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被害者発見 その1
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「田島のニイさん、検問やってんの?」
下塚がジロジロとこっちを見ながら怪訝そうに聞いてくる。
確かに、道路の真ん中にパトカーを停めているんだから、検問に見えなくもない。「いや、パトカーが雪にハマっちゃったんだよ。悪いけど、
乗せてってくれないか? 隣町まで」
「ええ~ 人の車に乗せてもらうんだったらぁ、下塚様と呼んでくれないかな~」
「おい下塚、調子乗ってないで乗せろ」
「はい、喜んで」
パトカーを路上に放置していくなど、札幌だったらとんでもないことだが、
この山道はこの時期、滅多に車は通らない。
助手席に乗せてもらい、下塚はジープをスタートさせた。
俺が民宿の宿泊客が行方不明の話をすると、
「そりゃあ、アレでしょ。急に来れなくなったんでしょうよ。ドタキャンっすよ
ドタキャン」と下塚が運転しながら言った。
「荒巻さんは山道で立ち往生してるんじゃないかって言ってたけどな」
そんな会話をしながらジープはくねくねと曲がった山道を走っていく。
そのとき前方から、眩しい明かりが目に飛び込んできた。
前方の道に、ヘッドライトをつけっぱなしの4WDが停まっていた。
下塚がジープを停め、「昼間っからなんでヘッドライトつけてんだ」
と毒づいた。
ジープを降り、前方の4WD車に近づくと、どこかで嗅いだことのある、
鉄臭い匂いが漂ってきた。
この匂いは、血だ。血の匂いだ。
札幌中央署時代に、殺人事件の現場で嗅いだことがある。
嫌な予感がする。
駆け寄ってみると、やはり車の周辺に大量の血だまりがある。
降り積もった真っ白な雪の上に、赤黒く毒々しい血だまりが、
広範囲に広がっていた。
「な、なんだこれ」と下塚が呟いた。
車には誰も乗っておらず、運転席と助手席のドアが開け放たれていた。
雪はやんでいるのに、ワイパーが点けっぱなし。ということは、
雪が降っていた昨日の夜から、ずっとワイパーは動いていたのだ。
ヘッドライトがつけっぱなしなのも、昨日の夜から点けていたなら
納得がいく。
乗っていた人はどうなった?
そのとき下塚が
「これ、クマの仕業か?」と呟いた。
下塚がジロジロとこっちを見ながら怪訝そうに聞いてくる。
確かに、道路の真ん中にパトカーを停めているんだから、検問に見えなくもない。「いや、パトカーが雪にハマっちゃったんだよ。悪いけど、
乗せてってくれないか? 隣町まで」
「ええ~ 人の車に乗せてもらうんだったらぁ、下塚様と呼んでくれないかな~」
「おい下塚、調子乗ってないで乗せろ」
「はい、喜んで」
パトカーを路上に放置していくなど、札幌だったらとんでもないことだが、
この山道はこの時期、滅多に車は通らない。
助手席に乗せてもらい、下塚はジープをスタートさせた。
俺が民宿の宿泊客が行方不明の話をすると、
「そりゃあ、アレでしょ。急に来れなくなったんでしょうよ。ドタキャンっすよ
ドタキャン」と下塚が運転しながら言った。
「荒巻さんは山道で立ち往生してるんじゃないかって言ってたけどな」
そんな会話をしながらジープはくねくねと曲がった山道を走っていく。
そのとき前方から、眩しい明かりが目に飛び込んできた。
前方の道に、ヘッドライトをつけっぱなしの4WDが停まっていた。
下塚がジープを停め、「昼間っからなんでヘッドライトつけてんだ」
と毒づいた。
ジープを降り、前方の4WD車に近づくと、どこかで嗅いだことのある、
鉄臭い匂いが漂ってきた。
この匂いは、血だ。血の匂いだ。
札幌中央署時代に、殺人事件の現場で嗅いだことがある。
嫌な予感がする。
駆け寄ってみると、やはり車の周辺に大量の血だまりがある。
降り積もった真っ白な雪の上に、赤黒く毒々しい血だまりが、
広範囲に広がっていた。
「な、なんだこれ」と下塚が呟いた。
車には誰も乗っておらず、運転席と助手席のドアが開け放たれていた。
雪はやんでいるのに、ワイパーが点けっぱなし。ということは、
雪が降っていた昨日の夜から、ずっとワイパーは動いていたのだ。
ヘッドライトがつけっぱなしなのも、昨日の夜から点けていたなら
納得がいく。
乗っていた人はどうなった?
そのとき下塚が
「これ、クマの仕業か?」と呟いた。
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