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第一章 始まりの章
第一幕 これが私の第一幕
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ご閲覧いただき、ありがとうございます。ようこそ、『舞風学園演劇部』の物語へ。
ここは、まだ何もなかった新設校、舞風女子学園高校。そして、ひとつの部活動が始まった場所。
舞台は、青春。
主演は、夢を信じる少女たち。
笑いあり、涙あり、ちょっと恥ずかしくて、でも眩しい青春物語を、彼女たちは、全力で演じます。
それでは、幕が上がります。
どうぞ『舞風学園演劇部』の世界をお楽しみください。
開演です。
(私、小さい頃からずっと思ってた。
誰かになりきるのって、すっごく楽しいって。)
(お姫さまでも、ヒーローでも、魔法少女でも、
ほんとは、そんなのになれないってわかってる。)
(だけど――
その“フリ”をしてるときだけは、自分のことを好きになれる気がした。)
(明日から私、高校生。
そろそろ、こういうのもやめたほうがいいのかな……)
(ううん、でも……もう少しだけ――
最後にもう一回だけ、“魔法少女ひのりん”になっても、いいよね?)
「はぁっ! くらえ、ひのりん・スターライト・スパークルッ!」
部屋の中で放たれた技の音は、カラフルなおもちゃの魔法の杖から鳴る電子音。
その先には、ベッドに並んだぬいぐるみたち――通称“悪のぬいぐるみ軍団”。
「ふふっ、甘いわね。今度こそおしまいよ、魔法少女ひのりん!」
と、今度は自分で敵のセリフも低めの声色で演じる。
それが、本宮ひのりの毎日のルーティン。
彼女は茶色のショートボブに緑のヘアピンが特徴の明るく快活な女の子。
高校入学を翌日に控えているというのに、今日も元気に一人芝居に夢中だった。
「演技っていうか、これじゃあ……完全にごっこ遊び、だよね」
ぬいぐるみにトドメを刺したあと、ふと冷静になる。
鏡に映る自分の姿――制服でもなく部屋着でもない、“魔法少女のつもり”の即席コスチューム。
「高校生にもなって……こんなこと、やってるなんて…… でも魔法少女って…恥ずかしいのかな」
そう呟いた途端、顔が真っ赤になる。
けれどベッドに寝転がったひのりは、そんな自分をどこか誇らしく思っていた。
……楽しい。
でも、いつまで“楽しい”って言っていいんだろう。
ぬいぐるみは何も言わない。
返事をしてくれるのは、自分の声だけだった。
だが彼女の心には、明日から始まる高校生活に対するワクワクが、静かに膨らんでいた。
翌朝――。
ひのりはアラームの音に目をこすりながら起き上がった。
枕元には、昨夜使った魔法の杖とぬいぐるみたちが無造作に転がっている。
「ん~……よしっ! 今日から高校生だ~っ!」
大きく背伸びをして、制服に手を伸ばす。
カーテンを開けると、春らしい優しい光が差し込んできた。
制服の袖が、まだ少しだけ長かった。
鏡の中のひのりは、昨日より大人で、昨日より頼りなかった。
髪にはお気に入りの緑のヘアピンをつけて、鏡の前でニッコリ。
「うん、今日の私は……入学式ヒロインって感じ!」
⸻
階下に降りると、キッチンでは母親が朝食を用意しており、父親は新聞を片手にコーヒーをすすっていた。
足元では、愛犬のラブラドールレトリバーのハッピーが尻尾をぱたぱたと振っている。
「ひのり、早起きじゃん。珍しい」
「今日は入学式だよ? 遅れたらシャレになんないって!」
「寝坊しないようにって、三つもアラームかけてたもんね」
母が笑いながら味噌汁をテーブルに運ぶ。
「……あ、これ昨日の卵焼きの味付けと違う?」
「気づいた? 今日のはちょっと甘め。高校初日だからサービスってことで」
「えへへ~、やった~!」
いつもと変わらない朝だけど、どこか特別な空気がある。
「制服、似合ってるな。なんかちょっと大人っぽくなったかも」
「ほんと? うれしい!」
「でも、はしゃぎすぎて遅刻しないようにね」
「ふふっ、今日は“真面目なひのりん”で行ってきまーす!」
⸻
ハッピーを撫でて玄関を開けて家を出たひのりは、近くの交差点で誰かを見つけて小走りになる。
「七海ちゃん!」
黒く長い髪が風に揺れる。整った姿勢で歩いていたのは、伊勢七海。
ひのりとは対照的にクールで落ち着いた雰囲気の、幼なじみにして良き理解者だ。
「……おはよう、ひのり。珍しいわね、あなたが先に来るなんて」
「ふふん、高校生の私はひと味違うのだ!」
「そう。じゃあ遅刻癖は高校デビューと共に卒業ね?」
「たぶん! きっと! ……できるといいなぁ」
二人で並んで歩く、いつも通りの道。
だけど、着ている制服も、目指す場所も、今日からは“いつも”じゃない。
