生意気な弟がいきなりキャラを変えてきて困っています!

あああ

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飛鳥君編

35話 なんで、こんなに心が痛いんだろう…。

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「そっか…。」

どうして胸が痛む?
そんなことは考えない。

考えても───無駄だから。

「────嘘。嫌い。」

「え…?」

嫌い?

「おれの好きな人は…──っ誰にも言えない。」

…?弟はそう言った。
言えない…?え?いや、飛鳥君が好きなんじゃないのか…?おれの心がぐるぐるする。
飛鳥君のこと、もしかしたら好きじゃないのではなんて…おれは期待をしてしまった。

「おれには…好きな人がいて。ずっとずっとそばにいて…おれはっ…好き…本当に好きなんだっ…好きだっ…大好きっ…」

弟はそう言って嘆いた。はじめて聞いた声。
こんな姿の勇太をおれは初めて見た。他に…本当の好きな人がいるのか…?それとも飛鳥君のことなのか…?

「あっ…勇太っ…」

今なら聞けるかもしれない。好きな人こと、もっと詳しく…。

「勇太の好きな人は飛鳥君なの?」
「え?」

勇太にそういってドキドキしているおれがいる。なんで…?そんなのわからない。わかっていけないのだ。そう…二度と。

「おれは─────好きだよ。」

「っ…───!」

好き…。飛鳥君のことが好き…なのか。
そんなのわかっていた。
けど…なんでこんなに…心が痛くなるのだろう。

「兄貴…?どうしたの?」
「ううん、なんでもない、」

バカだ、おれは。勇太が飛鳥君のことが好きじゃないんじゃないかなんて思ってしまった。
そうすればおれが苦しまない。だからそうなって欲しかったのか?飛鳥君がオレのことが好きで勇太が飛鳥君のことが好き。そのことで勇太に嫌われたくなかったのか…?

そうぐるぐる考えていると勇太がいつの間にかが話し出していた。

「ずっとそばにいてくれて…おれの大切な人だ…。だから、守られて当然だと思った。守られて…嬉しかったんだ。だからこのままでいいって思った…。」

「え…?」

「でもっ…!ダメなんだっ!このままじゃっ…!守られてる?そんな受け身じゃっ…おれもあいつも幸せになんかなんねぇっ!だからっ───」

勇太はそういうとおれの服をぐっと引っ張る。おれは、びっくりして固まってしまった。



「おれは──守るって決めた!!」



守る───。かつて、勇太が言ってくれた言葉だった。
中学のとき、勇太はいつもいつも言ってくれた言葉。
おれはその言葉をうまく受け取ることができなかった。
だって──弟に助けられるなんて───と思ってしまったからだ。おかしいと思ったのだ。

「守って守って…おれだけ見ればいいと思った!そうすればっ───あいつはおれだけを、おれだけの世界に──」

「─勇太?」

「でも────ダメだった。」

勇太はそういうと泣きそうな顔になった。
その顔は久しぶりの顔だった。
小さい頃はよく…そんな顔をして泣いていた。
そして───おれが支えていたのだ。
いつの間におれは、そんな顔になった勇太の顔すらも見れなくなってしまったのだろう。


「そんなんじゃ…守れない。おれの意志だけじゃ…ダメだっ!おれは結局何がしたかったんだろう…。」

そういうと勇太の目から涙が零れ落ちた。涙…。勇太の泣く顔を見たのも久しぶりだ。

「勇太は本当に大好きなんだね。」

「──あぁ。そうだ。」

そういうと昔の笑顔でにこっと笑うんだ。
あぁ…バカだなおれは。そう思った。
おれは飛鳥君がおれに思っているような思いも勇太のような思いも何もない。
なのに…こんな真ん中に立って二人の恋を邪魔している。おれは…どうして、こんなところに立っている?おれのすることは一つだったはずだ。

「結ばれるといいな。」

「───あぁ。」

そう、勇太を応援することだ。
おれはただただ勇太が幸せになってほしいのだ。
大切な弟、たが変わってしまった弟。
けど、おれの勇太への大切な思いは変わらない。おれの弟に対しての思いは昔おかしいと言われた。
そこからおれはおかしいのかと自覚した。
だから…離れようとした。

けど離れられなかった。だって…勇太は。 


「────大切な弟なのだから。」



そしてもう一つ、俺はずっと聞きたいことがあった、

「勇太…。」
「なんだよ?」



「なんで───キャラつくってるの?」
  


それはずっと聞きたかったこと。
弟は高校に入ってキャラを変えた。
それはどうしてなのか…ただの気まぐれなのかもしれないけど…

「キャラ?あー。」

勇太はそういうとぼりぼりと頭をかく。

「それは…守るため。」

「守る…?」

「大好きな人を守るため。」


────大好きな人、それって…飛鳥君のことで。勇太は飛鳥君のためにキャラまで変えたってことか?そんな…そこまでして…?

「キャラなんて変えなくても…!勇太はそのままでいいとおれは思うよっ。

おれは昔の勇太の方が───」

好き───だなんて勝手なことを言いそうになった。けど、その声は消えてった。

「だって決めたから。」


そういって勇太はおれを真剣な顔で見つめた。

「おれだってあんなクソみたいなキャラになりたいわけじゃねぇ。ほんと、虫ずが走るっつーか…今も内心きめーし。」

勇太は好きでやってるわけではないことを知る。じゃあなんで…?
それは守るためだと言っていた。

「けど、おれはやるんだよ。じゃねぇーと守れねぇから。」

どんどん勇太の声が遠くなっていくような感覚に落ちる。もう、なぜか聞きたくなかったのだ。


「好きだから。大好きだから…。」


勇太がこんなにも飛鳥君のことを好きなんて思ってなかったのだ。バカだった。本当にバカだ…。


「そっか。」

おれの声が聞こえる。バカみたいに沈んだ声。
なんでこんな声してんの?なんて心の中のおれが聞いてる。知らねーよなんて応える。


そう、知らない。知らないからこそ…こんなに悲しいものはないのだ。
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