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第二章 モモとダンジョン

第40話 副管理者(4)

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「隊長、大丈夫ですか?」

 いきなり自分のほうへと倒れ込んだ俺を、モモは慌てて両手で支える。
 心配そうにのぞき込む彼女に、俺は少し誤魔化すように言った。

「ああ、この座り方って、意外と難しいんだな」

 俺は根っから体が硬いのか、横座りでは上手く座れなかった。
 どうしても、左側に倒れ込んでしまう。そんな俺を見て、モモは立ち上がると腕を引いて立ち上がらせようとしてくれる。

「大丈夫か?」

「はい」

 モモの腕は細く見えるが、鍛えているのだろう。俺を難なく引っ張り上げた。
 そして、モモが少し照れ笑いをするのを見て、俺は言った。

「悪い、ちょっとこれで座らせてもらう」

 俺は流石にあぐらをかくのはどうかと思い、テーブルの下に両足を放り出して座る。
 そして横を見るとモモはちゃんとさっき俺がやろうとした、横座りをしていた。

「お前、その座り方出来るんだな」

「あっ、はい。草むらとかでたまにやってました……まずかったですか?」

 何かいけない事でもしたのかと、不安げに尖った耳をしならせて、モモは俺を見つめる。

「いや、凄いなと思ってな」

「ええと、ありがとうございます」

 そう言うとモモは照れくさそうに「ふふふ」と、俺に向かって微笑んだ。

「こんな事で褒められると思っていませんでした。で、これはなんですか?」

 そう言って、モモはノートパソコンのほうへと興味深げに目を向ける。
 そうだ、これを説明するんだった。

「ああ、これでダンジョンを管理するんだ」

「これで……ですか?」

 俺が折りたたんであったノートパソコンを開くと、彼女は「おお!」と驚く。それだけで驚かれても困るんだが……俺はそう思いながらも、電源を入れるとさらに目を丸くして驚いた。

「な、なんですか! これ!」

 そう食い気味にたずねてくる彼女に、俺は少し戸惑いながらも答えた。

「ノートパソコンって言ってな」

「じ、神器か何かですか!?」

 目を輝かせて、俺のほうへと顔を向ける。
 そして、じっと見つめ合うと、あまりの近さに恥ずかしくなったのだろう。「あっ」とお互いに顔を真っ赤にして背けると俺は照れ隠しに言った。

「神様は関係ない……いや、あるのか」

「や、やっぱり!!」

 そう言って、興奮気味に驚くと、再び、「やっぱり、隊長は凄い人でした」と天に向かって祈りだす彼女。
 ああ、あと何回、このシーンが繰り返されるのか……そう思うと、不安になる俺だった。
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