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第二章 モモとダンジョン
第39話 副管理者(3)
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「なあ、このノートパソコンの画面表示は日本語だけなのか?」
俺はノートパソコンの画面を確認して、ガイドに聞いてみる。
「はい……このシステムは貴方が神様に管理者へ指名された時にできました。よって貴方が使いやすいように日本語でのシステムとなってます」
「そうか……」
つまり、エリーが管理者になったとしても、日本語を覚えてもらうしかないわけだ。
とりあえず、モモにそれを説明しようと思う。
俺はノートパソコンを操作してモモを副管理者に指定すると、彼女を呼びに行った。
「モモ」
「はい!」
ドアの外でゴブリンと楽しそうに遊んでいたモモに、声をかけた。すると彼女はゴブリンに大きく手を振り、俺のほうへと寄ってくる。
彼女は突然見えるようになった、俺の昔住んでいたアパートのドアを見て言った。
「あの……この扉って」
「ああ、そうだな。ここが管理室だ。とりあえず入ってくれ」
「は、はい」
モモは俺の言葉に少し戸惑いつつも、俺と同じように靴を脱いだ。そして、畳の上におっかなびっくりしながらも足を乗せる。
そうか、畳を見たこと無いんだよな。そう思って、俺は彼女のほうへと振り返ると、なんか気恥ずかしそうにこっちを見て微笑んだ。
「ほら、ここに靴を入れてくれ」
そう言って俺が靴を木箱に入れると、同じようにそこに入れようとしてその手を止める。
「あの……一足しか入らないみたいです」
「あっ、そうか……」
もう一足入れるには、少し箱の大きさが足りないみたいだった。彼女に無理矢理入れさせるのも、なんか悪い気がする。
「もう一つ、木箱を出せるか?」
俺は宙に向かって、つまりガイドに話しかける。
「はい」
そうガイドの返事が聞こえると、どこからか使っている靴入れと同じ木箱がもう一つ現れた。
「えっ、今の声はなんですか?」
「あー、あれがガイドだ。うーんと、なんて言ったらいいんだ?」
「あっ、もしかして! か、神様ですか?!」
モモはその赤い髪を震わせ、興奮気味に叫ぶ。その声は喜びに満ち溢れていた。
そして、まさに子供のような純粋さで、その大きな瞳を輝かせて俺を見つめてる。
「いや、それは違うが」
そう返した俺だったが、モモはさらに興奮を高めると、「いや、神様です!」と力強く言い切った。そして天を仰ぎながら、その小さく白い手を組むと何度もつぶやいた。
「凄いです。隊長は凄い人でした」
そしてモモは祈りをささげ、さっき出た木箱を大事そうに抱えると「こんな奇跡、神様じゃないとありえません」と静かに祈りながらつぶやいた。
いや、こっちのエルフとか魔法とかのほうが、俺にとっては奇跡に近いんだけど。
「んーと、もういいか?」
「あっ、は、はい。ええと、思わず興奮してしましました」
彼女は少し恥ずかしいところを見られたかのように照れて見せる。その声はまだ興奮が冷めていないのだろう、まだ少し熱を帯びていた。
「そこに靴を入れて欲しいんだけど……」
俺は申し訳なさげに、モモに頼む。まだ、説明しないといけない事はたくさんある、時間がない訳じゃないが、話を先に進めたい。
「は、はい!」
彼女は慌てたようにそう返事をした。そして、大事そうに抱えていた木箱と靴を、そっと畳の上に置くと、綺麗にそろえるように俺の靴入れの隣にならべる。
「じゃ、ここに座ってもらっていいか?」
「は、はい」
俺は畳の上にあぐらをかいて座ろうとしたが、これだと女性としてはおかしいのかも。
なぜかそんなことが、頭の中に急に浮かんだ。
「うーんと、こうだったかな?」
俺はよく母さんが座っていた足を右側にずらす、横座りといった座り方をしようとする。畳だと女性はこの座り方だと思う。
