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宰相府の朝は、通常なら戦場のような慌ただしさで始まる。
だが、今朝の空気は少し違っていた。
凍りついている、と言ったほうが正しい。
私が自分の執務机に到着した瞬間、異変は明白だった。
机の上が、あまりにも綺麗すぎたのだ。
昨日、退勤する直前に分類しておいた「重要書類・ランクS(国家機密含む)」の束が、跡形もなく消え失せていたのである。
「あ、ありえない……」
隣で秘書官のルークが顔面蒼白になり、ガタガタと震え出した。
「な、ない! ないですよスコット様! あそこには今日の御前会議で使う『対隣国通商条約・改定案』があったはずじゃ……!」
「ああ、あったな。私が徹夜で条文の抜け穴を塞ぎ、完璧に仕上げたやつだ」
「それが消えてるぅぅぅ! どうするんですか!? 会議まであと一時間しかないのに! これじゃ会議ができません! 終わった……僕の首が飛ぶ……いや、物理的に飛ぶかも……」
パニックに陥り、頭を抱えてしゃがみ込むルーク。
他の官僚たちも「スパイの仕業か?」「まさか泥棒?」とざわめき立っている。
だが、私は冷静にコーヒーを一口啜った。
「落ち着け、ルーク。騒ぐと酸素を消費するぞ」
「落ち着けるわけないでしょう!? あれがないと、我が国は隣国に不平等条約を飲まされることになるんですよ!?」
「まあ待て。犯人の目星はついている」
私は視線を執務室の入り口に向けた。
タイミングを見計らったかのように、そこから「ふふふ」という可愛らしい笑い声が聞こえてくる。
現れたのは、ピンク色の髪を揺らした男爵令嬢、ミミー・ピンキーだった。
彼女はなぜか掃除用具(しかも羽根箒一本)を手に持ち、悪びれもせずに部屋に入ってきた。
「あらぁ? なんだか騒がしいですわねぇ。皆様、どうされたんですかぁ?」
その白々しい演技に、私は呆れを通り越して感心すら覚えた。
「ピンキー男爵令嬢。ここは関係者以外立ち入り禁止の宰相府執務室だ。何の用だ?」
「ひどぉい、スコットお姉様。私はただ、ジェラルド様の使いでお掃除を手伝いに来ただけですぅ。ここ、紙屑がいっぱいで汚いから、綺麗にしてあげようと思って」
「掃除? その羽根箒一本でか?」
「ええ。だから、机の上にあった『汚い紙束』は、ぜーんぶ処分しておきましたぁ♪」
ミミーは愛らしい笑顔で、爆弾発言を投下した。
「処分……だと……?」
ルークが絶望のあまり泡を吹いて倒れそうになる。
ミミーは勝ち誇った顔で私を見た。
「だってぇ、あんな難しそうな文字がいっぱい書いてある紙、誰も読みませんよねぇ? だからシュレッダー……いえ、焼却炉の方に運んでおきましたわ。燃えるゴミの日ですからぁ」
執務室に戦慄が走る。
国家機密を。
条約の原本を。
ただの嫌がらせのために、燃やしたというのか。
これは単なるいじめではない。国家反逆罪に問われてもおかしくない愚行だ。
ミミーの瞳には「これで困り果てるスコットが見られる」という期待の色が浮かんでいる。
泣き叫ぶか、激怒して掴みかかってくるか。
どちらにせよ、騒ぎになれば「スコットがミミーをいじめた」という既成事実を作れる。
……浅い。
あまりにも浅すぎて、水たまりですらない。
私はため息をつき、倒れかけたルークの襟首を掴んで引き起こした。
「ルーク、筆記用具の準備はいいか?」
「え……は、はい……でも、書類がないと……」
「書くんだよ。今から私が読み上げる」
「は?」
私は天井を一度仰ぎ見て、脳内の引き出しを開けた。
記憶の宮殿。
そこに、昨日作成した書類のデータは全てPDF化されて保存されている。
「再生開始。――『対隣国通商条約・改定案』。第一条、関税率の撤廃について。項番1、対象品目は以下の通りとする。小麦、鉄鉱石、および魔石……」
私は淡々と、しかし淀みなく条文を暗唱し始めた。
「ちょ、ちょっと待ってください! 書きます! 書きますから!」
ルークが慌ててペンを走らせる。
「第二条、第三項。但し書き。なお、緊急輸入制限措置(セーフガード)の発動条件については、別紙参照……いや、別紙の内容も言うぞ。グラフの数値はX軸が年度、Y軸が輸入量……」
「す、すげぇ……」