「ねぇ七海ちゃん、私、今日からちゃんと“高校生”になれるかな?」
「なれるも何も、もうなってるわよ。自覚しなさい」
「……そっか。へへっ!」
駅に着くと、ホームには制服を着た新入生らしき子たちがちらほらといる。
ひのりは、胸の奥がトクトクと高鳴るのを感じながら、七海と並んで電車を待った。
その先にある、まだ誰も知らない“舞風学園”という舞台へ向けて。
「七海ちゃん、なんかね、凄くドキドキしてる」
「落ち着きなさい。大丈夫よ。誰だって今日は主役みたいなものだし」
そして風丘駅に到着する。
駅前の空気を胸いっぱいに吸い込みながら、ひのりは七海と坂を上っていった。
朝日を受けて、ガラス張りの校舎がきらめいている。
白と青を基調とした未来的なデザイン――
だけどどこか懐かしさもある。
新しいのに懐かしい――そんな学園が、ひのりの新しい舞台だった。
「ここが私たちの学校なんだ……!最初の生徒になるって不思議な感じするね」
ひのりは立ち止まり、感嘆の声を漏らした。
制服の胸元をぎゅっと握りしめる。
七海も答える。
「綺麗ね。新設校ってだけあって、昔の学校の面影もあるけど設備も一級品みたい」
門をくぐると、歓迎の立て看板が出迎えてくれた。
「第一回 私立舞風学園女子高等学校 入学式」
そしてその下に、オレンジ色の字でこう書かれていた。
“風の舞う、この場所で――あなたの物語が始まります”
⸻
校舎の中も、すべてが新品だった。
白い廊下、磨かれたかのような床、明るい自然光の差し込む窓。
すれ違うのはすべて同じ制服を着た“仲間たち”。
二人は掲示板でクラスを確認する。
「本宮ひのり……伊勢七海……A組、だって!」
「ふふ、やっぱりね。同じでよかったわ」
そして案内に従って、二人は体育館へと向かう。
⸻
体育館は、外観以上に近代的だった。
広く天井の高い空間に、間接照明が柔らかく降り注ぐ。
正面のステージには新しい紺色のカーテンが垂れ、そこに「入学式」の文字が掲げられていた。
「……すごいね、ほんとに新しい舞台って感じ……!」
ひのりはステージを見つめ、まるで自分が立つ未来を想像しているかのようだった。
「ひのり、舞台に憧れてるのね」
「うん。だって“これから始まる”って空気、もうドキドキするんだもん」
二人はそれぞれ番号通りの席に座る。
体育館に集まるのは、新入生とその保護者、そして教職員や地域関係者。
ーーそして、式が始まる。
校長は、舞風学園が「学問と芸術」を重んじる学校であることと、これから始まる三年間への期待を簡潔に語った。
続いて地元の風丘フィルハーモニー楽団による校歌の演奏が行われ、体育館には澄んだ音が広がった。
ひのりは、思わず背筋を伸ばす。
そして、司会の声が続く。
「続いて、新入生代表による挨拶です。
1年C組、宝 唯香さん」
ひのりは、はっとして壇上を見た。
赤みのあるロングヘアの少女が、迷いのない足取りで前に出る。
制服姿なのに、その立ち姿はどこか舞台に立つ役者のようだった。
唯香は一礼し、マイクの前に立つ。
「――新入生を代表し、ご挨拶申し上げます。
本日、私たちは舞風学園に入学しました。
これから始まる三年間を、一人ひとりが自分と向き合いながら、実りあるものにしていきたいと思います。
ご指導くださる先生方、支えてくださる皆様、どうぞよろしくお願いいたします」
簡潔で、無駄のない挨拶。
声も、間も、きれいに整っていた。
拍手が起こる。
けれど、ひのりの胸には、小さな違和感が残った。
(この子……ちゃんとしすぎてる)
宝 唯香は表情を変えず、一礼して壇上を降りていった。
⸻
式が終わり、生徒たちはそれぞれのクラスへ移動を始めた。
ひのりと七海も案内に従い、1年A組へ向かう。
新しい校舎の廊下を歩きながら、ひのりは思わずつぶやいた。
「ここから……私の高校生活が始まるんだね」
教室に入ると、整然と並んだ机と椅子、ほんのり漂う新しい教室の匂い。
「なんだか、胸がふわってなるね……!」
「“始まりの匂い”って感じがするわね」
緊張と期待をまとった新入生たちが静かに席へつく。
ひのりも息を整え、そっと背筋を伸ばした。
⸻
ガラッ。
教室の扉が開いた。
「失礼しまーす。はい、席についてくださいねー」
入ってきたのは若い女性教師だった。
ベージュのジャケットに、柔らかい目元がよく似合う。
「今日から1年A組を担当します、音屋亜希です。よろしくお願いします」
明るく落ち着いた声に、教室の空気が少しほぐれる。
「実は私は大学から出て数年ですが、この春から舞風学園に赴任しました。先生としてはまだ1年目で若い方なので、皆さんと一緒に成長できたら嬉しいです」
その言葉に、教室のあちこちで小さなざわめきが起きる。
(若い……お姉さんみたい)
(綺麗な人だな)
(優しそう……!)
