念願の異世界に召喚されたけど役に立ちそうもないんでその辺で遊んでます~森で謎の姉妹に出会って本物の勇者を目指すことに~

朱衣なつ

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第126話 また死ぬかも

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 「バカ野郎が……前にも言ったろ? そんな仮初めの平和なんてラティエもあの二人も望んでいないって」

 「……ラティエの敵すら取れず二人を死なせたお前が言う台詞ではないな」

 「確かにな。だが、ついでに言わせてもらうと、お前はただラティエの復讐したいだけなんだろ? お前の個人的な復讐のためにこの世界の人達を巻き込むなよ」
 
 「やはりお前と話すのは時間の無駄だったようだな……」

 ウィルが雷のまとった剣で俺の首を狙ってるくる。  

 不味い! まだ体が自由に動かなっ!

 剣を避けきれず死を覚悟したそのとき、地面から突如木の枝が出現してウィルの腕に絡み付く。

 「ギリギリ間に合ったようですね」

 「今のは間一髪だったな」
 
 背後から懐かしい声が聞こえる。

 後ろを振り返ると、杖を持ったセレーナと白衣を姿のアリエルが立っていて俺に駆け寄ってくる。

 「大丈夫ですかソウタ君!?」
 
 「危うく二つに別れるところだったな。しかし、どうしてソウタちゃんがこんなところのいるんだ?」

 「……何がだよ。白々しい」

 「お前……もしかして記憶が戻っているのか?」

 「たった今だけどな。でも、助かったぜプリム、アリエル」

 プリムの名を聞いたセレーナは瞳をうるわせる。

 「記憶が戻ったのね! 良かった……」

 「まだ曖昧なところも多いけどなんとかな」

 ウィルは木の枝を振り払い、二人の姿を見て僅かに動揺する。

 「そうか、お前達もこの世界に転生していてもおかしくはないか……」

 「ほお、お前も私達が誰なのか分かるのか?」

 アリエルがウィルに問い掛ける。

 「無論だ。たとえ姿形が変わろうとも、お前達の奥底にある魂の形は変わらん。どうやらお前達は覚醒しているようだな」

 「理由は分からないがある日突然な。それでお前達の力を感じて、アークやこの世界のことを調べていたんだ」

 「今更ノコノコと私達の前にも現れてどうするつもりだ?」

 アリエルに変わり、セレーナことプリムが喋り出す。

 「私達はムングスルドやグラヴェールが裏でやっていることの証拠を押さえました。ですから、報復などせずとも他の国々が正しい罰を与えてくれるはずです」

 「証拠だと? そんなものいくつあったところで何の意味もない。それにもはや手遅れだ」

 「アークの目的はこの二国を裁くことなんでしょ? だったら今度は私達も協力するわ。だから話し合いましょう」

 「無駄だプリム……コイツの真の目的はその先にある。それにラティエが殺されてるから穏便にいくわけがない」

 「ラティエもこの世界に転生していたの? でも、殺されたって……」
 
 「詳細は明らかではないが姉が死んだとムングスルドから一報が届いた。しかし、姉の力が奴等に利用されて殺されたのは間違いないだろう」
 
 「そんな……」

 ディアナがからそう聞いたプリムは悲しそうな表情浮かべる。

 「まあ、とにかくあの二国を潰すのは俺も賛成だが、オーブを使うのは止めておけ。お前達の魔力で使えばこの世界に甚大な被害をもたらすぞ」

 「全世界に我々の力を知らしめる必要もあるからそれは出来ない相談だ。新しい時代を作るためには多少の犠牲はやむを得ん」

 「ウィル、お前は知らないかもしれないが、異世界から来た人間達がいる。そいつらがあの二国と協力してこの世界をこんな風にしてるんだ。だから、そいつらを倒さない限り根本的な解決にはならないぞ」

