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「着いたよ」優しい声が聞こえた。目を開く。


おぉ!ここが王宮かぁ!綺麗………だけど、なんだか気持ち良くない。どうしてだろ。掃除は、されてるみたいだし、装飾だって豪華なのに。


「さあ、王様のところに行かなきゃね。」シャドウは私に頬ずりしてから歩き出した。え!?いきなり王様に会うの!?ちょっとは心構えしようよ!?


私の願いは虚しく散り、今は王様の前にいまーす。ちょっと急展開過ぎじゃありませんかね?私、王様への礼儀なんてこれっぽっちも知らないし、さっきからじろじろこっちを見てくるんですけど!?


ってゆーか、この人、私が想像してた王様と違う。私が想像してた王様は、おじさまって感じの優しいオーラ全開の紳士みたいな人。こんなまるまる太っててベタベタしてるような人じゃない………。


「よく来てくださいましたな。闇の精霊王シャドウ様。腕の中にいるその幼女はどなたでしょう?あなたが誰かに体の一部でも触らせるだなんてあり得ない事でしたのに。気が変わられたんですか?」


「この子は僕の、精霊の愛し子だからな。この子だけ、特別だ。」わお、特別扱いしてくれるの?嬉しい♪


「して、なぜ僕を呼び出した?要件を言え。代償は見合ったものを要求しよう。」


「気が早いですなぁ。まあいいでしょう。今回呼び出したのは、国民の支持を全部私が受けるように、心を操って欲しいのです。憎いことに、私の弟の方が、国民の支持が強い。兄である私を、差し置いて!許せない!ククッ。闇の精霊王のあなたなら、容易いでしょう。」


そう言ってニタニタ笑った。何こいつ。上からだし、言ってる事も意味わかんない。


「それは、断る」なんの感情も籠っていない、冷たい声。


「こんな所には、やはり連れて来るんじゃなかった。」


そんな顔、しないで。そんな顔、させないで。暗い感情が、芽生えていく。


「断る、だと?では、その子を私のものにすれば、どうだ?」


ギィっと、鈍い音を立てて扉が開く。そこには、宝石でゴテゴテに着飾った、女の人がいた。あの人は、誰?私は、あの人を知ってる?あれ?


「!!!生きていたのね!私の………………娘。陛下♪この子は私の娘ですわ!」ゆっくりと、近ずいて来る。不気味に微笑みながら。


「そうなのか!?でかしたぞ!養子にしようかと思ったが、手間が省けたな!」


ブワッと辺りを黒い何かが覆う。


「来るな。ミアに、近づくな。話しかけるな。」


混乱する。どうしよう。何が起こってるのか、自分でも分からない。分かりたくない。目の前のこの人は、お母さんなの?ならどうして、私はこの人じゃなくて、シャドウに育てられたの?あぁ、私は何かを忘れている?忘れている、思い出したくないものを。


頭を何かがよぎる。雪?寒い。寒くて、悲しい?あぁ、寒い。寒くてたまらない。心が、凍っていってしまう。なぜか、確信できる。









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