。
「いつからねぇ…少なくとも前世からかしら」
たまには聞いてみるものだ。しかし、“前世”というのが気になる。まぁ、この際おいておこう。
「そろそろ、夢が覚めるわよ。またこの夢で会いましょう」
そう優歌は言って俺は目が覚めた。
俺が高二の頃に事故に遭って亡くなった。七海はそのときは大泣きしたっけ。
その頃からあの手の不思議な夢を見るようになったんだよな。
俺が事故に遭わないようにするための忠告かと思うことが多々ある。
たまに晩飯ん時に両親がいたらな、と話すことがある。
「おにいちゃん、お母さんたちがいたらもう少し明るくご飯を食べれてたんだよね…」
まぁな…としか答えることができない。
俺自身も両親がいたら…と何度か悔やんだことがある。
今だってそうだ。
両親さえいればこんな重い空気の時、おそらくだが違う話を持ちかけてくれるだろう。
両親さえいれば話の話題さえも広がるだろう。
俺自身は今年、大学受験を控えている。両親さえいれば悩んでいることを簡単に打ち明けられ、すぐに解決する方向に持ちかけてくれるだろう。
しかし、いまはこんなネガティブなことを考えていてもしょうがない。
目の前には七海がいるのだ。
両親が事故死したとき、七海を支えると決めたんだ。
七海に悪い考えをさせないようにしなくてはならないんだ。
そう思い、
「たとえ両親がいなかったとしても俺が七海のことを支えてやるから。だから、大船に乗ったつもりで安心しろよ」
といった。
すると、
「おにいちゃんの場合はタイタニック号だけどね」
と七海に言われた。しかし、七海は笑っていた。
あらためて七海の笑っているところを見ると、かわいいと思う。シスコンかと言われようが、この思いは変わらない。
「少しは兄っぽくなってきたようね」
またあの夢だ。しかし、今回の夢はかなり緊張感のない夢だった。
「そりゃどうも。ところで、お前の名前ってなんなんだ?」
そう、俺は聞いた。以前からこのような夢を見ているが、目の前の少女の名前を聞いたことがない。
「私の名前?そうね、3通りの名前があるけど、一番最初の頃の名前でもいいかしら?」
なんか訳のわからないことをいってきた。3通りの名前?どういうことだ。
「最初の名前でもいいから教えてくれ。ずっとお前と言っているのもなんだかなぁと思ってさ」
そういうとおよそ2分ぐらいした頃に、彼女は口を開いた。
「私の名前は音無 優歌。これでいいかしら?」
「優歌…か……」
どこかで聞いたことのある名前だと思った。しかし、何も思い出せない。
「優歌はいつから俺のことを知っているんだ?」
そう聞いてみた。
相手はこちらのことを知っているみたいだが、こちらとしては相手のことを理解できていない。
「いつからねぇ…少なくとも前世からかしら」
たまには聞いてみるものだ。しかし、“前世”というのが気になる。まぁ、この際おいておこう。
「そろそろ、夢が覚めるわよ。またこの夢で会いましょう」
そう優歌は言って俺は目が覚めた。
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