 「ならばそいつらもまとめて倒せばいいだけだ。お前は前にもそのようなことを言って私達を止めようとしたが、また同じことを繰り返すつもりか?」

 「人の話を聞かないお前が悪いんだよ。お前の気持ちも解るがもう少し大局を見極めろ」

 「私に賛同しないのであればこれ以上話すことはない。もし、私を止めるつもりなら相応の覚悟することだな」

 退却しようとするウィルをアリエルが引き留める。
 
 「おいおい、ちょっと待てウィル。お前、何さりげなく持ち逃げようとしてるんだ?」

 「だとしたらどうする? 覚醒したばかりで武器も無いロイとお前達だけで、私達と戦う気か?」

 「はっはっはっ! お前も中々言うようになったな。試してみるか?」

 「……いや、この城に敵が攻めてきているから、そちらを片付ける方が先だ。このオーブが欲しければデナントミールに来るといい。私は逃げも隠れもせん」

 「アリエル。認めたくはないがウィルの言う通りだ。この国に敵が攻めてきているから急がないと手遅れになる」
  
 「ふむ……では先にそっちを片付けるとするか」
   
 「ロイ、それにアリエルよ。私達が城と町の周辺にいる敵を倒しておいてやる。後はお前達でどうにかしろ」

 ウィルはそう言って白馬に股がり、ディアナ達と共に神殿から走り去ってゆく。

 アークの軍勢もいなくなり、アリエルとプリムが俺を起こしてくれる。

 「どうだ? もう動けそうか?」

 「まだフラフラするよ」

 「あまり無茶はせずここは私達に任せておけ」

 「すまないが頼む。仲間があそこで戦っているから、早く助けにいかないといけないんだ」

 俺は二人に連れられバサラと戦っている四人のところに行く。

 リネット達が俺に気付いて駆け寄ってくる。

 「無事だったのねソウタ!」

 「オーブは取られちまったけどな。そっちは大丈夫か?」

 「ええ、もう少しで勝てそうよ」
 
 バサラが四人に追い付いてきて周囲を見渡す。

 「あいつ等は帰ったようだな。じゃあ、こっちもそろそろ終わらせるか……」

 「何言ってんの? もう終わるのはこっちの方よ」

 「流石に四人相手だとキツいからな。本気でいかせてもらうぜ?」

 バサラはブレスレットを外して、ニヤッと笑う。

 「さあ! お前の力を存分に見せつけてやれよ! 鬼虎ぁ!」

 そう叫ぶと全身から光の粒子が溢れ出てくる。

 異形の腕が更に大きくなり、もう片方の腕も異形の姿へと変貌していく。
 
 バサラは獣のような腕と長く尖った爪を満足そうに眺め、深呼吸をする。

 「……そこのメガネを掛けた女。お前、バレンティスのおっさんに一撃与えたらしいな? 俺にもそのときの力を見せてくれよ」

 「話を聞くなサーシャ。こいつは私達で倒す」

 「ですが……あの力はエルザと同じ……」
 
 ブレスレットを外そうとするサーシャの手をマリィが制止する。

 「お前達のために言ってやってるんだぜ?言っておくが、今の俺はバレンティスのオモチャなんかとは比較にならないくらい強い。無抵抗のまま死にたいなら好きにしろ」
 
 「誘いに乗ったらダメだよサーシャお姉ちゃん。それにあいつただ腕が大きくなっただけかもしれないしね」

 フィオもサーシャを説得する。

 「こいつ等だアリエル……。こいつ等がこの世界をめちゃくちゃにしてる元凶の一つだ」

 「ん? こいつはお前の友達ではないのか?」
  
 「はっ? 俺にこんな友達いるわけないだろ! どこを見て言ってるんだよ!」

 「ほれ、前に火山でお前と待ち合わせをしていたやつがいただろう? あいつの仲間なんじゃないのか?」
 
 「そうそう! そいつの仲間だよ。というか、あいつは俺の友達じゃねえよ」

 「はっはっはっ! その割りには仲が良さそうだったではないか」

 「ああっ! そういやお前と旅をしたんだよな? 最悪だ……思い出しただけでも鳥肌が立つよ」

 「色々終わったらまた私と旅に行きたいと言っていたぞ?」

 アリエルがニヤニヤしながら俺に言ってくる。

 「くそう……あのときの俺をブン殴ってやりたいぜ。さてはお前、わざと俺に過去のことを教えなかったんだな」

 「人聞きの悪いことを言うな。私はゆっくりとお前の記憶を取り戻してやろうとしただけだ」

 「二人とも冗談言ってる場合じゃないわよ。ここは私とマリィで足止めするから、ソウタは悪いけど姉さんとフィオを連れて逃げて!」

 リネットが真剣な顔付きで俺達の話しに割り込んでくる。
 
 「大丈夫だ」

 「え?」

 俺はアリエルを見ながらリネットに告げる。

 「大丈夫だ」

 なんせこいつは……

 「俺の師匠だからな」
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