⸻
「それじゃあまず、自己紹介をしましょうか。出席番号順で、一人ずつ前に出てお願いします」
そうして、生徒たちは一人ずつ自己紹介を始めた。
「伊勢七海です。出身は○○中学、趣味は読書と小説を書くことです。よろしくお願いします」
凛として無駄のない七海の自己紹介に、教室から自然と拍手が湧く。
数人が続き、そして出席番号24番――。
「……本宮ひのりさん、お願いします」
「はいっ!」
勢いよく立ち上がったひのりは、堂々と席立った。
胸を張り、にこっと笑って――。
「皆さん、はじめまして! 本宮ひのりです!」
少し間を置き、両手を軽く広げて続けた。
「将来の夢は……大女優になること! 趣味は、ごっこ遊びと“なりきり演技”です!」
そこまではまだギリギリ“個性派”の範囲だった。
だが次の一言で――教室の空気は、確実に変わった。
「今朝も魔法少女になって、ぬいぐるみたちとバトルしてきましたっ!」
……シン……。
一瞬、教室の空気が固まった。
数人が視線を伏せ、七海は額を押さえてため息。
(ああもう……ひのりったら、まったく……子供っぽい。でもその子供っぽさに救われてるのはーー私の方よ」)
――そのとき。
「ぷっ……なにそれ……!」
前の席の子が思わず噴き出した。
すると別の子が「ぬいぐるみとバトルって!?」と小声で笑い、
やがてクスクスとした笑いが教室中に広がっていく。
「やだ~めっちゃ面白いんだけど!」
「魔法少女って……かわいいじゃん」
笑いの波に、ひのりも照れたように笑顔を返す。
「……えへへ……よろしくお願いしますっ」
今度は自然と拍手が起こった。
中にはまだ戸惑う表情の子もいたが、少なくとも“重い空気”は吹き飛んでいた。
⸻
音屋先生だけが、変わらぬ笑顔でぽつりと言った。
「うん、演技が好きってことね。本宮さん、これからが楽しみです」
⸻
続けて他の生徒の自己紹介が行われたが、“あの子、昨日魔法少女になってたらしい”という情報は、この日クラス中にゆるく、そして確実に広がっていったのだった。
ホームルームを終えて教室を出て廊下を歩いていたひのりと七海は、ふと人だかりのできた掲示板前に目をやった。
「わっ、部活紹介だ! 見て見て七海ちゃん、部活、どれにしようかな?」
掲示板には様々な部活動の案内が並んでいた。
部員募集中のポスターの文字の下には、手書きでこう書かれている。
「初心者歓迎!みんなでゼロから演劇部を作ろう!」
「私、やっぱり演劇部入りたい! これしかない!」
「……中学のときも演劇部やりたかったんだ。でも演劇部なくて、結局できなかったから……」
ひのりは拳をぎゅっと握りしめる。
「だから今度こそ! 絶対に演劇部で青春するんだ!」
「文芸部も見ておきたいけど……演劇部がいいわね。ひのりと一緒にやるのも楽しそうだし」
「本当? 七海ちゃんも一緒ならすっごく心強いよ~!」
テンションの高いひのりが飛び跳ねそうになったそのとき、掲示板の前にいた二人の女子が目に留まる。
1人は元気いっぱいな感じのオレンジ色のポニーテールの女子生徒、小塚紗里。もう1人は黒髪をツインテールに結んだ自分に自信なさそうな城名みこである。
「えっと……演劇部、気になってる?」
オレンジ髪の少女がすぐに反応する。
「あっ!バレた?あたし、小塚紗里。運動は得意だけど演劇とか悪役やってみたくてさ!
