Pop Step

慰弦

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- 12章 -

- 本番と本心 -

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真上にあるライトがつき、あまりの眩しさに植野は目を細めた。

斜め前には、同じように目を細めた鈴橋が居る。

植野は声を出さないように大きく息を吸って、そのぶんだけの息を吐いた。

今は発表に集中しよう。

色々考えるのは後にしよう。

この発表が終わったら……

この発表が終わったら………

静かに流れ出す前奏。

クラス全員が大きく息を吸った。

課題曲をザックリと言えば、好きな人に思いを伝えられないまま大人になった主人公が、幸せそうに恋人と手を繋ぎ歩く好きな人と出会うという、ありきたりな歌だった。


俺は伝えた。
自分の隣には…今も、これからだってがっくん以外は考えられない。

『そんなの…考えたくもないっ』

がっくんが居ない未来は絶対に輝かない。

だからこの発表が終わったら、もう一度がっくんに伝えよう。

この歌のようにならないために。


歌いながら思考を巡らせていたのは植野だけではなかった。

鈴橋は指揮者一点だけを見つめながら、斜め後ろから聞こえる植野の声を聞いていた。

そして、“ その声 ” で甦る。

初めて会った時の不機嫌な声。
部活中自分を呼ぶ元気な声。
贈り物をした時の嬉しそうな声。
妹や園の子供達と遊んでいる時の楽しそうな声。
人付き合いが苦手でいつも冷たい反応を示してしまう自分に、いつも暖かい言葉を返してくれる優しい声。

自分を好きだと、抱き締めたいという声。


『あぁ、簡単なことじゃないか』


自分に送られる、その色のある声が好きだ。

失くしたくない。

もっと、色々な声が欲しい。

その為に自分がどうすれば良いかなんて、どうするかなんて決まりきってる。


自分の隣には



植野が良い。
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