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第80話 誰よりも速く
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リネットはサーシャとフィオに他の敵をお願いして、自分はモモタの元に向かう。
それに気付いたモモタは相変わらずうすら笑い浮かべて魔法を使ってくる。
「ふふっ、女か。 《アクアスプラッシュ》!」
杖から圧縮された水のビームがリネットに飛んでくる。
リネットはこれを素早く避け、短剣から出現させた無数の青い羽根をモモタに飛ばす。
「《アクアウォール》!」
モモタそう叫ぶと杖から水の壁が現れ、飛んできた羽根を防ぐ。
これにリネットは少し意外そうな顔をしてモモタを見据える。
「中々やるじゃない」
「お前こそ面白い技を使うんだな。もしかしてこの国の勇者か?」
「そんなところよ。なんでもいいけど、見た目の割りに魔法なんて使うのね」
そう聞かれたモモタはニヤニヤとしながら持論を語り出す。
「頭の悪いやつはすぐに剣とか使いたがるからな。俺のように賢いやつは安全な位置から一方的に攻撃出来る魔法を選ぶんだよ」
「賢いっていうか考え方がセコいだけなんじゃないの?」
「……どうやらお前も前者のようだな。それに俺はな、この魔法で人をズタズタにするのが大好きなんでね! 《ウォーターカッター》!」
杖の先端から水で作られた無数の刃がリネットに向けて飛ばされる。
リネットはその水の刃を回避するが数枚避けそこねてしまい、服の上から血を滲んでくる。
「ふへへ。どうだい? これで少しは分かってくれたか?」
「あなたが悪趣味なのはね……。それにやっぱりやることが姑息だと思うわ」
「どうやらバカは死なんと治らんようだな!」
モモタが杖を振りかざすと再び水の刃が飛んでくる。
しかし、リネットはその場から動かず短剣を逆手に持ち替えて叫ぶ。
「我が蒼き刃よ! その研ぎ澄まされた風切で敵を切り裂け!」
両腕をクロスさせるようにして、逆手に持った短剣を下から振り上げる。
二本の短剣から青い真空波が発生し、水の刃を切り裂きながらモモタの方に真っ直ぐ飛んでいく
モモタは慌てて水の壁を出現させるも、青い真空波はその壁を貫き、モモタの体に直撃する。
直撃したモモタは体にバツ印の傷を残し、その場で卒倒する。
「これでおあいこね。ちょっとやり過ぎたかもしれないけど、いい薬にはなったでしょ?」
リネットは気を失ったモモタにそう投げ掛け、サーシャ達を助けにいく。
一方で、ニイジマは肩から血を流しながら恨めしそうに俺のことを睨んでいる。
「ガキの分際で舐めた真似しやがって! 俺よりも良いギフトを貰ってんのか?!」
「それはどうだろうな。スピードもパワーもあんたの方が上だと思うけど? ただ残念なことに技量が足りないから全然負ける気がしないけどな」
「はあ? 俺に一撃与えたくらいでいい気になるんじゃねえ! 見てろよ! お前もろとも全員やってやるからよ」
血を流してるものの戦意はまだ喪失しておらず、剣を構えて突っ込んでくる。
そのとき、一匹の黒い犬が兵士達の間を縫うよう走ってきてニイジマの腕に噛みつく。
「この犬どこから出てきやがった! 離せ! クソが!」
ニイジマがその犬をブンブンと振り回して離そうとするが、腕にしっかりと牙がめり込んでいて離れる気配はない。
「お前の方こそ周りを見た方がいいんじゃないか?」
背後から聞き覚えのある声が聞こえてきたので振り向くと、長い黒髪をポニーテールにした女性が立っている。
「マリィ! 来てくれたのか!」
「遅れてすまない。こいつ等についての話は聞いている。戻れガルム!」
マリィは俺にそう告げ、黒い犬に向かって命令する。
すると、黒い犬は輝きを放ちながら光の粒子となりマリィの手元に集まっていく。
光の粒子はそのままライフルの形に姿を変え、マリィの手に収まる。
これを見たニイジマ何かを思い出してマリィに話し掛ける。
「その変な武器見たことあるぞ。それを使えるってことはお前も異世界から来た人間か」
「やはりエスプリマのことは知ってるみたいだな。その異世界から来た人間のところに案内してもらおうか」
「俺を倒せればな。邪魔するならお前も一緒に殺してやる」
「戦いに集中するのは良いことだが、この状況でまだやる気か?」
マリィにそう言われニイジマは辺りを見渡し始め、俺も戦況を確認するため周囲を見てみる。
見るとリネットがモモタを倒し、フィオがガスバルさん達と一緒にムングスルドの兵士達を追い返している。
サルブレム側の数も増えてるうえ、リネット達が参戦したことによりこちらの方が優勢に戦いを進めてるようだ。
この状況を見たニイジマは舌打ちをして悪態をつく。
「チッ! 何やってんだモモタのやつ! 使えねえおっさんだな」