この前、弟と妹に“怪獣役やって!”って言われて、思いっきり吠えたらめっちゃウケたの!それからちょっとハマってて」
ツインテの少女が小さく声を上げる。
「わ、私は……城名みこ。……ひ、人前で話すの苦手だけど……お芝居……憧れてて…… いつも観るだけだったけど……気づいたら、立つ側に行きたいって思ってて……」
「うんうん、すっごくわかる!紗里ちゃん、一緒にやろうよ!」
「怪獣演技やってみたいなー」
「悪役!? じゃあ今やってみよ!」
紗里は一歩下がって、両手を腰に当てて胸を張る。
「ふっふっふ……私は演劇星人。この舞風学園は私のものだ!」
「なにぃ!? そうはさせるか、ヒノトラマン!参上!」
ひのりは腕でビームを構える真似をする。
「ぐはあっ!やられた!」
紗里もビームを受けたオーバーリアクションした演技、気がつけば周囲にまる聞こえで周囲の新入生達もその光景に笑っていた。
みこは目を丸くしてから、小さく笑った。
「……すご……ほんとにやるんだ……」
七海は肩をすくめつつも、口元を緩めていた。
「この空気感なら上手くいきそうだし人数がいれば部としても安定するしね」
「じゃあもう入部決定ってことで、連絡交換しよっか!」
ひのり、七海、紗里、みこの四人はその場でQRコードを出し合い、グループトークを作る。まるで“結成”の瞬間だった。
「――いいわね、その勢い」
不意に、すぐそばから落ち着いた声がした。
振り向くと、そこには音屋亜希先生が立っていた。さっき教室で自己紹介していた、あの担任だ。
「部活も、クラスも、最初の一歩が肝心よ。演劇部に入るつもりなのよね?」
「はいっ! 私たち四人で、演劇部やります!」
ひのりが胸を張って答えると、音屋先生は少しだけ目を細めてうなずいた。
「そう。じゃあちょうどいいわね。――演劇部の顧問は私だから」
「えっ、先生が?」
「ええ。皆さんの演技、楽しみにしてるわ。また後日、正式な説明をするから、今日はまず入学式の余韻を味わってちょうだい」
それだけ告げると、音屋先生は「じゃあ、また教室でね」と軽く手を振って、職員室の方へ歩いていった。
だが、その空気に水を差すように、冷たい声が飛び込んできた。
「楽しそうね。でも、演劇を舐めないでくれる?」
振り返ると、体育館前の通路を通り過ぎようとしていた一人の女子生徒が、立ち止まってこちらを見ていた。
赤みのあるロングヘア、姿勢の良さ、整った制服。
名札には「1年C組・宝 唯香」。
先程の新入生代表を挨拶をしていた生徒である。
「え……あなたは?演劇部に入りたいんですか?」
「私は宝唯香。元子役として一つ、言っておくわ。
演劇ってのは“ごっこ遊び”じゃない。本気でやってきた人間に失礼よ」
言い終わると、彼女は背を向けてそのまま歩き去っていった。
⸻
その直後、廊下で七海はスマホを操作し、ひのりに画面を見せる。
「……あの子って、もしかしてこれじゃない?」
画面に映っていたのは、数年前に上演された有名な舞台のポスター。
その中央には、あどけない表情をした少女――まぎれもなく、宝唯香の姿があった。
「す、すごい……本物の女優だなんて……」
「でも私たちのこと、良いようには思ってないみたいだわ」
「……やってみないとわからないじゃない。ねえ、演劇部入らない?」
そう言うなり、ひのりは唯香の後を追って廊下を駆け出した。
「待ってよ! 女優だったんでしょ?」
唯香は立ち止まらず、淡々と答える。
「そうだけど。……ただの“ごっこ遊び”がやりたいの?