「数字まで完璧だ……」
周囲の官僚たちが息を呑む。
ミミーの顔から、みるみるうちに笑みが消えていく。
「な、なによそれ……。なんで覚えてるのよ……? あんな大量の文字を……?」
「公爵令嬢たるもの、一度目を通した書類の内容を忘れるなどあり得ない。それに、重要なデータにはバックアップを取るのが常識だ」
私はミミーを見ずに、ルークへの口述筆記を続ける。
「第五条、紛争解決手続。ここは重要だ、一言一句間違えるな。『両国は、誠意をもって協議し……』」
十分後。
そこには、燃やされたはずの書類と全く同じ内容の、新しい文書が完成していた。
「……以上だ。ルーク、清書して製本しろ。まだ会議には間に合う」
「は、はいぃぃっ! スコット様、一生ついていきますぅぅ!!」
ルークが涙を流しながら書類を抱きしめる。
私はペンを置き、ようやくミミーに向き直った。
彼女は震えていた。
自分の「完璧な作戦」が、私の「異常な記憶力」によって無効化されたことに混乱しているようだ。
「……化け物……」
ミミーが小さな声で呟く。
「可愛くない……全然可愛くないわよ、あんたなんか! 女ならもっと慌てなさいよ! 泣きなさいよ!」
「泣いて問題が解決するなら、いくらでも泣いてやる。だが現実はそうではない」
私は椅子から立ち上がり、ミミーに歩み寄る。
彼女は「ひっ」と後ずさった。
「ピンキー男爵令嬢。君の行動には二つの致命的なミスがある」
「な、なによ……!」
「一つ。君は『紙』を消せば『情報』も消えると思ったこと。情報は私の頭の中にある。物理的な破壊工作など無意味だ」
私は彼女を壁際に追い詰める。
「そして二つ目。……君は、処分してはいけないものを処分した」
「え……?」
「あれはただの紙束ではない。ギルバート宰相が、今日の会議のために心血を注いで調整した結晶だ。それを汚したという意味が、わかるか?」
その時だった。
執務室の空気が、急激に重くなった。
温度が五度ほど下がった気がする。
入り口に、一人の男が立っていた。
ギルバートだ。
彼はいつもの無表情だったが、その背後にはどす黒いオーラが立ち昇っていた。
「……聞き捨てならないな」
低く、地を這うような声。
ギルバートはゆっくりと部屋に入ってくる。
「私の妻の仕事を妨害し、あまつさえ国の利益を損なおうとする害虫が入り込んだと聞いたが」
「ひぃぃっ!!」
ミミーが悲鳴を上げる。
ギルバートの目は、完全にゴミを見る目だった。
「み、ミミーは……その、お掃除を……!」
「掃除? ああ、確かに掃除が必要だな。……衛兵!」
ギルバートが指を鳴らすと、屈強な衛兵たちが飛び込んできた。
「この女を連れ出せ。国家公務執行妨害および、器物損壊の容疑だ。たっぷりと取り調べを行え」
「い、いやぁぁぁ! ジェラルド様ぁぁ! 助けてぇぇぇ!」
ミミーが衛兵に引きずられていく。
その情けない声をBGMに、私はやれやれと肩をすくめた。
「手間をかけさせたな、ギルバート」
「いや。……しかしスコット、本当に全部覚えていたのか?」
ギルバートが、ルークの手にある復元された書類を覗き込む。
「当然だ。私の脳内ハードディスクは数テラバイトの容量がある」
「……君の頭の中はどうなっているんだ」
「効率と数字と、君への請求書で埋まっている」
「最後のは余計だ」
ギルバートは苦笑し、私の頭にポンと手を置いた。
「無事でよかった。……君が困っていたら、私が焼き尽くしてやろうと思ったのだが」
「君が動くと国が滅びる。私が処理するから座っていろ」
「頼もしい妻だ」
騒動は収束した。
ミミーの嫌がらせは、私の記憶力の前に敗北し、逆に彼女自身の立場を悪くする結果となった。
だが、私は知っている。
害虫というのは、一匹見たら三十匹はいるものだ。
「さて、仕事に戻るか。ルーク、さっさと製本しろ!」
「はいっ! スコット閣下!」
いつの間にか、部下たちからの呼び名が「様」から「閣下」に昇格していた。
私の悪役令嬢(宰相補佐)としての評価は、また一つ確固たるものになったようだ。
ただ、ミミーが去り際に残した視線。
あれはまだ、諦めていない者の目だった。
(次はどんな非効率な手を打ってくるのやら……)
私は冷めたコーヒーを飲み干し、次の書類へと手を伸ばした。
