念願の異世界に召喚されたけど役に立ちそうもないんでその辺で遊んでます~森で謎の姉妹に出会って本物の勇者を目指すことに~

朱衣なつ

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第83話 異世界交流

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 アハナさんは俺達を先程ガラス越しに見えていた部屋へと連れていく。

 部屋に入るとガスバルさんが俺達気付いて声を掛けてくる。

 「おやっ! さっきの少年達じゃないか!?」

 「さっきはどうもガスバルさん! 向こうから見てたんですけど、やっぱりガスバルさんだったんですね」

 「いやいや、こっちこそさっきは助かったよ。ソウタだけじゃなくてみんな強いんだな」
  
 「ガスバルからお前達の活躍を聞いたぞ。なんでも勇者を追い払ったらしいな。その場に居合わせなかったのが残念だ」

 「彼女達がいたからなんとか追い返せました。ですけど、あの勇者達の強さは異常でしたよ」

 「らしいな。まあ、そこも気になるがとりあえず話を進めるか」

 ウラガン団長が改めてお互いの紹介をしようとしたそのとき、見たことがある男の子がひょこっと顔を出して部屋に入ってくる。
 
 「失礼しまーす。ロマリです。ここに来てくれって言われたんですけど、何か用事ですか?」
 
 「おお、ちょうど良かった。来て早速だが紹介しよう、こちらはとある事情で異世界からやってきた人達なんだ」
  
 ウラガン団長は俺達の紹介をした後、ガスバルさん達の紹介をする。

 「それで、こいつはうちで重騎兵の隊長をやっているガスバルってやつで、こっちの彼は魔法副兵長のロマリというものです」

 俺達も軽く頭を下げて自己紹介をする。

 「まあ、詳しい話は後にして今日はお前達に頼みたいことがあるんだ。この人達にギフトを使ってるところを実践してくれないか」

 「「はぁ……」」

 二人が要領の得ない返事をして、アハナが二人に今回の主旨を説明する。
 
 話を聞いたガスバルが部屋にある槍を持ってきて準備を始める。

 「まずガスバルさんにこの透明な記録用のギフトラベルを貼ってみますね。それではガスバルさんは【二段突き】をお願いします」 

 腕に透明のラベルが貼られ、ガスバルさんは槍を構えて意識を集中させる。

 しばらくの沈黙が続き、ガスバルさんが急に「ハッ!」と声を出しその場で槍を二回突く。

 おお! 今のは素人の俺から見ても美しいな。
 
 「流石がガスバルさんね」

 アハナがそう言って貼ってあったラベルを剥がす。

 「さて、これでガスバルさんの【二段突き】が記録されたBランクの【固有スキル系ギフト】の出来上がりよ。簡単でしょ? じゃあこれを誰かに貼って今のをやってみましょう」
  
 「私やってみたい!」とフィオが手を挙げる。

 「体が少し小さいようだけど大丈夫かな?」

 「フィオの身体能力は異常だから大丈夫ですよ。やらせてあげて下さい」

 アハナさんはフィオの腕にラベルを貼り、本をめくって何かを話している。

 気になったので俺も覗いてみると、どうやら先程放った二段突きの詳しいやり方が書いてあるページを見てるようだ。 

 アハナは本を見ながらフィオにレクチャーして動きの確認をする。

 「どう? 動作は頭に入ったかしら?」 

 「うん! やってみるよ」

 フィオは槍を手に持ち「むっ!」と気合いを入れてから構える。

 「とう!」という掛け声と共にシュッシュッ! と突きを二度繰り出す。

 今のは中々いいんじゃないか? 

 そう思っていたら、ガスバルさんが今のを見て拍手をする。

 「やるねえフィオちゃん。その歳で槍なんて使ったことあるのかい?」
  
 「ううん、初めて使ったよ。このギフトラベルのおかげなんだろうね。今の二段突きをしようと思ったら身体が勝手に動いてくれたよ」

 「そういうもんなんだけど、初めての割には俺の動きにかなり近かったぞ。……才能があるかもしれん」

 ガスバルさんがフィオに槍の持ち方を念入りに教え出すも、アハナさんに注意される。

 「ダメですよ。今日はまだ他にも教えることがあるんですから」

 「おっと、そうだったな。すまんすまん続けてくれ」

 アハナさんは俺達の方に向き直って話を続ける。

 「今ので大体解ったと思いますが、ああやって技を直接身体に染み込ませるといった感じですね。書物とかに書かれた動きをギフトラベルに記録すれば、どんな人間でも同じように技を出すことが出来るんですよ」 

 「うん! 私もあの本に書かれてることを軽く覚えただけだったけど、ちゃんと出せたよ!」

 フィオは出せたことが嬉しかったのか、ポムリンを出してさっきの動きを自慢気に見せる。

 すると、その様子を見ていたウラガン団長達は目を皿にしてポムリンを凝視する。

 「お、おい……ガスバル……今の見たか?」

 「ええ……手首から光が出たと思ったら、その光があの珍妙な生き物になりましたね……」

 アハナさんとロマリ君も突然の出来事に言葉を失っているようだ。

 そんなウラガン団長達にイネス先生が声を掛ける。
 
 「実は昨日教える予定だったんけど、丁度いいから先に私達の戦い方も教えておこうか?」

 「そ、そうですね……魔法の説明の前に教えてもらいましょうか……」

 アハナさんにそうお願いされ、イネス先生はリネットにエスプリマの実演をするよう頼む。

 「じゃあまず私の半身を呼びますね。おいでノルデ!」

 いつものようにリネットのブレスレットが光輝き、一羽の青い鳥が姿を現す。

 「お呼びですか!? 最近はちょくちょく呼んでくれるんでようやく翼もほぐれてきましたよ!」
 
 ノルデが翼をはためかせ、ご機嫌でリネットの肩に止まる。
 
 「おい! 今度は喋ったぞ!」

 「しかも随分流暢に話しますね……」

 ウラガン団長達からまたもや感嘆の声が上がる。

 この反応にリネットは気を良くしたのか、そのままノルデを武器に変える。
 
 「ノルデ! 私に力を貸しなさい!」

 「はいな!」

 その返事と共にノルデは光を帯ながら徐々に形を変え、青く輝く二本の短剣になる。

 その様子にウラガン団長は立ち上がって大きな声を上げる。

 「なんですかそれは?! 鳥が出てきたかと思えば突然形を変えて短剣になったではないですか!」
  
 「まこと不思議な現象ですね団長! さっきの青い鳥があの青い短剣になったってことでいいんですかね?」
 
 「俺にもさっぱり分からん。幻でも見させられてるんじゃないかと思うほどだ」
 
 ウラガン団長達は狐につままれたような顔をして、今起きたことについて話をする。

 そりゃあこうなるよな。

 俺なんかはそもそもギフトに驚いてたからそこまでじゃなかったけど、それでもノルデが武器に形を変えたときは自分の目を疑ったもんな。
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