悪いけど――あなた達と一緒に部活はできないわ。失礼します」
「ええ?! そ、そんなあ~!」
彼女の呼びかけは届かず、唯香の背中が、廊下の先で小さくなる。
その姿は遠くて、でも、目が離せなかった。
(だけど、これで諦めるなんてしない。
私は――)
(きっと、この舞台に立ってみせる。
……これが、幕が上がったばかりの私の第一幕だったのです。)
続く。
ここは、まだ何もなかった新設校、舞風女子学園高校。そして、ひとつの部活動が始まった場所。
舞台は、青春。
主演は、夢を信じる少女たち。
笑いあり、涙あり、ちょっと恥ずかしくて、でも眩しい青春物語を、彼女たちは、全力で演じます。
それでは、幕が上がります。
どうぞ『舞風学園演劇部』の世界をお楽しみください。
開演です。
(私、小さい頃からずっと思ってた。
誰かになりきるのって、すっごく楽しいって。)
(お姫さまでも、ヒーローでも、魔法少女でも、
ほんとは、そんなのになれないってわかってる。)
(だけど――
その“フリ”をしてるときだけは、自分のことを好きになれる気がした。)
(明日から私、高校生。
そろそろ、こういうのもやめたほうがいいのかな……)
(ううん、でも……もう少しだけ――
最後にもう一回だけ、“魔法少女ひのりん”になっても、いいよね?)
「はぁっ! くらえ、ひのりん・スターライト・スパークルッ!」
部屋の中で放たれた技の音は、カラフルなおもちゃの魔法の杖から鳴る電子音。
その先には、ベッドに並んだぬいぐるみたち――通称“悪のぬいぐるみ軍団”。
「ふふっ、甘いわね。今度こそおしまいよ、魔法少女ひのりん!」
と、今度は自分で敵のセリフも低めの声色で演じる。
それが、本宮ひのりの毎日のルーティン。
彼女は茶色のショートボブに緑のヘアピンが特徴の明るく快活な女の子。
高校入学を翌日に控えているというのに、今日も元気に一人芝居に夢中だった。
「演技っていうか、これじゃあ……完全にごっこ遊び、だよね」
ぬいぐるみにトドメを刺したあと、ふと冷静になる。
鏡に映る自分の姿――制服でもなく部屋着でもない、“魔法少女のつもり”の即席コスチューム。
「高校生にもなって……こんなこと、やってるなんて…… でも魔法少女って…恥ずかしいのかな」
そう呟いた途端、顔が真っ赤になる。
けれどベッドに寝転がったひのりは、そんな自分をどこか誇らしく思っていた。
……楽しい。
でも、いつまで“楽しい”って言っていいんだろう。
ぬいぐるみは何も言わない。
返事をしてくれるのは、自分の声だけだった。
だが彼女の心には、明日から始まる高校生活に対するワクワクが、静かに膨らんでいた。
翌朝――。
ひのりはアラームの音に目をこすりながら起き上がった。
枕元には、昨夜使った魔法の杖とぬいぐるみたちが無造作に転がっている。
「ん~……よしっ! 今日から高校生だ~っ!」
大きく背伸びをして、制服に手を伸ばす。
カーテンを開けると、春らしい優しい光が差し込んできた。
制服の袖が、まだ少しだけ長かった。
鏡の中のひのりは、昨日より大人で、昨日より頼りなかった。
髪にはお気に入りの緑のヘアピンをつけて、鏡の前でニッコリ。
「うん、今日の私は……入学式ヒロインって感じ!」
⸻
階下に降りると、キッチンでは母親が朝食を用意しており、父親は新聞を片手にコーヒーをすすっていた。
足元では、愛犬のラブラドールレトリバーのハッピーが尻尾をぱたぱたと振っている。
「ひのり、早起きじゃん。珍しい」
「今日は入学式だよ? 遅れたらシャレになんないって!」
「寝坊しないようにって、三つもアラームかけてたもんね」
母が笑いながら味噌汁をテーブルに運ぶ。
「……あ、これ昨日の卵焼きの味付けと違う?」
「気づいた? 今日のはちょっと甘め。高校初日だからサービスってことで」
「えへへ~、やった~!」
いつもと変わらない朝だけど、どこか特別な空気がある。
「制服、似合ってるな。なんかちょっと大人っぽくなったかも」
「ほんと? うれしい!」
「でも、はしゃぎすぎて遅刻しないようにね」
「ふふっ、今日は“真面目なひのりん”で行ってきまーす!」
⸻
ハッピーを撫でて玄関を開けて家を出たひのりは、近くの交差点で誰かを見つけて小走りになる。
「七海ちゃん!」
黒く長い髪が風に揺れる。整った姿勢で歩いていたのは、伊勢七海。
ひのりとは対照的にクールで落ち着いた雰囲気の、幼なじみにして良き理解者だ。
「……おはよう、ひのり。珍しいわね、あなたが先に来るなんて」
「ふふん、高校生の私はひと味違うのだ!」
「そう。じゃあ遅刻癖は高校デビューと共に卒業ね?」
「たぶん! きっと! ……できるといいなぁ」
二人で並んで歩く、いつも通りの道。
だけど、着ている制服も、目指す場所も、今日からは“いつも”じゃない。
「ねぇ七海ちゃん、私、今日からちゃんと“高校生”になれるかな?」
