念願の異世界に召喚されたけど役に立ちそうもないんでその辺で遊んでます~森で謎の姉妹に出会って本物の勇者を目指すことに~

朱衣なつ

文字の大きさ
125 / 180

第125話 そんなこと言わずに教えて下さいよ

しおりを挟む
 神殿の方にベルナデッドと白髪の男が中に入っていく。

 その様子を見たバサラが悪態をつく。
 
 「ったく、チンタラしすぎなんだよあいつ等。おかげでこっちに寄越した兵士が無駄になっちまったじゃねえか」

 「お前の目的はオーブではなさそうだな。だとするなら目的はこの城と町か?」

 マリィが一歩前に出てバサラに問う。

 「そうなんじゃないのか?」

 「お前がそこの兵士達を連れて攻めて来たんだろう?」
 
 「確かにそうだが、俺は頼まれたことをやるだけだからな。目的があったとしても俺には興味がない」

 「オルビルトかフレッド辺りに頼まれたというわけだ。いずれにせよ、お前がいるということは奴等もまだこの世界にいるようだな」

 「ああ、フレッドの野郎は帰ったが、あのおっさんならまだいるぜ。力をくれたのはありがたいが人使いが荒くて困る」

 「その力、オルビルトから与えられたのか」

 「だから仕方なく手伝ってやってるんだ。何を考えてるのかは知らないが、お前達の手に負えるような相手じゃない」

 「それはどうか分からないわ! オルビルトはどこにいるのよ!」

 リネットが険しい顔でバサラに詰め寄る。

 「会いたければ自分で探すことだ。俺と戦って生きていれば……の話だがな」

 「あなたの連れきた兵士はもうほとんどいないのよ? 一人で戦う気?」

 「はんっ! お前等ごとき俺一人いれば十分だ。前はフレッドに邪魔されたが、今回は邪魔する者はいない。思う存分戦おうぜ?」

 バサラ余裕の顔で戦闘態勢を取る。

 その直後、神殿からオーブを持った二人が出てくる。

 「おっ? どうやら無事に取ってきたようだ。残念だったなお前等。あのギフトを守ってたんだろ?」

 バサラが挑発するように言ってくる。

 くそっ! 全員で行っても無理かもしれないのに、こいつがいるから余計に厳しくなったな。

 でも、俺は何か大事なことを思い出すためにも、あの二人のところへ行かないといけない。

 「俺がオーブを取り返しに行く。すまないが、ここはみんなに任せていいか?」
 
 「なに言ってんのよ! あなた一人であの二人と戦えるわけないじゃない!?」

 「オーブだけじゃない……。さっきから、バレンティス達と戦ったときとは違う、別の記憶が脳内に流れてきているんだ」

 「あの二人がソウタの力の秘密に関係があるのね」

 「俺は何か大事なことを忘れてるみたいなんだ……。だから頼む! 行かせてくれ!」

 リネット達がお互いに相槌を打つ。

 「ここは私達にどうにかします。ですが、無茶だけはしないで下さい」

 「私達もこいつをすぐにやっつけるから、ちょっと待っててね」

 サーシャとフィオが俺を庇うようにバサラの前に立つ。

 「オーブを無理して取り返そうとはするなよ。お前が最初に言った言葉を思い出せ。分かったな?」

 「もしかしたらソウタはあの二人に会うためにこの世界に召喚されたのかもね。でも、危険だと思ったらすぐに逃げるなり降伏なりしなさいよ」

 「みんな……心配させてすまない! すぐに戻る!」

 俺は四人を置いて全速力で走り出す。

 こちらの兵士達はまだ抵抗を続けていて、アークと戦闘をしている。

 その間を掻い潜って神殿にいる二人の元に向かう。

 それに気付いたアークの軍勢が俺を取り押さえようと群がってくるが、それを払いのけてなおも走り続ける。

 あれだ! 

