トースト

コーヤダーイ

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ドミトリーの負傷2

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 侯爵家の紋のない小さな馬車を出してもらい家に戻る。素早く着替え、ブーツを履く。背負い袋に当面の着替えや食べ物、様々な魔方陣にクズ魔法石、紙とペン。木の水筒に木の皿とカップを詰め込んだ。一番上に毛布をくくりつけ、コートを羽織り帽子をかぶったら準備完了だ。
 おまたせしました、と侯爵家の御者に挨拶をし馬車に乗り込むと、そのまま騎士団へと向かった。騎士団にはすでに、四頭の馬を繋いだ馬車が用意されており、マクシミリアンが馬車の前で待っていた。馬に乗った騎士たちも前後に待機している。
「すみません、おまたせしました」
「いや、我々も今準備が整ったところだ」
 マクシミリアンと共に馬車に乗る。馬車は荷台上も馬車のなかも、荷物でいっぱいだった。マクシミリアンとヤーデ二人が、どうにか座っていられる隙間しかない。
「窮屈ですまない。強行軍ゆえ、道中の荷物や食事は、すべてここにある」
「ぼくこそ、無理をいってすみません」
 ヤーデが乗らなければ、マクシミリアンは座席に横になり、休息をとることもできたはずである。
「私が許可した、気にするな。少し眠っておけ」
「はい」
 そう言うと、両腕を組んだマクシミリアンは、目を閉じた。無精ヒゲの生えた顔には、うっすらと隈。それはそうだ、馬を走らせて戻り休む間もなく、また移動をするのだから。他の騎士たちは休めても、騎士団長であるマクシミリアンに替えはいない。
 ヤーデは背負い袋をごそごそすると、一枚の魔方陣を取り出した。クズ魔法石を貼りつければ、すぐ使えるようにしたものだ。クズ魔法石を樹脂を使った特殊なのりで貼る。マクシミリアンのブーツのそばに魔方陣を置いた。
「これでよし」
 微量ながら癒やしと回復を促す魔方陣である。眠れない夜や、病状回復によいかと思って作ってみた試作品だった。急激に作用する回復薬のような力はないが、体に無理をさせず恒久的に使える利点がある。クズ魔法石を貼り替えれば、何度でも使用できる。ドミトリーに会ったら、寝台に置こうと思って持って来た。
 木の水筒から水を飲んだヤーデは、マクシミリアンに習って目を閉じる。気ばかりせいて寝られないだろうと思ったが、すんなりと休むことができた。魔方陣のおかげかもしれない。

 馬を換えて夜通し走ると言われ、どこかの町で一度馬車を降りた。馬車に積んであった人数分の食事を取り出し、みな無言で食べる。馬に乗る騎士たちは、町に待機していた人たちだそうで、元気だった。三日ほど寝なくても動ける、と騎士の一人が言っていたが、マクシミリアンはもしかして、もっと眠っていないのではないだろうか。心配でそっと伺っていると「だいぶ楽になった」とごりごり肩を回していた。馬車での移動中、少しでも休めたようでよかった。
 馬を交換し、馬車に乗る。さきほど降りるときに外しておいた魔方陣を、再び床に置く。
「その魔方陣は?」
 マクシミリアンが床を見ている。馬車のなかは暗いのに、魔方陣とわかるのがすごい。ヤーデが説明をすると、それで体が楽になったのかと頷いていた。五日ばかり寝ていなかったのだと聞いて、ヤーデは背負い袋から毛布を外すと、マクシミリアンに広げて渡した。
「横になれず申し訳ありませんが、せめて目だけでもつぶっていてください」
「もうだいぶ回復したのだが」
「五日寝ないとか、無茶やめてくださいよ。ぼく、二人分の心配なんてできませんから」
「私の心配を、してくれているのか」
「あたりまえでしょ」
 自分が心配などされないと、思っているんだろうか。あまりにもばかばかしい問いかけに、敬語がとれる。
「ふっ、あたりまえ、か」
 ヤーデは知らない。何でも出来て当然の侯爵家嫡男。王家の覚えもよい。いつも人から一目置かれていた。マクシミリアンがしてきた努力を、誉められたことはない。人は輝かしい結果だけを見る。いつでもどこでも。頼られてきた。マクシミリアン自身、そうすることでさらに結果を伸ばす型の人間だったから、うまくやってきた。作戦の失敗を心配されたことはあっても、マクシミリアンを心配する声など聞いたことがない。
 マクシミリアンは、人に甘えた記憶がない。王女と婚約して以来、高潔な人間であろうと生きてきた。婚約者としての彼女を失って以降も、己の決めた道を極めるため、研鑽を積んできたのだ。
 それが、ついこの間まで子どもだったヤーデに、心配されている。おかしなものだ。守り手はマクシミリアンなのに、今はヤーデに守られているような気持ちになった。悪い気分ではなかった。