「どんな事情があれ、これだけのことをしたからには全員拘束させてもらうぞ」
ニイジマが怒りの様相で銃を構えたマリィに向かっていく。
「どいつもこいつもムカつくやつばかりだぜ! 調子に乗るなよ雑魚共が!」
「来るか……。手負いの獣ほど危険ものはないからな。一撃でやらせてもらう」
「こっちの台詞だ! 【五月雨斬り】!」
ニイジマは素早くマリィの懐に入り、一息で五回の斬撃を浴びせる。
その攻撃を受けたマリィがその場に倒れ、ニイジマは満足そうな顔をして地面に唾を吐く。
「バカが! クソ犬もろとも死ね!」
「申し訳ないがまだ死ぬわけにはいかないな」
どこからかマリィの声が聞こえ、ニイジマは焦りの表情を浮かべてその姿を探す。
「今確かに斬ったはず……どこだ!?」
「お前の後ろだ」
ニイジマが「なに!」と慌てて後ろ向いた同時に一発の弾丸が放たれる。
「アンスタンノワール!」
マリィの放った弾丸は黒い光を帯びながらニイジマに向かって一直線に飛んでいく。
ニイジマがすぐに身を投げ出して射線から外れるも、弾はまるで生き物のように弾道を変えて、剣を持ってる右肩に命中する。
「ぐあぁ!」
ニイジマは痛みから剣を落として地面を転がり回る。
「クソが! ちくしょう! 痛てえよ!」
「自分のしたことを考えるんだな。これでも手加減はしてやったんだ」
「お前等覚えてろよ……」
ニイジマは剣を拾ってヨロヨロと立ち上がり、俺達にマントを投げつけて走り出す。
「目眩ましのつもりか? 逃がさんぞ!」
「うるせえ! 逃げるじゃねえ! 戦術的撤退ってやつだ!」
俺達は後ろから追いかけるも、向こうの足の方が速くてどんどん引き離される。
はっや! やっぱあいつおかしいって!
ニイジマは速度が落ちることなく走り続け、兵士には見えないもう一人の男と合流する。
「どうなってんだエイガーさんよ! こっちが負けてるじゃねえか! 早く逃げないと捕まっちまうぞ!」
「ふむ……これ以上は無理そうですね。帰って再調整をしてから出直すとしましょう」
そう言ってエイガーはポケットから何かを取り出す。
「逃げられると思ってるのか!? 勝負は着いたんだから大人しく投降しろ!」
俺達がニイジマに追い付いてそう言うと、エイガーの手のひらにある羅針盤から水が噴水のように吹き出す。
吹き出した大量の水が空に撒かれ、辺りが一瞬にして濃い霧で覆いつくされ視界が奪われる。
深い霧の中でニイジマの笑い声が聞こえてくる。
「俺を捕まえることが出来なくて残念だったな。今日のところこの辺で引き上げてやるが、今度あったら覚悟しとけよクソガキ」
俺が逃がすまいとニイジマの居た場所に斬りかかろうとするが、マリィに肩を叩かれる。
「これだけ深い霧だと敵と味方の判別がつかないからやめておけ。奴等が逃げ切るまでこの霧が晴れることはないだろうから追うのも難しいだろう」
俺達は追いたい気持ちを抑えて、霧が晴れるのを待ってから負傷した兵士達を運ぶの手伝う。
それに気付いたモモタは相変わらずうすら笑い浮かべて魔法を使ってくる。
「ふふっ、女か。 《アクアスプラッシュ》!」
杖から圧縮された水のビームがリネットに飛んでくる。
リネットはこれを素早く避け、短剣から出現させた無数の青い羽根をモモタに飛ばす。
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リネットはその水の刃を回避するが数枚避けそこねてしまい、服の上から血を滲んでくる。
「ふへへ。どうだい? これで少しは分かってくれたか?」
「あなたが悪趣味なのはね……。それにやっぱりやることが姑息だと思うわ」
「どうやらバカは死なんと治らんようだな!」
モモタが杖を振りかざすと再び水の刃が飛んでくる。
しかし、リネットはその場から動かず短剣を逆手に持ち替えて叫ぶ。
「我が蒼き刃よ! その研ぎ澄まされた風切で敵を切り裂け!」
両腕をクロスさせるようにして、逆手に持った短剣を下から振り上げる。
二本の短剣から青い真空波が発生し、水の刃を切り裂きながらモモタの方に真っ直ぐ飛んでいく
モモタは慌てて水の壁を出現させるも、青い真空波はその壁を貫き、モモタの体に直撃する。
直撃したモモタは体にバツ印の傷を残し、その場で卒倒する。
「これでおあいこね。ちょっとやり過ぎたかもしれないけど、いい薬にはなったでしょ?」
リネットは気を失ったモモタにそう投げ掛け、サーシャ達を助けにいく。
一方で、ニイジマは肩から血を流しながら恨めしそうに俺のことを睨んでいる。
「ガキの分際で舐めた真似しやがって! 俺よりも良いギフトを貰ってんのか?!」
「それはどうだろうな。スピードもパワーもあんたの方が上だと思うけど? ただ残念なことに技量が足りないから全然負ける気がしないけどな」
「はあ? 俺に一撃与えたくらいでいい気になるんじゃねえ! 見てろよ! お前もろとも全員やってやるからよ」