だが、今朝の空気は少し違っていた。
凍りついている、と言ったほうが正しい。
私が自分の執務机に到着した瞬間、異変は明白だった。
机の上が、あまりにも綺麗すぎたのだ。
昨日、退勤する直前に分類しておいた「重要書類・ランクS(国家機密含む)」の束が、跡形もなく消え失せていたのである。
「あ、ありえない……」
隣で秘書官のルークが顔面蒼白になり、ガタガタと震え出した。
「な、ない! ないですよスコット様! あそこには今日の御前会議で使う『対隣国通商条約・改定案』があったはずじゃ……!」
「ああ、あったな。私が徹夜で条文の抜け穴を塞ぎ、完璧に仕上げたやつだ」
「それが消えてるぅぅぅ! どうするんですか!? 会議まであと一時間しかないのに! これじゃ会議ができません! 終わった……僕の首が飛ぶ……いや、物理的に飛ぶかも……」
パニックに陥り、頭を抱えてしゃがみ込むルーク。
他の官僚たちも「スパイの仕業か?」「まさか泥棒?」とざわめき立っている。
だが、私は冷静にコーヒーを一口啜った。
「落ち着け、ルーク。騒ぐと酸素を消費するぞ」
「落ち着けるわけないでしょう!? あれがないと、我が国は隣国に不平等条約を飲まされることになるんですよ!?」
「まあ待て。犯人の目星はついている」
私は視線を執務室の入り口に向けた。
タイミングを見計らったかのように、そこから「ふふふ」という可愛らしい笑い声が聞こえてくる。
現れたのは、ピンク色の髪を揺らした男爵令嬢、ミミー・ピンキーだった。
彼女はなぜか掃除用具(しかも羽根箒一本)を手に持ち、悪びれもせずに部屋に入ってきた。
「あらぁ? なんだか騒がしいですわねぇ。皆様、どうされたんですかぁ?」
その白々しい演技に、私は呆れを通り越して感心すら覚えた。
「ピンキー男爵令嬢。ここは関係者以外立ち入り禁止の宰相府執務室だ。何の用だ?」
「ひどぉい、スコットお姉様。私はただ、ジェラルド様の使いでお掃除を手伝いに来ただけですぅ。ここ、紙屑がいっぱいで汚いから、綺麗にしてあげようと思って」
「掃除? その羽根箒一本でか?」
「ええ。だから、机の上にあった『汚い紙束』は、ぜーんぶ処分しておきましたぁ♪」
ミミーは愛らしい笑顔で、爆弾発言を投下した。
「処分……だと……?」
ルークが絶望のあまり泡を吹いて倒れそうになる。
ミミーは勝ち誇った顔で私を見た。
「だってぇ、あんな難しそうな文字がいっぱい書いてある紙、誰も読みませんよねぇ? だからシュレッダー……いえ、焼却炉の方に運んでおきましたわ。燃えるゴミの日ですからぁ」
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条約の原本を。
ただの嫌がらせのために、燃やしたというのか。
これは単なるいじめではない。国家反逆罪に問われてもおかしくない愚行だ。
ミミーの瞳には「これで困り果てるスコットが見られる」という期待の色が浮かんでいる。
泣き叫ぶか、激怒して掴みかかってくるか。
どちらにせよ、騒ぎになれば「スコットがミミーをいじめた」という既成事実を作れる。
……浅い。
あまりにも浅すぎて、水たまりですらない。
私はため息をつき、倒れかけたルークの襟首を掴んで引き起こした。
「ルーク、筆記用具の準備はいいか?」
「え……は、はい……でも、書類がないと……」
「書くんだよ。今から私が読み上げる」
「は?」
私は天井を一度仰ぎ見て、脳内の引き出しを開けた。
記憶の宮殿。
そこに、昨日作成した書類のデータは全てPDF化されて保存されている。
「再生開始。――『対隣国通商条約・改定案』。第一条、関税率の撤廃について。項番1、対象品目は以下の通りとする。小麦、鉄鉱石、および魔石……」
私は淡々と、しかし淀みなく条文を暗唱し始めた。
「ちょ、ちょっと待ってください! 書きます! 書きますから!」
ルークが慌ててペンを走らせる。
「第二条、第三項。但し書き。なお、緊急輸入制限措置(セーフガード)の発動条件については、別紙参照……いや、別紙の内容も言うぞ。グラフの数値はX軸が年度、Y軸が輸入量……」
「す、すげぇ……」
「数字まで完璧だ……」
周囲の官僚たちが息を呑む。
ミミーの顔から、みるみるうちに笑みが消えていく。