「なれるも何も、もうなってるわよ。自覚しなさい」
「……そっか。へへっ!」
駅に着くと、ホームには制服を着た新入生らしき子たちがちらほらといる。
ひのりは、胸の奥がトクトクと高鳴るのを感じながら、七海と並んで電車を待った。
その先にある、まだ誰も知らない“舞風学園”という舞台へ向けて。
「七海ちゃん、なんかね、凄くドキドキしてる」
「落ち着きなさい。大丈夫よ。誰だって今日は主役みたいなものだし」
そして風丘駅に到着する。
駅前の空気を胸いっぱいに吸い込みながら、ひのりは七海と坂を上っていった。
朝日を受けて、ガラス張りの校舎がきらめいている。
白と青を基調とした未来的なデザイン――
だけどどこか懐かしさもある。
新しいのに懐かしい――そんな学園が、ひのりの新しい舞台だった。
「ここが私たちの学校なんだ……!最初の生徒になるって不思議な感じするね」
ひのりは立ち止まり、感嘆の声を漏らした。
制服の胸元をぎゅっと握りしめる。
七海も答える。
「綺麗ね。新設校ってだけあって、昔の学校の面影もあるけど設備も一級品みたい」
門をくぐると、歓迎の立て看板が出迎えてくれた。
「第一回 私立舞風学園女子高等学校 入学式」
そしてその下に、オレンジ色の字でこう書かれていた。
“風の舞う、この場所で――あなたの物語が始まります”
⸻
校舎の中も、すべてが新品だった。
白い廊下、磨かれたかのような床、明るい自然光の差し込む窓。
すれ違うのはすべて同じ制服を着た“仲間たち”。
二人は掲示板でクラスを確認する。
「本宮ひのり……伊勢七海……A組、だって!」
「ふふ、やっぱりね。同じでよかったわ」
そして案内に従って、二人は体育館へと向かう。
⸻
体育館は、外観以上に近代的だった。
広く天井の高い空間に、間接照明が柔らかく降り注ぐ。
正面のステージには新しい紺色のカーテンが垂れ、そこに「入学式」の文字が掲げられていた。
「……すごいね、ほんとに新しい舞台って感じ……!」
ひのりはステージを見つめ、まるで自分が立つ未来を想像しているかのようだった。
「ひのり、舞台に憧れてるのね」
「うん。だって“これから始まる”って空気、もうドキドキするんだもん」
二人はそれぞれ番号通りの席に座る。
体育館に集まるのは、新入生とその保護者、そして教職員や地域関係者。
ーーそして、式が始まる。
校長は、舞風学園が「学問と芸術」を重んじる学校であることと、これから始まる三年間への期待を簡潔に語った。
続いて地元の風丘フィルハーモニー楽団による校歌の演奏が行われ、体育館には澄んだ音が広がった。
ひのりは、思わず背筋を伸ばす。
そして、司会の声が続く。
「続いて、新入生代表による挨拶です。
1年C組、宝 唯香さん」
ひのりは、はっとして壇上を見た。
赤みのあるロングヘアの少女が、迷いのない足取りで前に出る。
制服姿なのに、その立ち姿はどこか舞台に立つ役者のようだった。
唯香は一礼し、マイクの前に立つ。
「――新入生を代表し、ご挨拶申し上げます。
本日、私たちは舞風学園に入学しました。
これから始まる三年間を、一人ひとりが自分と向き合いながら、実りあるものにしていきたいと思います。
ご指導くださる先生方、支えてくださる皆様、どうぞよろしくお願いいたします」
簡潔で、無駄のない挨拶。
声も、間も、きれいに整っていた。
拍手が起こる。
けれど、ひのりの胸には、小さな違和感が残った。
(この子……ちゃんとしすぎてる)
宝 唯香は表情を変えず、一礼して壇上を降りていった。
⸻
式が終わり、生徒たちはそれぞれのクラスへ移動を始めた。
ひのりと七海も案内に従い、1年A組へ向かう。
新しい校舎の廊下を歩きながら、ひのりは思わずつぶやいた。
「ここから……私の高校生活が始まるんだね」
教室に入ると、整然と並んだ机と椅子、ほんのり漂う新しい教室の匂い。
「なんだか、胸がふわってなるね……!」
「“始まりの匂い”って感じがするわね」
緊張と期待をまとった新入生たちが静かに席へつく。
ひのりも息を整え、そっと背筋を伸ばした。
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ガラッ。
教室の扉が開いた。
「失礼しまーす。はい、席についてくださいねー」
入ってきたのは若い女性教師だった。
ベージュのジャケットに、柔らかい目元がよく似合う。
「今日から1年A組を担当します、音屋亜希です。よろしくお願いします」
明るく落ち着いた声に、教室の空気が少しほぐれる。
「実は私は大学から出て数年ですが、この春から舞風学園に赴任しました。先生としてはまだ1年目で若い方なので、皆さんと一緒に成長できたら嬉しいです」
その言葉に、教室のあちこちで小さなざわめきが起きる。
(若い……お姉さんみたい)
(綺麗な人だな)
(優しそう……!)