 馬車は夜の道を進み、時々一時休憩のために停まる。そもそも暗い夜道を進むことができるのは、大きなランプのおかげだ。ギュンターと共に開発している魔方陣は、ここ数年で数多くある。その一つが小さなランプの、大型化だった。初期のものはヤーデの手作りを商品化したもので、手持ちの足元を照らすだけのランプだった。町中では重宝するし、今でもヴィンター商会の人気商品である。
 一方の大型ランプは、馬車や騎馬に搭載するもので、明かりが大きく、より遠くまで届く。しかも火と違い熱が発生しない。通常だとその分大きな魔法石が必要になるのだが、ギュンターがクズ魔法石を複数個使用して、同じだけの光源出力を可能としたのだ。これにより安価で販売することが可能となった。騎士団はもちろん、馬車や馬を使用する人々はこぞって購入した。
 大型ランプは取り外しも可能なので、休憩時には便利な灯りとなる。ただ灯りとするには、少しまぶしすぎる。今後の課題は、光源を調節できるようにすることだな、とヤーデは小さな手帳にメモをとる。もしかして樹脂でランプを覆うようにかぶせたら、灯りが和らぐかもしれない。改善策や新しい魔方陣のひらめきは、メモをとるようにしている。ちょっとした空き時間に、研究が進むこともあるのだ。
 ヤーデにできるのは迷惑をかけないよう、馬車で静かにしていることだけだ。荷物にもたれながら、頭のなかで新しい魔方陣のことをあれこれ考える。ドミトリーのことは、なるべく頭の隅におしやり、考えないようにした。心配も看病も後悔も、ぜんぶ会ってからすればいい。考えに疲れると、目を閉じて眠った。
 ヤーデが眠ると、マクシミリアンが目を開く。先ほど眠ったときにヤーデが掛けてくれたらしい毛布を、眠ったヤーデに掛け直す。魔方陣のおかげもあり、体力の回復はほぼ完了した。夜が明けるころには、現地に到着するだろう。まだ生きていればいいが、とマクシミリアンは眉を寄せた。ドミトリーの怪我は、それほどまでに酷かったのだ。



 夜明け前に到着した。ヤーデは道中一緒にやって来た騎士たちに礼を言うと、マクシミリアンに付いて村の中に入っていった。小さな村だった。所々に子どもでも乗り越えられるような木の柵が設けられている。これが村の境界線なのだという。境界線の向こう側にも、土が耕され何か野菜が植えてあるのが見えた。境界線より外を開墾すれば、自分の畑となるらしい。それで木の柵がまばらに建っているわけだ。
 村の入り口近くの空き地部分に、テントがいくつか張ってあった。騎士団のテントは冬場の使用にも耐えうるため、頑丈にできている。村の小屋のような家より、よほど立派に見えた。そのうちの一つが、医療テントだった。マクシミリアンとヤーデはテントに入る前に、コートとブーツを脱ぐよう指示された。入り口は木の板を置いてあり、なかは土足厳禁だそうだ。石鹸を使ってよく手を洗うよう指示され、ようやく入ることを許される。

 テントの中は白い布が敷かれ、簡易寝台に寝ているのは、ドミトリーだけだった。体には白い布が掛けられ、頭も顔も首も見えている部分ぜんぶに、白布を裂いた包帯が巻かれていた。包帯から出ている髪は、ところどころ焦げてちりちりに縮れている。腰まであったはずの長い髪は、半分以上切られてしまっていた。
「団長お疲れ様です」
「様子は」
「腹部の傷は膿みもせず、落ちついています。意識はまだ戻りません」
「そうか。よくやった」
「……はっ」
 魔物に噛まれて最悪なのは、患部が化膿することである。刀傷のように傷が一直線ならば、縫うこともできるのだが、噛み傷はそうならない。縫い合わせるべき皮膚も肉も、喰いちぎられてしまうからである。よって患部を清潔に保つことが難しい場合には、最も多い死因が化膿によるものだ。体の抵抗力が低下することで、全身に膿み毒が周り、体が内部から腐ってしまう、恐ろしい症状である。内側から腐った部分は、廃棄するしかない。つまり切断である。ドミトリーの怪我は腹部である。化膿したら、それは死を意味した。
 誰もヤーデにそこまでの説明はしなかったのだが、図書館の本を読みあさってきたヤーデは、膿毒症のことを知っていた。今傷が膿んでいないのならば、自分たちはなるべく早くここを出た方がいい。
「一度出ます、マクシミリアン様」
「あぁ」