「な、なによそれ……。なんで覚えてるのよ……? あんな大量の文字を……?」
「公爵令嬢たるもの、一度目を通した書類の内容を忘れるなどあり得ない。それに、重要なデータにはバックアップを取るのが常識だ」
私はミミーを見ずに、ルークへの口述筆記を続ける。
「第五条、紛争解決手続。ここは重要だ、一言一句間違えるな。『両国は、誠意をもって協議し……』」
十分後。
そこには、燃やされたはずの書類と全く同じ内容の、新しい文書が完成していた。
「……以上だ。ルーク、清書して製本しろ。まだ会議には間に合う」
「は、はいぃぃっ! スコット様、一生ついていきますぅぅ!!」
ルークが涙を流しながら書類を抱きしめる。
私はペンを置き、ようやくミミーに向き直った。
彼女は震えていた。
自分の「完璧な作戦」が、私の「異常な記憶力」によって無効化されたことに混乱しているようだ。
「……化け物……」
ミミーが小さな声で呟く。
「可愛くない……全然可愛くないわよ、あんたなんか! 女ならもっと慌てなさいよ! 泣きなさいよ!」
「泣いて問題が解決するなら、いくらでも泣いてやる。だが現実はそうではない」
私は椅子から立ち上がり、ミミーに歩み寄る。
彼女は「ひっ」と後ずさった。
「ピンキー男爵令嬢。君の行動には二つの致命的なミスがある」
「な、なによ……!」
「一つ。君は『紙』を消せば『情報』も消えると思ったこと。情報は私の頭の中にある。物理的な破壊工作など無意味だ」
私は彼女を壁際に追い詰める。
「そして二つ目。……君は、処分してはいけないものを処分した」
「え……?」
「あれはただの紙束ではない。ギルバート宰相が、今日の会議のために心血を注いで調整した結晶だ。それを汚したという意味が、わかるか?」
その時だった。
執務室の空気が、急激に重くなった。
温度が五度ほど下がった気がする。
入り口に、一人の男が立っていた。
ギルバートだ。
彼はいつもの無表情だったが、その背後にはどす黒いオーラが立ち昇っていた。
「……聞き捨てならないな」
低く、地を這うような声。
ギルバートはゆっくりと部屋に入ってくる。
「私の妻の仕事を妨害し、あまつさえ国の利益を損なおうとする害虫が入り込んだと聞いたが」
「ひぃぃっ!!」
ミミーが悲鳴を上げる。
ギルバートの目は、完全にゴミを見る目だった。
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「掃除? ああ、確かに掃除が必要だな。……衛兵!」
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「この女を連れ出せ。国家公務執行妨害および、器物損壊の容疑だ。たっぷりと取り調べを行え」
「い、いやぁぁぁ! ジェラルド様ぁぁ! 助けてぇぇぇ!」
ミミーが衛兵に引きずられていく。
その情けない声をBGMに、私はやれやれと肩をすくめた。
「手間をかけさせたな、ギルバート」
「いや。……しかしスコット、本当に全部覚えていたのか?」
ギルバートが、ルークの手にある復元された書類を覗き込む。
「当然だ。私の脳内ハードディスクは数テラバイトの容量がある」
「……君の頭の中はどうなっているんだ」
「効率と数字と、君への請求書で埋まっている」
「最後のは余計だ」
ギルバートは苦笑し、私の頭にポンと手を置いた。
「無事でよかった。……君が困っていたら、私が焼き尽くしてやろうと思ったのだが」
「君が動くと国が滅びる。私が処理するから座っていろ」
「頼もしい妻だ」
騒動は収束した。
ミミーの嫌がらせは、私の記憶力の前に敗北し、逆に彼女自身の立場を悪くする結果となった。
だが、私は知っている。
害虫というのは、一匹見たら三十匹はいるものだ。
「さて、仕事に戻るか。ルーク、さっさと製本しろ!」
「はいっ! スコット閣下!」
いつの間にか、部下たちからの呼び名が「様」から「閣下」に昇格していた。
私の悪役令嬢(宰相補佐)としての評価は、また一つ確固たるものになったようだ。
ただ、ミミーが去り際に残した視線。
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