俺の秋はまだまだ終わらない

yuki

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第二話

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  「ここは?」
  見覚えのある場所。どうやらまたあの夢らしい。
  「こんばんわ。悠人くん」
  振り返ると、そこにはさっきの夢に出てきた女が箱(?)にすわって笑みを浮かべている。
  「俺の名前を……知ってるのか?」
  「えぇ。そりゃ、あなたの夢ですもの」
  当然よ。と言わんばかりである。
  「これはなんなんだ?君は何が目的なんだ?」
  「これは終わりのない夢。あなた自信が危険な事に遭わないための夢。私はあなたを守るためにいるの」
  俺はあまりの事に笑ってしまった。
  「どういう事だ?」
  不敵な笑みを浮かべる少女。
  「ふふ。それはあなたがこれから知ることになるわ」
  そういうと、少女は箱から杖を取り出した。
  「お、おい。それでどうかしようってんじゃねぇだろうな」
  「ふふふ…勘がいい人は嫌いじゃないわ」
  俺は勘が鈍い方なんだが。
  まぁ、この際どうでもいいか。
  「ならさ、その危険な目にあった俺がどんな風になるか、見せてくれよ」
  「構わないわ」
  彼女はそういい、杖を振りかざし、なにかをぶつぶつと唱え始めた。するとさっきまで彼女が座っていた箱が破裂し霧が出始めた。
  「多分目覚めは悪いわ。気を付けて。悠人くん」
  辺りを見渡すと少女はもういなかった。

  「うわぁぁぁぁぁぁ!!ハァハァハァ」
  汗が凄い。枕を見てみると、秋とは思えないくらいびしょびしょだった。
  「クッソ……頭がいてぇ……」
  また、頭痛がする。
  何だったんだろうか。
  あんまり気にせずに七海を起こしに向かおうとした。
  俺はいつも起きたらすぐに七海を起こしに行く。
  が、なぜかとなりに七海がいた。
  思考回路をフル回転させるが、全くもって思い出せない。
  大体6分ぐらいたったくらいに七海も起きた。
  「おにいちゃん、何でそんなに汗、かいてるの?」
  と七海に質問された。
  「た、多分暑かったんだよ…」
  実際のところ、全く暑くなかった。寒すぎて震えが止まらないくらい夜は冷えていた。
  「ふーん」
  あんまり興味を示さなかった七海はそのままリビングに降り、朝食のトーストを作り始めた。

  朝食を食べ終え、家を出たその瞬間、玄関先に一匹の猫がいた。
  全身真っ黒で目付きも鋭く、こちらを睨んでいた。
  その瞬間、いつもの夢を思い出す。
  ーーーー「あなたの周りには悪い猫さんがたくさんいるの。その猫さんたちはあなたの命を狙っているわ。だから気を付けて。もし危険な目に遭ったら心の中で助けてって言って。必ず私がいくから」ーーーー
  一瞬寒気が走った。
  こいつは悪い猫なのか?
  なぜこっちを睨んでくるんだ?
  理由はわからなかった。
  すぐさま逃げるように家をあとにし、学校に向かった。

  その日、結局俺はずっと夢の内容を思い出せなかったし、黒猫がなぜ俺を睨んでいたかもわからなかった。
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