28 / 28
28
しおりを挟む
結婚式から、五年が経った。
アイゼンハルト公爵領は今や、王国で最も豊かな「黄金の都」と呼ばれていた。
かつては閑散としていた街道には、特産品の「恋のシビレジャム」や「アイゼンハルト・ロイヤルポーク」、そして私が新たに開発した「魔導蓄熱カイロ(冬場の暖房費削減の副産物)」を求める商人たちの馬車で渋滞が起きている。
そして、公爵邸の執務室もまた、相変わらず戦場だった。
「奥様! 東方貿易の船団から入港許可の申請です!」
「奥様! 王都のデパートから、新作スイーツの独占販売契約の打診が!」
「奥様! 隣国の王太子殿下が、『ぜひ我が国の財政顧問に』と!」
「はいはい、順番に並んでください。時は金なり、効率的に捌きますよ!」
私は巨大な執務机(特注の三面モニターならぬ三面帳簿仕様)に向かい、猛烈な速度で決裁印を押していた。
五年の歳月は、私を少しだけ大人にした。
かつてシンプルだった紺色のドレスは、今は最高級のシルク製(ただし汚れに強い加工済み)になり、首元にはジェラルドから贈られた数々の宝石(資産)が輝いている。
だが、中身は一ミリも変わっていない。
「東方の船団には入港税を二割増しで提示して。足元を見られないようにね。デパートとの契約はロイヤリティ一五%で手を打ちましょう。隣国の王太子には『顧問料は国家予算の1%』とふっかけて断りなさい」
「は、はいぃぃ!」
使用人たちが嵐のように去っていく。
ふぅ、と息をついて紅茶(自社製品)を一口飲んだ時、背後から愛しい人の声がした。
「……相変わらず働き者だな、我が家の『錬金術師』殿は」
ジェラルドだ。
彼は五年前と変わらぬ、いや、年を重ねてより深みを増した色気のある笑顔で立っていた。
「ジェラルド様。お帰りなさいませ」
私は椅子から立ち上がり、彼を迎えた。
彼は視察から戻ったばかりだ。
「ただいま。……君のおかげで、領内の失業率はゼロ、犯罪発生率も過去最低だ。みんな、『公爵夫人のためなら喜んで働く』と言っているよ」
「あら、それは光栄ですわ。高待遇とボーナスで餌付けした甲斐がありました」
ジェラルドは苦笑して、私の腰を引き寄せた。
「餌付けか。……俺も完全に君に胃袋を掴まれているがな」
「ふふ。今夜の夕食は、ジェラルド様の好物の『厚切りステーキ・トリュフソース』ですよ。原価計算は度外視しました」
「それは楽しみだ。……だが、その前に」
彼は私の耳元に顔を寄せた。
「少し、夫婦の時間をもらえないか? 君が忙しすぎて、最近ゆっくり話せていない」
「……」
甘い誘惑。
しかし、私の目の前にはまだ未処理の書類の山がある。
「ジェラルド様。お気持ちは嬉しいのですが、あと一時間だけ待ってください。この『カボチャの馬車運行計画(公共交通機関)』の決裁が終わらないと……」
私が書類に手を伸ばそうとすると、ジェラルドがその手を掴んだ。
「キャンディ。……これは『業務命令』だ」
「業務命令?」
「ああ。公爵としての命令だ。……今すぐ仕事を中断し、私と共に庭園を散歩すること。拒否権はない」
彼は真剣な眼差しで、でも悪戯っぽく微笑んだ。
「……ズルいですわ、ボス」
私は降参して、ペンを置いた。
最高責任者の命令には逆らえない。それに、彼のこの顔には弱いのだ。
「承知いたしました。……残業代は弾んでくださいね?」
◇
夕暮れの庭園。
かつて私が「維持費の無駄」と切り捨てようとしたバラ園は、今では観光名所として整備され、入場料収入を生む立派な「資産」になっていた。
私たちは腕を組んで、ゆっくりと歩いた。
「……静かだな」
「ええ。閉園後の特権ですね」
ふと、庭の隅にある小さな小屋の前を通った。
そこからは、何やら言い争う声と、皿が割れる音が聞こえてくる。
「こらロナルド! 皿を割るなと言っただろう! 給料から引くぞ!」
「ひいぃっ! す、すまない! 手が滑ったんだ!」
「ちょっとアンタ! ジャガイモの皮剥きが遅いわよ! 明日の仕込みが終わらないじゃない!」
