念願の異世界に召喚されたけど役に立ちそうもないんでその辺で遊んでます~森で謎の姉妹に出会って本物の勇者を目指すことに~

朱衣なつ

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第121話 アルパルタを目指して

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 四人と明日の約束をして家に戻ると、ミシェルがトコトコと二本の足で歩いてきて俺を出迎えてくれる。

 「おかえりソウタ! どこに行ってたんだい?」

 「ただいまミシェル! ちょっと四人の家に行ってたんだ。食事は?」

 「僕達も今さっき帰ってきたばかりだから、まだ何も食べてないよ」
 
 「それは良かった。サーシャが二人の晩御飯を作ってくれたから持って帰ってきたよ」

 「僕の分もあるのかい!?」

 「もちろんだ! すぐ食べるか?」

 「うん! ちょっとアグロー様を呼んでくるね!」

 ミシェルは走ってアグローさんを呼びに行く。

 俺はさっき届いた椅子に腰を下ろし、テーブルの上に折りに入った料理を並べる。

 「おっ、帰ったか! ところでこのテーブルとかはどうしたんだ?」

 「今日は少し時間があったんで買ってきました。これサーシャからです。良かったら食べてくださいって」

 「それは色々ありがたいな。ちょうど飯を食いに行こうかと思っていたところだ」

 アグローさんが部屋から出てきて向かいの椅子に座り、ミシェルは俺が抱き抱えてテーブルの上に乗せる。

 「ありがとうソウタ。でもテーブルの上に乗るなんてちょっとお行儀が悪いね」

 「どうせ俺達しかいないし、いいんじゃないか? そっちのサラダがミシェルの分らしいぞ」

 「わあ、嬉しいなあ! サラダは僕の大好物なんだよ! 早速頂きましょうアグロー様!」

 「うしっ! じゃあありがたく食うかミシェル!」

 ミシェルは両前足のひずめを合わせ、頂きますのポーズをした後、四つん這いになって食べ始める。

 流石にフォークとかは物理的に無理か……。

 「どうだうまいか?」

 「うん、特にこのドレッシングは最高だよ! サーシャは料理を作るのが上手なんだね」

 「こっちの調味料とかの使い方に慣れてきたみたいだしな。アニマルシェもお腹とか空くのか?」

 「お腹は空かないし食べなくても平気なんだけど、味覚はあるから美味しいものは食べたくなるよ」

 「へえ、そうなんだな。にしてもうまそうに食ってんな」

 ミシェルの食べる姿をボーッと眺めていたら、あるものを部屋に隠していたことを思い出す。

 「あっ、そうだ! ミシェルにお土産があるんだ。ちょっと待ってろ」

 テーブルと一緒に注文していたあるものを部屋に取りに行く。

 へへ、こんなこともあろうかと隠しておいて正解だったな。ミシェルのやつ喜んでくれるかなあ。

 リビングに戻り、タオルケットとクッションが入った舟形のカゴを見せる。 

 「なんだいそれ? カゴのようだけど……」

 「ああ、家具屋で見つけたんだ。この大きさならミシェルも余裕で寝れるだろう」  

 「もしかして、そこで寝てもいいのかい?」

 「そのために買ってきたんだぞ! ミシェルにはお土産がないけど、変わりにここでゆっくり寝てくれよな」

 「突然押し掛けた上に、こんなことまでしてもらってなんだか申し訳ないよ」  

 「いいって! さっき出迎えてもらって、嬉しかったんだぜ? やっぱ家に誰かいるってのはいいもんだなって思ったよ」

 俺がカゴをテーブルの上に置くと、ミシェルは急いでサラダを平らげる。
  
 「ははっ、そんなに急がなくて大丈夫だって」
  
 「そ、そうだね。なんだかお腹を空かせてるブタみたいで恥ずかしいよ」

 「じゃあ、少し入ってみるか? 下にタオルケットを敷き詰めるから、寝心地はいいと思うんだけどな」
  
 「じゃあ、ちょっとお邪魔するね」
 
 ミシェルはうつ伏せでカゴの中に入り、クッションに首を預ける。

 「ああ……とても気持ちがいいよソウタ」

 「気に入ってくれたか? 大したものじゃないけど、喜んでくれて良かった」

 ミシェルはそのまま目が半開きになりウトウトし始め、数分後には寝息を立てて眠りに入る。

 ふぅ……寝たか……。

 俺はカゴに付いてる取っ手をゆっくり持って、起こさないように床にそっと置く。

 「いやぁ、アニマルシェって寝るんですね」

 「人前で寝ることはあまりないがなあ。多分ソウタに心を許したんだろう」

 「俺もすっかり心を許しちゃいましたよ。アグローさんお腹を一杯になりました?」

 「ああ、どれもうまかったぞ! サーシャに礼を言っておいてくれ。ソウタもミシェルのためにありがとうな」

 アグローさんは満足気にお腹を叩く。

 「いえいえ、今度一緒にご馳走になりにいきましょう。ところで会議の方はどうだったんです?」

 「一応エクシエル以外はここに残って防衛することになった。なんでも敵が結構強いらしいからな」

 「気を付けて下さいね。奴等ちょっとまともじゃないですから」

 「安心しろ。そう簡単にはやられんさ。お前達はどうするんだ?」

 「俺達は明日アルパルタに向かいます。出来ればそこでグラヴェールを取り押さえたいですけどね」

 「一網打尽に出来ればその分争いが早く終わるからな。しかし、お前達はそんなに無茶はするなよ」

 次の日。エクシエルさんと話をするためアグローさんとみんなで城に行く。

 城の合同会議室には、すでに多くの人達が集まっていてザワザワと話をしている。

 室内の隅でエクシエルさんが誰か話しているのを見つけたので挨拶をする。

 「おはようございますエクシエルさん」

 「あら、みんな来たのね。おはよう」

 みんなもそれぞれ挨拶をした後、エクシエルさんは自分と話していた男性を俺達に紹介してくれる。
 
 「そうそう紹介しておくわね。彼はイストウィアからアグローさん達と一緒に来たクロムよ。今後はリネットとマリィの先輩になるかもしれないわ」
 
 クロムさんが軽く自己紹介をしてくれ、俺達も各々自己紹介をする。

 「みんなよろしくな。この世界だと所属とか階級は関係ないから、普通に接してくれて構わないからな」

 「こちらこそよろしくお願いしますクロムさん。じゃあイストウィアから三人の方が応援に来てくれたんですね」

 「そうね。沢山転移は出来ないから、人が来るとしてもまたしばらく経ってからになると思うわ」

 「でも、三人もの人が来てくれただけでも心強いですね。ところでエクシエルさんは今日も会議ですか?」

 「そうだけど、昨日の会議でこちらに残す部隊も決まったから、後は明日からの実行に向けて簡単に話し合うだけよ」
 
 「急がないと向こうは待ってくれそうないですもんね。それで俺達は向こうでどう動いたらいいですか?」

 「私達が前線で敵を食い止めるつもりだけど、みんなには万が一に備えてアルパルタのオーブを守ってもらうわ」

 「解りました。じゃあ今から向こうに行ってオーブのある場所を確認してきます」 

 「アルパルタにはクリケットさんが先行して行ってるから、行けばすぐに分かるはずよ。それと馬車を用意してるからそれに乗って行くといいわ」

 「ありがとうございます。では、アグローさんとクロムさんもまた帰ってからゆっくり話しましょう」

 「俺達がこの国を守っておくからお前達も頼んだぞ」

 最後にミシェルの頭を撫でた後、俺達は三人に別れを告げてアルパルタに向かう。
 
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