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一部番外編
後日談1-3:窓の向こうに見える雪
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朝食の後、両手をアグノスとティグレに引かれながら談話室へと向かう。
食堂と同じように暖炉に火が焚かれた談話室は暖かく、過ごしやすい温度に保たれている。
ソファーへとエスコートされ、座った僕の隣をアグノスとティグレに挟まれ、正面にはイデアルが座る。
マリーが用意してくれた本を受けとれば、袖をティグレに引かれ、そちらへ視線を向けた。
「きょうもおれがよんでやるぞ!」
目をきらきらと輝かせ、さあ、渡せ!と僕へと視線を向けるティグレ。
僕が寝ている間に、アグノスの為に読み聞かせをしていてくれたらしく、以前より上達した音読をこうやって披露したいという熱意に、僕は笑みを浮かべながら本を渡す。
「じゃあ、お願いできる?」
「おう!」
満面の笑みで僕から本を受け取ったティグレは、元気良く内容を読み上げる。
まだ、たどたどしいが、それでも自信満々にはっきりと読み上げる声は、聞き取りやすい。
ティグレの反対側に座るアグノスは、近くで聞こうと僕の膝へと乗り出し、目を輝かせているし、正面に座るイデアルはそんな二人を微笑ましそうに見ている。
僕としてもこの空間は居心地が良く、自然と笑みが浮かんでいた。
まだ、遊びたい盛りの子供達だけど、こうして離宮の中で遊んでくれているのは、僕に合わせているからだ。
ある程度体調は回復してきた僕だけど、必要がなければ今季の冬は外に出ないように王宮医師に言いつけられている。
この前の外出だって、まだ雪が降っていなかったから許されたようなものだ。
ここ数日天候も崩れてきて曇りが増えてきたから雪が降るのも時間の問題だろう。
そんな事を思いながら、窓の外を見たら、僕の考えを察したように白い粒が空から降ってきた。
「あ、雪が降ってきたよ」
「ゆき!」
「ゆきー!」
本を読み終わったタイミングで雪の事を口に出せば、ティグレとアグノスが窓辺へと駆けていく。
二人並んで窓の外を見上げている姿は可愛らしい。
「積もるでしょうか?」
「どうかな……でも、積もったら二人が喜びそうだね」
窓の外を眺めるイデアルの言葉に、僕は雪遊びするアグノスとティグレの姿を想像しながら言葉を返す。
僕は、雪遊びには付き合えないけど、こうやって中から外で遊ぶ子供達を眺めるのは楽しそうだ。
「積もったらイデアルも二人とも遊んでくれる?」
「いいんですか?」
目を瞬かせたイデアルに、雪遊びしたことがないのだと気づく。
「いいんじゃない?風邪引かないようにしっかり着込んで、終わったらお風呂に入れば大丈夫だよ」
「そうですか。……積もるといいですね」
微笑みながら告げた言葉に、イデアルの表情が緩み、どこか嬉しそうな雰囲気を感じる。
「ディロス!外行ってきてもいいか!?」
「とうさま!あぐのすも!」
「いいよ。でも、メリー達に言ってしっかり厚着してからね」
積もる事を待ちきれなかったらしいティグレの言葉に笑いながら、許可を出した。
「……ディロス様」
着替える為に子供部屋へ駆けていったアグノス達を見送ったイデアルがおずおずと僕へと声をかけてくる。
「イデアルも行っておいで。僕はここで見てるから」
「っ……!はい!」
嬉しそうに駆けていったイデアルを見送り、雪の降る外へと視線を向ける。
遠くに見える、霊峰の頂上は白く。前世の知識にあるものと同じように美しかった。
食堂と同じように暖炉に火が焚かれた談話室は暖かく、過ごしやすい温度に保たれている。
ソファーへとエスコートされ、座った僕の隣をアグノスとティグレに挟まれ、正面にはイデアルが座る。
マリーが用意してくれた本を受けとれば、袖をティグレに引かれ、そちらへ視線を向けた。
「きょうもおれがよんでやるぞ!」
目をきらきらと輝かせ、さあ、渡せ!と僕へと視線を向けるティグレ。
僕が寝ている間に、アグノスの為に読み聞かせをしていてくれたらしく、以前より上達した音読をこうやって披露したいという熱意に、僕は笑みを浮かべながら本を渡す。
「じゃあ、お願いできる?」
「おう!」
満面の笑みで僕から本を受け取ったティグレは、元気良く内容を読み上げる。
まだ、たどたどしいが、それでも自信満々にはっきりと読み上げる声は、聞き取りやすい。
ティグレの反対側に座るアグノスは、近くで聞こうと僕の膝へと乗り出し、目を輝かせているし、正面に座るイデアルはそんな二人を微笑ましそうに見ている。
僕としてもこの空間は居心地が良く、自然と笑みが浮かんでいた。
まだ、遊びたい盛りの子供達だけど、こうして離宮の中で遊んでくれているのは、僕に合わせているからだ。
ある程度体調は回復してきた僕だけど、必要がなければ今季の冬は外に出ないように王宮医師に言いつけられている。
この前の外出だって、まだ雪が降っていなかったから許されたようなものだ。
ここ数日天候も崩れてきて曇りが増えてきたから雪が降るのも時間の問題だろう。
そんな事を思いながら、窓の外を見たら、僕の考えを察したように白い粒が空から降ってきた。
「あ、雪が降ってきたよ」
「ゆき!」
「ゆきー!」
本を読み終わったタイミングで雪の事を口に出せば、ティグレとアグノスが窓辺へと駆けていく。
二人並んで窓の外を見上げている姿は可愛らしい。
「積もるでしょうか?」
「どうかな……でも、積もったら二人が喜びそうだね」
窓の外を眺めるイデアルの言葉に、僕は雪遊びするアグノスとティグレの姿を想像しながら言葉を返す。
僕は、雪遊びには付き合えないけど、こうやって中から外で遊ぶ子供達を眺めるのは楽しそうだ。
「積もったらイデアルも二人とも遊んでくれる?」
「いいんですか?」
目を瞬かせたイデアルに、雪遊びしたことがないのだと気づく。
「いいんじゃない?風邪引かないようにしっかり着込んで、終わったらお風呂に入れば大丈夫だよ」
「そうですか。……積もるといいですね」
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「イデアルも行っておいで。僕はここで見てるから」
「っ……!はい!」
嬉しそうに駆けていったイデアルを見送り、雪の降る外へと視線を向ける。
遠くに見える、霊峰の頂上は白く。前世の知識にあるものと同じように美しかった。
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