「ううっ……リリィ、君こそつまみ食いしないでよぉ……」
小屋の窓から見えたのは、エプロン姿ですっかり所帯じみたロナルドとリリィの姿だった。
彼らは五年間、ここで住み込みで働き続け、ようやく借金の完済が見えてきたところだ。
「……彼らも、随分と逞しくなったな」
ジェラルドがしみじみと言う。
「ええ。最初の頃は『指が痛い』だの『王宮に帰せ』だの泣き言ばかりでしたけど。今ではロナルド殿下、皿洗いのスピードが当初の三倍になりましたわ」
「人間、環境に適応するものだな」
「リリィ様も、ジャガイモの皮剥きに関してはプロ級です。来月から『皮剥き主任』に昇格させてあげようかと思っています」
私たちは顔を見合わせて笑った。
かつて私を断罪し、不幸のどん底に落とそうとした二人。
でも今は、我が家の貴重な労働力(戦力)だ。
復讐? そんな生産性のないことはしない。
彼らが働き、利益を生む。それが最高の解決策だ。
「……キャンディ」
ベンチに座り、ジェラルドが私の手を握った。
「君と出会ってから、俺の人生は激変した」
「良い意味で、ですよね?」
「もちろん。……以前の俺は、ただ家を守るためだけに生きていた。氷のように心を閉ざして、義務感だけで公爵を演じていた」
彼は夕陽を見つめながら言った。
「だが、君が来てくれたおかげで、世界が色づいた。……いや、黄金色に輝いたと言うべきか」
「ふふっ。黄金色はいい色ですよ」
「ああ。君のおかげで、俺は『生きる楽しみ』を知った。君と笑い合い、君と美味しいものを食べ、君と共に未来を作る。……これ以上の幸せはない」
ジェラルドは私の方を向き、改めて深く頭を下げた。
「ありがとう、キャンディ。俺の妻になってくれて」
真っ直ぐな言葉。
胸が熱くなる。
私も、彼の手を両手で包み込んだ。
「こちらこそ、ありがとうございます。ジェラルド様」
私は照れくささを隠すように、いつもの調子で言った。
「私のような強欲な女を、返品もせずに雇い続けてくださって。……あなたほど条件の良い優良物件は、世界中探しても見つかりませんわ」
「ははっ、まだ『物件』扱いか」
「最高の褒め言葉ですよ。……愛しています、私の旦那様」
私が背伸びをしてキスをすると、彼も優しく応えてくれた。
長い、長いキス。
五年前よりも深く、そして安心感に満ちたキスだった。
「……さて」
唇を離すと、私はパチンと手を叩いた。
「散歩は終了です! 日も暮れましたし、そろそろ執務室に戻って……」
「おい、まだ雰囲気というものが……」
「今日の売上集計を見ないと、安眠できないんです! さあジェラルド様、手伝ってください! ダブルチェックお願いします!」
私はドレスの裾を翻し、屋敷へと駆け出した。
「……やれやれ。これだから君は」
ジェラルドは呆れたように肩をすくめたが、その顔は最高に幸せそうだった。
「待ってくれ、キャンディ。……一生、君についていくよ」
彼は苦笑しながら、私の背中を追いかけてきた。
世間では、私のことをこう呼ぶ者がいる。
「金にがめつい悪妻」
「夫を尻に敷く猛女」
「公爵家を乗っ取った魔女」
結構なことだ。
悪名は無名に勝る。
どんな噂も、私の知名度を上げ、商品の宣伝になるのだから。
私はこれからも、この愛する夫と、愛する領地(資産)のために、全力で計算し、全力で稼ぎ続けるだろう。
だって、私の幸せの方程式は、いつだってシンプルだから。
『 愛 × お金 = 最強のハッピーエンド 』
アイゼンハルト公爵領は今や、王国で最も豊かな「黄金の都」と呼ばれていた。
かつては閑散としていた街道には、特産品の「恋のシビレジャム」や「アイゼンハルト・ロイヤルポーク」、そして私が新たに開発した「魔導蓄熱カイロ(冬場の暖房費削減の副産物)」を求める商人たちの馬車で渋滞が起きている。
そして、公爵邸の執務室もまた、相変わらず戦場だった。
「奥様! 東方貿易の船団から入港許可の申請です!」
「奥様! 王都のデパートから、新作スイーツの独占販売契約の打診が!」
