無気力少女と魔王の日常

ここあ

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「出てけ」


たった一言、でもこれは、冷酷無慈悲な魔王を震え上がらせるのには、十分過ぎるほどであった。


恐らく、いや絶対にこれほど焦っている魔王を見たものは過去に1人でさえ存在しないだろう。なにせ、この無気力でひ弱な少女は、最強の魔王が唯一跪く存在である。


「っっごめん………そんなに怒るとは思わなくて………。もう邪魔しない。思う存分寝ていいから、だから機嫌を直してくれないか?」


「あんたのせいで、眠気が吹っ飛んだって言ってるんだけど?なのに寝てもいいだって?はっ。許せない。こうなったら、魔王であるあんたの持てる力を全て使ってでも、今直ぐ寝させろや」


こんな発言が許されるのはもちろん彼女だけである。他の者がこんな発言をしたら………もう、次の日に形は保たれていないだろう。


「わ、分かった。」とにかく彼女の機嫌を直したい一心の魔王は、己の睡眠誘導の魔力を大量に彼女にかけた。


「ん。んぅ。これ、たしかに、ねむく、なって、きた、か、も」そしてエリーは一瞬にして深い深い眠りに入っていった。


もう一度言おう。エリーは、『深い深い』眠りにはいった。魔王の本気なのだから、普通の人間に耐えられるはずもない。当たり前である。


この事を魔王は後に死ぬほど後悔する羽目になる。


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