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ヴァルハルト王国の抜けるような青空の下、ついにその日がやってきました。
王都の中央広場から大聖堂へと続く道は、溢れんばかりの国民と、正装(と言いつつ筋肉を強調した礼服)を纏った騎士たちで埋め尽くされています。
「「「「ミクル姐さん! 万歳ッ! 万歳ッ!!」」」」
地響きのような野太い歓声。
もはや結婚式というよりは、救国英雄の凱旋パレードのような熱気ですわ。
私は、特注のウェディングドレスを身に纏い、鏡の前で最後の一呼吸を置きました。
純白のシルクに、黒曜石の刺繍と鋭利なクリスタルの装飾。
優雅でありながら、不用意に近づけば命を落としかねない、まさに「覇王妃」に相応しい戦闘服ですわ。
(……ふぅ。心臓が、プロテインシェイカー並みに揺れていますわ。でも、ここで弱気を見せてはミクル・フォン・アストレアの名が廃りますわね)
私は扇子をバサリと広げ、顔の半分を隠しました。
そして、鏡の中の自分に向かって、最高に傲慢で、最高に美しい「悪役令嬢スマイル」を浮かべてみせたのです。
「お待たせいたしましたわね、駄犬ども。わたくしの最も美しい姿を、その目に焼き付けなさいな」
私が大聖堂の重厚な扉を開け、一歩踏み出した瞬間。
会場を支配していたざわめきが、一瞬で静まり返りました。
深紅の絨毯の上を、私は顎を上げ、周囲を威圧するように優雅に歩み進めました。
本来、花嫁はしおらしく歩くものかもしれませんが、ヴァルハルトの民が求めているのはそんなものではありません。
(背筋を伸ばして……視線は鋭く。わたくしがこの国を支配して差し上げるという気迫で歩くのですわ!)
私が通路を通るたびに、並んでいた屈強な騎士たちが、圧倒的な覇気に打たれたように次々と膝をついていきました。
「おおお……! あの神々しいまでの冷徹な微笑み! 我らが姐さん、最高にキレてやがる!」
「見てくれ、あのドレスの輝きを! 美しすぎて、俺の筋肉が委縮しそうだッ!」
騎士たちのすすり泣くような感動の声。
私はそれを鼻で笑い飛ばしながら、祭壇の前で待つカイル殿下のもとへと辿り着きました。
カイル殿下は、白銀の甲冑を模した礼服に身を包み、その逞しい肉体で私を迎え入れてくれました。
彼の瞳は、いつになく熱く、潤んでいました。
「ミクル……! 素晴らしい。今の君は、世界中のどんな宝石よりも、そしてどんな名剣よりも美しく、鋭く、私を魅了してやまない!」
「あら、殿下。わたくしの美しさに気絶しなかっただけ、少しは成長したのかしら? おーっほっほっほ!」
私は祭壇の上で、教皇様すらたじろぐような高笑いを響かせました。
すると、会場の国民たちは待ってましたとばかりに、割れんばかりの拍手と喝采を送り始めたのです。
教皇様が震える声で尋ねます。
「カイル・ヴァルハルト、汝は、このミクル・フォン・アストレアを妻とし、その覇気に一生涯付き従うことを誓いますか?」
「誓おう! 彼女の毒舌を糧とし、彼女の誇りを守るための盾となることを!」
「ミクル・フォン・アストレア、汝は、このカイル・ヴァルハルトを夫とし、その暑苦しい愛を導き、支配することを誓いますか?」
私は、カイル殿下の手を自ら引き寄せ、その力強い指を自身の指と絡めました。
「誓いますわ。このわたくしを飽きさせないように、精一杯わたくしに跪くことですわね。わたくしがいなければ、この国は筋肉だけの掃き溜めになってしまいますもの。……末永く、わたくしの愛の鞭を味わわせて差し上げますわ」
その瞬間、カイル殿下が私を強く引き寄せ、誓いのキスを交わしました。
周囲からは「姐さんおめでとう!」という叫びと共に、なぜか騎士たちが一斉にポージングを決めて筋肉を誇示し始めるという、ヴァルハルト流の祝福が巻き起こりました。
(……ああ、本当に。騒々しくて、野蛮で、最高に愉快な国ですわ)
私はカイル殿下の胸に寄り添いながら、広場を埋め尽くす人々に向かって、扇子を高く掲げました。
「今日から、わたくしがこの国の女王ですわ! 文句がある者は、わたくしの前に跪いてから言いなさいな! おーっほっほっほっほ!!」
青空に響き渡る悪役令嬢の高笑い。
アストレア王国で「婚約破棄」という絶望から始まった私の物語は、今、この筋肉と情熱の国で、誰にも邪魔できない最強のハッピーエンドを迎えようとしていました。
