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スキー場オープン
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一週間後、スキー場はオープンした。
一時はオープン延期とされていたが、問題の熊が討伐されたため、
予定通りにオープンすることができた。
既に村の民宿は予約でいっぱいで、北海道のあちこちから
スキー客が来ているという。
しかしスキー客が大量に訪れると、一つ問題が発生する。
M村スキー場は駐車場の規模が異常に小さいのだ。収容台数は数十台前後。
とてもスキー客全員の車は収まらない。
毎年冬になると、駐車場周辺で交通整理をしなければならないと、
荒巻先輩が愚痴っていた。
その日も俺と荒巻先輩は、朝からスキー場周辺で交通整理をしていた。
駐車場に停められないならとばかりに、空き地や道路の路肩に違法駐車
している車が多い。
車のナンバーを見ると、札幌、帯広、十勝・・・など、あちこちから
客が来ていると分かる。
どの客たちも皆楽しそうな表情を浮かべ、ストックと板を担いで
チケット売り場に向かっていく。
2週間前に人が2人も死んでいるというのに、こんなにたくさん人が来るのは、
ちょっと意外だった。
まさか事件の事を知らないわけではあるまい。
ニュースでも取り上げられていたのだから。
皆、「自分は大丈夫」と思っているのだろう。愚かだとは思わない。
自分もそう思っていたのだから。
美香からストーカーの話を聞いても、特に俺は心配にはならなかった。
ストーカー行為がエスカレートして殺人に発展した事件なんて、
たくさんあった。
でも俺は「まさか大丈夫だろう」と思っていたのだ。
新聞やニュースで被害者の欄に名前が載った人たちだって、
きっとその瞬間まで自分は大丈夫だと思っていたのだろう。
大丈夫だという根拠など何も無いのに。
そして美香は殺された。階段から突き落とされ、割れた頭から鮮血を流しながら。
「荒巻さん田島さんッ 大変だ!」
突然声をかけられ、俺はビクッとして振り返った。
スキー場の警備員が必死の形相でこっちに走ってくる。
「どうしたの、トラブル?」と怪訝そうに聞く荒巻先輩に、
警備員は息を切らしながら、「違う! 出たんだ、また出た、人食い熊だ!」
と叫んだ。
俺と荒巻先輩は顔を見合わせた。
一時はオープン延期とされていたが、問題の熊が討伐されたため、
予定通りにオープンすることができた。
既に村の民宿は予約でいっぱいで、北海道のあちこちから
スキー客が来ているという。
しかしスキー客が大量に訪れると、一つ問題が発生する。
M村スキー場は駐車場の規模が異常に小さいのだ。収容台数は数十台前後。
とてもスキー客全員の車は収まらない。
毎年冬になると、駐車場周辺で交通整理をしなければならないと、
荒巻先輩が愚痴っていた。
その日も俺と荒巻先輩は、朝からスキー場周辺で交通整理をしていた。
駐車場に停められないならとばかりに、空き地や道路の路肩に違法駐車
している車が多い。
車のナンバーを見ると、札幌、帯広、十勝・・・など、あちこちから
客が来ていると分かる。
どの客たちも皆楽しそうな表情を浮かべ、ストックと板を担いで
チケット売り場に向かっていく。
2週間前に人が2人も死んでいるというのに、こんなにたくさん人が来るのは、
ちょっと意外だった。
まさか事件の事を知らないわけではあるまい。
ニュースでも取り上げられていたのだから。
皆、「自分は大丈夫」と思っているのだろう。愚かだとは思わない。
自分もそう思っていたのだから。
美香からストーカーの話を聞いても、特に俺は心配にはならなかった。
ストーカー行為がエスカレートして殺人に発展した事件なんて、
たくさんあった。
でも俺は「まさか大丈夫だろう」と思っていたのだ。
新聞やニュースで被害者の欄に名前が載った人たちだって、
きっとその瞬間まで自分は大丈夫だと思っていたのだろう。
大丈夫だという根拠など何も無いのに。
そして美香は殺された。階段から突き落とされ、割れた頭から鮮血を流しながら。
「荒巻さん田島さんッ 大変だ!」
突然声をかけられ、俺はビクッとして振り返った。
スキー場の警備員が必死の形相でこっちに走ってくる。
「どうしたの、トラブル?」と怪訝そうに聞く荒巻先輩に、
警備員は息を切らしながら、「違う! 出たんだ、また出た、人食い熊だ!」
と叫んだ。
俺と荒巻先輩は顔を見合わせた。
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