捨て子の幼女は闇の精霊王に愛でられる

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「ミア！ミア！僕を見ろ！こっちを見て、ゆっくり呼吸をするんだ。その感情に、呑まれたらダメだ。」


何！何を喋ってるの！誰が喋ってるの！？どこ？シャドウに会いたい。どこにいるの！？苦しい。苦しい。もう何も、分からない。何も、見えない。


ミアは、その小さな体は、ぐったりと動かなくなった。目は、感情が無くなっていた。


そう、ミアは捨てられた事実を、忘れていた。いや、忘れさせられた。他でもない、シャドウの手によって。幸せな記憶だけを残して。シャドウは考えた。【捨てられた】なんて気持ちは覚えなくていい。この子の母親の存在なんて、知らなくていい。


赤子の心はとても敏感だ。小さな体には、重すぎるものだ。この子を壊してしまうものだから。ならば、僕が拾った事実だけでいい。後の辛い気持ちも重い事実も、忘却の魔法で忘れさせてしまおう。


こうして、ミアがこれを受け止められるようになるまではと、忘れさせていた。なのに。なのに。知られてしまった。辛い気持ちをいっぺんに、一気に無理やり押し込まれてしまったようなものだ。心が壊れてしまっても仕方がない状況だった。


「ミア、ミア。ほら、まだ夜じゃないよ。しっかり起きて。ミア、ミア！」


「これで分かったでしょう。私の言うことを聞け。精霊王」偉そうに、鼻を鳴らす。


シャドウの目が、赤く濁る。腕の中の幼女をきつく、きつく抱きしめながら


次の瞬間には、全ての風景が一変していた。シャドウの目の前には、苦しみもがくこの国の王と、ミアの母親。周りには沢山の死体。崩れ果てた城。


「ハハっ、楽に死ねると思ったか？おまえ達には、地獄を見せてやるよ。」


残忍な顔を見せながら、そういって転移させた。