バージンロードを引き返す私の足取りは、かつてないほど力強く、そして輝きに満ちていました。
王都の中央広場から大聖堂へと続く道は、溢れんばかりの国民と、正装(と言いつつ筋肉を強調した礼服)を纏った騎士たちで埋め尽くされています。
「「「「ミクル姐さん! 万歳ッ! 万歳ッ!!」」」」
地響きのような野太い歓声。
もはや結婚式というよりは、救国英雄の凱旋パレードのような熱気ですわ。
私は、特注のウェディングドレスを身に纏い、鏡の前で最後の一呼吸を置きました。
純白のシルクに、黒曜石の刺繍と鋭利なクリスタルの装飾。
優雅でありながら、不用意に近づけば命を落としかねない、まさに「覇王妃」に相応しい戦闘服ですわ。
(……ふぅ。心臓が、プロテインシェイカー並みに揺れていますわ。でも、ここで弱気を見せてはミクル・フォン・アストレアの名が廃りますわね)
私は扇子をバサリと広げ、顔の半分を隠しました。
そして、鏡の中の自分に向かって、最高に傲慢で、最高に美しい「悪役令嬢スマイル」を浮かべてみせたのです。
「お待たせいたしましたわね、駄犬ども。わたくしの最も美しい姿を、その目に焼き付けなさいな」
私が大聖堂の重厚な扉を開け、一歩踏み出した瞬間。
会場を支配していたざわめきが、一瞬で静まり返りました。
深紅の絨毯の上を、私は顎を上げ、周囲を威圧するように優雅に歩み進めました。
本来、花嫁はしおらしく歩くものかもしれませんが、ヴァルハルトの民が求めているのはそんなものではありません。
(背筋を伸ばして……視線は鋭く。わたくしがこの国を支配して差し上げるという気迫で歩くのですわ!)
私が通路を通るたびに、並んでいた屈強な騎士たちが、圧倒的な覇気に打たれたように次々と膝をついていきました。
「おおお……! あの神々しいまでの冷徹な微笑み! 我らが姐さん、最高にキレてやがる!」
「見てくれ、あのドレスの輝きを! 美しすぎて、俺の筋肉が委縮しそうだッ!」
騎士たちのすすり泣くような感動の声。
私はそれを鼻で笑い飛ばしながら、祭壇の前で待つカイル殿下のもとへと辿り着きました。
カイル殿下は、白銀の甲冑を模した礼服に身を包み、その逞しい肉体で私を迎え入れてくれました。
彼の瞳は、いつになく熱く、潤んでいました。
「ミクル……! 素晴らしい。今の君は、世界中のどんな宝石よりも、そしてどんな名剣よりも美しく、鋭く、私を魅了してやまない!」
「あら、殿下。わたくしの美しさに気絶しなかっただけ、少しは成長したのかしら? おーっほっほっほ!」
私は祭壇の上で、教皇様すらたじろぐような高笑いを響かせました。
すると、会場の国民たちは待ってましたとばかりに、割れんばかりの拍手と喝采を送り始めたのです。
教皇様が震える声で尋ねます。
「カイル・ヴァルハルト、汝は、このミクル・フォン・アストレアを妻とし、その覇気に一生涯付き従うことを誓いますか?」
「誓おう! 彼女の毒舌を糧とし、彼女の誇りを守るための盾となることを!」
「ミクル・フォン・アストレア、汝は、このカイル・ヴァルハルトを夫とし、その暑苦しい愛を導き、支配することを誓いますか?」
私は、カイル殿下の手を自ら引き寄せ、その力強い指を自身の指と絡めました。
「誓いますわ。このわたくしを飽きさせないように、精一杯わたくしに跪くことですわね。わたくしがいなければ、この国は筋肉だけの掃き溜めになってしまいますもの。……末永く、わたくしの愛の鞭を味わわせて差し上げますわ」
その瞬間、カイル殿下が私を強く引き寄せ、誓いのキスを交わしました。
周囲からは「姐さんおめでとう!」という叫びと共に、なぜか騎士たちが一斉にポージングを決めて筋肉を誇示し始めるという、ヴァルハルト流の祝福が巻き起こりました。
(……ああ、本当に。騒々しくて、野蛮で、最高に愉快な国ですわ)
私はカイル殿下の胸に寄り添いながら、広場を埋め尽くす人々に向かって、扇子を高く掲げました。
「今日から、わたくしがこの国の女王ですわ! 文句がある者は、わたくしの前に跪いてから言いなさいな! おーっほっほっほっほ!!」
青空に響き渡る悪役令嬢の高笑い。
アストレア王国で「婚約破棄」という絶望から始まった私の物語は、今、この筋肉と情熱の国で、誰にも邪魔できない最強のハッピーエンドを迎えようとしていました。
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