人食い熊、襲来!

Mr.ビギニング

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また出た! 人食い熊だ!

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警備員の後に続いて、俺と荒巻先輩はスキー場の敷地内に入って行った。
ゲレンデを横切り、人工降雪機や重機が収納されている倉庫に向かう。
「こっちです、こっち!」
警備員に手招きされ、倉庫の裏に回ると、
「オエエエエエエ!」たまらず荒巻先輩が吐いた。

雪の降り積もった地面に、スキー場スタッフの死体が転がっていた。
手足と頭は食い潰され、肉の断片が周辺に散らばっている。
スキー場スタッフのジャンパーを着ていなければ、人かどうかも
分からないほどに食い散らされていた。
中年の警備員は真っ青な顔で、
「叫び声がして駆けつけたら、もうこの状態でした。ついさっき
襲われたんだと思います」と言った。
確かに,死体の血から湯気が立ちのぼっている。ついさっきまで
生きていた証拠だ。
「と,とにかく自分らは現場保存するから、助けを呼んでください」と
吐き気を抑えながら荒巻先輩が言った。
「は、はい!」と返事をして、警備員が駆け出したその時、
倉庫に隣接するスタッフ更衣室の陰から、巨大な黒い塊が飛び出し、
警備員に飛びかかった。

それはクマだった。真っ黒な毛皮で覆われている、獰猛な野獣。
そいつは駆け出した警備員に飛びかかると、
ずらりと鋭利な牙が並んだ口で、警備員の頭にかじりついた。
警備員は、何が起きているのか分からなかったのだろう。
「え?」と警備員が呟く声が聞こえた瞬間、
ゴリゴリッ
カリカリ梅の種を間違えて噛み砕いた時のような不快な音が聞こえ、
警備員の頭はクシャッと潰された。
頭蓋骨の砕ける音が聞こえ、頭が歪んでいく地獄絵図を、俺と荒巻先輩は
呆然と見ていた。
警備員の頭を食い潰したクマは、警備員の死体をぽいっと転がし、
俺と荒巻先輩に狙いを定めた。
どちらかが合図したわけでもなく、俺たちは同時にホルスターから拳銃を
抜いた。
パァン! パァン!
荒巻先輩が二発、空に向けて撃った。威嚇射撃に驚き、クマが若干怯んだ。
俺も三発、クマの周囲の地面に向けて撃った。
下手に弾を当てると、クマが怒り狂って襲ってくるかもしれないからだ。

この判断は正しかったようで、威嚇射撃に驚いたクマは、巨体に似合わぬ
猛スピードで駆け出し、スタッフ更衣室の背後の森に逃げて行った。

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