やせ男とアイちゃん

こんさん

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やせ男とアイちゃん その6

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えっ?アイちゃんが泣いてる?

恐る恐る、遠巻きに回り込む。

ふむ、よく見えない。もっと近づかなくては

って、ほぼ真横だけど…

むむっ?気づいてない。アイちゃんらしくないぞ

突然、アイちゃんがこっちを向く

驚いた孝志は、思わず後退りして、マシンに足を取られ尻餅をつく

アイちゃんはマシンから降りると、やや間があって

「何やってるんですか」

いつもの口調だ

「あぁ、いやぁ、今日も来てたんだねー」

「ダメですか?」

「いや、全然良いんだけどさ」

「なんかあった?」

「なんかって、なんですか?」

「いや、泣いてるのかなぁ、なんて思っちゃって」

「泣いてちゃだめですか?」

って、泣いてたんかい!

「えっ、なんで泣いてるの?」

「言わないとダメですか?」

「い…いや、ダメではないけど…」

「じゃぁ言わないでおきます」

言わないのかい!

「加藤さんには一切関係ないので」

(分かってるわ、それくらい)

「失礼します」

あ~なんだろう。とにかくなんかムカつく。

あ~腹が立つ。何なんだよ。あの女。

ひょっとして、本当にアンドロイドじゃないのか?

あの喋り方。短いセリフ。

そもそも感情というか、抑揚がなさすぎる。

あの馬のような、しなやかな身体も怪しい。

何もかもが怪しいぞ。

これは確かめるしかない!





翌日

「おはようございます」

いつも通りの、毎日の始まり。

さて、本物の人間でないならば、きっと皮膚が硬いはず。
だってアンドロイドは基本、金属製なはずだ。

「おはようございます」

アイちゃんだ。
いつもの様に、いつもの場所に座って、コーヒーを飲んでいる。
よし。
フレンドリー作戦実行!
そっと肩に手を置いて、硬さを調査してみよう。

「なにしてるんですか?」

うん?
うわっ!
思わず、アイちゃんのすぐ横で、凝視してた。

「お…おはようございます」
「昨日はどうも」

「…」

なんか言えよ~
良し、フレンドリー作戦発動だ!

「い…いやぁ…大丈夫かな~…なんて思って」

孝志は、何気ないふりをして肩に手を置く。

むむ?温かい…そして柔らかい…おまけにいい匂いもする…

「淫行の次は、セクハラですか?」

アイちゃんの視線が刺さる

「はい?」
「あっ!ち…違いますよ!」

慌てて離れる

「フレンドリーにというか、スキンシップというか」

-あ~もう、何言ってるんだ俺

「ふ~ん」
「私は大丈夫です」

「そ…そうだよね~。そう思ってました。失礼します~」

慌ててトイレに駆け込む。

おかしい。肌は温かかったし、柔らかかったぞ?
しかも、いい匂いまでしているし。
普通の女じゃん。

いやいや、超高性能の可能性も捨て切れない。
でも、超高性能なのに、言葉だけ初期型AIって矛盾してないか?

謎は更に深まった!

続く…
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