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「それじゃあまず、自己紹介をしましょうか。出席番号順で、一人ずつ前に出てお願いします」
そうして、生徒たちは一人ずつ自己紹介を始めた。
「伊勢七海です。出身は○○中学、趣味は読書と小説を書くことです。よろしくお願いします」
凛として無駄のない七海の自己紹介に、教室から自然と拍手が湧く。
数人が続き、そして出席番号24番――。
「……本宮ひのりさん、お願いします」
「はいっ!」
勢いよく立ち上がったひのりは、堂々と席立った。
胸を張り、にこっと笑って――。
「皆さん、はじめまして! 本宮ひのりです!」
少し間を置き、両手を軽く広げて続けた。
「将来の夢は……大女優になること! 趣味は、ごっこ遊びと“なりきり演技”です!」
そこまではまだギリギリ“個性派”の範囲だった。
だが次の一言で――教室の空気は、確実に変わった。
「今朝も魔法少女になって、ぬいぐるみたちとバトルしてきましたっ!」
……シン……。
一瞬、教室の空気が固まった。
数人が視線を伏せ、七海は額を押さえてため息。
(ああもう……ひのりったら、まったく……子供っぽい。でもその子供っぽさに救われてるのはーー私の方よ」)
――そのとき。
「ぷっ……なにそれ……!」
前の席の子が思わず噴き出した。
すると別の子が「ぬいぐるみとバトルって!?」と小声で笑い、
やがてクスクスとした笑いが教室中に広がっていく。
「やだ~めっちゃ面白いんだけど!」
「魔法少女って……かわいいじゃん」
笑いの波に、ひのりも照れたように笑顔を返す。
「……えへへ……よろしくお願いしますっ」
今度は自然と拍手が起こった。
中にはまだ戸惑う表情の子もいたが、少なくとも“重い空気”は吹き飛んでいた。
⸻
音屋先生だけが、変わらぬ笑顔でぽつりと言った。
「うん、演技が好きってことね。本宮さん、これからが楽しみです」
⸻
続けて他の生徒の自己紹介が行われたが、“あの子、昨日魔法少女になってたらしい”という情報は、この日クラス中にゆるく、そして確実に広がっていったのだった。
ホームルームを終えて教室を出て廊下を歩いていたひのりと七海は、ふと人だかりのできた掲示板前に目をやった。
「わっ、部活紹介だ! 見て見て七海ちゃん、部活、どれにしようかな?」
掲示板には様々な部活動の案内が並んでいた。
部員募集中のポスターの文字の下には、手書きでこう書かれている。
「初心者歓迎!みんなでゼロから演劇部を作ろう!」
「私、やっぱり演劇部入りたい! これしかない!」
「……中学のときも演劇部やりたかったんだ。でも演劇部なくて、結局できなかったから……」
ひのりは拳をぎゅっと握りしめる。
「だから今度こそ! 絶対に演劇部で青春するんだ!」
「文芸部も見ておきたいけど……演劇部がいいわね。ひのりと一緒にやるのも楽しそうだし」
「本当? 七海ちゃんも一緒ならすっごく心強いよ~!」
テンションの高いひのりが飛び跳ねそうになったそのとき、掲示板の前にいた二人の女子が目に留まる。
1人は元気いっぱいな感じのオレンジ色のポニーテールの女子生徒、小塚紗里。もう1人は黒髪をツインテールに結んだ自分に自信なさそうな城名みこである。
「えっと……演劇部、気になってる?」
オレンジ髪の少女がすぐに反応する。
「あっ!バレた?あたし、小塚紗里。運動は得意だけど演劇とか悪役やってみたくてさ!
