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コーヤダーイ

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新年を祝う

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 新年がくる前に、新しい寝台が届いた。家具を空き部屋に移動し、部屋を空にして掃除して待っていたのだが。
「あれ、ヤーデじゃないか?」
「?」
 背が高くいかにも力のありそうな若者が、家具屋の引き車とともにやって来た。
「俺、俺、アントン・ゴレツカ……って覚えてねぇか。同級生だったの、一年の最初だけだもんな」
「! お父さんが鍛冶屋の!」
「ははっ、そうそう。ってよく覚えてるな。お前は学校卒業したのか?」
「うん、今年の夏に」
「おめっとさん。俺は途中で落ちこぼれだ、今は家具屋で働いてる」
「おいアントンさっさと運べ」
「へーい。じゃまたあとでな」
 指示の通りにばらしてある木材を担いで、アントンと家具屋が二階に上がっていく。ヤーデとドミトリーは暖炉とソファの間で、作業の邪魔にならぬよう立っていた。作業は手際よく、寝台の組み立てはあっという間に終わった。
「じゃこれで、ドミトリーさんサインをここに」
「ありがとうございます」
 家具屋は寝台を組み立て、家主に確認させるとさっさと出て行く。玄関まで見送ると、アントンがヤーデを振り返った。
「いやぁ、豪華ででかい寝台を新年前に頼むから、どこの新婚かと思ったらお前だったとはなぁ」
「は?」
「べっぴんの嫁さんでいいよなぁ。しあわせにやれよ!」
 どうにも誤解されているようだが、訂正する暇もない。アントンは手をあげると、すでに空の引き車を引いて歩き出した家具屋を追いかけ、走って行ってしまった。
「新婚……」
 悪くない響きである。にやにやしながら玄関扉を閉め、二階へ上がった。幅の大きな寝台を頼んだ。新年に間に合うものだと、これになると在庫を見せられた。新しく作るとなると三ヶ月は掛かる、と言われたので店で見た寝台を買ったのだ。
 四隅の足からそのまま上に細工の入った丸柱が伸びている。天井近くで緩く弓を描いて中心で繋がる、天蓋付きの寝台であった。今は薄布を掛けていないので、天井までむき出しで見えている。店で見たときはそれほど大きく感じなかったのだが、こうして部屋に入れるとずいぶん大きい。豪華である、そして部屋が狭い。寝るだけだから快適に眠れたらいいのだが、確かにこれは新婚だと思われても仕方ない。
 寝台のマットレスを触ってみる。表面はふかっと柔らかく、芯は硬い。寝心地もよさそうだ。先にシーツを敷いておこうと思ったら、ドミトリーがとさりと横になってしまった。
「ふふっ、よく眠れそう」
 長い黒髪が扇状に広がる。休日だから緩い服装をしているのだが、裾が広がる袖と裾広がりの長い丈も、中にズボンを履いているがワンピースに見えないこともない。新しい大きくて広い寝台が嬉しいのか、くすくすと一人でご機嫌である。なるほど知らぬ人から見れば、べっぴんの嫁さんだ。かわいくてしかたない。むらむらしたのでヤーデも、ドミトリーの上にかぶさるように寝台に横になった。体重をすべてかけないように両肘と膝で軽く支える。腕の間にある顔はヤーデの気も知らないで、しあわせそうに微笑んでいる。
「ご褒美……もらってもいいですか」
「なんのご褒美?」
「卒業のご褒美を」
「卒業は美味しいものたくさん食べなかった? ふふっ、でもいいよ。ヤーデはいつでも頑張っているから、どうぞ?」
 ご褒美がまず何か尋ねることもせず、無防備な人だ。いや、ヤーデだから無防備な姿を晒しているのかもしれない。どちらにしても愛おしさがこみあげてくる。それはそれとして、どうぞと微笑む艶のある唇にむらむらした。
「!」
 ちゅ、と軽くキスをする。押しつけて少しだけ止まって、離れるだけのキス。
「ありがとうございます。これでまた頑張れます」
「……これって、家族のキス?」
 困惑した顔と声だが、それもまたそそる。ドミトリーはヤーデ以外に確認する術をもたない。むらむらした気持ちを抑えてにっこり微笑む。
「家族のキスです」
 そう言い切ってしまうと、安心したのかふわりとした微笑みに戻る。かわいい。

 六歳で家族と離れ、魔法使いの学校で寮生活を送り出したドミトリーは、在学中に両親を亡くしている。知らず家族愛に飢えており、家族ならこうする、という言葉に弱い。家族などヤーデこそ知らないのだが、二人で暮らす家族ごっこは、割と何をしても許される、というか押し切れる気がする。
 ただこれがドミトリーに恋愛から意識を遠ざける弊害にもなっている。ヤーデを幼い子どもから恋愛対象として見てもらうためには、道はまだまだ険しそうである。