 テントから出たヤーデは、マクシミリアンに頭を下げた。
「マクシミリアン様、ありがとうございました。これからぼくは、ドミトリーさんの看護の手伝いに入ります。外気にはなるべく直接触れさせない方がいいので、周辺に魔方陣を設置して、ぼくにできることをしたいと思います」
「わかった。何かあれば医療班に言付けてくれ」
「はい。では失礼します」
 ヤーデは背負い袋から紙の束を取り出した。描かれた魔方陣を確認していき、数枚取り出すと、クズ魔法石を接着していく。大きめの紙を一枚広げると、ペンを走らせ魔方陣を描きはじめた。仕上げにクズ魔法石を数個接着すると、大きな紙からふわりと光が立ち上った。
「よし」
 ヤーデが作ったのは清浄の魔方陣である。毒素の多い地域でいつか役に立てば、との思いで作ったものだが、今がその時だった。再び先ほどの手順でテントに入り、付き添いの医療係に説明をして、テント内の四隅に魔方陣を設置した。大きなものは入り口に置く。
「この上を通ることによって、通ったものを清浄化します」
「なんと……」
「あとは、包帯の余りで結構です。清潔な布があれば看護する人間の、鼻と口を覆ってください」
「はぁ……」
「大きな魔方陣の上に置けば、汚れは落ちませんが、何でも清浄化しますので使ってください」
「それは助かります」
 現場では足りない包帯や布は、煮沸消毒して天日干ししか手立てがなかった。その場合、清潔という意味では不安が残る。
「それからこれを、寝台の下に置きます」
「これは?」
「体に無理を掛けず、ゆっくりと癒やしと回復を促す魔方陣です」
「そんな魔方陣ができていたのですか……?」
「あ、売ってないですよ? 試作品です」
 これはあとで箝口令敷かれる案件だ、と医療係は思った。彼も仕事を失いたくなかったので、それ以上質問することは止めた。ドミトリー先生、と話しかけたら「ヤーデでいいです」と言われたので、それ以降は「ヤーデ先生」と呼ぶことにした。医療班はのちのち全員がヤーデ先生と呼ぶことになる。医療班テントの入り口には騎士が配置され、むやみに外気をテント内に持ち込むことは禁止された。

 ドミトリーの腹部の傷は、出血のわりに浅かった。内臓まで牙が達していなかったことが幸いした。ドミトリーの放った電撃で、魔物が燃え焦げた。その魔物が噛みついた熱のせいで、皮膚に負った火傷も酷かった。ヤーデは日に何度もドミトリーの体を拭いた。消毒したあとで、保湿液を塗っていった。医療係たちは、そんな治療を見たことも聞いたこともなかったので、半信半疑だった。しかし火傷の痕は日に日に快復していく。
「皮膚を乾燥させないための保湿と、皮膚の再生を促す薬草が入っているんです」
「なるほど」
 清浄な環境に回復を促す魔方陣、保湿と再生を皮膚に直接塗り込まれて、腹部の傷は折りをみて消毒をする。通常の現場では信じられないくらいの速度で、ドミトリーの体は戻っていった。

「これだけ快復していれば、馬車で運んでも問題ないだろう」
「あとは意識が戻るのを待つばかりですねぇ」
 日に何度かマクシミリアンがテントの外まで来て話をしていた。今は騎士団がそろそろ撤退する、というのでドミトリーの現状確認にテント内に入ったのだった。火傷もだいぶよくなり、ただ眠っているだけに見える程度には、顔色もいい。マクシミリアンと医療班長の話し合いを、ヤーデは黙って聞いている。脳を揺らすのは避けたいのだが、怪我をしてからすでに三週間は経っている。騎士団が、というより騎士団長が、魔物が駆除された場所に、いつまでもいるわけに行かないこともわかる。
「ヤーデ先生はどう思われます?」
「ぼくは騎士団長の決定に従います」
「ヤーデはここで、先生と呼ばれているのか」
「そうなんですよ、騎士団長。ヤーデ先生はすごいんです」
 くっくっと笑うマクシミリアンと、うっかり先生呼わばりに慣れてしまったヤーデが赤面して「違うんです」と訂正しようとする。そんなちょっとした冗談が許される程度まで、ドミトリーは順調に良くなっていた。
「では、戻るか」
「はい」
「出立は昼過ぎとする」
「了解しました」
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