「奥様! 隣国の王太子殿下が、『ぜひ我が国の財政顧問に』と!」
「はいはい、順番に並んでください。時は金なり、効率的に捌きますよ!」
私は巨大な執務机(特注の三面モニターならぬ三面帳簿仕様)に向かい、猛烈な速度で決裁印を押していた。
五年の歳月は、私を少しだけ大人にした。
かつてシンプルだった紺色のドレスは、今は最高級のシルク製(ただし汚れに強い加工済み)になり、首元にはジェラルドから贈られた数々の宝石(資産)が輝いている。
だが、中身は一ミリも変わっていない。
「東方の船団には入港税を二割増しで提示して。足元を見られないようにね。デパートとの契約はロイヤリティ一五%で手を打ちましょう。隣国の王太子には『顧問料は国家予算の1%』とふっかけて断りなさい」
「は、はいぃぃ!」
使用人たちが嵐のように去っていく。
ふぅ、と息をついて紅茶(自社製品)を一口飲んだ時、背後から愛しい人の声がした。
「……相変わらず働き者だな、我が家の『錬金術師』殿は」
ジェラルドだ。
彼は五年前と変わらぬ、いや、年を重ねてより深みを増した色気のある笑顔で立っていた。
「ジェラルド様。お帰りなさいませ」
私は椅子から立ち上がり、彼を迎えた。
彼は視察から戻ったばかりだ。
「ただいま。……君のおかげで、領内の失業率はゼロ、犯罪発生率も過去最低だ。みんな、『公爵夫人のためなら喜んで働く』と言っているよ」
「あら、それは光栄ですわ。高待遇とボーナスで餌付けした甲斐がありました」
ジェラルドは苦笑して、私の腰を引き寄せた。
「餌付けか。……俺も完全に君に胃袋を掴まれているがな」
「ふふ。今夜の夕食は、ジェラルド様の好物の『厚切りステーキ・トリュフソース』ですよ。原価計算は度外視しました」
「それは楽しみだ。……だが、その前に」
彼は私の耳元に顔を寄せた。
「少し、夫婦の時間をもらえないか? 君が忙しすぎて、最近ゆっくり話せていない」
「……」
甘い誘惑。
しかし、私の目の前にはまだ未処理の書類の山がある。
「ジェラルド様。お気持ちは嬉しいのですが、あと一時間だけ待ってください。この『カボチャの馬車運行計画(公共交通機関)』の決裁が終わらないと……」
私が書類に手を伸ばそうとすると、ジェラルドがその手を掴んだ。
「キャンディ。……これは『業務命令』だ」
「業務命令?」
「ああ。公爵としての命令だ。……今すぐ仕事を中断し、私と共に庭園を散歩すること。拒否権はない」
彼は真剣な眼差しで、でも悪戯っぽく微笑んだ。
「……ズルいですわ、ボス」
私は降参して、ペンを置いた。
最高責任者の命令には逆らえない。それに、彼のこの顔には弱いのだ。
「承知いたしました。……残業代は弾んでくださいね?」
◇
夕暮れの庭園。
かつて私が「維持費の無駄」と切り捨てようとしたバラ園は、今では観光名所として整備され、入場料収入を生む立派な「資産」になっていた。
私たちは腕を組んで、ゆっくりと歩いた。
「……静かだな」
「ええ。閉園後の特権ですね」
ふと、庭の隅にある小さな小屋の前を通った。
そこからは、何やら言い争う声と、皿が割れる音が聞こえてくる。
「こらロナルド! 皿を割るなと言っただろう! 給料から引くぞ!」
「ひいぃっ! す、すまない! 手が滑ったんだ!」
「ちょっとアンタ! ジャガイモの皮剥きが遅いわよ! 明日の仕込みが終わらないじゃない!」
「ううっ……リリィ、君こそつまみ食いしないでよぉ……」
小屋の窓から見えたのは、エプロン姿ですっかり所帯じみたロナルドとリリィの姿だった。
彼らは五年間、ここで住み込みで働き続け、ようやく借金の完済が見えてきたところだ。
「……彼らも、随分と逞しくなったな」
ジェラルドがしみじみと言う。
「ええ。最初の頃は『指が痛い』だの『王宮に帰せ』だの泣き言ばかりでしたけど。今ではロナルド殿下、皿洗いのスピードが当初の三倍になりましたわ」
「人間、環境に適応するものだな」