 神殿の入口でオーブを持ったベルナデッドと白髪の男を見つける。

 二人の前に着くその寸前のところで、長剣を持った男が俺に斬り掛かかってくる。
 
 俺は剣でその攻撃受け止め、相手の顔を見て驚く。向こうも同じように俺の顔を見て驚いた表情をする。

 「ストレイングさん!」
 
 「ソウタか!? どうしてお前がこんなところに?」

 「アークに入ったというのは本当だったんですね。お願いですからそこを退いて下さい」

 「ソウタの頼みとはいえそれは出来ないな。俺を退かしてどうする気だ?」

 「……オーブを取り返しに来ました」

 「そういうことか……。あのときグラヴェールにいたのは偶然じゃなかったんだな」

 「黙っていてすみません。ですが、今は話してる場合じゃないんです」

 「それはこちらも同じだ。ギフトを取り返しに来たと言うのであれば、お前でも斬るぞ!」

 問答をしていると、白髪の男が俺達の間に割って入ってくる。

 「剣を引けストレイング」

 「し、しかし、ジュラールさんよ。こいつはあんたを狙ってるんだぞ」

 やっぱり……こいつがジュラールか……。

 「承知している。だが、そいつは私の手でやらせてくれ」

 ジュラールが俺を見据えて剣を抜く。

 「話はディアナから聞いていたが、まさか本当にこの世界に転生したとはな。久しいなロイよ……。また私の邪魔をしに来たのか?」

 ジュラールがその名前を口にした途端、頭の中に剣を持って戦ってる自分の姿がよぎる。

 くっ! 最近は無かったのに! またあの夢が頭の中に浮かんでくる!

 「ロイ……だと。やっぱりお前はもう一人の俺のことを知っているのか?」

 「まだ覚醒していないのか?」

 「覚醒だと? 一体どういうことだ?」

 「……思い出す必要はない。見逃してやりたいが、目覚められても厄介だからな。せめて私の手で葬ってやろう」

 ジュラールが待ったなしで俺に目掛けて剣を振り下ろしてくる。
 
 俺は咄嗟にジュラールの剣を受け止めるも、受け止めた衝撃で俺の剣が折れる。

 なっ……!

 折れた剣の刃がスローモーションでゆっくりと俺の前を飛んでいく。

 その瞬間、俺の過去の記憶。いや……地球という異世界に転生する前の記憶が甦ってくる。

 おびただしい量の記憶が激しい波のように逆流してきて、立っていられなくなる。

 そうだ……俺は……俺達は……。

 記憶が甦ってくると同時に身体中に魔力が溢れてくる。

 暖かい……体に魔力が流れてきているのを感じる。

 俺から溢れる力を感じ取ったジュラールが剣に雷をまとわせる。

 「今ので記憶が戻ったか!」

 「ああ……ジュラール。……いや、ウィル……。お前達がかつて俺の仲間だったことも、少しずつだが思い出してきたよ」

 「……ならばロイ、私と共に来い。過去のことは水に流し、我々でこの世界を正しき世界へと導こうではないか」

 「事情は知らないがそのオーブで何をしようというんだ?」

 「何故我々がこの世界に転生したのかは分からないが、ラティエが殺されたとき私とディアナが覚醒したのだ」

 「ラティエもこの世界にいたのか!」

 「この世界ではイセリアという名だったがな。そして、私達のいた世界と同様にディアナとは姉妹でもあった」

 「そうか、イセリアはラティエだったのか……。ディアナ……すまない」

 俺はウィルの隣にいるベルナデッドことディアナに目を向ける。

 「お前が謝る必要はない。私達も姉が死んだのをきっかけに覚醒したから、どうしようもなかった」   

 「ラティエは覚醒していなかったようだが、この世界でも平和を望んでいた。そして再びその犠牲者となった」   

 「なるほどな。前と同じような構図ってわけだ。それで? そのオーブを使ってムングスルドに復讐でもする気か?」

 「それだけではない。全てのオーブを持った我々がこの世界に新しい国を作り、全ての国を私の支配下におくつもりだ」

 「お前……自分で何を言っているのか分かっているのか? それだと俺達が前にいた世界と同じ末路を辿ることになるぞ!」

 「だとしても人々の魂を浄化し、不浄なる魂を排除せねば争いはなくならん。そのためには私が人の上に立ち、魂の選別をしなくてはならない!」

 ウィルが俺に剣を向けて最後の選択を迫ってくる。

 「さあ、どうする? 私と来るか、それともここで死ぬか。二つに一つだ」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

町工場の専務が異世界に転生しました。辺境伯の嫡男として生きて行きます!

トリガー
ファンタジー
町工場の専務が女神の力で異世界に転生します。剣や魔法を使い成長していく異世界ファンタジー

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

処理中です...