 新年に討伐で駆り出されることがなかったので、二人きりで過ごそうと準備は万端である。ギュンターに新年を侯爵家で過ごそう、ドミトリーも一緒に来いとお誘いを受けたが、笑顔で速攻お断りした。長期休暇にも魔方陣の研究をしたかったようだが、ヤーデはドミトリーと愛の巣でいちゃいちゃ過ごしたかった。いや実際は二人の間には、残念ながらまだ何もないのだけれど。
 年末の挨拶に、とマクシミリアンが家を訪ねて来た。今年はヤーデとドミトリーを呼ぶから実家に帰ってこい、と手紙が来たらしい。実家に帰るとふてくされたギュンターが、ヤーデは来ない! と叫んでいたらしい。
「何かあったのかと気になったので、訪ねてみたのだが」
 無事ならいいんだ、と辞そうとするマクシミリアンを、ヤーデが留める。
「せっかく来てくれたんですから、お茶でもどうですか? お時間があるなら」
 新年に食べるために、日持ちする乾燥果物を入れた菓子も焼いてあるんです。と言われ、ではお茶を一杯いただこうと家に入る。
「はじめて入ったが、暖かくていい家だな」
「外は寒いですもんね。あれ? はじめてでしたっけ」
 そういえば、馬車で送迎してもらったことはあるが、家にあげるのははじめてかもしれない。湯を沸かしながら茶葉を用意し、マクシミリアンには暖炉前のソファに座ってもらう。お茶を入れるのはヤーデの仕事なので、ドミトリーはおとなしく椅子に座っている。
 マクシミリアンに気を遣っているのか、いつもよりお人形感が増している。それもかわいい。最近ご褒美に家族のキスをねだると、してくれるようになった。唇にはあまりしてくれないけど、頬や額なら躊躇なくしてくれる。嬉しい。
 ドミトリーからのキスを思い出してへらへらしていたら、ポットに注ぐ湯をこぼした。熱っ。
「人の家に招かれる機会も、あまりなくてな。とても居心地がいいものだ」
 暖炉前のソファにどっしり座るマクシミリアンは、存在感がすごい。というか体が大きいせいで、伸びた背中に隠れて暖炉が見えない。
「貴族の方はお呼ばれで行くのも大変ですもんね。はい、どうぞ」
 ソファ横の小さな机に焼き菓子とお茶を出す。皿付きのカップなどないので、いつもの大きなカップである。
「あ、ごめんなさい。いつもの癖でミルク入れちゃいました」
 ぼんやりしながら茶を入れたものだから、自分たちが飲むお茶を入れてしまった。
「いや、これはこれでとてもうまい。ありがとう」
「ぼく、ちゃんとしたお茶も入れられるんですよ?」
「くっくっ、それはまた次回に頼む」
 マクシミリアンはヤーデといるとよく笑う。机で頬杖をついたドミトリーは、ヤーデとマクシミリアンのやり取りをぼーっと見ている。前線では氷の騎士団長と二つ名がついているのだが、私生活ではきっと普通の男なのだろう。ドミトリーには普通の男というものがよくわからなかったが、この男になら安心してヤーデを任せられると思っていた。ヤーデは普通の人間だ、いつかは自分の元を巣立つ。自分は魔法使い、一人になるのは慣れている。
「この菓子もうまい」
「ふふっ、ありがとうございます。こっちは乾燥果物で、こっちはハーブが入ってるんです」
「ほぉ、ハーブは後味がすっきりしていて、ミルクを入れた茶にも合うな」
「うぅ、だからちゃんとしたお茶も入れられるんですって」
「いや、からかったわけではなくてだな。本当にうまいよ」

