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番外編
夢の中で1
しおりを挟むゆらり。
ゆらり。
フワフワとした、とてもいい気分です。
なぜでしょうか。
シェイドは目を閉じたまま、ボンヤリする頭で思い出しました。
確か昨夜は、旅に出る前だからライアンのおごりだと、四人で過ごし……
酔っ払ったまま宿屋に戻り、そのままジルを押し倒して……。
(……あー。やりすぎた……)
結構、というか、かなり、色々と恥ずかしい事をさせてしまいました。
……朝起きたら、さすがに怒られるかもしれません。
拗ねてしまって、口を聞いてくれないかもしれません。
(そういや……怒った顔、見たことねぇな)
恥ずかしそうに怒るジルを想像してみて、思わず笑みを浮かべます。
(なんか……いいな、そういうのも)
これから、ずっとずっと彼女と共に生きるのです。
ライトだった頃には考えられなかった、喧嘩もするでしょう。
嬉しいことも、楽しいことも、悲しいことも、共に分かち合って生きていくのでしょう。
……なんて、幸せなことでしょう。
(……朝起きたら、謝るか……)
そこでようやく、シェイドは目を開けました。
「…………」
その目に映るのは、宿屋の天井--ではありません。
「……は?」
シェイドの目に映るのは、どこか懐かしい……懐かしい、見覚えのある部屋だったのです。
眠っていたはずなのに、どういうわけか、部屋の隅に立っていました。
--自分は夢の中にいる、とすぐに気が付きます。
それもそのはず。
なぜなら、シェイドが立っているこの部屋は……。
--ガチャ
部屋のドアが開きました。
「……あら、どうしたの? 忘れ物でもしたの?」
イリアが、不思議そうに話しかけてきました。
……いいえ。
話しかけてきた彼女は、よく似ていますが、イリアではありません。
「……あんたは……」
「急がなくていいの?
今日は陛下から大事な話があるらしいって、さっき出たばっかりなのに」
たまーに抜けてるのよね、ライトったら」
--ライト。
この懐かしい部屋に見覚えがある理由が、はっきりしました。
どうやらシェイドは今……過去の夢を見ているようです。
ジルと出会うまで、何度も何度も前世の夢を見てきました。
けれど。
(なんか……いつもと違う)
これまでに見た夢は、あくまで過去のライトの記憶を断片的に見ていたもの。
今のように、シェイドとしての意識などありませんでした。
シェイドは、自分の手を握ったり開いたりしてみます。
まるで現実にここにいるかのような感覚に、戸惑います。
「……ライト、どうしたの?」
イリアに似た女性……恐らく、ジルに聞いた通りだとすると、彼女の名前は。
「……あんたが、アリス? ライトの妹の?」
真面目な顔で質問するシェイドに、女性は目をパチパチとまばたきします。
そして、心底不思議そうに、
「当たり前じゃない。どうしたの? なんだか様子もいつもと違うし……」
そう、答えました。
……やはりここは、過去の世界。
(なら……あいつもいるって事か?)
夢とはいえ、気にならないはずがありません。
それはもちろん、ジルのことです。
「なぁ、ジルはどこだ?」
「? ジル?」
きょとんとした表情のアリスに、どうやらまだ、ジルとは出会っていないのだと判断しました。
もちろん、これは夢。
ただの、少しリアルな夢なんだと頭では分かっています。
それでも……。
「あ、ちょっとライト!?」
シェイドは部屋から飛び出し、ジルを探しに向かいました。
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