血を流してるものの戦意はまだ喪失しておらず、剣を構えて突っ込んでくる。
そのとき、一匹の黒い犬が兵士達の間を縫うよう走ってきてニイジマの腕に噛みつく。
「この犬どこから出てきやがった! 離せ! クソが!」
ニイジマがその犬をブンブンと振り回して離そうとするが、腕にしっかりと牙がめり込んでいて離れる気配はない。
「お前の方こそ周りを見た方がいいんじゃないか?」
背後から聞き覚えのある声が聞こえてきたので振り向くと、長い黒髪をポニーテールにした女性が立っている。
「マリィ! 来てくれたのか!」
「遅れてすまない。こいつ等についての話は聞いている。戻れガルム!」
マリィは俺にそう告げ、黒い犬に向かって命令する。
すると、黒い犬は輝きを放ちながら光の粒子となりマリィの手元に集まっていく。
光の粒子はそのままライフルの形に姿を変え、マリィの手に収まる。
これを見たニイジマ何かを思い出してマリィに話し掛ける。
「その変な武器見たことあるぞ。それを使えるってことはお前も異世界から来た人間か」
「やはりエスプリマのことは知ってるみたいだな。その異世界から来た人間のところに案内してもらおうか」
「俺を倒せればな。邪魔するならお前も一緒に殺してやる」
「戦いに集中するのは良いことだが、この状況でまだやる気か?」
マリィにそう言われニイジマは辺りを見渡し始め、俺も戦況を確認するため周囲を見てみる。
見るとリネットがモモタを倒し、フィオがガスバルさん達と一緒にムングスルドの兵士達を追い返している。
サルブレム側の数も増えてるうえ、リネット達が参戦したことによりこちらの方が優勢に戦いを進めてるようだ。
この状況を見たニイジマは舌打ちをして悪態をつく。
「チッ! 何やってんだモモタのやつ! 使えねえおっさんだな」
「どんな事情があれ、これだけのことをしたからには全員拘束させてもらうぞ」
ニイジマが怒りの様相で銃を構えたマリィに向かっていく。
「どいつもこいつもムカつくやつばかりだぜ! 調子に乗るなよ雑魚共が!」
「来るか……。手負いの獣ほど危険ものはないからな。一撃でやらせてもらう」
「こっちの台詞だ! 【五月雨斬り】!」
ニイジマは素早くマリィの懐に入り、一息で五回の斬撃を浴びせる。
その攻撃を受けたマリィがその場に倒れ、ニイジマは満足そうな顔をして地面に唾を吐く。
「バカが! クソ犬もろとも死ね!」
「申し訳ないがまだ死ぬわけにはいかないな」
どこからかマリィの声が聞こえ、ニイジマは焦りの表情を浮かべてその姿を探す。
「今確かに斬ったはず……どこだ!?」
「お前の後ろだ」
ニイジマが「なに!」と慌てて後ろ向いた同時に一発の弾丸が放たれる。
「アンスタンノワール!」
マリィの放った弾丸は黒い光を帯びながらニイジマに向かって一直線に飛んでいく。
ニイジマがすぐに身を投げ出して射線から外れるも、弾はまるで生き物のように弾道を変えて、剣を持ってる右肩に命中する。
「ぐあぁ!」
ニイジマは痛みから剣を落として地面を転がり回る。
「クソが! ちくしょう! 痛てえよ!」
「自分のしたことを考えるんだな。これでも手加減はしてやったんだ」
「お前等覚えてろよ……」
ニイジマは剣を拾ってヨロヨロと立ち上がり、俺達にマントを投げつけて走り出す。
「目眩ましのつもりか? 逃がさんぞ!」
「うるせえ! 逃げるじゃねえ! 戦術的撤退ってやつだ!」
俺達は後ろから追いかけるも、向こうの足の方が速くてどんどん引き離される。
はっや! やっぱあいつおかしいって!
ニイジマは速度が落ちることなく走り続け、兵士には見えないもう一人の男と合流する。
「どうなってんだエイガーさんよ! こっちが負けてるじゃねえか! 早く逃げないと捕まっちまうぞ!」
「ふむ……これ以上は無理そうですね。帰って再調整をしてから出直すとしましょう」
そう言ってエイガーはポケットから何かを取り出す。
「逃げられると思ってるのか!? 勝負は着いたんだから大人しく投降しろ!」
俺達がニイジマに追い付いてそう言うと、エイガーの手のひらにある羅針盤から水が噴水のように吹き出す。
吹き出した大量の水が空に撒かれ、辺りが一瞬にして濃い霧で覆いつくされ視界が奪われる。
深い霧の中でニイジマの笑い声が聞こえてくる。
「俺を捕まえることが出来なくて残念だったな。今日のところこの辺で引き上げてやるが、今度あったら覚悟しとけよクソガキ」
俺が逃がすまいとニイジマの居た場所に斬りかかろうとするが、マリィに肩を叩かれる。
「これだけ深い霧だと敵と味方の判別がつかないからやめておけ。奴等が逃げ切るまでこの霧が晴れることはないだろうから追うのも難しいだろう」
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