 なんとなく胸がもやもやする。なんだろう、ヤーデがマクシミリアンと仲良くするのはいいことだ。二人が楽しそうなのもいい。ヤーデが世話になっている侯爵家の人間で、いつもよくしてもらっている。そしてヤーデに親切で頼りがいのある男だ。ドミトリーは自分の気分が少し悪いのは、体調が悪いのかなと思った。
「さて、居心地がよくて長居してしまった。すまない、そろそろ失礼しよう」
「わざわざ来てくれてありがとうございました。よい新年を」
「あぁ、君たちもよい新年を」
 立ち上がって玄関に向かうマクシミリアンを見送ろうとして、ドミトリーも立ち上がりふらついた。ついで椅子の脚に足が引っかかり、そのまま転んだ。素早く近寄りドミトリーの様子を確認したのはマクシミリアンである。
「どこか痛むところはないか、頭は打っていないか、ここはどうだ、動くか」
「ええ、大丈夫です。ふらついて足が引っかかりました」
 頭、目、首、肩、腕、足。順番に少しずつ動かして、問題ないか確認していく。
「大事ないとは思うが、一応横になったほうがいいだろう。歩けるか?」
「ええ、歩けます」
 マクシミリアンに立たせてもらったドミトリーは、もう一度ふらついた。本人は「あれ」と言っている。
「急に立ち上がったからかもしれない。動くな、私が運ぼう。ヤーデ」
「は、はいっ」
「すまないが寝台に連れて行く。場所を教えてくれ」
「はい、こっちです」
 二階を指し、先に駆け上がり部屋の扉を開けて待つ。パンの袋をいくつか抱えているような足音をさせ、マクシミリアンが横抱きにしたドミトリーを連れ階段を上がってきた。
「靴を脱がせてやれ。横になったら衣服を緩めてやってくれ」
「はい」
 靴を脱がせ、上掛けをめくったところへドミトリーをそっと降ろす。重さをまったく感じさせない動作だった。ドミトリーのことが心配だったが、マクシミリアンのことも心配だった。二人はあまりにも美しすぎて、一枚の絵のようにお似合いだったから。
 色々心配すぎて半泣きになったヤーデの頭をくしゃりと撫で、心配するなとマクシミリアンが言う。
「そんなに心配するな。うちの専属医を寄越す、私は来られないと思うが、話はしておくからちゃんと診てもらえ」
「あ、ありがとうございます」
 まさか嫉妬していたなどとは言えず、自分の狭い心が嫌になる。
「あの、申し訳ありません」
 ドミトリーも上掛けを口元まで掛けて、礼を言う。
「ドミトリーも、この休暇はちゃんと食べて休んで養生するように。ヤーデに心配をかけさせるな」
「はい……すみません」
 マクシミリアンの眉が下がる。厳しい顔が不安そうに見えた。
「二人に謝らせたいわけじゃない。私も二人のことが心配なだけだ」
 何かあれば、いつでも侯爵家を頼るようにと言い置いて、マクシミリアンは帰っていった。それほど時間を空けず、侯爵家からの馬車が来て、医者がドミトリーをしっかりと診察してくれた。
「軽い疲労でしょう。肉でも食べてしっかり養生すれば、すぐよくなります」
「ありがとうございました」
 医者の帰ったあと、寝台で横になるドミトリーと、寝台横に椅子を出して座るヤーデが残された。二人とも無言である。世界にこの人しかいらないと思っていたのに、失うかもしれないと思った。倒れたときはびっくりしたし、マクシミリアンに抱かれたときは嫉妬したし、医者に大丈夫と言われてほっとしたら、なんだか疲れてしまった。
「ドミトリーさん」
「ん」
「大丈夫ですか? 気分は悪くないですか?」
「大丈夫、ごめんね心配かけて」
「いえ、ぼくはいいんです。ちょっとびっくりしただけで」
「ヤーデ」
「はい?」
「私にもし何かあったら、この家も財産もすべてヤーデのものになる。そういうふうに書類を作ってあるからね」
「なに、なんで今そんなこと言うんですか」
 疲れた心に、ドミトリーがいなくなったときの話などされて、じわりと涙がにじむ。
「もしもの話。こういうことは、ちゃんと言っておかなくちゃいけないけど、今までできなかったから。だから聞いて」
「………」
「いいこ。家は好きにして構わない。もし一人になったら、マクシミリアン・オルトマン騎士団長を必ず頼るんだよ。あの方は信頼できる、あの人にならヤーデを任せられる」
「やですよ。ぼくは一人にならないし、ずっとドミトリーさんと一緒にいますから。世界で一番好きなのはドミトリーさんですから」
「ん、そうだね」
 私もヤーデ……好き……言いながら眠ってしまった。新年を迎えるために、省の仕事で無理をしたのかもしれない。急な討伐に駆り出されることがあるから、書類仕事をまとめて終わらせるために。いつもと同じだったから、気がつかなかった。新年を二人で過ごすことばかり気になって、ドミトリーの不調に気づかなかったなんて。自分が情けなくて少しだけ泣いた。

 よく眠ったドミトリーは、翌日から元気になった。肉もたくさん食べた。ヤーデはマクシミリアンに礼の手紙を書いて送った。いつもは一文程度の手紙が、ドミトリーのことだけ事細かに記してあって、マクシミリアンはくっくっと笑った。
 回復祝いだ、と書いたカードをつけ、肉と菓子の盛り合わせを家の者に届けに行かせた。本当は自分で行きたかったが、久しぶりの実家で新年のパーティとやらに強制参加させられている。久しぶりに見る貴族たちの空々しい笑顔に、ヤーデたちの家の暖かさを思い出す。作り笑いのない二人、手作りの菓子とミルクの入った茶、自分が望んでもおそらく手に入ることのない世界。
 しあわせにしてやりたかったが、あの陽だまりのような安らぎを欲しているのは自分の方だ。安らぎを与えてやれない自分では、きっと無理なのだろう。せめてしあわせであってほしい。マクシミリアンが新年に願うのは、自分のためではなくヤーデたちのしあわせだった。



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