念願の異世界に召喚されたけど役に立ちそうもないんでその辺で遊んでます~森で謎の姉妹に出会って本物の勇者を目指すことに~

朱衣なつ

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第21話 報酬はいかほど?

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 俺達が宿屋に戻る途中、飲み物を買って噴水広場にある長椅子に腰をかける。

 「色々話を聞いてしまったけど、あの場に俺が居て良かったのか?」

 「命がけで護衛してもらったのに教えないなんて出来るわけないでしょ? それにあなたの協力がなければ、ここまで来れなかったかもしれないんだから当然の権利よ」

 横で聞いてたサーシャもリネットに同意して頷く。

 「ソウタさん色々ありがとうございました。少ないですがこれを」

 そう言ってサーシャは金貨が詰まった袋を俺に渡す。

 「いらないよ。別にお金に困ってるわけじゃないし二人の方が今後必要だろ」

 「約束なんだから素直に受け取っておきなさいよ。トレイン達が私達の為に集めたくれたまっとうなお金だから心配しないで」

 リネットが袋を俺の胸に押し当てる。

 家に帰ればセレーナから貰った金貨もあるし、この二人だって今持ってるお金が足りなくなれば、どこかで稼せがないといけなくなるだろ。

 それに……

 「……それじゃ足りないし報酬はお金なんて言ってないだろ」

 「じゃあ、後どのくらい欲しいのよ? ……あなた! まさか変なこと考えるじゃないでしょうね? 言っとくけど姉さんは既婚者なのよ」

 リネットが怪訝な顔をして、胸元を手で隠す。

 「ちょっ、まっ! 違う、前にリネットが目的が同じなら協力しようと思ってたって言ってたの覚えてるか?」

 「あなたを勇者候補だと勘違いしてたときね。でも勇者候補ですらないことが発覚してちょっと揉めたわことがあったわね」

 「そう、そのときリネットが『本物の勇者にしてあげる』って言っただろ?」

 「確かに言ったわ。もちろん手柄をあなたに譲るのはいいけど、どうやってそれを実現させるのかまでは考えてなかったわ。勇者にさせろってこと?」 

 「勇者だから世界を救うわけじゃなくて、世界を救ったやつが勇者じゃなきゃおかしいだろ? つまり俺がリネット達に協力して世界を救うことができれば俺も勇者になれるわけだ。だから報酬は俺が二人と一緒に世界を救うってのでどうだ?」

 「そりゃそうかもしれないけどあなたが言う『本物の勇者』ってのはそういうのでいいの? それにそれだと誰にも認めてもらえないわよ?」

 「別に認めてもらうおうなんて思ってないし、実際勇者なんてどうでもいいんだけどさ。俺でも出来ることがあればやりたいなって思って」

 「要は私達の手伝いをさせろってことよね。でもあなたにはほとんどメリットはないのよ?」

 「こうでも言わないと多分無理矢理お金を渡されるだろうからな。報酬の『本物の勇者』にしてもらう約束は世界が救われたとき受け取ることなるな。どうだろう?」
  
 リネットがサーシャにどうするか聞くと、サーシャは首を縦に振る。

 「私達としても仲間が失踪して一人でも多く助けが欲しいから助かるけどね。でも本当にいいの?」

 「もちろんだ。あの針男達の件も片付いてないしな。じゃあ一応俺が二人の手助けをするってことで決まりだな」

 「せっかくだからあなたを名実ともに本物の勇者にしてみせるわ。もう、お金よりも高くついちゃったじゃない」

 リネットはため息混じりに笑いながら言う。

 「ただ、さすがに家を留守にしすぎてるから、一旦サルブレムに戻らないといけないけど」

 サーシャがカバンの中から通信機を出して俺に渡す。
  
 「実はソウタさんに協力を頼もうとは思っていたんですが、これ以上危険なことに巻き込みたくないのもあって躊躇していました。ですが協力していただけるなら心強いです」

 「まぁ、最初に言ったけど俺は手違いで召喚されたただの一般人だから、あまり期待はしない方がいいけどな。でも何度か戦いをしていくうちに、不謹慎だけど心が充実してくる感じなんだ。世界を救いたい気持ちも勿論あるけど、もっと強くなりたいのもあるんだよ」

 アリエルから貰ったギフトのおかげで死なずにすんでるから、本当は大人しくしておくべきなんだろうな。

 この世界に召喚されたときは落胆したけど、彼女達に会って旅を続けていくうちにこの世界に召喚されて良かったと思える。

 「でもソウタさん、無茶だけはしないで下さいね。私達は多少の犠牲は払う覚悟で来てますがソウタさんには家族もいるでしょうし、そもそもこの世界を助ける責務はないんですから」

 「ははっ、そうだな。この間みたいに穴だらけになるのは御免だからな。自分の力量を考えて二人のサポートをさせてもらうよ」

 「では一度宿屋に戻りましょうか。今後のことは食事でもしながら話し合いましょう」

 「そうね。とりあえず今日の夜に勇者が来るらしいからそのご尊顔を拝見しましょうか」

 宿に戻った俺達は明日の馬車を手配して少し休憩をする。

 夕方になるまでゴロゴロして体を休ませた後、夕食をとるため再び町へ出る。

 今日勇者達がこの町に着けばリネット達も後ろから付いていくみたいだけど、勇者達はジュラールがどこにいるか知ってるのかな。

 それとも、サルブレムの王が一斉に討伐に向かうとか言ってたから一旦どこかで集まるのか?

 問題はサルブレムに戻ってセレーナにどう言うかだ。

 セレーナになら本当のこと言っても大丈夫そうだけど、帰るまで少し時間がかかるからその間に考えるか。
 
 店に入り、食事をしながらさっそく今後のことを話し合うことにする。

 「馬車の手配も出来たから明日サルブレムに帰るよ。二人はどうするんだ?」

 「仲間の到着を待ちたいところなんですが、勇者達がくればその動向をさぐりたいとおもいます」

 「そうだな。このチャンス逃がすと勇者達もどこに行くのかわからないもんな。多分各国がジュラールってやつを探してるとは思うんだけど、そいつが行動を起こさない限りそう簡単には見つからないんじゃないか」

 「貰ったノートを見ても足取りは掴めなかったみたいですしね。早く見つけだせれば思惑を阻止することもできるんですが、今のところ手掛かりがありませんしね」
 
 「そいつの目的もわかってないみたいだし、盗まれたギフトも強力みたいだけど個人で使えるもんじゃないらしい」

 「こちらの予測だと、このまま放置してれば甚大な被害が出る恐れがあるみたいなので未然に防ぎたいですね」

 「まだ準備が整ってない状態で叩くことができれば被害は最小ですむな。気になるのがそっちの予測だと、このまま勇者達が頑張っても止められないっことか?」

 「多分そういうことなんでしょう。私達の介入とかなければこの世界を破壊するほどの戦争だったりが、人の手による自然災害が起きるはずです。ただ異世界から勇者を召喚することを、予測の中に入ってるかどうかはわかりませんけど」
 
 「勇者達がその予測に含まれてなかったら、そいつらがどうにかしてくれる可能性もあるわけだ」

 「そういうことね。だから勇者達がどんなもんか見にいくのよ」

 リネットがニヤッと笑いながら、窓を指差す。

 窓の向こう側を見てみると、外に甲冑を着た兵士達が列をなし町を闊歩している。

 あれがグラヴェールがきた勇者様御一行ってことか……。結構な数がいるがここからだと勇者は見当たらないな。

 「ちょっと行ってみるわ。二人はここで待ってて」

 そう言ってリネットは外に様子を見に行く。
 
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