「リリィ様も、ジャガイモの皮剥きに関してはプロ級です。来月から『皮剥き主任』に昇格させてあげようかと思っています」
私たちは顔を見合わせて笑った。
かつて私を断罪し、不幸のどん底に落とそうとした二人。
でも今は、我が家の貴重な労働力(戦力)だ。
復讐? そんな生産性のないことはしない。
彼らが働き、利益を生む。それが最高の解決策だ。
「……キャンディ」
ベンチに座り、ジェラルドが私の手を握った。
「君と出会ってから、俺の人生は激変した」
「良い意味で、ですよね?」
「もちろん。……以前の俺は、ただ家を守るためだけに生きていた。氷のように心を閉ざして、義務感だけで公爵を演じていた」
彼は夕陽を見つめながら言った。
「だが、君が来てくれたおかげで、世界が色づいた。……いや、黄金色に輝いたと言うべきか」
「ふふっ。黄金色はいい色ですよ」
「ああ。君のおかげで、俺は『生きる楽しみ』を知った。君と笑い合い、君と美味しいものを食べ、君と共に未来を作る。……これ以上の幸せはない」
ジェラルドは私の方を向き、改めて深く頭を下げた。
「ありがとう、キャンディ。俺の妻になってくれて」
真っ直ぐな言葉。
胸が熱くなる。
私も、彼の手を両手で包み込んだ。
「こちらこそ、ありがとうございます。ジェラルド様」
私は照れくささを隠すように、いつもの調子で言った。
「私のような強欲な女を、返品もせずに雇い続けてくださって。……あなたほど条件の良い優良物件は、世界中探しても見つかりませんわ」
「ははっ、まだ『物件』扱いか」
「最高の褒め言葉ですよ。……愛しています、私の旦那様」
私が背伸びをしてキスをすると、彼も優しく応えてくれた。
長い、長いキス。
五年前よりも深く、そして安心感に満ちたキスだった。
「……さて」
唇を離すと、私はパチンと手を叩いた。
「散歩は終了です! 日も暮れましたし、そろそろ執務室に戻って……」
「おい、まだ雰囲気というものが……」
「今日の売上集計を見ないと、安眠できないんです! さあジェラルド様、手伝ってください! ダブルチェックお願いします!」
私はドレスの裾を翻し、屋敷へと駆け出した。
「……やれやれ。これだから君は」
ジェラルドは呆れたように肩をすくめたが、その顔は最高に幸せそうだった。
「待ってくれ、キャンディ。……一生、君についていくよ」
彼は苦笑しながら、私の背中を追いかけてきた。
世間では、私のことをこう呼ぶ者がいる。
「金にがめつい悪妻」
「夫を尻に敷く猛女」
「公爵家を乗っ取った魔女」
結構なことだ。
悪名は無名に勝る。
どんな噂も、私の知名度を上げ、商品の宣伝になるのだから。
私はこれからも、この愛する夫と、愛する領地(資産)のために、全力で計算し、全力で稼ぎ続けるだろう。
だって、私の幸せの方程式は、いつだってシンプルだから。
『 愛 × お金 = 最強のハッピーエンド 』
1
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
謹んで、婚約破棄をお受けいたします。
パリパリかぷちーの
恋愛
きつい目つきと素直でない性格から『悪役令嬢』と噂される公爵令嬢マーブル。彼女は、王太子ジュリアンの婚約者であったが、王子の新たな恋人である男爵令嬢クララの策略により、夜会の場で大勢の貴族たちの前で婚約を破棄されてしまう。
偽聖女として私を処刑したこの世界を救おうと思うはずがなくて
奏千歌
恋愛
【とある大陸の話①:月と星の大陸】
※ヒロインがアンハッピーエンドです。
痛めつけられた足がもつれて、前には進まない。
爪を剥がされた足に、力など入るはずもなく、その足取りは重い。
執行官は、苛立たしげに私の首に繋がれた縄を引いた。
だから前のめりに倒れても、後ろ手に拘束されているから、手で庇うこともできずに、処刑台の床板に顔を打ち付けるだけだ。
ドッと、群衆が笑い声を上げ、それが地鳴りのように響いていた。
広場を埋め尽くす、人。
ギラギラとした視線をこちらに向けて、惨たらしく殺される私を待ち望んでいる。
