永遠の誓い

rui

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番外編

過去の記憶3

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『……必ずあなたを探し出し、愛する事を誓います』
『私も、愛しています』


……夢を、見ました。
いつも見る、美しい彼女の夢です。


「…………」


野宿をしていたシェイドがゆっくりと目を開けると
満天の星空が、映ります。


(……あの女がホントにいるんなら)


彼女が実在するのなら……
自分を、必要としてくれるのでしょうか。
愛して、くれるでしょうか。

たかが夢。
たかが夢にすがるなんてバカらしい、と思いました。
しかし、


「まぁ……どうせ、行くあてもねぇし」


そう、シェイドは自分に言い聞かせるように、口に出します。

そうです。
どうせ、今の自分には帰る場所も行くあてもありません。
ならば、長い間見続けていた夢に出てくる女性を探してみようと……

そう、決意したのです。

手がかりは、ほんのわずか。

再びゆっくりと目を閉じ
シェイドは、夢の中での情景を思い出します。


……海に囲まれた島
切り立った崖の上に見える城
透き通った青空
色とりどりの花……。


「そういえば……名前、なんて言うんだ?」


ウトウトとしながら
シェイドは、夢の彼女のことを思いました。

何年も見続けている彼女の名前を、シェイドはまだ知りません。
そして、彼女が自分のことを何と呼んでいるのかも。


ーーガサ、


「……?」


ふと
何かの音が聞こえた気がして、シェイドは体を起こします。

すると、
……獣のような、低いうめき声が聞こえてきました。


「危ない!」


シェイドが振り返ろうとしたら。
そんな青年の声が聞こえたと同時に……


ーードサッ


何かが倒れる音が、しました。


「……魔物、」


振り返ったシェイドの目に映るのは
自分の体よりも大きい魔物が、血を流して倒れている姿です。

倒れた魔物を見て、思わず固まってしまいました。
襲われていたら、きっと今ごろ、命はなかったでしょう。


「キミ、怪我はない?」


固まって動かないシェイドは、青年の声にハッと我にかえります。


「……あんたは?」


魔物の後ろから姿を現した茶髪の青年は、二十歳くらいでしょうか。

手には血のついた剣。
一瞬にして魔物を仕留めたのは、この青年なのです。

シェイドが警戒しながら話しかけると……


「…………」


何故か青年は、シェイドを見て驚いた表情を浮かべました。


「な、なんだよ……」


思わずシェイドが立ち上がって聞くと、青年はニコリと笑みを浮かべます。


「…………」


何故かわかりません。
何故かわかりませんが……
シェイドは不思議と、懐かしい気持ちになりました。


「……キミみたいな子どもが、どうしてこんなところに? 町の外は、どこも夜になると魔物が徘徊する。一晩で命を落としても不思議じゃないのは分かってる?」
「…………」


剣を鞘に納めながら、青年がそんなことを聞いてきます。

実際子どもなのだから、正論なのは分かっています。
しかし、普通の家庭で育った子どもと一緒にされたような気がして
シェイドはあからさまに、ムッとしてしまいます。


「分かってるに決まってんだろ。……旅してんだよ」


シェイドはそう言って、荷物を持つとスタスタと歩き出します。
ここにいたら、また魔物がやってくるかもしれないからです。
すると、


「……ボクも、一緒に行くよ」


青年が、シェイドの後ろからついて来るではありませんか。


「は? なんで」


二人はたまたま出会った、見知らぬ旅人同士。
なのに何故、そんな事を言い出すのかシェイドには理解できません。

なにが目的なのでしょうか。
なにを企んでるのでしょうか。


「金なら持ってねぇぞ」


そんなシェイドの言葉に、青年は苦笑いを浮かべます。


「そうじゃないよ。キミを放っておけないんだ」
「……信用できねぇ」


“放っておけない”


そんな曖昧な理由で、納得できるはずもありません。

立ち止まることなく歩いていると、青年がふと立ち止まったことに気づきます。


「信用しなくてもいい。けど、ボクはキミを強くしてあげることができる」


シェイドはピタリと立ち止まり、振り返ります。
青年は、真剣な表情で続けて言いました。


「キミは弱い。
……強くならなきゃ、自分も守りたい人も、守れない」
「…………」


守りたい人。

そんなもの、いません。
いるわけがありません。

しかし……
脳裏をよぎったのは
……夢の中の女性でした。


「これも何かの縁だと思って、どうかな?」


青年はそう言って、シェイドに向かって手を差し出します。
爽やかで、人の良さそうな笑みを浮かべながら。

とても、何かを企んでいるようには見えませんが……
仲間に裏切られたばかりのシェイドには、演技にすら思えます。
しかし。

シェイドは少し間を置いた後、


「……信用したわけじゃねぇからな」


その手を握り返すことなく、前を向いて歩きはじめました。

信用はしません。
信用出来るのは、自分だけ。

ただ、青年の言う通り……シェイドは弱いのです。
先ほどのような魔物に襲われても、何も出来ないでしょう。

もっと強くならなければ
……自分も、夢の中の女性も、守れないでしょう。


(って、夢の女は関係ねぇし。……野たれ死には御免なだけだ)


そう。
すべては自分のため。
一人で生きる力をつけるため。

シェイドがそんなことを考えていると。


「よし、いい子だ」


青年がそう言って
シェイドのもとまで歩み寄ると、髪をくしゃくしゃ、としてきました。


「……?」


シェイドはその言葉を聞いて、不思議な気分になります。

どこかで聞いたことがあるような
どこかで会ったことがあるような
……そんな、既視感を感じたのです。


「さっきの魔物の仲間が近くにいるかもしれないし、そろそろ行こう。
そうだ、キミの名前は?」


ただの気のせいでしょうか。
この青年に会ったことは、やはりありません。


「……シェイド。あんたは?」


シェイドの問いに、青年は少し間を置いて、答えました。


「ボクはハンターの……」

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