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1-1.転生冒険者は男娼王子を攫う
六話
瞬きするくらいの時間で転移は完了し、俺は自分の拠点である持ち家のリビングへと到着する。
依頼もあって、数か月開けていたのだが保存魔法のおかげで埃っぽさもない。フレデリック様を滞在させるには少し狭いかもしれないが、この町ではそこそこ大きな建物なのでまあ、及第点と言った所だろう。
フレデリック様を担いでいない方の手でパチンと指を鳴らせば、俺の魔力が家中に巡り、明かりつく。この家の元の持ち主が魔法狂いの貴族だったこともあり、オール魔力住宅でなかなか便利だ。維持する為に必要な魔力がそこそこに多いのだが……俺にとっては微々たるものだ。
「転移酔いはしてませんか?」
「あ、ああ……大丈夫だ」
転移に慣れない人間は転移すると酔う事があるのだが、転移の際、不測の事態が起きないように入念に俺の魔力で包み込んでいたおかげかフレデリック様の体調に影響はなかったようだ。
ただ、転移という物自体、七つ星または魔法特化の六つ星くらいしか使い手がいないからか、驚いたように辺りを見回していた。あとは、この家自体も物珍しいのかもしれないが。
「驚きました?」
「ああ……存在は知っていたが……伝説のようなものだと思っていた」
まあ、開発したのは伝説級の七つ星なのでその認識で間違ってはいない。俺もその人から教えてもらったから使えるようになったしな。限定的にだが割と面倒見のいい先生タイプの人で気に入った人間にはホイホイ開発した魔法を教えてくれるのだ。気に入ってくれるかどうかは魔力の潜在的な才能次第だけど……それ以外には基本塩対応だ。
「七つ星の半分は使えますよ。あとは、七つ星に届かないまでも魔法に特化した六つ星も」
転移は習得が難しい。座標をしっかり把握してないと体が千切れたり、壁にも埋まる。一応死人は今の所いないらしいが、先生から指導中に千切れたり、下半身だけ壁に埋まったりした生徒はいたと聞いた。
俺はそれを聞いてからは、コツとして千里眼的な魔法も教えてもらってから使うようにしている。いや、だってさ、俺みたいな筋肉ゴリラの壁尻は俺が嫌だ。一部に需要があるかもしれないが嫌だ。嫌なのだ。
あと、今回はフレデリック様を同時に転移させたけど、本当はこれも難しい類のものだ。俺自身の魔力量が多いからか失敗したことは無いんだけどな。
おかげで冒険者ギルドからは運び屋のような依頼も受けるんだけどな。王宮で向こうのギルドマスターから言われたように。六つ星じゃ自分を転移させるだけで精一杯だし、俺以外の七つ星はそんな依頼基本受けないからホント便利屋状態なんだよ……。
「でもまあ……六つ星以上になるといろいろ理解できない移動方法習得してたりしますけど……」
転移魔法自体魔力量の消費も多いから、七つ星でも魔力を使い過ぎたら疲れるから他の移動法を選ぶ人も多い。人間卒業して長命な人も多いし、瞬間的に移動しなくても良いという達観した精神性もあるしな。
そんなわけで、転移魔法を使えない六つ星や使う必要がないと判断した七つ星の移動方法は様々だ。
「生身で空飛んだ方が楽しいという人もいるし、ドラゴンでかっ飛ばすからいいという人もいます」
一番理解できなかった人は空気を蹴って空を走ればいいんだよ!って言った人だけど。ちょっと意味が分からない。そして、コツを教えてもらってやったらできた自分もちょっと意味が分からなかった。何で出来たんだ俺。
「今までは半信半疑だったが七つ星や六つ星というのはすごいのだな……最上級の冒険者は王族以上の存在だと言われているのがわかる」
驚きすぎて虚を突かれたような顔をするフレデリック様に苦笑する。まあ、そりゃそうだ。位の高い冒険者なんて権力を嫌いめんどくさがる奴の方が多い。王族なんかとは距離を取るし、冒険者ギルドからしか話が聞けないのだからそんな認識が精一杯だろう。
「過大評価なんじゃないかってよく言われますけどね。平民からしたら王族と同じように雲の上の存在だと思われてますし、王族からしたら自分達と同等の者はても、より尊き者はいないって信じたくないみたいですから」
母国の王宮に居たアレらを思い出す。あれは七つ星を下に見る典型的なタイプだ。一応七つ星への対応は各国で定められているはずなのだが、どうも見下されている気がしてギルドからの提案の時点で依頼を断る事も多い。母国へはフレデリック様が王になっていると思ったから久しぶりに受ける事にしたんだよな。
フレデリック様が王宮娼夫へと堕とされていてそれを連れ攫ってくることになるとは思いもしなかったけど。
「ま、単騎で国が亡びるような天災級モンスターを倒せる人間なんて信じられる人間は一握りでしょう。明らかに人の領域を踏み越えた人外ばかりですもん」
俺も最初に七つ星とあった時は、めっちゃ強い冒険者でかっこいい!って思ったけど、知れば知るほどドン引いたのは内緒だ。そして、俺もそのうちの一人になってしまった事に笑える。
特にこの度見事に一国と敵対関係というか、一方的に敵認識したので、他の七つ星からはこれでお前も一人前の七つ星だな!とか、言われると思う。
なんでかわからないけど、七つ星になると一度は国といざこざを起こすらしい。童貞卒業祝いとか祝いに来そうな人が居て嫌だ。しばらく黙っとこう。面倒くさいし。