この中には、誰も、私の死を嘆く者はいない。
そして、高みの見物を決め込むかのような、貴族達。
わずかに視線を上に向けると、城のテラスから私を見下ろす王太子。
国王夫妻もいるけど、王太子の隣には、王太子妃となったあの人はいない。
今日は、二人の婚姻の日だったはず。
婚姻の禍を祓う為に、私の処刑が今日になったと聞かされた。
王太子と彼女の最も幸せな日が、私が死ぬ日であり、この大陸に破滅が決定づけられる日だ。
『ごめんなさい』
歓声をあげたはずの群衆の声が掻き消え、誰かの声が聞こえた気がした。
無機質で無感情な斧が無慈悲に振り下ろされ、私の首が落とされた時、大きく地面が揺れた。
悪役令嬢まさかの『家出』
にとこん。
恋愛
王国の侯爵令嬢ルゥナ=フェリシェは、些細なすれ違いから突発的に家出をする。本人にとっては軽いお散歩のつもりだったが、方向音痴の彼女はそのまま隣国の帝国に迷い込み、なぜか牢獄に収監される羽目に。しかし無自覚な怪力と天然ぶりで脱獄してしまい、道に迷うたびに騒動を巻き起こす。
一方、婚約破棄を告げようとした王子レオニスは、当日にルゥナが失踪したことで騒然。王宮も侯爵家も大混乱となり、レオニス自身が捜索に出るが、恐らく最後まで彼女とは一度も出会えない。
ルゥナは道に迷っただけなのに、なぜか人助けを繰り返し、帝国の各地で英雄視されていく。そして気づけば彼女を慕う男たちが集まり始め、逆ハーレムの中心に。だが本人は一切自覚がなく、むしろ全員の好意に対して煙たがっている。
帰るつもりもなく、目的もなく、ただ好奇心のままに彷徨う“無害で最強な天然令嬢”による、帝国大騒動ギャグ恋愛コメディ、ここに開幕!
恋人に夢中な婚約者に一泡吹かせてやりたかっただけ
棗
恋愛
伯爵令嬢ラフレーズ=ベリーシュは、王国の王太子ヒンメルの婚約者。
王家の忠臣と名高い父を持ち、更に隣国の姫を母に持つが故に結ばれた完全なる政略結婚。
長年の片思い相手であり、婚約者であるヒンメルの隣には常に恋人の公爵令嬢がいる。
婚約者には愛を示さず、恋人に夢中な彼にいつか捨てられるくらいなら、こちらも恋人を作って一泡吹かせてやろうと友達の羊の精霊メリー君の妙案を受けて実行することに。
ラフレーズが恋人役を頼んだのは、人外の魔術師・魔王公爵と名高い王国最強の男――クイーン=ホーエンハイム。
濡れた色香を放つクイーンからの、本気か嘘かも分からない行動に涙目になっていると恋人に夢中だった王太子が……。
※小説家になろう・カクヨム様にも公開しています
悪女と呼ばれた王妃
アズやっこ
恋愛
私はこの国の王妃だった。悪女と呼ばれ処刑される。
処刑台へ向かうと先に処刑された私の幼馴染み、私の護衛騎士、私の従者達、胴体と頭が離れた状態で捨て置かれている。
まるで屑物のように足で蹴られぞんざいな扱いをされている。
私一人処刑すれば済む話なのに。
それでも仕方がないわね。私は心がない悪女、今までの行いの結果よね。
目の前には私の夫、この国の国王陛下が座っている。
私はただ、
貴方を愛して、貴方を護りたかっただけだったの。
貴方のこの国を、貴方の地位を、貴方の政務を…、
ただ護りたかっただけ…。
だから私は泣かない。悪女らしく最後は笑ってこの世を去るわ。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ ゆるい設定です。
❈ 処刑エンドなのでバットエンドです。
断罪前に“悪役"令嬢は、姿を消した。
パリパリかぷちーの
恋愛
高貴な公爵令嬢ティアラ。
将来の王妃候補とされてきたが、ある日、学園で「悪役令嬢」と呼ばれるようになり、理不尽な噂に追いつめられる。
平民出身のヒロインに嫉妬して、陥れようとしている。
根も葉もない悪評が広まる中、ティアラは学園から姿を消してしまう。
その突然の失踪に、大騒ぎ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる