念願の異世界に召喚されたけど役に立ちそうもないんでその辺で遊んでます~森で謎の姉妹に出会って本物の勇者を目指すことに~

朱衣なつ

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第115話 戦いの後は

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 一夜明けた次の日。

 みんなでミェスターに向かいテヘルさんからお金を受け取る。

 そして、それをサーシャに全て預けた後、早速ソルティーの観光をすることに。

 「こんなに貰って良かったんでしょうか?! 三百万ゴルゴルですよ!」
 
 「最初は俺もその金額にビックリしたけど、みんなの活躍を考えたらそのくらいは貰ってもいいんじゃないか? テヘルさんも少ないくらいって言ってたし」

 「では、ありがたく使わせて頂きましょうか。正直これだけあれば、向こうに戻ってから家具とかも買えるから助かります」

 「金のプレートを使うもちょっと抵抗があったからな。それだけあれば大抵のものは揃いそうだ」

 「ここで使っても余るくらいありますから
、今日は欲しいものを買いましょう」

 サーシャがお金をしまい、とりあえず歩きながら話し合うことにする。

 「フィオは行きたいところとかないか?」

 「んーと、そうだね……。私は新しい服が欲しいかな。あっ! それとガスバルさんにお土産を買いたいよ」

 「そうか、服がボロボロになったんだもんな。……あれ? そういやマリィの服も破れたんじゃなかったっけ?」

 この瞬間まで気にしていなかったが、マリィはいつものコートを着ていて傷一つ付いていない。

 ばかりか、シワ一つ付いていなくて真新しさすらも感じさせるくらいキレイである。

 「ん? ああ、私はもしものときのために予備のものを持ってきているからな。服に関しては心配無用だ」

 「そ、そうなんだ……それなら良かった……。よし、じゃあまずは服を買いに行くか!」

 テヘルさんから貰ったガイドブックを見ながら服屋を探して店に入る。

 サルブレムに売ってあるものとはまた違うので、リネット達は新鮮な気持ちで服を物色しているようだ。

 俺は適当にズボン等を買って、ガイドブックを見ながら外で待つことにする。

 そうやってしばらく待っていると、いつものように大量の袋を下げてみんなが戻ってくる。

 「また随分と一杯買ったなあ……」

 「イネス先生とエクシエルさんの分も買ったし、これでも少ないくらいよ」

 「まあ、時間はあるから後でもう一軒くらい行けるだろう。じゃあ次は土産を買いに行くか」

 ダルガデルは冒険者以外にも観光スポットを巡る旅行客が多いらしく、お土産を売っている店がそこかしこにある。

 その中から良さそうなところをフィオに選んでもらって店内に入る。

 「何を買うかな。フィオはガスバルさんに買って買えるんだ?」

 「んー、私と同じくらいの娘さんがいるって言ってたから……。あっ! あのトゲトゲが付いた棍棒なんてどうかな?」
 
 「いや! それは止めといた方がいいだろう」

 「えへへ、なんてね。冗談だよ」
 
 それに対して俺が黙っていると、フィオが心配そうに俺の顔を覗きこむ。

 「……ごめんね。もしかして怒った?」

 「そうじゃなくて、フィオが冗談を言えるくらい元気になって良かったなって思ってさ……」

 「うん、私はもうすっかり元気になったから大丈夫だよ」

 「こんなことになるんだったら、エクシエルさん達と一緒に向こうに残ってた方が良かったかもな」

 「ここに来たことを別に後悔なんてしてないよ? それにもう終わったことなんだから、買い物を楽しもうよ!」
 
 「ごめんごめん。いつまでもしんみりしてたら良くないよな。でっ? 本当は何にするんだ?」
 
 「この花柄の可愛いお財布にしようかな。でもやっぱり、ガスバルさんにはあの棍棒にするよ」

 フィオは財布をいくつか手に取り、その後にトゲトゲが付いた棍棒を取りに行く。

 俺もいくつかお土産を買い、先程同様外で待っていたら、少し落ち込んだ様子のリネットが店から出てくる。

 「おっ? 早いな。もう終わったのか?」

 「ううん、まだ三人共中でも商品見てるわ」

 「リネットはもういいのか? あれだけ楽しみにしてたじゃないか」
  
 「気持ちをね、切り替えようと思ったんだけど流石に今回ばかりは難しいわね」

 「気持ちは分かるけどそんなに落ち込むなよ。リネットが悪いわけでもないんだしさ」

 「そうは言っても姉さんにあの力を使わせてしまったし、私自身無力過ぎたわ。私こそいつもみんなに助けられてばかりよ……」

 「俺だってバレンティスに勝てなかったんだから同じだよ……」

 「姉さん、本当は父さん達の残した研究の続きをするかどうか悩んでたの。でも、バレンティス達のことで再開を決めたらしくてさ……」

 「そうだったのか……。リネットはやらせたくなかったのか?」

 「それは姉さんの意志だから何とも言えないけど、私が強かったらやらなくてもすんだかもしれないわ」

 リネットは自分の無力さを責めているようで、肩を落として地面を見つめている。

 「だったら……だったらもっと強くなるしかないな! 今の俺にはリネットを励ますことは出来ない。でも、次からはサーシャ達を守れるくらい一緒に強くなろう!」

 「なによ……。それって結局私を励ましてるんじゃない。でもそうよね、ここでクヨクヨしてても始まらないのは確かよね」

 「そうだぞ。俺だってずっと引きずってたけど今この瞬間引きずるのは止めにする。だから、リネットも落ち込むのは止めしろ」

 俺はそう言った後にポケットからあるものを出してリネットに渡す。
 
 「……なんなのこれ?」

 「ほら、いつも俺に変な置物くれるだろ? だから今日は俺からのプレゼントだ」

 「変なとはなによ! あれはわざわざ私があなたに選んであげてたのよ!」

 「ははっ、いつも調子に戻ったようだな。でも、一応俺もリネットに合わせて選んだんだぞ?」

 「納得いかないけど受け取っておくわ。でも……ありがとうね」
 
 リネットは俺があげた猿のような置物を見つめながらお礼を言う。

 「あっ、そうだ。ガイドブックに書いてあったんだけど、ソルティーに温泉が入れる施設があるらしいぞ」

 「本当に!? ここで買い物が終わったら行きましょうよ! 最後に温泉で旅の疲れを癒したいわ」

 「リネットは風呂入るの好きだもんな。ちなみに食べ物とかもあるらしいぞ」

 俺はガイドブックを広げてリネットに見せる。

 リネットが元気を取り戻したところで、サーシャ達がお土産を持って店から出てくる。

 温泉の話をすると三人とも行きたがり、満場一致でそこに行くことに決まる。

 みんなも楽しそうだし、なんだかんだでいい旅行になったな。
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