この前、弟と妹に“怪獣役やって!”って言われて、思いっきり吠えたらめっちゃウケたの!それからちょっとハマってて」
ツインテの少女が小さく声を上げる。
「わ、私は……城名みこ。……ひ、人前で話すの苦手だけど……お芝居……憧れてて…… いつも観るだけだったけど……気づいたら、立つ側に行きたいって思ってて……」
「うんうん、すっごくわかる!紗里ちゃん、一緒にやろうよ!」
「怪獣演技やってみたいなー」
「悪役!? じゃあ今やってみよ!」
紗里は一歩下がって、両手を腰に当てて胸を張る。
「ふっふっふ……私は演劇星人。この舞風学園は私のものだ!」
「なにぃ!? そうはさせるか、ヒノトラマン!参上!」
ひのりは腕でビームを構える真似をする。
「ぐはあっ!やられた!」
紗里もビームを受けたオーバーリアクションした演技、気がつけば周囲にまる聞こえで周囲の新入生達もその光景に笑っていた。
みこは目を丸くしてから、小さく笑った。
「……すご……ほんとにやるんだ……」
七海は肩をすくめつつも、口元を緩めていた。
「この空気感なら上手くいきそうだし人数がいれば部としても安定するしね」
「じゃあもう入部決定ってことで、連絡交換しよっか!」
ひのり、七海、紗里、みこの四人はその場でQRコードを出し合い、グループトークを作る。まるで“結成”の瞬間だった。
「――いいわね、その勢い」
不意に、すぐそばから落ち着いた声がした。
振り向くと、そこには音屋亜希先生が立っていた。さっき教室で自己紹介していた、あの担任だ。
「部活も、クラスも、最初の一歩が肝心よ。演劇部に入るつもりなのよね?」
「はいっ! 私たち四人で、演劇部やります!」
ひのりが胸を張って答えると、音屋先生は少しだけ目を細めてうなずいた。
「そう。じゃあちょうどいいわね。――演劇部の顧問は私だから」
「えっ、先生が?」
「ええ。皆さんの演技、楽しみにしてるわ。また後日、正式な説明をするから、今日はまず入学式の余韻を味わってちょうだい」
それだけ告げると、音屋先生は「じゃあ、また教室でね」と軽く手を振って、職員室の方へ歩いていった。
だが、その空気に水を差すように、冷たい声が飛び込んできた。
「楽しそうね。でも、演劇を舐めないでくれる?」
振り返ると、体育館前の通路を通り過ぎようとしていた一人の女子生徒が、立ち止まってこちらを見ていた。
赤みのあるロングヘア、姿勢の良さ、整った制服。
名札には「1年C組・宝 唯香」。
先程の新入生代表を挨拶をしていた生徒である。
「え……あなたは?演劇部に入りたいんですか?」
「私は宝唯香。元子役として一つ、言っておくわ。
演劇ってのは“ごっこ遊び”じゃない。本気でやってきた人間に失礼よ」
言い終わると、彼女は背を向けてそのまま歩き去っていった。
⸻
その直後、廊下で七海はスマホを操作し、ひのりに画面を見せる。
「……あの子って、もしかしてこれじゃない?」
画面に映っていたのは、数年前に上演された有名な舞台のポスター。
その中央には、あどけない表情をした少女――まぎれもなく、宝唯香の姿があった。
「す、すごい……本物の女優だなんて……」
「でも私たちのこと、良いようには思ってないみたいだわ」
「……やってみないとわからないじゃない。ねえ、演劇部入らない?」
そう言うなり、ひのりは唯香の後を追って廊下を駆け出した。
「待ってよ! 女優だったんでしょ?」
唯香は立ち止まらず、淡々と答える。
「そうだけど。……ただの“ごっこ遊び”がやりたいの?
悪いけど――あなた達と一緒に部活はできないわ。失礼します」
「ええ?! そ、そんなあ~!」
彼女の呼びかけは届かず、唯香の背中が、廊下の先で小さくなる。
その姿は遠くて、でも、目が離せなかった。
(だけど、これで諦めるなんてしない。
私は――)
(きっと、この舞台に立ってみせる。
……これが、幕が上がったばかりの私の第一幕だったのです。)
続く。
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