あー、ぜったいフレデリック様の事もなんか言われるだろうなぁ……。
依頼もあって、数か月開けていたのだが保存魔法のおかげで埃っぽさもない。フレデリック様を滞在させるには少し狭いかもしれないが、この町ではそこそこ大きな建物なのでまあ、及第点と言った所だろう。
フレデリック様を担いでいない方の手でパチンと指を鳴らせば、俺の魔力が家中に巡り、明かりつく。この家の元の持ち主が魔法狂いの貴族だったこともあり、オール魔力住宅でなかなか便利だ。維持する為に必要な魔力がそこそこに多いのだが……俺にとっては微々たるものだ。
「転移酔いはしてませんか?」
「あ、ああ……大丈夫だ」
転移に慣れない人間は転移すると酔う事があるのだが、転移の際、不測の事態が起きないように入念に俺の魔力で包み込んでいたおかげかフレデリック様の体調に影響はなかったようだ。
ただ、転移という物自体、七つ星または魔法特化の六つ星くらいしか使い手がいないからか、驚いたように辺りを見回していた。あとは、この家自体も物珍しいのかもしれないが。
「驚きました?」
「ああ……存在は知っていたが……伝説のようなものだと思っていた」
まあ、開発したのは伝説級の七つ星なのでその認識で間違ってはいない。俺もその人から教えてもらったから使えるようになったしな。限定的にだが割と面倒見のいい先生タイプの人で気に入った人間にはホイホイ開発した魔法を教えてくれるのだ。気に入ってくれるかどうかは魔力の潜在的な才能次第だけど……それ以外には基本塩対応だ。
「七つ星の半分は使えますよ。あとは、七つ星に届かないまでも魔法に特化した六つ星も」
転移は習得が難しい。座標をしっかり把握してないと体が千切れたり、壁にも埋まる。一応死人は今の所いないらしいが、先生から指導中に千切れたり、下半身だけ壁に埋まったりした生徒はいたと聞いた。
俺はそれを聞いてからは、コツとして千里眼的な魔法も教えてもらってから使うようにしている。いや、だってさ、俺みたいな筋肉ゴリラの壁尻は俺が嫌だ。一部に需要があるかもしれないが嫌だ。嫌なのだ。
あと、今回はフレデリック様を同時に転移させたけど、本当はこれも難しい類のものだ。俺自身の魔力量が多いからか失敗したことは無いんだけどな。
おかげで冒険者ギルドからは運び屋のような依頼も受けるんだけどな。王宮で向こうのギルドマスターから言われたように。六つ星じゃ自分を転移させるだけで精一杯だし、俺以外の七つ星はそんな依頼基本受けないからホント便利屋状態なんだよ……。
「でもまあ……六つ星以上になるといろいろ理解できない移動方法習得してたりしますけど……」
転移魔法自体魔力量の消費も多いから、七つ星でも魔力を使い過ぎたら疲れるから他の移動法を選ぶ人も多い。人間卒業して長命な人も多いし、瞬間的に移動しなくても良いという達観した精神性もあるしな。
そんなわけで、転移魔法を使えない六つ星や使う必要がないと判断した七つ星の移動方法は様々だ。
「生身で空飛んだ方が楽しいという人もいるし、ドラゴンでかっ飛ばすからいいという人もいます」
一番理解できなかった人は空気を蹴って空を走ればいいんだよ!って言った人だけど。ちょっと意味が分からない。そして、コツを教えてもらってやったらできた自分もちょっと意味が分からなかった。何で出来たんだ俺。
「今までは半信半疑だったが七つ星や六つ星というのはすごいのだな……最上級の冒険者は王族以上の存在だと言われているのがわかる」
驚きすぎて虚を突かれたような顔をするフレデリック様に苦笑する。まあ、そりゃそうだ。位の高い冒険者なんて権力を嫌いめんどくさがる奴の方が多い。王族なんかとは距離を取るし、冒険者ギルドからしか話が聞けないのだからそんな認識が精一杯だろう。
「過大評価なんじゃないかってよく言われますけどね。平民からしたら王族と同じように雲の上の存在だと思われてますし、王族からしたら自分達と同等の者はても、より尊き者はいないって信じたくないみたいですから」
母国の王宮に居たアレらを思い出す。あれは七つ星を下に見る典型的なタイプだ。一応七つ星への対応は各国で定められているはずなのだが、どうも見下されている気がしてギルドからの提案の時点で依頼を断る事も多い。母国へはフレデリック様が王になっていると思ったから久しぶりに受ける事にしたんだよな。
フレデリック様が王宮娼夫へと堕とされていてそれを連れ攫ってくることになるとは思いもしなかったけど。
「ま、単騎で国が亡びるような天災級モンスターを倒せる人間なんて信じられる人間は一握りでしょう。明らかに人の領域を踏み越えた人外ばかりですもん」
俺も最初に七つ星とあった時は、めっちゃ強い冒険者でかっこいい!って思ったけど、知れば知るほどドン引いたのは内緒だ。そして、俺もそのうちの一人になってしまった事に笑える。
特にこの度見事に一国と敵対関係というか、一方的に敵認識したので、他の七つ星からはこれでお前も一人前の七つ星だな!とか、言われると思う。
なんでかわからないけど、七つ星になると一度は国といざこざを起こすらしい。童貞卒業祝いとか祝いに来そうな人が居て嫌だ。しばらく黙っとこう。面倒くさいし。
あー、ぜったいフレデリック様の事もなんか言われるだろうなぁ……。
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