「えっ……」
だが、俺はそのままバランスをくずし、左側へと倒れ込んでしまったのだった。
俺はノートパソコンの画面を確認して、ガイドに聞いてみる。
「はい……このシステムは貴方が神様に管理者へ指名された時にできました。よって貴方が使いやすいように日本語でのシステムとなってます」
「そうか……」
つまり、エリーが管理者になったとしても、日本語を覚えてもらうしかないわけだ。
とりあえず、モモにそれを説明しようと思う。
俺はノートパソコンを操作してモモを副管理者に指定すると、彼女を呼びに行った。
「モモ」
「はい!」
ドアの外でゴブリンと楽しそうに遊んでいたモモに、声をかけた。すると彼女はゴブリンに大きく手を振り、俺のほうへと寄ってくる。
彼女は突然見えるようになった、俺の昔住んでいたアパートのドアを見て言った。
「あの……この扉って」
「ああ、そうだな。ここが管理室だ。とりあえず入ってくれ」
「は、はい」
モモは俺の言葉に少し戸惑いつつも、俺と同じように靴を脱いだ。そして、畳の上におっかなびっくりしながらも足を乗せる。
そうか、畳を見たこと無いんだよな。そう思って、俺は彼女のほうへと振り返ると、なんか気恥ずかしそうにこっちを見て微笑んだ。
「ほら、ここに靴を入れてくれ」
そう言って俺が靴を木箱に入れると、同じようにそこに入れようとしてその手を止める。
「あの……一足しか入らないみたいです」
「あっ、そうか……」
もう一足入れるには、少し箱の大きさが足りないみたいだった。彼女に無理矢理入れさせるのも、なんか悪い気がする。
「もう一つ、木箱を出せるか?」
俺は宙に向かって、つまりガイドに話しかける。
「はい」
そうガイドの返事が聞こえると、どこからか使っている靴入れと同じ木箱がもう一つ現れた。
「えっ、今の声はなんですか?」
「あー、あれがガイドだ。うーんと、なんて言ったらいいんだ?」
「あっ、もしかして! か、神様ですか?!」
モモはその赤い髪を震わせ、興奮気味に叫ぶ。その声は喜びに満ち溢れていた。
そして、まさに子供のような純粋さで、その大きな瞳を輝かせて俺を見つめてる。
「いや、それは違うが」
そう返した俺だったが、モモはさらに興奮を高めると、「いや、神様です!」と力強く言い切った。そして天を仰ぎながら、その小さく白い手を組むと何度もつぶやいた。
「凄いです。隊長は凄い人でした」
そしてモモは祈りをささげ、さっき出た木箱を大事そうに抱えると「こんな奇跡、神様じゃないとありえません」と静かに祈りながらつぶやいた。
いや、こっちのエルフとか魔法とかのほうが、俺にとっては奇跡に近いんだけど。
「んーと、もういいか?」
「あっ、は、はい。ええと、思わず興奮してしましました」
彼女は少し恥ずかしいところを見られたかのように照れて見せる。その声はまだ興奮が冷めていないのだろう、まだ少し熱を帯びていた。
「そこに靴を入れて欲しいんだけど……」
俺は申し訳なさげに、モモに頼む。まだ、説明しないといけない事はたくさんある、時間がない訳じゃないが、話を先に進めたい。
「は、はい!」
彼女は慌てたようにそう返事をした。そして、大事そうに抱えていた木箱と靴を、そっと畳の上に置くと、綺麗にそろえるように俺の靴入れの隣にならべる。
「じゃ、ここに座ってもらっていいか?」
「は、はい」
俺は畳の上にあぐらをかいて座ろうとしたが、これだと女性としてはおかしいのかも。
なぜかそんなことが、頭の中に急に浮かんだ。
「うーんと、こうだったかな?」
俺はよく母さんが座っていた足を右側にずらす、横座りといった座り方をしようとする。畳だと女性はこの座り方だと思う。
「えっ……」
だが、俺はそのままバランスをくずし、左側へと倒れ込んでしまったのだった。
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